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28話
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食事をした後も、もう少しだけぶらぶら店を見て回った。商品を手にとっては何か言い合い、笑い合う。些細なことが楽しかった。
出る前にカフェへ寄ると、聖恒は紅茶を頼んでいる。
「きよは紅茶が好きなんだな」
「うん。ミルクティーが好きだったんだけど、最近はハーブティーも好きだよ」
「へえ。女子力高い」
「何それ、さすがに嬉しくない」
恵がニッコリしながら言うと聖恒は唇を尖らせてきた。やっぱりかわいいなあと思う。
「めぐちゃんはコーヒー好きなの?」
「うん。あ、日本茶も好きだけど」
「渋いな」
今度は聖恒が笑いながら言ってきた。それに対して恵はわざとジロリと睨んでおいた。
「この後どうする?」
コーヒーを飲みながら恵が聞くと、聖恒はまたニコニコしてくる。
「いちゃいちゃしたい」
その言葉が嬉しくもあり恥ずかしくもあり、そして困りもする。
「……そういうことは誰もいないようなとこで言ってくれ……」
「誰も聞いてないよ」
「そんなのわからないし、俺が落ち着かない」
現に顔が熱い。
「えへへ。じゃあドライブしよ。あ、そういえばさ、ガソリン代俺にも払わせてよ」
「何で」
「何でじゃねーよね。乗せてもらってる身なんだからせめてそれくらいさせてよ」
「未成年は大人しく乗せてもらってなさい」
渋いと言われた仕返しにあえて大人ぶった。すると少し拗ねたような顔をしてくる。所々恵よりも大人なのではないかと思うこともあるが、こうして見ると子どもっぽさもあるなあと思う。それは決して嫌ではなく、微笑ましささえ覚える。
前より罪悪感が少なくはなっているのは、実際好きだと言い合ってつき合っているからというのもあるが、もう先生じゃないというのも意外に大きい。二十歳と十七歳ではやはり差を感じてしまうのだが、先生と生徒という肩書きがなくなった分、気楽さができたのかもしれない。
「俺を子ども扱いしてると痛い目あうよ、めぐちゃん」
駐車場へ向かいながら聖恒がそんなことを言ってくる。
「そうなのか。ごめんごめん」
「適当に謝ったよね」
「そんなことないよ。大体本当に子どもだと思ってたらさすがにつき合えないよ。俺別にそういう趣味ない」
「……」
何も返ってこないので怪訝に思って振り返ると聖恒が嬉しそうな顔をしている。またかわいいなあと思うが、今言えば火に油かなと思い、違うことを言う。
「子どもっぽいところもあるなあってさっきは思ったんだけど、逆にそう思うってことは普段は大人っぽいと思ってるからだよ」
「……ほんと?」
少し上目遣いに見られ、抱きしめて頭を撫でたくなった。
「うん」
だが微笑みながら頷くだけにしておいた。
車へ乗り込むと「どうしようか」と恵はまた言う。普通に言えるところがまたいいなと密かに思った。今までつき合っていた時も基本的には相手のしたいようにしてもらうのが好きだったのだが、あまり委ねると機嫌を損ねることもあった。
聖恒だとそういうことはない。先ほどのように子ども扱いしてと拗ねるような態度をとることはあっても、本当に拗ねているのではないことくらい恵にもわかる。もし拗ねていたのだとしても、すぐに笑ってくれる。
「うーんと、さ。ここってあんま人、通らないよね」
「ああ、混んでたからむしろここら辺しかあの時間空いてなかったし……、……待て。何でそんなこと聞いてくんの」
「いちゃいちゃしたいって言ったろ」
「い、いやいやいや……! きよ、よく考えて。ここ、外だから!」
ニコニコしながらとんでもないことを言っている感じしかしない聖恒を恵は引いたように見る。そんな視線であっても聖恒は堪えた様子はなく「何で」と穏やかな顔で笑いかけてくる。
「な、何でって」
「こないだいちゃいちゃしたのも、外だよね。むしろここよりも外」
「あっ、あの時は」
「めぐちゃん、大丈夫。俺、大人っぽいと思ってくれてんでしょ? 無茶なことはしないって。ただね、好きって気持ち表現したいだけだから」
どういう風にっ?
恵が微妙な顔でひたすら引いていると、スッと聖恒が手を伸ばしてきて、恵の手を取ってきた。そして手のひらや手の甲をスーッと撫でてくる。
「……っ」
指で撫でられただけだというのに変な声が出そうになり、恵は慌てて口を閉じた。
「めぐちゃんの手を握るだけでも俺、幸せ」
凄くかわいいことを言ってくれている。それは嬉しいと恵も思う。だが触れ方は何となくかわいくない。そっと優しく触れてきているのだが、とてつもなく恵はぞわぞわした。指を撫でられても同じだった。
「……めぐちゃん……かわいい」
小さく囁きながら笑みを浮かべると、聖恒は恵の方へ顔を近づけ、自分の撫でている手の人差し指を今度はそっと咥えてきた。
「っん」
優しく歯と唇で咥えられ、ゆっくり奥まで入れられた。ある程度まで入れると指の腹を舌で押し上げるようにしてきたかと思えば根元まで這わされる。
「っちょ、きよ……!」
焦ったように名前を呼ぶと、何度かそれを繰り返した後に口から指を出し、軽くそこへキスしてきた。
「気持ちよかった?」
「君はほんともう……」
「ね、俺を子ども扱いすると痛い目に合うでしょ? 痛いっていうか気持ちいい?」
「ば、馬鹿だよ、きよは! こんなとこ誰かに見られたらどうすんの」
「駐車場なんて意外と穴場なのに。逆に穴場だって言われてるとこのが結構覗かれたりするって聞くし」
飄々とした様子でそんなことを言ってくる聖恒を、恵は唖然と見る。
「俺のかわいいきよが」
「だから言ってるだろ、めぐちゃんのほうがかわいいってば」
「……今日はもう、普通にブラブラ車走らせて帰るからな」
「ええっ、そんなあ。もっと遊ぼうよ」
「却下」
年下に振り回されたことが切なくて落ち着かないのか、好きな相手に触れられたことが気持ちよくて落ち着かないのかわからないが、とりあえず今日はもう隙を見せるのは止めておこうと恵は思った。
出る前にカフェへ寄ると、聖恒は紅茶を頼んでいる。
「きよは紅茶が好きなんだな」
「うん。ミルクティーが好きだったんだけど、最近はハーブティーも好きだよ」
「へえ。女子力高い」
「何それ、さすがに嬉しくない」
恵がニッコリしながら言うと聖恒は唇を尖らせてきた。やっぱりかわいいなあと思う。
「めぐちゃんはコーヒー好きなの?」
「うん。あ、日本茶も好きだけど」
「渋いな」
今度は聖恒が笑いながら言ってきた。それに対して恵はわざとジロリと睨んでおいた。
「この後どうする?」
コーヒーを飲みながら恵が聞くと、聖恒はまたニコニコしてくる。
「いちゃいちゃしたい」
その言葉が嬉しくもあり恥ずかしくもあり、そして困りもする。
「……そういうことは誰もいないようなとこで言ってくれ……」
「誰も聞いてないよ」
「そんなのわからないし、俺が落ち着かない」
現に顔が熱い。
「えへへ。じゃあドライブしよ。あ、そういえばさ、ガソリン代俺にも払わせてよ」
「何で」
「何でじゃねーよね。乗せてもらってる身なんだからせめてそれくらいさせてよ」
「未成年は大人しく乗せてもらってなさい」
渋いと言われた仕返しにあえて大人ぶった。すると少し拗ねたような顔をしてくる。所々恵よりも大人なのではないかと思うこともあるが、こうして見ると子どもっぽさもあるなあと思う。それは決して嫌ではなく、微笑ましささえ覚える。
前より罪悪感が少なくはなっているのは、実際好きだと言い合ってつき合っているからというのもあるが、もう先生じゃないというのも意外に大きい。二十歳と十七歳ではやはり差を感じてしまうのだが、先生と生徒という肩書きがなくなった分、気楽さができたのかもしれない。
「俺を子ども扱いしてると痛い目あうよ、めぐちゃん」
駐車場へ向かいながら聖恒がそんなことを言ってくる。
「そうなのか。ごめんごめん」
「適当に謝ったよね」
「そんなことないよ。大体本当に子どもだと思ってたらさすがにつき合えないよ。俺別にそういう趣味ない」
「……」
何も返ってこないので怪訝に思って振り返ると聖恒が嬉しそうな顔をしている。またかわいいなあと思うが、今言えば火に油かなと思い、違うことを言う。
「子どもっぽいところもあるなあってさっきは思ったんだけど、逆にそう思うってことは普段は大人っぽいと思ってるからだよ」
「……ほんと?」
少し上目遣いに見られ、抱きしめて頭を撫でたくなった。
「うん」
だが微笑みながら頷くだけにしておいた。
車へ乗り込むと「どうしようか」と恵はまた言う。普通に言えるところがまたいいなと密かに思った。今までつき合っていた時も基本的には相手のしたいようにしてもらうのが好きだったのだが、あまり委ねると機嫌を損ねることもあった。
聖恒だとそういうことはない。先ほどのように子ども扱いしてと拗ねるような態度をとることはあっても、本当に拗ねているのではないことくらい恵にもわかる。もし拗ねていたのだとしても、すぐに笑ってくれる。
「うーんと、さ。ここってあんま人、通らないよね」
「ああ、混んでたからむしろここら辺しかあの時間空いてなかったし……、……待て。何でそんなこと聞いてくんの」
「いちゃいちゃしたいって言ったろ」
「い、いやいやいや……! きよ、よく考えて。ここ、外だから!」
ニコニコしながらとんでもないことを言っている感じしかしない聖恒を恵は引いたように見る。そんな視線であっても聖恒は堪えた様子はなく「何で」と穏やかな顔で笑いかけてくる。
「な、何でって」
「こないだいちゃいちゃしたのも、外だよね。むしろここよりも外」
「あっ、あの時は」
「めぐちゃん、大丈夫。俺、大人っぽいと思ってくれてんでしょ? 無茶なことはしないって。ただね、好きって気持ち表現したいだけだから」
どういう風にっ?
恵が微妙な顔でひたすら引いていると、スッと聖恒が手を伸ばしてきて、恵の手を取ってきた。そして手のひらや手の甲をスーッと撫でてくる。
「……っ」
指で撫でられただけだというのに変な声が出そうになり、恵は慌てて口を閉じた。
「めぐちゃんの手を握るだけでも俺、幸せ」
凄くかわいいことを言ってくれている。それは嬉しいと恵も思う。だが触れ方は何となくかわいくない。そっと優しく触れてきているのだが、とてつもなく恵はぞわぞわした。指を撫でられても同じだった。
「……めぐちゃん……かわいい」
小さく囁きながら笑みを浮かべると、聖恒は恵の方へ顔を近づけ、自分の撫でている手の人差し指を今度はそっと咥えてきた。
「っん」
優しく歯と唇で咥えられ、ゆっくり奥まで入れられた。ある程度まで入れると指の腹を舌で押し上げるようにしてきたかと思えば根元まで這わされる。
「っちょ、きよ……!」
焦ったように名前を呼ぶと、何度かそれを繰り返した後に口から指を出し、軽くそこへキスしてきた。
「気持ちよかった?」
「君はほんともう……」
「ね、俺を子ども扱いすると痛い目に合うでしょ? 痛いっていうか気持ちいい?」
「ば、馬鹿だよ、きよは! こんなとこ誰かに見られたらどうすんの」
「駐車場なんて意外と穴場なのに。逆に穴場だって言われてるとこのが結構覗かれたりするって聞くし」
飄々とした様子でそんなことを言ってくる聖恒を、恵は唖然と見る。
「俺のかわいいきよが」
「だから言ってるだろ、めぐちゃんのほうがかわいいってば」
「……今日はもう、普通にブラブラ車走らせて帰るからな」
「ええっ、そんなあ。もっと遊ぼうよ」
「却下」
年下に振り回されたことが切なくて落ち着かないのか、好きな相手に触れられたことが気持ちよくて落ち着かないのかわからないが、とりあえず今日はもう隙を見せるのは止めておこうと恵は思った。
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