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8話
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学校内では残念ながら新二といつも一緒という訳にはいかない。
「俺、新二と同じ学部に行けばよかった」
講義が終わった後に顕太が伸びをしながら言えば、寺垣が「お前が文学部とかネタにしか思えないし多分学年上がれずに落第だろ」とせせら笑ってくる。
「は? なんでだよ、意味わからないんだけど!」
「お前は理系が向いてるってことだよ」
今度は優しく言われ、顕太は褒められているのかどうかわからないながらに「そ、そうか? サンキュー」と、つい照れる。
「……単純だな」
だがボソリと寺垣の言う言葉が聞こえ、なんとも言えない顔で寺垣を睨むように見た。
「にしても菅くんだっけ? いつもお前にネットあげられてよく怒らないな」
顕太の視線を全く気にした様子もなく、寺垣は携帯を弄りながら呆れたようにため息を吐いている。どうやら顕太のアカウントを見ているらしい。
「いつも強烈なデコピン食らってっけど」
「なんだ、やっぱり怒られてんのか。なのに懲りずによくやるな、お前」
「別に顔出して不味いようなこと書いてないけど」
「男同士ってのは身内にバレても不味くないのか?」
「俺は自分から報告したしなー。新二はこのSNSでバレたみたい」
「……お前最悪だな」
顕太が言うのを聞いて寺垣が微妙な顔を向けてきた。
「なにが」
「割りとわかってやってんだろ」
「……そんなことないよ? それにずっと付き合ってくなら周り公認のが生きやすいだろ」
「お前は馬鹿っぽそうなのにこえぇよ」
引いたように見てくる寺垣に、顕太はニッコリ無邪気に笑った。それを見た寺垣はため息を吐いた後に立ち上がる。
「つか次、お前も実験だろ? 行くぞ」
「おぅ。……実験も大変だけどさー、実験後のレポートのがキツいよな」
「それな。徹夜しても追いつかなくて眠いしな」
「……なあ」
「なんだ」
「お前、眠い時ってどこでも急に寝る?」
顕太の質問に寺垣は怪訝そうな表情を向けてきた。
「なんの話だ?」
「いいから」
少しだけ顕太の顔を黙って見たあとで寺垣は答える。
「さすがにどこでもは寝ないだろ、落ち着かんし」
「話してる途中でいきなり寝たりとかは?」
「ある訳ないだろ、あったらお前だってそれネタにしつこくつまらんこと言ってきてるだろ今頃」
「……」
「……なんでそんなこと聞くんだ? なんかあったのか?」
苦笑してきた後に、顕太が冗談を言っている訳ではないと気づいた寺垣が真面目な顔になって聞いてきた。
「いや……別になにもないよ」
「そうか……ならいいけど。いきなり寝たりすんのってさ、確かそういう病気もあったような気がする」
真顔で言ってくる寺垣に、顕太は内心びくりと心臓を跳ねさせた。
「病、気」
「ああ。なんつったけかは覚えてないけどな」
病気。
なんだか妙だとは思っていたが、はっきり痛いところを抉られたような気持ちになった。
別に病気なのだと決まった訳ではない。ただ単にひたすら新二が眠たがりなだけかもしれない。顕太はきゅっと唇を噛み締めた。
インターネットで検索してもどれかに当てはまるのかどうかもわからなかった。とりあえず生活習慣がよくないという程ではないと思う。もちろん夜更かしすることもあるが、大抵新二はそこそこで寝ているし、まだ取らなければならない単位が多いので毎日学校へも大抵朝から通っている。
酒の飲み過ぎというのも無い。普通に飲むが、ただそれだけでひたすら飲むタイプでもない。
学校の課題などでストレスを抱えるといったことも全くなさそうだし、パソコンや携帯でインターネットを楽しむタイプでもない。むしろ顕太のほうが余程質の悪い眠りをしてそうな気がしてくる。
うつ病絡みだったら顕太ではなんとも判断できないが、それでもなんというか新二とうつ病が中々結びつかない。見ている限り不眠症でもなさそうに思える。
そのまま調べていると過眠症という言葉を見かけた。
「……過眠症」
それについて見ていると、まず突発性過眠症というものが目に入る。ただ、それの場合は居眠りでも何時間も眠るようで、新二とは少々当てはまらない。夜はもちろん何時間も寝るが、居眠りの時は数分から数十分がせいぜいのような気がする。
さらに見ていると今度はとある単語が目に入ってきた。
「……ナルコレプシー……?」
聞いたことのない病名ではある。だがそれについて調べれば調べる程、とても新二に当てはまるような気がして仕方がなかった。日中、突発的に眠気に襲われ眠ってしまう。それも会話中や下手をすると歩いている時すらなるという。
日常的に眠くなる為、本人は眠いという自覚すらあまり持たなくなり、そういった意識すら薄れてくるとある。
普通だと前もって自分が眠くて眠りそうだとわかりそうなものだとしても、そういった人は自分で眠りそうだと予知も出来ずに半分眠った状態で仕事をしたり、いきなり寝てしまったりするともある。
「ぅえ、えっ、えっ、待って、これじゃね? ねえ、これじゃね……っ?」
周りに誰もいない状態だというのに誰かにまるで話しかけているかのように、顕太はひたすらそんなことを呟いていた。
「俺、新二と同じ学部に行けばよかった」
講義が終わった後に顕太が伸びをしながら言えば、寺垣が「お前が文学部とかネタにしか思えないし多分学年上がれずに落第だろ」とせせら笑ってくる。
「は? なんでだよ、意味わからないんだけど!」
「お前は理系が向いてるってことだよ」
今度は優しく言われ、顕太は褒められているのかどうかわからないながらに「そ、そうか? サンキュー」と、つい照れる。
「……単純だな」
だがボソリと寺垣の言う言葉が聞こえ、なんとも言えない顔で寺垣を睨むように見た。
「にしても菅くんだっけ? いつもお前にネットあげられてよく怒らないな」
顕太の視線を全く気にした様子もなく、寺垣は携帯を弄りながら呆れたようにため息を吐いている。どうやら顕太のアカウントを見ているらしい。
「いつも強烈なデコピン食らってっけど」
「なんだ、やっぱり怒られてんのか。なのに懲りずによくやるな、お前」
「別に顔出して不味いようなこと書いてないけど」
「男同士ってのは身内にバレても不味くないのか?」
「俺は自分から報告したしなー。新二はこのSNSでバレたみたい」
「……お前最悪だな」
顕太が言うのを聞いて寺垣が微妙な顔を向けてきた。
「なにが」
「割りとわかってやってんだろ」
「……そんなことないよ? それにずっと付き合ってくなら周り公認のが生きやすいだろ」
「お前は馬鹿っぽそうなのにこえぇよ」
引いたように見てくる寺垣に、顕太はニッコリ無邪気に笑った。それを見た寺垣はため息を吐いた後に立ち上がる。
「つか次、お前も実験だろ? 行くぞ」
「おぅ。……実験も大変だけどさー、実験後のレポートのがキツいよな」
「それな。徹夜しても追いつかなくて眠いしな」
「……なあ」
「なんだ」
「お前、眠い時ってどこでも急に寝る?」
顕太の質問に寺垣は怪訝そうな表情を向けてきた。
「なんの話だ?」
「いいから」
少しだけ顕太の顔を黙って見たあとで寺垣は答える。
「さすがにどこでもは寝ないだろ、落ち着かんし」
「話してる途中でいきなり寝たりとかは?」
「ある訳ないだろ、あったらお前だってそれネタにしつこくつまらんこと言ってきてるだろ今頃」
「……」
「……なんでそんなこと聞くんだ? なんかあったのか?」
苦笑してきた後に、顕太が冗談を言っている訳ではないと気づいた寺垣が真面目な顔になって聞いてきた。
「いや……別になにもないよ」
「そうか……ならいいけど。いきなり寝たりすんのってさ、確かそういう病気もあったような気がする」
真顔で言ってくる寺垣に、顕太は内心びくりと心臓を跳ねさせた。
「病、気」
「ああ。なんつったけかは覚えてないけどな」
病気。
なんだか妙だとは思っていたが、はっきり痛いところを抉られたような気持ちになった。
別に病気なのだと決まった訳ではない。ただ単にひたすら新二が眠たがりなだけかもしれない。顕太はきゅっと唇を噛み締めた。
インターネットで検索してもどれかに当てはまるのかどうかもわからなかった。とりあえず生活習慣がよくないという程ではないと思う。もちろん夜更かしすることもあるが、大抵新二はそこそこで寝ているし、まだ取らなければならない単位が多いので毎日学校へも大抵朝から通っている。
酒の飲み過ぎというのも無い。普通に飲むが、ただそれだけでひたすら飲むタイプでもない。
学校の課題などでストレスを抱えるといったことも全くなさそうだし、パソコンや携帯でインターネットを楽しむタイプでもない。むしろ顕太のほうが余程質の悪い眠りをしてそうな気がしてくる。
うつ病絡みだったら顕太ではなんとも判断できないが、それでもなんというか新二とうつ病が中々結びつかない。見ている限り不眠症でもなさそうに思える。
そのまま調べていると過眠症という言葉を見かけた。
「……過眠症」
それについて見ていると、まず突発性過眠症というものが目に入る。ただ、それの場合は居眠りでも何時間も眠るようで、新二とは少々当てはまらない。夜はもちろん何時間も寝るが、居眠りの時は数分から数十分がせいぜいのような気がする。
さらに見ていると今度はとある単語が目に入ってきた。
「……ナルコレプシー……?」
聞いたことのない病名ではある。だがそれについて調べれば調べる程、とても新二に当てはまるような気がして仕方がなかった。日中、突発的に眠気に襲われ眠ってしまう。それも会話中や下手をすると歩いている時すらなるという。
日常的に眠くなる為、本人は眠いという自覚すらあまり持たなくなり、そういった意識すら薄れてくるとある。
普通だと前もって自分が眠くて眠りそうだとわかりそうなものだとしても、そういった人は自分で眠りそうだと予知も出来ずに半分眠った状態で仕事をしたり、いきなり寝てしまったりするともある。
「ぅえ、えっ、えっ、待って、これじゃね? ねえ、これじゃね……っ?」
周りに誰もいない状態だというのに誰かにまるで話しかけているかのように、顕太はひたすらそんなことを呟いていた。
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