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12話
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正直なところ弘斗だった時に桃から初めてゲームの話をされ、キャラクターの立ち絵を見た時に実は一番印象に残っていたのはヒロインよりも何よりもヒロインの友人枠でありジェイクの双子の姉、メアリだった。一番可愛いのではと思っていた。だが実際この世界に来て実物の双子を見た時は最初乙女ゲームの世界だとピンと来ていなかったのと、自分の状況でまだ頭がいっぱいだったのもあって美形な双子としての印象くらいだった。乙女ゲームと気づいてから後、ゲーム展開脱出の作戦の一つとしてメアリと付き合う計画も立てたが全然そういった雰囲気にもなれないまま成長し、気づけば姉に対するような気持ちしか抱けなくなっていた。
また、弘斗だった頃に悪役令嬢といっても見た目はなかなか悪くないじゃないかと思っていた義妹のアイリスも実物はそれ以上に可愛かったし悪くなかったが、そもそも妹としてしか見ていないのでそんな考えを抱いたことすらない。ついでに継母もかなり美人でいいなとは思ったが顔を合わせた時点でフィンリーが今よりもっと未熟だったのもあり到底そんな目線で見るなんて無理だった。
……以上。
以上だ。成人し、とうとう十七歳となったフィンリーの女性遍歴は、以上だ。再婚した両親の仲は今やとてもよく、子どもも無事生まれてもう二歳になる。だが可愛い妹が欲しいと内心願っていたもののできたのは可愛い弟だったのでフィンリーの女性遍歴に新たな追加はない。というか本当なら身内を遍歴に入れたくはないが他に全く無さすぎてどうしようもなかった。ちなみに新しくできた弟はリルクという名前で、やはり目の中に入れても痛くないほど可愛くてぎゅっと抱っこしたりもちもちのほっぺにキスしたりしてしまうので、リースのフィンリーに対してやたら可愛がってくる気持ちがわかった気がしている。とはいえフィンリーは多分リルクがもう少し成長したら少なくとも抱っこしたりキスしたりはしなくなるような気はしている。おそらく人によるのだろう。
何にせよいくらなんでも情けなさ過ぎやしないかとさすがに思う。ただ自分に言い訳をしていいなら今まで外に目を向ける機会があったのが学校だけであり、その学校も十二歳で卒業してその後出会いの機会がないということだろうか。他の知り合いたちは皆、社交界で出会ったり見合いで出会ったりしている。社交界になるべく出たくないなら見合いに期待を、と思いたいところだが、何故か見合い話が流れてこない。
以前恥ずかしいながらも勇気を出してそれとなく継母に持ちかけてみたことはある。継母は「あなたは殿方ですし家柄は完璧ですしで引く手あまたでしょう。ですので特に急ぐ必要もないと思っていました」と驚きつつも「旦那様に相談しておきますね」と微笑ましそうにしながら言ってはくれた。その微笑ましそうな顔は素敵ですが俺にとっては少々居たたまれないです、と内心思ったがもちろん口にはしていない。継母は実際話を持ちかけてくれたそうだし父親も「それならば」と少なくとも反対はしていなかったはずだ。だが流れてこない。それを義妹のアイリスについ愚痴った時はアイリスは気を利かせてくれたのか、ただ無言で笑顔だった。ついでにジェイクに言ってみたが「見合いなどまだ必要ないのでは」とこれまた笑顔で言われたくらいだろうか。
「でも俺だって彼女や奥さん欲しい」
「フィンリー様、そういったものはできる時はできるものです。それまではご自分磨きをなさっていればいいと思います。差し当たっては最近男性向けエステなどが流行っているそうです。フィンリー様のためにオレ、この間研修を受けに行きました」
「何で俺のためなの。でもなるほどな、確かに珍しく見かけないなって思った時あったなあ」
「はい。ですのでよかったら今からエステ、受けてみられますか?」
一瞬選択肢として「受ける」「受けない」というウィンドウが現れたかとフィンリーは思った。気持ちよさそうでしかないので「受ける」と即答しそうになってハッと気づく。エステティックが何をするものなのか正直前世でも女ではなかったのでよく知らないが、少なくとも前世で読んだことのあるエロ本ではマッサージをされたりオイルを塗られたりしながらエッチな展開になっていた。もしそういった可能性があるのだとしたらとんでもないことである。
ヒロインに惚れ込むヤンデレ気質のある腹黒なゲーム展開と違って、現実のジェイクはもしかしたらその気質の片鱗はあったとしてもフィンリーに対してそんな気はないはずだ。真面目なのか絶えずそばにいすぎなところはあるが、いい関係を築けていると思うし問題はないはずだ。とはいえそれこそ桃から聞かされていた二次元の話によくある主人公の油断により色々展開していく流れだけはごめんこうむりたいので油断だけは絶対にしない。
「う、受けない」
「ッチ」
「あれっ? 今! いま舌打ちしなかったか?」
「気のせいですよフィンリー様。でも本当に流行ってますしオレ上手いので、いつでもお申し付けください」
その後他の知り合いからも耳にしたし実際流行っているのだろう。そして普通の美容的な何かをジェイクはしてくれるだけなのだろう。またきっと本当にジェイクのマッサージは上手いのだろうし気持ちがいいのだろう。だが何故か嫌な予感しかしなくて今のところ受ける勇気はないし、結局見合いもない。
こうなったらもう、社交界に出るしかない。今まで警戒のためずっと社交界から自分を遠ざけてはいたが、考えなくとも一生引きこもりになるつもりはないし、なりたくもない。
大丈夫だ……俺は男だし攻略キャラも男だけにまずゲームと設定が違うし、今のところ何も始まってない。大丈夫。
自分にも言い聞かせ、フィンリーはとうとう社交界に出る決心をした。丁度義妹のアイリスが十六となりデビュタントを果たす。今まで社交界に出てこなかったフィンリーがようやく出ることにしたのも愛する妹のデビュタントを祝うためだろうと世間でも思ってくれるだろう。まさか男との恋愛を避けるため今まで出なかったがどうしても彼女が作りたいから出ることにした、などとは思わないだろう。それに可愛い大事な妹、アイリスのデビュタントを心の底から祝いたい気持ちだけは間違いなく本当だ。パーティーに出なくとも別途盛大に祝うつもりだった。それが少々変わっただけだ。
それに、とフィンリーはぐっと手を握りしめる。桃からも詳しく聞いていないしゲーム紹介でも詳しく書かれていなかったが、アイリスが第二王子カリッドに一目惚れをするのはおそらくデビュタントを果たすパーティーでだろうし、展開上カリッドがヒロインを見かけるのはそのもっと後のことだろう。何となくそう思う。なら是非無事一目惚れしていただいてそのまま結婚までこぎつけて欲しいので、応援するためにも出てもいいような気がしていた。
また、弘斗だった頃に悪役令嬢といっても見た目はなかなか悪くないじゃないかと思っていた義妹のアイリスも実物はそれ以上に可愛かったし悪くなかったが、そもそも妹としてしか見ていないのでそんな考えを抱いたことすらない。ついでに継母もかなり美人でいいなとは思ったが顔を合わせた時点でフィンリーが今よりもっと未熟だったのもあり到底そんな目線で見るなんて無理だった。
……以上。
以上だ。成人し、とうとう十七歳となったフィンリーの女性遍歴は、以上だ。再婚した両親の仲は今やとてもよく、子どもも無事生まれてもう二歳になる。だが可愛い妹が欲しいと内心願っていたもののできたのは可愛い弟だったのでフィンリーの女性遍歴に新たな追加はない。というか本当なら身内を遍歴に入れたくはないが他に全く無さすぎてどうしようもなかった。ちなみに新しくできた弟はリルクという名前で、やはり目の中に入れても痛くないほど可愛くてぎゅっと抱っこしたりもちもちのほっぺにキスしたりしてしまうので、リースのフィンリーに対してやたら可愛がってくる気持ちがわかった気がしている。とはいえフィンリーは多分リルクがもう少し成長したら少なくとも抱っこしたりキスしたりはしなくなるような気はしている。おそらく人によるのだろう。
何にせよいくらなんでも情けなさ過ぎやしないかとさすがに思う。ただ自分に言い訳をしていいなら今まで外に目を向ける機会があったのが学校だけであり、その学校も十二歳で卒業してその後出会いの機会がないということだろうか。他の知り合いたちは皆、社交界で出会ったり見合いで出会ったりしている。社交界になるべく出たくないなら見合いに期待を、と思いたいところだが、何故か見合い話が流れてこない。
以前恥ずかしいながらも勇気を出してそれとなく継母に持ちかけてみたことはある。継母は「あなたは殿方ですし家柄は完璧ですしで引く手あまたでしょう。ですので特に急ぐ必要もないと思っていました」と驚きつつも「旦那様に相談しておきますね」と微笑ましそうにしながら言ってはくれた。その微笑ましそうな顔は素敵ですが俺にとっては少々居たたまれないです、と内心思ったがもちろん口にはしていない。継母は実際話を持ちかけてくれたそうだし父親も「それならば」と少なくとも反対はしていなかったはずだ。だが流れてこない。それを義妹のアイリスについ愚痴った時はアイリスは気を利かせてくれたのか、ただ無言で笑顔だった。ついでにジェイクに言ってみたが「見合いなどまだ必要ないのでは」とこれまた笑顔で言われたくらいだろうか。
「でも俺だって彼女や奥さん欲しい」
「フィンリー様、そういったものはできる時はできるものです。それまではご自分磨きをなさっていればいいと思います。差し当たっては最近男性向けエステなどが流行っているそうです。フィンリー様のためにオレ、この間研修を受けに行きました」
「何で俺のためなの。でもなるほどな、確かに珍しく見かけないなって思った時あったなあ」
「はい。ですのでよかったら今からエステ、受けてみられますか?」
一瞬選択肢として「受ける」「受けない」というウィンドウが現れたかとフィンリーは思った。気持ちよさそうでしかないので「受ける」と即答しそうになってハッと気づく。エステティックが何をするものなのか正直前世でも女ではなかったのでよく知らないが、少なくとも前世で読んだことのあるエロ本ではマッサージをされたりオイルを塗られたりしながらエッチな展開になっていた。もしそういった可能性があるのだとしたらとんでもないことである。
ヒロインに惚れ込むヤンデレ気質のある腹黒なゲーム展開と違って、現実のジェイクはもしかしたらその気質の片鱗はあったとしてもフィンリーに対してそんな気はないはずだ。真面目なのか絶えずそばにいすぎなところはあるが、いい関係を築けていると思うし問題はないはずだ。とはいえそれこそ桃から聞かされていた二次元の話によくある主人公の油断により色々展開していく流れだけはごめんこうむりたいので油断だけは絶対にしない。
「う、受けない」
「ッチ」
「あれっ? 今! いま舌打ちしなかったか?」
「気のせいですよフィンリー様。でも本当に流行ってますしオレ上手いので、いつでもお申し付けください」
その後他の知り合いからも耳にしたし実際流行っているのだろう。そして普通の美容的な何かをジェイクはしてくれるだけなのだろう。またきっと本当にジェイクのマッサージは上手いのだろうし気持ちがいいのだろう。だが何故か嫌な予感しかしなくて今のところ受ける勇気はないし、結局見合いもない。
こうなったらもう、社交界に出るしかない。今まで警戒のためずっと社交界から自分を遠ざけてはいたが、考えなくとも一生引きこもりになるつもりはないし、なりたくもない。
大丈夫だ……俺は男だし攻略キャラも男だけにまずゲームと設定が違うし、今のところ何も始まってない。大丈夫。
自分にも言い聞かせ、フィンリーはとうとう社交界に出る決心をした。丁度義妹のアイリスが十六となりデビュタントを果たす。今まで社交界に出てこなかったフィンリーがようやく出ることにしたのも愛する妹のデビュタントを祝うためだろうと世間でも思ってくれるだろう。まさか男との恋愛を避けるため今まで出なかったがどうしても彼女が作りたいから出ることにした、などとは思わないだろう。それに可愛い大事な妹、アイリスのデビュタントを心の底から祝いたい気持ちだけは間違いなく本当だ。パーティーに出なくとも別途盛大に祝うつもりだった。それが少々変わっただけだ。
それに、とフィンリーはぐっと手を握りしめる。桃からも詳しく聞いていないしゲーム紹介でも詳しく書かれていなかったが、アイリスが第二王子カリッドに一目惚れをするのはおそらくデビュタントを果たすパーティーでだろうし、展開上カリッドがヒロインを見かけるのはそのもっと後のことだろう。何となくそう思う。なら是非無事一目惚れしていただいてそのまま結婚までこぎつけて欲しいので、応援するためにも出てもいいような気がしていた。
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