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46話
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ウィルフレッドは呆れた顔でため息を吐いた。そしてじろりと睨む。
「……貴様、それはどういう意味だ」
行為の後、慌ててウィルフレッドから離れるばかりでなく、急いで服を着るとベッドからも離れたレッドが土下座してきたのだ。
「……しでかしたことに言い訳は致しませんしどんな処分も受けます」
「は? 貴様、俺を押し倒した時はえらく強気だったというのになんだそれは! 俺を愚弄しているのか?」
「そんなことは決して」
「ならふざけるな。それではまるでこの俺が貴様から抵抗すら出来ずにいいようにされたみたいではないか」
馬鹿にする気かと憤れば、レッドがようやく頭を上げた。だがホッとした様子すら見せない。
「そんなことは。しかし俺がしたのはあってはならないことです」
「ほお。では俺が他の、例えば先ほどのモヴィと行為に及ぶほうがいいと貴様は言うのだな」
「……いえ」
「それに対して呆れ、怒っていたのだろうが。だというのになんだそれは」
「しかし」
「煩い。普通に戻れ。鬱陶しい」
「……御意」
レッドはようやく立ち上がった。そしてまだ裸のままベッドにいるウィルフレッドを見ると困惑したように目を逸らしてくる。確かに貧相な体ではあるが、散々抱き潰す勢いで触れておきながら失礼過ぎるのではとウィルフレッドはイライラした。
実際、レッドがあれほど情熱的とも言える勢いで行為に及ぶとはウィルフレッドとしては予想外というか、別に予想はしていなかったが意外だった。なんとなく、淡々とこなすか強引に目的──この場合は挿入と射精だろうか──だけを果たすイメージがあったのかもしれない。それはそれで、ウィルフレッドとしても今回のセックスの目的は自分の雰囲気なりが変わり周りの扱いも変わる可能性があるかもしれないというだけのものだったので問題はなかったのだが、儲けものとでも言えばいいのか。正直なところこれまた驚くことに相当痛く苦しいものでもあったが、途中からは慣れたのか体位が楽になったのか気持ちよくもなれたし楽しめた。
ちなみに魔王だった頃も初めての時は絶対にあっただろうに、痛みなどの苦痛を味わった覚えが全くなかった。長い年月のあまり忘れているのかもしれないが、多分魔力でどうこうしたのではないだろうか。人間の体はそういったところも不便だ。だが、その分といって差し支えないかは分からないが、不思議なくらい楽しめた。レッドはこんな容姿とあらゆる才能を持ち合わせておきながら、性格云々を差し引いてもセックス自体はさほど慣れているようではなかった。本人が基本的に興味ないのかもしれないとは思うが。それだというのに、楽しくて気持ちがよかった。あれほど飽き飽きした行為だと思っていたのに、これが最大の予想外かもしれない。
それだというのに終わってされたことは土下座だ。忌々しいと、ウィルフレッドでなくとも思うのではないだろうか。
実際してみて、やはりさすがに自分の雰囲気がこの一度の行為で変わったとは思えない。無謀な考えであったことは一目瞭然だ。それでも得るものはあったとウィルフレッドはほくそ笑む。
「レッド」
「はい」
「確かに貴様が呆れたのも仕方がない。一度くらいでどうこう変わるものではないな」
「……は、あ」
そうでしょう、と意気込むこともなくレッドはぽかんとしている。
「だが俺はまだ納得はしていない」
「は?」
「機会があればまた誰かと何度でも試す」
「王子!」
「それが納得いかないと言うのであれば、当面は貴様が俺の相手をしろ」
ニヤリと言えば、ますます唖然とされた。ここで喜ばないのは、行為の相手が王子という高貴な立場というだけでなく平凡で勃つものも勃たないような相手だからだろうとウィルフレッドは少し忌々しく思った。
しかし本当に、俺相手にこちらから触れたりすることもなくよく勃ったなレッド。疲れマラならまだしも、怒りマラなど聞いたこともないが……。
「返事は」
「何を考えているのです」
「貴様が相手をしないなら他を試すだけの話だ」
自分の雰囲気が変わるかもしれないなどと舐めた考えはすでに持っていないが、予想外に人間の体での行為が楽しかった。なので実際他で試すのも面倒ではあるが、悪くはないかもしれない。だがとりあえずレッドとの行為が楽しかったので、出来るならまたレッドとしたいというのが本音だった。飽きたはずの行為が新鮮な気持ちで楽しいと思えたのが今回最大に得た経験だろう。
「俺はあなたのそういった相手として相応しくありません」
「なら気軽に他を試す」
「……分かりましたよ! 全く本当にあなたという人は……」
呆れたようにため息を吐かれ、セックスという行為よりもよほどこちらのほうが失礼なのではとウィルフレッドは微妙に思ったが、まあ得たものを思って恩赦ということにしといてやる、とまたほくそ笑む。
「じゃあとりあえずもう一度しておくか」
「王子……あなたの体が心配なので今回はもう止められたほうが」
「何故だ。俺を馬鹿にしているのか」
憤慨したように膝立ちになって言えば、その勢いでか中からレッドの出したものが垂れてきた。それが太ももをつたう。それに気づいたのか、レッドはとてつもなく複雑そうにして「申し訳ありません……」とまた顔を逸らした。
「何がだ。馬鹿にしたことか」
「い、いえ。とにかくあなた、初めてなんですよ? そもそも男の体で男を受け入れるのは相当負担があります」
「分かっていながら俺を押し倒したのは誰だ」
「それは本当に……」
レッドがまた土下座する勢いだったのでウィルフレッドは慌てて続けた。
「申し訳ないと思うくらいなら言う通り俺ともう一度しろ」
「なりません。せめて時間を空けてください。体、ガタガタになりますよ」
「なら、今夜だ。貴様はここで眠れ。いいな」
行為だけでなく、ずいぶん昔に断られた一緒に眠るということすら再開出来そうで、ウィルフレッドは妙に楽しくなった。
「……貴様、それはどういう意味だ」
行為の後、慌ててウィルフレッドから離れるばかりでなく、急いで服を着るとベッドからも離れたレッドが土下座してきたのだ。
「……しでかしたことに言い訳は致しませんしどんな処分も受けます」
「は? 貴様、俺を押し倒した時はえらく強気だったというのになんだそれは! 俺を愚弄しているのか?」
「そんなことは決して」
「ならふざけるな。それではまるでこの俺が貴様から抵抗すら出来ずにいいようにされたみたいではないか」
馬鹿にする気かと憤れば、レッドがようやく頭を上げた。だがホッとした様子すら見せない。
「そんなことは。しかし俺がしたのはあってはならないことです」
「ほお。では俺が他の、例えば先ほどのモヴィと行為に及ぶほうがいいと貴様は言うのだな」
「……いえ」
「それに対して呆れ、怒っていたのだろうが。だというのになんだそれは」
「しかし」
「煩い。普通に戻れ。鬱陶しい」
「……御意」
レッドはようやく立ち上がった。そしてまだ裸のままベッドにいるウィルフレッドを見ると困惑したように目を逸らしてくる。確かに貧相な体ではあるが、散々抱き潰す勢いで触れておきながら失礼過ぎるのではとウィルフレッドはイライラした。
実際、レッドがあれほど情熱的とも言える勢いで行為に及ぶとはウィルフレッドとしては予想外というか、別に予想はしていなかったが意外だった。なんとなく、淡々とこなすか強引に目的──この場合は挿入と射精だろうか──だけを果たすイメージがあったのかもしれない。それはそれで、ウィルフレッドとしても今回のセックスの目的は自分の雰囲気なりが変わり周りの扱いも変わる可能性があるかもしれないというだけのものだったので問題はなかったのだが、儲けものとでも言えばいいのか。正直なところこれまた驚くことに相当痛く苦しいものでもあったが、途中からは慣れたのか体位が楽になったのか気持ちよくもなれたし楽しめた。
ちなみに魔王だった頃も初めての時は絶対にあっただろうに、痛みなどの苦痛を味わった覚えが全くなかった。長い年月のあまり忘れているのかもしれないが、多分魔力でどうこうしたのではないだろうか。人間の体はそういったところも不便だ。だが、その分といって差し支えないかは分からないが、不思議なくらい楽しめた。レッドはこんな容姿とあらゆる才能を持ち合わせておきながら、性格云々を差し引いてもセックス自体はさほど慣れているようではなかった。本人が基本的に興味ないのかもしれないとは思うが。それだというのに、楽しくて気持ちがよかった。あれほど飽き飽きした行為だと思っていたのに、これが最大の予想外かもしれない。
それだというのに終わってされたことは土下座だ。忌々しいと、ウィルフレッドでなくとも思うのではないだろうか。
実際してみて、やはりさすがに自分の雰囲気がこの一度の行為で変わったとは思えない。無謀な考えであったことは一目瞭然だ。それでも得るものはあったとウィルフレッドはほくそ笑む。
「レッド」
「はい」
「確かに貴様が呆れたのも仕方がない。一度くらいでどうこう変わるものではないな」
「……は、あ」
そうでしょう、と意気込むこともなくレッドはぽかんとしている。
「だが俺はまだ納得はしていない」
「は?」
「機会があればまた誰かと何度でも試す」
「王子!」
「それが納得いかないと言うのであれば、当面は貴様が俺の相手をしろ」
ニヤリと言えば、ますます唖然とされた。ここで喜ばないのは、行為の相手が王子という高貴な立場というだけでなく平凡で勃つものも勃たないような相手だからだろうとウィルフレッドは少し忌々しく思った。
しかし本当に、俺相手にこちらから触れたりすることもなくよく勃ったなレッド。疲れマラならまだしも、怒りマラなど聞いたこともないが……。
「返事は」
「何を考えているのです」
「貴様が相手をしないなら他を試すだけの話だ」
自分の雰囲気が変わるかもしれないなどと舐めた考えはすでに持っていないが、予想外に人間の体での行為が楽しかった。なので実際他で試すのも面倒ではあるが、悪くはないかもしれない。だがとりあえずレッドとの行為が楽しかったので、出来るならまたレッドとしたいというのが本音だった。飽きたはずの行為が新鮮な気持ちで楽しいと思えたのが今回最大に得た経験だろう。
「俺はあなたのそういった相手として相応しくありません」
「なら気軽に他を試す」
「……分かりましたよ! 全く本当にあなたという人は……」
呆れたようにため息を吐かれ、セックスという行為よりもよほどこちらのほうが失礼なのではとウィルフレッドは微妙に思ったが、まあ得たものを思って恩赦ということにしといてやる、とまたほくそ笑む。
「じゃあとりあえずもう一度しておくか」
「王子……あなたの体が心配なので今回はもう止められたほうが」
「何故だ。俺を馬鹿にしているのか」
憤慨したように膝立ちになって言えば、その勢いでか中からレッドの出したものが垂れてきた。それが太ももをつたう。それに気づいたのか、レッドはとてつもなく複雑そうにして「申し訳ありません……」とまた顔を逸らした。
「何がだ。馬鹿にしたことか」
「い、いえ。とにかくあなた、初めてなんですよ? そもそも男の体で男を受け入れるのは相当負担があります」
「分かっていながら俺を押し倒したのは誰だ」
「それは本当に……」
レッドがまた土下座する勢いだったのでウィルフレッドは慌てて続けた。
「申し訳ないと思うくらいなら言う通り俺ともう一度しろ」
「なりません。せめて時間を空けてください。体、ガタガタになりますよ」
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