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1章 幼少編 異世界召喚
8話
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その日以来、二人はローザリアから言葉を教えてもらうようになった。普通に考えるとこの国の王女から言葉を教わるというのは問題ないのかと思いそうだが、流輝や琉生自身まだ子どもなのもあってあまり遠慮はなかったし、ローザリアもまだ政務などのない子どもなので全く問題はないようだった。
最初は簡単な単語から教えてもらった。絵本の絵を見ながら「剣」「花」「空」など覚えていく。時折絵を示されながらも何を言っているのか全然わからないものもあったが、おそらくそれは元の世界には存在しないか滅多にないものだからかもしれない。そういったものは言葉ごと覚え、同じような絵を見つけると「アウルベア?」「トゥルッフ?」などと聞いていき、頷いてもらえるとそれがその名称なのだと把握する方法を取った。大抵生き物に多かった気がする。
子どもだからだろうか、こちらの言語を習得していくのは早かった。半年もすれば話すのは片言ながらに、相手が何を言っているのかはずいぶんわかるようになった。その間、ローザリアとはたくさん話をした。また、流輝が持っていた携帯電話のカメラ機能を使って驚かせたりもした。
「わ……一瞬で絵が描ける魔法なの? とても上手ね」
「ちがう。絵、ちがう」
「これ『写真』言うよ」
「シャチン?」
「ちがう……」
風景を撮った画像を見て目をキラキラさせて驚いているローザリアを、流輝は次に撮った。
「ほら」
「っこれ、私ね! すごい。でも鏡で見るのとなんだか顔、違うもの。やっぱり絵なんでしょ?」
「ちがう。『写真』だってば。かがみ、……えっと」
説明しようとして言葉を切り、流輝は琉生を見た。
『なあ、反転ってこっちの言葉でなんて言うんだ?』
『え、なんだろ……「返す」とか「ひっくり返す」とか?』
『あーなるほど』
「二人だけで話してずるい」
「ずる、ちがう。こっち言葉、わからないから」
「そう。ちがうよ」
「こっちの言葉? そういえば二人ともずいぶん話せるようになったもんね」
「俺、ら。すごい」
「自分で言うんだ。でもうん、すごい」
ローザリアが楽しそうに笑う。
「だろ? あー、えっと、話もどす。かがみ、ひっくり返す、うつる、から。これは返さない。そのままうつる」
流輝の話を、だがローザリアは怪訝そうに聞いている。反転とひっくり返す、は違う表現なのだろうかそれとも言い方が拙いせいかと双子が説明に困っていると、ローザリアの側近であるエリス・エヴァンズが少し離れていたものの近づいてきた。
「姫様」
「なぁに、エリス」
「リキ様は、鏡は自分の顔を反転して映しているとおっしゃっておられます。ですがこの不思議なカードだと反転せずそのまま映るのだ、と」
さすがエリス、と流輝と琉生はこくこく頷いた。
現在十歳で双子より一つ年上のローザリアより、エリスはさらに二歳年上らしい。女騎士を目指しているとローザリアから聞いている。赤みのあるオレンジ色をした目と髪色をしている、すらりと背の高い、綺麗で落ち着いた顔立ちだ。ただでさえ双子は元の世界でも周りより小さいほうだったので現在わりと身長差がある。男子は成長が女子よりも遅いからと母親から慰め──いや、説明を聞いたことがあるので、仕方のないことだと流輝は思うことにしている。
ちなみに流輝についているキャスはキャス・ヒューズといって現在十九歳、琉生についているフランはフラン・プライスといって二十一歳だと、言葉がわかるようになって知った。二人の背はエリスよりもさらにとてつもなく高いが、それは大人だからだと流輝は思っている。
反面、ローザリアは今のところ双子と似た身長をしている。ローザリアのほうが少しだけ高いくらいだろうか。見た目はさすがお姫様というのだろうか、ふわふわとして可愛らしい顔立ちと、色素の薄そうな黄色っぽい目と髪色をしている。
「反転? 反転すると顔は違って見えるの?」
「人の顔は左右対称ではありませんので」
「そうなのね! そんなの知らなかった。エリスはわかるけど、すごい、リキとルイも物知りなのねぇ」
また目をキラキラさせながら二人を見てくるローザリアに、流輝は何だか得意な気持ちになった。
「俺、ら、すごい」
『リキ、自分で自分褒めすぎだよ』
嬉しそうなローザリアと得意げな流輝に琉生は苦笑していた。
言葉がわかるようになると、とりあえず臨時でここにいるつもりではあるものの毎日がずいぶん楽しくなった。主にローザリアのおかげだろう。
そんな毎日の中で、流輝はたまに夢にうなされることがあった。どれも悪夢か、それほどでなくてもなんとなく切なくなる夢だったりした。いつも目を覚ますとすぐに夢の内容は薄れていくため、結局明確に覚えてはいないのだが、自分がうなされていたであろうことだけは、落ち込んだ気分や怖いという感情だけが残ったような落ち着かない気分でわかる。
悪夢もお化けといったわかりやすい内容ではなく、むしろ自分がまるでおぞましい存在になってしまい人を脅かしているような内容で、見た後はなんだか精神的にぐったりとした。
もしくは前にも見たような、でも知らない二人の夢だったりして、こちらもなんとなく切なくて目を覚ました後はいつも少し疲れていた。
最初は簡単な単語から教えてもらった。絵本の絵を見ながら「剣」「花」「空」など覚えていく。時折絵を示されながらも何を言っているのか全然わからないものもあったが、おそらくそれは元の世界には存在しないか滅多にないものだからかもしれない。そういったものは言葉ごと覚え、同じような絵を見つけると「アウルベア?」「トゥルッフ?」などと聞いていき、頷いてもらえるとそれがその名称なのだと把握する方法を取った。大抵生き物に多かった気がする。
子どもだからだろうか、こちらの言語を習得していくのは早かった。半年もすれば話すのは片言ながらに、相手が何を言っているのかはずいぶんわかるようになった。その間、ローザリアとはたくさん話をした。また、流輝が持っていた携帯電話のカメラ機能を使って驚かせたりもした。
「わ……一瞬で絵が描ける魔法なの? とても上手ね」
「ちがう。絵、ちがう」
「これ『写真』言うよ」
「シャチン?」
「ちがう……」
風景を撮った画像を見て目をキラキラさせて驚いているローザリアを、流輝は次に撮った。
「ほら」
「っこれ、私ね! すごい。でも鏡で見るのとなんだか顔、違うもの。やっぱり絵なんでしょ?」
「ちがう。『写真』だってば。かがみ、……えっと」
説明しようとして言葉を切り、流輝は琉生を見た。
『なあ、反転ってこっちの言葉でなんて言うんだ?』
『え、なんだろ……「返す」とか「ひっくり返す」とか?』
『あーなるほど』
「二人だけで話してずるい」
「ずる、ちがう。こっち言葉、わからないから」
「そう。ちがうよ」
「こっちの言葉? そういえば二人ともずいぶん話せるようになったもんね」
「俺、ら。すごい」
「自分で言うんだ。でもうん、すごい」
ローザリアが楽しそうに笑う。
「だろ? あー、えっと、話もどす。かがみ、ひっくり返す、うつる、から。これは返さない。そのままうつる」
流輝の話を、だがローザリアは怪訝そうに聞いている。反転とひっくり返す、は違う表現なのだろうかそれとも言い方が拙いせいかと双子が説明に困っていると、ローザリアの側近であるエリス・エヴァンズが少し離れていたものの近づいてきた。
「姫様」
「なぁに、エリス」
「リキ様は、鏡は自分の顔を反転して映しているとおっしゃっておられます。ですがこの不思議なカードだと反転せずそのまま映るのだ、と」
さすがエリス、と流輝と琉生はこくこく頷いた。
現在十歳で双子より一つ年上のローザリアより、エリスはさらに二歳年上らしい。女騎士を目指しているとローザリアから聞いている。赤みのあるオレンジ色をした目と髪色をしている、すらりと背の高い、綺麗で落ち着いた顔立ちだ。ただでさえ双子は元の世界でも周りより小さいほうだったので現在わりと身長差がある。男子は成長が女子よりも遅いからと母親から慰め──いや、説明を聞いたことがあるので、仕方のないことだと流輝は思うことにしている。
ちなみに流輝についているキャスはキャス・ヒューズといって現在十九歳、琉生についているフランはフラン・プライスといって二十一歳だと、言葉がわかるようになって知った。二人の背はエリスよりもさらにとてつもなく高いが、それは大人だからだと流輝は思っている。
反面、ローザリアは今のところ双子と似た身長をしている。ローザリアのほうが少しだけ高いくらいだろうか。見た目はさすがお姫様というのだろうか、ふわふわとして可愛らしい顔立ちと、色素の薄そうな黄色っぽい目と髪色をしている。
「反転? 反転すると顔は違って見えるの?」
「人の顔は左右対称ではありませんので」
「そうなのね! そんなの知らなかった。エリスはわかるけど、すごい、リキとルイも物知りなのねぇ」
また目をキラキラさせながら二人を見てくるローザリアに、流輝は何だか得意な気持ちになった。
「俺、ら、すごい」
『リキ、自分で自分褒めすぎだよ』
嬉しそうなローザリアと得意げな流輝に琉生は苦笑していた。
言葉がわかるようになると、とりあえず臨時でここにいるつもりではあるものの毎日がずいぶん楽しくなった。主にローザリアのおかげだろう。
そんな毎日の中で、流輝はたまに夢にうなされることがあった。どれも悪夢か、それほどでなくてもなんとなく切なくなる夢だったりした。いつも目を覚ますとすぐに夢の内容は薄れていくため、結局明確に覚えてはいないのだが、自分がうなされていたであろうことだけは、落ち込んだ気分や怖いという感情だけが残ったような落ち着かない気分でわかる。
悪夢もお化けといったわかりやすい内容ではなく、むしろ自分がまるでおぞましい存在になってしまい人を脅かしているような内容で、見た後はなんだか精神的にぐったりとした。
もしくは前にも見たような、でも知らない二人の夢だったりして、こちらもなんとなく切なくて目を覚ました後はいつも少し疲れていた。
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