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1章 幼少編 異世界召喚
7話
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ここの人たちは少なくとも自分たちに危害をくわえてこないと判断した考えはどうやら間違っていなかったようだ。言葉がお互い全く通じないながらも、何人もの人が二人の面倒を見てくれたり身振り手振りで、使うことがありそうな部屋などを案内してくれたりした。多分食堂として使っているのであろう無駄に広い部屋にも連れて行ってくれ、ようやく食事にもありつけた。
料理が出てきた時は食べていいものか躊躇したが、周りにいた大人たちは流輝が料理を見た後で顔を合わせるとコクコクと頷いてくる。幸いナイフやフォーク、スプーンといった道具は流輝たちが元いた世界と同じようで、食べ方に困ることはなさそうだ。料理もだいたい見たことのない料理とはいえ、恐る恐る口にすると普通に美味しかった。材料や調理法などはどのみち元いた世界の料理もよくわからないし、少なくとも味覚もそうかけ離れたものではなさそうだとわかっただけでもホッとする。
風呂は正直少しテンションが上がった。南国のような緑豊かな木々がたくさん溢れている中、やたらと広い湯舟に、綺麗な女性の像が持つ瓶から延々と流れ出る湯など、家族旅行で入ったことのある大きなジャングル風呂を思い出した。
「ジャングル風呂だとライオンの口からじゃばじゃば湯、出てたけどな」
「ここにはライオンがいないのかも」
「かもな。その代わりすげーヤベェ魔物みたいなのいたけどな……」
「……怖かった」
二人とも上がったテンションが一気に落ちてしまったが、すぐに気を取り直す。のぼせる一歩手前まで散々風呂を堪能していると、呆れた顔のキャスが入ってきて何やら言いながら二人をつまみ出す勢いで風呂から出してきた。
その後、二人は目が覚めた時に横になっていたベッドにようやく飛び込むようにダイブした。まだやっぱり怖いし戸惑いだらけではある。それでも温かい食事と気持ちのいい風呂にホッとしたのか、それともあまりに色々ありすぎて疲れ切っていたのか、二人そろって一瞬の内に眠りに陥っていた。
数日間は王宮内の、二人が使っても構わない場所を把握することで精一杯だった。言葉の壁は厚い。それでも何とか身振り手振りでかろうじて意思疎通を図り、少しでも知れることは知ろうと試みていた。
フランとキャスはやはり護衛役となったのか、いつもそばにいる。どこかへ行こうとしてもついてくる。
一度「フランとキャスをまいてみよう」と流輝は提案したことがある。琉生は「俺らの護衛をしてくれてるのに、そんなこと、いいの?」と心配そうだったが反対はしてこなかった。タイミングを合わせ、突然走り出すとフランたちは驚いたような顔をしていた。ある程度自分たちが移動していい王宮内を把握した後だったので、スムーズに移動できた。そしてめぼしいところに隠れようとしたところで流輝は腕をつかまれた。
『いい度胸してやがる』
『おい、もっと丁寧に』
『はぁ? だってこいつらがまた逃げるからだろが。いいか、リキ様。ただでさえやってらんねえのに無駄な仕事増やすな』
何を言っているのかはわからないが「リキ」という名前は聞き取れた。おそらく説教か文句かだろう。あと言葉はわからなくてもキャスの引きつったような、笑みと怒りを混ぜたような顔を見れば何となくわかる。後ろではフランが相変わらず無表情な様子でそんなキャスに何やら言っているようだった。
「思ってたより面白くなかった」
「それはそうだよ。怒られただけじゃないかな」
「まあでもわかったこともあるしな」
「わかったことって、何? リキ」
「盗賊からは逃げられても、この二人からは逃げられないってこと」
「もしかしてそれを確認するためにやったの?」
「ついでだよ。ついで。やってみたかった、が本命だから」
「リキはほんと」
呆れたような口調だが、琉生はおかしそうに笑ってくれた。
そんなある日、初めて王宮の庭園を散歩していると、この国の王女と同じく初めて遭遇した。護衛二人は特に問題なさそうに立って王女の護衛であろう女性騎士と話しているため、普通に話しかけてもいいのかなと流輝は声をかけてみた。
「初めまして」
当然こちらの言葉も相手には通じない。だが同じ世代であろう子ども同士だからだろうか、お互い打ち解けやすさはあった。フランとキャスにしたようにして、とりあえず名前だけは何とか知ることができた。
「ローザリアは何してたんだ?」
『リキとルイは何してたの?』
全然かみ合っていないようでいて案外やり取りができたのもあり、三人で一緒に散歩してお茶の時間も過ごした。一緒に出てきた焼き菓子を、ローザリアはこの世の幸せを堪能しているといった風に味わっているように見える。
「ローザリアも甘いの好きなんだな。ルイと一緒だ」
「別に俺は甘いのそんなに……」
「俺に誤魔化しても仕方ないだろ。すげー好きなくせに。何なら二人でこれら食ってもいいぞ。俺、こっちのサンドイッチみたいなの食ってるから」
『リキは甘いの食べないの?』
「俺に差し出さなくていいよ、ローザリア。どんどん食べなよ。もしくはルイ、えっとこっちにあげて」
やはり身振り手振りでやり取りしながらだったが、三人で過ごした時間は楽しかった。この世界へ来て初めての同世代だからだろう。できれば会話も通じるようになりたいとさえ思えた。
料理が出てきた時は食べていいものか躊躇したが、周りにいた大人たちは流輝が料理を見た後で顔を合わせるとコクコクと頷いてくる。幸いナイフやフォーク、スプーンといった道具は流輝たちが元いた世界と同じようで、食べ方に困ることはなさそうだ。料理もだいたい見たことのない料理とはいえ、恐る恐る口にすると普通に美味しかった。材料や調理法などはどのみち元いた世界の料理もよくわからないし、少なくとも味覚もそうかけ離れたものではなさそうだとわかっただけでもホッとする。
風呂は正直少しテンションが上がった。南国のような緑豊かな木々がたくさん溢れている中、やたらと広い湯舟に、綺麗な女性の像が持つ瓶から延々と流れ出る湯など、家族旅行で入ったことのある大きなジャングル風呂を思い出した。
「ジャングル風呂だとライオンの口からじゃばじゃば湯、出てたけどな」
「ここにはライオンがいないのかも」
「かもな。その代わりすげーヤベェ魔物みたいなのいたけどな……」
「……怖かった」
二人とも上がったテンションが一気に落ちてしまったが、すぐに気を取り直す。のぼせる一歩手前まで散々風呂を堪能していると、呆れた顔のキャスが入ってきて何やら言いながら二人をつまみ出す勢いで風呂から出してきた。
その後、二人は目が覚めた時に横になっていたベッドにようやく飛び込むようにダイブした。まだやっぱり怖いし戸惑いだらけではある。それでも温かい食事と気持ちのいい風呂にホッとしたのか、それともあまりに色々ありすぎて疲れ切っていたのか、二人そろって一瞬の内に眠りに陥っていた。
数日間は王宮内の、二人が使っても構わない場所を把握することで精一杯だった。言葉の壁は厚い。それでも何とか身振り手振りでかろうじて意思疎通を図り、少しでも知れることは知ろうと試みていた。
フランとキャスはやはり護衛役となったのか、いつもそばにいる。どこかへ行こうとしてもついてくる。
一度「フランとキャスをまいてみよう」と流輝は提案したことがある。琉生は「俺らの護衛をしてくれてるのに、そんなこと、いいの?」と心配そうだったが反対はしてこなかった。タイミングを合わせ、突然走り出すとフランたちは驚いたような顔をしていた。ある程度自分たちが移動していい王宮内を把握した後だったので、スムーズに移動できた。そしてめぼしいところに隠れようとしたところで流輝は腕をつかまれた。
『いい度胸してやがる』
『おい、もっと丁寧に』
『はぁ? だってこいつらがまた逃げるからだろが。いいか、リキ様。ただでさえやってらんねえのに無駄な仕事増やすな』
何を言っているのかはわからないが「リキ」という名前は聞き取れた。おそらく説教か文句かだろう。あと言葉はわからなくてもキャスの引きつったような、笑みと怒りを混ぜたような顔を見れば何となくわかる。後ろではフランが相変わらず無表情な様子でそんなキャスに何やら言っているようだった。
「思ってたより面白くなかった」
「それはそうだよ。怒られただけじゃないかな」
「まあでもわかったこともあるしな」
「わかったことって、何? リキ」
「盗賊からは逃げられても、この二人からは逃げられないってこと」
「もしかしてそれを確認するためにやったの?」
「ついでだよ。ついで。やってみたかった、が本命だから」
「リキはほんと」
呆れたような口調だが、琉生はおかしそうに笑ってくれた。
そんなある日、初めて王宮の庭園を散歩していると、この国の王女と同じく初めて遭遇した。護衛二人は特に問題なさそうに立って王女の護衛であろう女性騎士と話しているため、普通に話しかけてもいいのかなと流輝は声をかけてみた。
「初めまして」
当然こちらの言葉も相手には通じない。だが同じ世代であろう子ども同士だからだろうか、お互い打ち解けやすさはあった。フランとキャスにしたようにして、とりあえず名前だけは何とか知ることができた。
「ローザリアは何してたんだ?」
『リキとルイは何してたの?』
全然かみ合っていないようでいて案外やり取りができたのもあり、三人で一緒に散歩してお茶の時間も過ごした。一緒に出てきた焼き菓子を、ローザリアはこの世の幸せを堪能しているといった風に味わっているように見える。
「ローザリアも甘いの好きなんだな。ルイと一緒だ」
「別に俺は甘いのそんなに……」
「俺に誤魔化しても仕方ないだろ。すげー好きなくせに。何なら二人でこれら食ってもいいぞ。俺、こっちのサンドイッチみたいなの食ってるから」
『リキは甘いの食べないの?』
「俺に差し出さなくていいよ、ローザリア。どんどん食べなよ。もしくはルイ、えっとこっちにあげて」
やはり身振り手振りでやり取りしながらだったが、三人で過ごした時間は楽しかった。この世界へ来て初めての同世代だからだろう。できれば会話も通じるようになりたいとさえ思えた。
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