キャラメルラテと店員

Guidepost

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16話 ※

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「今回だけは許してあげるけど、今度また俺と周の邪魔するようなら容赦してあげないよ」

 玄関でニコリと瑞希は世間話でも言うかのように朔に言い放っていた。だが朔も負けてはいなかった。

「俺こそ大事な弟のような幼馴染なんです。周泣かすような事したら黙ってられませんから」

 はっきりと瑞希の目を見て言うと「じゃあな、周。何かあったら迷わず俺に言うんだぞ」と周に笑いかけた後でとりあえず諦めたように帰っていった。後に残された周は色々思う事がありすぎてむしろぼんやりしていた。

「……周」

 だから名前を呼ばれて軽々と抱き上げられた事も、周の部屋に運ばれている途中にようやく気付く始末だった。

「あの……降ろして……」
「部屋で降ろしてあげるよ」
「……」

 そう言われ、周は大人しく抱かれたまま黙った。抵抗するだけ無駄だと既に学習している。そして何をされるか、も。

「どうお仕置きされたい?」
「……ふ、普通で」

 何故自分がお仕置きを受けないといけないのだという疑問は考えないようにする。いい加減何度もそういう目に合うと、理解も早い。
 だいたいその根本となる、一番わからなかった理由も先程ようやくわかったような気がしていた。

「駄目だよ周。普通だったらお仕置きにならないでしょう? 何がいいかなあ? やっぱり色々される事に慣れてきた周をむしろ放置するのが一番かなあ」

 放置と聞いて周は少しホッとした。放っておいてくれるのなら怖くない。
 そう思っているとベッドの上に降ろされ、ゆっくりとネクタイとシャツのボタンをはずされ前を肌蹴させられた。

「ジッとしててね」

 ニッコリと言うと、周の机からハサミを取り出し中に着ていたTシャツを縦に裂くように切っていく。

「……み、ずき……?」
「ごめんね、シャツはちゃんと新しいの買ってあげる」

 そういう問題じゃない。

 そう思ったが口にはできなかった。ハサミとはいえ刃物を持っている瑞希に言い返す事なんてできるはずがない。
 胸が露出する。そこをそっと撫でられて瑞希はフルリと体を小さく震わせた。縛られてもいないのに手すら先程から動かせてなかった。

「制服は汚したらいけないからね」

 相変わらずニッコリとしたまま、瑞希は今度は周の制服のズボンを脱がしてきた。それを丁寧にシワにならないようハンガーにかけるのを周は逃げる事すらせずにぼんやりと見る。
 そんな周に笑いかけると、瑞希は周の下着に手をかけた。ゆっくりとそれも脱がされる。それもハサミで切られたらどうしようかと周はかなり内心怯えていたので、脱がされているというのにとてつもなくホッとした。
 ペニスを露出させられてるのにと周は赤くなりながら思うのに、やはり硬直したように動けなかった。

「シャツ……破られた状態ってなんだかエロいねえ」

 瑞希は相変わらず穏やかな笑みを浮かべつつ周をトンと押して横たえさせてきた。そして足を1本ずつ曲げた状態で縛っていく。縛るのに使っている麻のヒモは既に何度も使われた事がある。麻でできている専用のそれは、ネクタイ等よりもむしろ跡は付きにくい。
 そのヒモで太腿の裏とふくらはぎが軽くつくようにして縛られた。あまり無理な体勢ではないが恥ずかしい部分がむき出しになるのが嫌でとりあえず両足を閉じる。それでも後ろの穴は隠れない。

「手は自由にしてあげる。だけど麻のヒモ、ほどいたら怒るから」

 ニッコリと「怒る」と言われ、周はただコクコクと頷くしかできなかった。そして足を縛られているのでうまく起き上がれない。
 何をされるんだろう、放置って言ったのにと周が思っていると、冷たいローションが胸とペニスに垂れてきて「ひっ」と声をあげた。それはアナルにも塗られていく。自分の弱い部分がヌルヌルとした感触になり、それだけでも落ち着かないのに、何か入っているのだろうか、乳首やペニス、そしてアナルが次第に充血したようにジンジンとしてきた。

「何……っ? 何……」
「落ち着いて、周。俺は何もしないから……安心するといいよ」

 シー、と唇に指をあてつつ瑞希が微笑む。

「何も……?」
「そう。何も、しない」

 ニッコリと笑った後で瑞希は最後に周に猿ぐつわをしてから少しベッドから離れて座った。そして何でもないように周を見てくる。周はただ、足を縛られてそこに横になっているだけだった。
 だが落ち着かない。見られている。きっとここもあそこもジンジンと疼いているだろうところを見られている。なのに瑞希は何も言わないし何もしない。
 せめて丸見えだろう恥ずかしい部分を隠したいのだがあまり動けない。足を縛られているせいもあるが、無理に動くとその縛っているヒモがもしかしたらとれるかもしれない。それが怖い。

「……あの……見ないで……」

 周は少し震えるような声で懇願した。どのみち猿ぐつわをされているので何を言っているか自分でもわからない。声が震えるのは泣きそうな気分なのと、そして情けない事に体の疼きのせいだった。少し火照るような、だが冷たさもあるメントールのような刺激がジワジワと周の乳首の先やペニス、そしてアナルの中を疼かせる。それがもどかしい。
 そしてじっとそんな周を見ている瑞希の視線がとてつもなく周の羞恥心を煽ってきた。猿ぐつわをされたまま変に喋ってしまったせいで垂れる涎さえも耐えがたい。
 そんな全てが周の体をもぞもぞとさせる原因になった。だが瑞希はやはり何もせずにただ周を見て楽しんでいるようである。これならいっそ縛られても強引にでも抱かれた方がマシだと周は思った。じわじわと恥ずかしい上にもどかしくて辛い。

「ぅ、ふ……っ」
「ん? なあに?」

 もうどれほど放っておかれただろうか。恥ずかしい恰好のまま、ただ見られているだけというのがこんなに辛いと周は思わなかった。

「辛い?」

 瑞希が優しく聞いてくる。周は必死に首を縦に振った。

「そう。じゃあいいよ?」

 いいよと言われても何がいいのか分からなくて周はただ必死に瑞希を見た。

「自分で、抜いて」
「……っぅ」

 こんな姿をずっと見られているだけじゃなく、自分で抜くところを見られるなんて嫌だ。周は涙をつ、と一筋流しながら首を振った。

「あんなに色んなとこ見られているのに、自分でするとこ見られるのいやなの?」

 瑞希に聞かれ、今度も必死になってコクコクと頷く。だが優しく微笑まれながら「できるよね……?」と言われた。

 朔にはっきり「周を好きだからに決まっているだろう? それ以外に何がある?」と言っていた瑞希は幻だったんだろうか……。

 一瞬過った。

 でも違う。あの言葉でようやく瑞希が何故こんな事をするのか理解したように思うから。

 今も対応や物腰は優しい。こんな酷い事をしてくる時も周に触れる手は優しかったしいつもそうだが、実際本当に痛い事や恐ろしい事をしてこられた事はない。怖い事をされても、一応大切に扱ってくれているのだけはわかる。
 こうして日々色々されて、気付けば周も自然に瑞希のやり方に慣れていっているというのもあるが、そうではなくて。

 先程瑞希が朔に言ったことが間違いないなら……。

 ずっと謎だった。何故女性に間違えるような、そして知り合いでもないのにいきなり抱きつくような事をしでかす平凡でパッとしない周に対してこんな事をしてくるのか。手の込んだ嫌がらせなんだろうかと思ったりもして辛かった。
 周の事が、何故なのか本当にそこは理解できないがもし本当に好きなのだとしたら、周にも瑞希のする事がようやく理解できるように思える。
 甘やかしてくれることも。
 周自身がそのつもりではなくても余所に向いたとして、こうして仕置きをしてくる事も。

 だったら。

 だったら瑞希が一人でしろと言うのも、周が好きだから、だ。
 周は目を瞑ると、手を自分の切ないほどに高ぶり硬くなっているものに這わせた。
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