双神の輪~紡がれる絆の物語~

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3章 騎士編 光の救世主

109話

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 モールザ王国がまだごたついていて国へ帰られない間、セオたち王族の人にはニューラウラ王国で保護する形で城に滞在してもらっていた。
 それは別に構わないのだが、第一王子であり次期モールザ王国の王となるセオがローザリアと楽しそうに話している姿をちょくちょく目の当たりにし、流輝は結構モヤモヤしていた。

「兄さん、ヤキモチこっそりやくくらいならローザリアにはっきり、やくからあんまりセオ王子と仲よくしないでって言ってきたら?」
「言えるか」
「なんで。兄さん結構何でもはっきり言うだろ」
「そうかっ? 俺、空気とか読むほうだと思ってんだけど……ってそれはさておき、俺がもしはっきり言ってるやつだとしても、でもセオ王子はいいやつだし……別にローザリアのこと疑ってるわけじゃねーし……」
「ヤキモチってそういうのとはまた別に勝手にやけてくるもんでしょ。むしろ言えばローザリアなら喜ぶんじゃない?」
「は? 何でだよ。濡れ衣みたいなこと言われて喜ぶとかどういう性癖だよ」
「……何で性癖。そうじゃなくて、兄さんがヤキモチやいちゃうくらいローザリアが好きなんだってわかって喜ぶでしょって言ってんだよ俺は」
「そういうものか?」

 正直恋愛に関してはあまりよくわからない。とはいえ琉生だって流輝と同じように誰とも特に付き合ってきていないはずだ。だというのに何故こうも見解に違いがあるのか。

「そういうもんだって。俺を信じて」

 そういうものだったようだ。
 少々言いづらいながらもローザリアに「やくからあんまセオ殿下と仲よくしないで欲しい」と言えば頬を赤くしながらも嬉しそうな顔をされた。

「でも大丈夫だよリキ」
「何が」
「セオ王子ね、別にちゃんと思い人がいるらしいの。貴族のご令嬢だけど」
「マジかよ。俺、聞いてない」
「私とリキのこと、聞かれた時に言ってたの」
「つか、何でローザリアに聞くんだよ。俺に聞けばいいのに」
「リキ、恋愛のこと聞かれてちゃんと答える自信あるの?」
「……ないですね」
「あはは」

 今こうして楽しそうに笑っているローザリアだが、流輝と琉生が国へ戻ってきても目を覚まさなかった時は見ているほうがつらくなるくらい悲しんでいたようだ。むしろ涙も流さず、ただひたすら流輝と琉生のそばにいたと、流輝はキャスから聞いている。
 目を覚ました時にぼたぼたと大粒の涙を流しながら静かに喜んでくれていたローザリアだけでなく、そんな様子を聞いて流輝はとても申し訳なく思った。もう動いても問題ないと許可を得てからすぐにローザリアに会いに行き、流輝は「ごめんな」と謝った。

「何で謝るの?」
「俺、お前を泣かせてばかりな気がする」
「……そんなことないよ、って言いたいけど、そう、かも。でも謝らないで。だってリキやルイは救世主だもの。むしろ召喚してしまってごめんなさいって私が謝るほうだよ」
「お前が謝る必要全くないだろ」
「だったらリキだってないよ」
「……はは。うん、ありがとうローザリア。でもやっぱり、俺はお前を泣かせたくないし、ごめんって言わせて」
「……うん」

 微笑むローザリアを抱き寄せ、流輝はそっと唇を合わせる程度のキスをした。唇を離してから目を合わせ、微笑みあい、またぎゅっと抱きしめた。その時のキスが初めてのキスだった。
 楽しそうに「恋愛わからないリキ」と笑うローザリアを流輝は「恋愛のこと、全然わからねえけど、お前のこと好きってのはわかる」と、その時のようにまたぎゅっと抱きしめると、さらに嬉しそうに笑ってくれた。
 ちなみに流輝や琉生だが、目を覚ましてからお互い全くといっていいくらい二人とも体に支障はなかった。むしろ流輝は力が溢れそうな感覚さえあった。それについては医者とソリアから診察や魔力検査を受けてはっきりした。

「光の魔力を俺が?」
「ええ。間違いないようです。あの神殿からの光を浴びたせいでしょうか。私も何故か、はわからないのですが」

 ソリアは少々怪訝そうにしながらも頷いてきた。
 ちなみに以前流輝が魔獣から攻撃を受けたはずなのに平然としていた件について、ソリアなりに調べてはみたらしいが、結局明確なことは何もわからないようだ。冗談ぽく「もしくはリキ様が魔族なのかもですね」と言われたので流輝もなるほどと思ってないながらに「なるほどな」と返しておいたが。そもそもあり得ないながらも流輝がもし魔族だったとしたら、神殿付近で光を浴びた時点で消滅しているだろう。

 ……にしても光魔法って……。もしかして、アリータ神から俺、授かったのかな……あの時。

 魔力量が半端ない流輝が光魔法を使えるなら、光の魔法石がなくても対応できる。とはいえ使えるようになったばかりだからか、まるで昔の流輝のように光魔法を使う時は安定しなかった。だが琉生がいる。琉生が横で調整してくれると流輝も安定した力を出すことができた。
 王ノアからは「やっぱり双子らしいというか、二人で一つ、みたいな感じなのだな」と何だか微笑ましげに言われたりした。
 その後、ある程度ごたごたが収まると、セオたち王族はモールザ王国へ戻っていった。四国連合で決まったローガンや何人もの貴族たちの処遇だが、モールザ王国で責任を持って対応することとなったようだ。ローガンたちも一旦国へ戻っていった。
 自分にも罪があるとひたすら言っていたセオだが、国へ戻った後王位を正式に継承した時に「民の期待に応えたい。そして父たちの罪を償うためにもよき王となる」と国民の前で誓ったそうだ。
 セオ自身いい王となるだろうし、弟のロニーや妃たちも皆、ローガンと家族だったとは思えないほど常識のあるとてもまともでしっかりとした人々だった。きっとこれから、モールザ王国は実際よい国になっていくだろうと流輝は心から思った。
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