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6話
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昨日は切れたのも本当だが、そのおかげで心置きなく新二を満喫出来て、正直顕太はそれなりにご機嫌だった。とはいえ須之原に対しては更に警戒を強める決心しかしていない。
「なんでそう、須之原を目の敵にするんだ」
そう聞いてきた、まだベッドの上にいる新二はどこか頼りなげで儚げで、ついギュッと抱きしめたくなる。
「……頼りないのでも儚いのでもなくてお前が馬鹿みたいに何度もしてきたから体中痛くてキツいってだけだけどな……!」
二連休じゃなければ学校を休む羽目になっていたと文句を言いつつ顕太を睨んでくる新二の表情がまた煽情的で、顕太は結局ギュッと抱きしめた後にデコピンを食らった。
とはいえ勝手に画像を投稿した時よりは手加減されていたので、画像を投稿されるのが余程嫌なのかもしくはガタガタの体でも抱きしめられるのは嫌じゃないかのどちらかだろうし、顕太としては後者のほうがいいなと思う。
口にすれば残念な相手を見るような目で見られたので、とりあえず最初の質問に答えた。
「だってスノーマン、やたら新二に懐きすぎ」
「でもそれだけだろ」
「男が男にそうそう懐くかってんだよ。絶対邪な目で新二見てる」
「ない。お前さ、いくらお前や俺がたまたまお互いを好きになったからって、周りも皆男を好きになるとか思ってんじゃねーぞ」
呆れたように言ってくる新二に、顕太は唇を尖らせた。
「そんなの逆に言えば俺もお前も男なんて全然興味なかったのにこんなに好きになってんだぞ? だいたい新二は可愛すぎんだから心配なんだよ!」
「……だから眼科行けって。もしくは脳外科でもいい」
「ロボトミーとか言う気?」
「そこまでは言ってないし、お前何気に物騒だな」
最近やたらSNSへの投稿が増えた分、新二の怒る回数が増えたが、やはり普段は基本的に穏やかだなと顕太は内心関係ないことを少し思った。原因に関しては置いておいて、あれ程昨日散々新二を犯す勢いで抱いた上に今日も引き摺って、新二からすればグダグダと文句を言われているようなものだというのに声を荒げるどころか呆れてはいるが割と冷めているというか冷静だ。
こういう部分は一見不安要素にもなりかねない。もしかしてあまり好いてくれていないのではないかとかマイナスなことを考えがちになる。
ただ幸い、顕太は新二の性格を把握している。淡々としながらも変なところで物事に固執したりもする。まあいいかといった妥協的なところがあるから、自分自身が絡むことでも第三者的な冷静な目で物事を見たりする。大抵のことに一歩おいた距離感を感じ冷たいように見えて、ただしっかり自分の中で考えて行動しているだけだったりする。そして物事を器用に無駄なくこなすかと思えば妙に感傷的で感受性が豊かな部分が出ることもある。
人によってはそういった性格が変わり者に見えたり冷血漢に見えたり、二重人格に見えたりするのかもしれないが、顕太にとってはひたすら可愛い。
「物騒じゃないよ俺、むしろすっごい優しいし」
「自分で言うなよ。あと優しいヤツは昨日みたいに抵抗する俺に何度も突っ込まない」
「そこ、淡々とあからさまに言っちゃう?」
「とりあえず須之原は俺に対して妙な気は持ってないっつーの」
「そんなの新二はスノーマンじゃないのになんでわかるんだよ!」
「……そう言われるとまあ、そうだな」
「そこで折れてくんの?」
「じゃあどうしろと」
「スノーマンとは遊ばない」
「いや、慕ってくれてるし友だちなのに無理だろ」
「……。じゃあ絶対浮気しないこと!」
「待て。そんなのは当たり前だし俺がするはずないだろ」
顕太の言葉に、怒るよりはポカンとしたように新二が言ってくる。
「わかってるよ。わかってるけどお前、押しに弱いし。いつまた押されて押し倒されるかわかんないだろ」
「なあ、またって何。あと押し倒されたことはお前以外に思い当たらねーんだけど」
「油断しちゃ駄目ってことだよ! スノーマンとか須之原とか、須之原とか、須之原とか」
「須之原しか言ってねーぞ。あと少しは俺を信用しろ」
ますます新二が微妙な顔をしてくる。そんな新二につかみかかるように被りつくと「体が痛いっつってんだろ」とまた軽くデコピンされたので渋々離す。
「心配なの。わかる? 新二が可愛いっての受け入れてくれないならイケメンって言い直すから」
「そこで受け入れたら俺が恥ずかしいだろ」
「そんな新二だから周りが絶対放っておかないし。そうこう油断してたらヤられるんだぞ……。そんなこんなでお前、別の男連れてきて『つい流されて。こっちと付き合うことになった』とか言うかもしれない」
「は?」
「もしくはあのスノーマンが調子乗ってやらかしてくるかもしれない。大体何あいつ。それにほんとなんで新二はあんなの受け入れちゃってんの?」
「……色々言いたい事はあるけど、一番言いたいことは何で俺の相手になりそうなの、全部男なんだ……」
「とりあえず心配なんだってば!」
少々興奮気味に言えば、思い切りため息を吐いた後に「わかった。わかったから落ち着け」と新二が宥めてきた。
「お前が何故俺をそんなにも……」
ちらりと顕太を見た後に少し顔を伏せる。おっ? と思えばまたため息を吐かれた。
「頭の悪いやつみたいにひたすら、それも男に流されるヤツだと思ってんのか知らねーけどな、ちゃんと気を付けるしちゃんと色々報告する。だから安心しろ」
「新二」
しんみりしてくれた訳ではないとしても新二の男前っぷりにじんわりし、今度は痛がられないよう優しく抱き寄せると抵抗されなかった。嬉しくなり、顕太は暫くそのままでいた後につい更にギュッと抱きしめるも、抵抗どころか反応もない。
訝しげにそっと新二を見ると寝ていた。
え、待って。今のこの状況で居眠るって、なに?
確かに昨日は無茶をしてしまったのは間違いない。だから疲れているのだろうなとは思える。思えるが、いくら疲れていても突然あの流れで寝られるとか、どれだけなのだと顕太は微妙な顔で新二を見た。
かといって起こすに忍びないため、ため息を吐いてからそっと新二の体を横たえさせた。
昔からちょくちょく眠そうにしているイメージはあったが、最近酷くなっていないだろうかと怪訝に思う。
「……昔はどんなだっけ」
確か小学生の頃はもっと快活だったような気がするが、お互い子どもだったので曖昧といえば曖昧だ。中学に入ってからそういえば眠そうにしている姿をよく見た記憶はあるが、陸上部の活動を頑張っていたのもあって疲れていたような気もする。それを言うなら高校でも同じで、いつも部活を頑張っていた分、授業中でもたまに先生に居眠りを指摘されていた。
部活を引退した後もたまにぼんやりしていることがあったのは受験勉強や、ずっとやっていた部活がなくなった反動などだろうと思っていた。
だが、今は?
セックスをした後に落ちるのはまだわかるが、今のように特になにもなさそうな時であっても気づけば居眠りをしていたりする。
大学の勉強が大変ではないとは言わないが、新二が入った学部は少なくとも顕太のいる学部よりは入試だけでなく授業も楽だとは聞いている。そして今は部活動をしていない。特に夜更かしばかりしている訳でもない。
……だというのになんでそんなに眠いんだ?
「なんでそう、須之原を目の敵にするんだ」
そう聞いてきた、まだベッドの上にいる新二はどこか頼りなげで儚げで、ついギュッと抱きしめたくなる。
「……頼りないのでも儚いのでもなくてお前が馬鹿みたいに何度もしてきたから体中痛くてキツいってだけだけどな……!」
二連休じゃなければ学校を休む羽目になっていたと文句を言いつつ顕太を睨んでくる新二の表情がまた煽情的で、顕太は結局ギュッと抱きしめた後にデコピンを食らった。
とはいえ勝手に画像を投稿した時よりは手加減されていたので、画像を投稿されるのが余程嫌なのかもしくはガタガタの体でも抱きしめられるのは嫌じゃないかのどちらかだろうし、顕太としては後者のほうがいいなと思う。
口にすれば残念な相手を見るような目で見られたので、とりあえず最初の質問に答えた。
「だってスノーマン、やたら新二に懐きすぎ」
「でもそれだけだろ」
「男が男にそうそう懐くかってんだよ。絶対邪な目で新二見てる」
「ない。お前さ、いくらお前や俺がたまたまお互いを好きになったからって、周りも皆男を好きになるとか思ってんじゃねーぞ」
呆れたように言ってくる新二に、顕太は唇を尖らせた。
「そんなの逆に言えば俺もお前も男なんて全然興味なかったのにこんなに好きになってんだぞ? だいたい新二は可愛すぎんだから心配なんだよ!」
「……だから眼科行けって。もしくは脳外科でもいい」
「ロボトミーとか言う気?」
「そこまでは言ってないし、お前何気に物騒だな」
最近やたらSNSへの投稿が増えた分、新二の怒る回数が増えたが、やはり普段は基本的に穏やかだなと顕太は内心関係ないことを少し思った。原因に関しては置いておいて、あれ程昨日散々新二を犯す勢いで抱いた上に今日も引き摺って、新二からすればグダグダと文句を言われているようなものだというのに声を荒げるどころか呆れてはいるが割と冷めているというか冷静だ。
こういう部分は一見不安要素にもなりかねない。もしかしてあまり好いてくれていないのではないかとかマイナスなことを考えがちになる。
ただ幸い、顕太は新二の性格を把握している。淡々としながらも変なところで物事に固執したりもする。まあいいかといった妥協的なところがあるから、自分自身が絡むことでも第三者的な冷静な目で物事を見たりする。大抵のことに一歩おいた距離感を感じ冷たいように見えて、ただしっかり自分の中で考えて行動しているだけだったりする。そして物事を器用に無駄なくこなすかと思えば妙に感傷的で感受性が豊かな部分が出ることもある。
人によってはそういった性格が変わり者に見えたり冷血漢に見えたり、二重人格に見えたりするのかもしれないが、顕太にとってはひたすら可愛い。
「物騒じゃないよ俺、むしろすっごい優しいし」
「自分で言うなよ。あと優しいヤツは昨日みたいに抵抗する俺に何度も突っ込まない」
「そこ、淡々とあからさまに言っちゃう?」
「とりあえず須之原は俺に対して妙な気は持ってないっつーの」
「そんなの新二はスノーマンじゃないのになんでわかるんだよ!」
「……そう言われるとまあ、そうだな」
「そこで折れてくんの?」
「じゃあどうしろと」
「スノーマンとは遊ばない」
「いや、慕ってくれてるし友だちなのに無理だろ」
「……。じゃあ絶対浮気しないこと!」
「待て。そんなのは当たり前だし俺がするはずないだろ」
顕太の言葉に、怒るよりはポカンとしたように新二が言ってくる。
「わかってるよ。わかってるけどお前、押しに弱いし。いつまた押されて押し倒されるかわかんないだろ」
「なあ、またって何。あと押し倒されたことはお前以外に思い当たらねーんだけど」
「油断しちゃ駄目ってことだよ! スノーマンとか須之原とか、須之原とか、須之原とか」
「須之原しか言ってねーぞ。あと少しは俺を信用しろ」
ますます新二が微妙な顔をしてくる。そんな新二につかみかかるように被りつくと「体が痛いっつってんだろ」とまた軽くデコピンされたので渋々離す。
「心配なの。わかる? 新二が可愛いっての受け入れてくれないならイケメンって言い直すから」
「そこで受け入れたら俺が恥ずかしいだろ」
「そんな新二だから周りが絶対放っておかないし。そうこう油断してたらヤられるんだぞ……。そんなこんなでお前、別の男連れてきて『つい流されて。こっちと付き合うことになった』とか言うかもしれない」
「は?」
「もしくはあのスノーマンが調子乗ってやらかしてくるかもしれない。大体何あいつ。それにほんとなんで新二はあんなの受け入れちゃってんの?」
「……色々言いたい事はあるけど、一番言いたいことは何で俺の相手になりそうなの、全部男なんだ……」
「とりあえず心配なんだってば!」
少々興奮気味に言えば、思い切りため息を吐いた後に「わかった。わかったから落ち着け」と新二が宥めてきた。
「お前が何故俺をそんなにも……」
ちらりと顕太を見た後に少し顔を伏せる。おっ? と思えばまたため息を吐かれた。
「頭の悪いやつみたいにひたすら、それも男に流されるヤツだと思ってんのか知らねーけどな、ちゃんと気を付けるしちゃんと色々報告する。だから安心しろ」
「新二」
しんみりしてくれた訳ではないとしても新二の男前っぷりにじんわりし、今度は痛がられないよう優しく抱き寄せると抵抗されなかった。嬉しくなり、顕太は暫くそのままでいた後につい更にギュッと抱きしめるも、抵抗どころか反応もない。
訝しげにそっと新二を見ると寝ていた。
え、待って。今のこの状況で居眠るって、なに?
確かに昨日は無茶をしてしまったのは間違いない。だから疲れているのだろうなとは思える。思えるが、いくら疲れていても突然あの流れで寝られるとか、どれだけなのだと顕太は微妙な顔で新二を見た。
かといって起こすに忍びないため、ため息を吐いてからそっと新二の体を横たえさせた。
昔からちょくちょく眠そうにしているイメージはあったが、最近酷くなっていないだろうかと怪訝に思う。
「……昔はどんなだっけ」
確か小学生の頃はもっと快活だったような気がするが、お互い子どもだったので曖昧といえば曖昧だ。中学に入ってからそういえば眠そうにしている姿をよく見た記憶はあるが、陸上部の活動を頑張っていたのもあって疲れていたような気もする。それを言うなら高校でも同じで、いつも部活を頑張っていた分、授業中でもたまに先生に居眠りを指摘されていた。
部活を引退した後もたまにぼんやりしていることがあったのは受験勉強や、ずっとやっていた部活がなくなった反動などだろうと思っていた。
だが、今は?
セックスをした後に落ちるのはまだわかるが、今のように特になにもなさそうな時であっても気づけば居眠りをしていたりする。
大学の勉強が大変ではないとは言わないが、新二が入った学部は少なくとも顕太のいる学部よりは入試だけでなく授業も楽だとは聞いている。そして今は部活動をしていない。特に夜更かしばかりしている訳でもない。
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