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34話
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少し恵はぼんやりしていた。だが、聖恒が「めぐちゃん、ごめんね」と言いながらティッシュで拭ってくれていることに気づくと大いに慌てる。
「っじ、自分で拭くから……!」
「そう? そしたら俺自分のするよ」
焦る恵に対し、聖恒は嬉しそうにニコニコしながらもぞもぞしだした。またぼんやりしそうになって恵は首を振る。とりあえず身なりを整えることにした。
しばらくしてから今は履いているズボンを見ながら恵は情けない気持ちになる。居たたまれない。
「めぐちゃん……大丈夫?」
聖恒が心配そうに見てきた。そんな聖恒に微妙な気持ちになる。
「元はと言えば君があんなことしてきたからだよ」
ついそんな風に言ってしまった。言った後でハッとなり「……ごめん」と謝る。
「めぐちゃんが何で謝ってんの。めぐちゃんは謝る必要ないよ。実際、俺があんなことしたからだし」
聖恒が顔を近づけてくる。恵は逸らすことなく、そのままキスを受け入れた。
「怒らないの?」
「きよに?」
「……うん」
「……そりゃ、止めろって言ったのに止めてくれなかったことは歓迎しないけど……言ったろ、きよが好きだからしたいに決まってるって。嫌なんじゃない。……ただ、君を大事にしたいからだな……」
ため息つくように静かに言うと途中でそっと抱きしめられた。
「好きだよ……めぐちゃん……」
「ああもう」
そもそも、何て自分は堪え性ないんだと思った。駄目だと今でも本当に思っている。高校生なのだ、と。確かに聖恒も言っていたが大学生と高校生のつき合いくらい、普通にあるのかもしれない。それでも恵としては、ちゃんとしたいと思っている。だというのに抜き合うなんてことしてしまった。それも学校の教室で。
何やってんだ……俺。
抱きついてきている聖恒をそっと窺う。聖恒はとても嬉しそうだった。
お互い身なりを整えると教室から離れた。
「誰もいないのに窓開けてていいの?」
聖恒が聞いてくる。
「……見回りする人がちゃんと閉めるだろうし」
少し顔を逸らしながら恵が答えたのは、窓を開けておいた理由が「換気」なので何となく居たたまれなかったからだ。改めて本当に自分は何やっているんだろうと恵は思った。
「めぐちゃん、俺、今後もさっきみたいなこと、やっちゃうかもだけど、それでも彼氏でいてくれる?」
お互い特に話し合うわけでもなく学校を出ていた。駅へ向かう途中に聖恒がそんなことを聞いてくる。聖恒はじっと恵を見つめていた。その視線につい動揺しそうになりながら、恵は口を開く。
「……何度も言ってるけど、俺はきよが好きだ。きよも好きでいてくれて……本当に奇跡だと思ってるしつき合えている今が嬉しくてたまらないんだ」
「めぐちゃん……」
聖恒がとても嬉しげに微笑んできた。
「でも、それとこれとは別。やっちゃうかもと言われていいよ、とは言わないから」
「えー、せっかくいい感じだったのに、何で!」
今度は唇を尖らせてくる。表情がくるくると変わって、恵としてはとてもかわいいなと思えた。
「何でもへったくれもないよ。理由は言っただろ」
「でももうヤっちゃったじゃん。まあ抜き合いだけど」
明け透けな聖恒の言葉に、恵は先ほどのことを思い出し、顔を聖恒から逸らした。
「……。次からはもっと警戒する」
「何それ! いいよ、だったら俺も、次からもっとガンガン行くから」
「っな」
「だから気をつけてね? 俺、遠慮しないよ」
またニッコリ笑ってきた。とてつもなくかわいい笑顔だ。だというのに今の聖恒からは悪魔の耳や羽が見えそうだった。
その後は繁華街へ出かけて二人でぶらぶらと店を見て回ったり何やら食べたりして過ごした。カラオケにも誘われたが、恵は「やめとく」と即答しておいた。
「えー。じゃあ今度ね」
聖恒は残念そうに今度と言ってきたが、恵としては抜き合いやセックスと同様、今度はないつもりだ。
正直、歌は得意でない。というか人前で歌ったことないのでよくわからないが、歌える気はしない。昔つき合っていた彼女の何人かにも誘われたことあるが、その時は嫌とは言わずに「人数いたほうが楽しいだろうし、今度何人かで行こうよ」と適当に誤魔化していた。
また会う約束して家へ帰ると、とりあえず恵は汗もかいているのでシャワーを浴びることにする。そこで自分のものを目の当たりにしてまた思い出してしまった。
顔が熱くなる。
正直、気持ちよかった。真面目ではあるが、元々セックスが嫌いなわけではない。というか嫌いな男がいるなら見てみたいとさえ思っている。
それでも、と恵はため息つく。あまり意識しないようにしてシャワーを浴びた。出ると台所へ行き、冷蔵庫から冷たい茶を出してグラスに注ぐ。それを持ったまま自分の部屋へ向かった。
椅子に座り、ホッと息をはいた後に茶を少し飲む。意識しないようにと思えば思うほど、チラチラ抜き合った時のことが脳裏に過る。
ドキドキしつつ、いまさらだがふと気づいた。
……俺、一方的にされてる感半端なくないか?
抜き合ったと言いつつも、ひたすら抜かれた感じしかない。もちろん、聖恒も一緒に達してはいたが、恵は何もしていない。
「……何か、違うくないか?」
ボソリと呟いてみる。いやしかし自分は拒もうとしていたから仕方ないのだとは思う。思うのだが。
「……でもうん、きよは学校出た時に『彼氏でいてくれる?』って聞いてきてたし、うん」
恵としては年上であるし自分が主導権を握るほうだとしか思えないし思っていない。ただ、やはり改めて考えても一方的にされた感じしかしなくて、先ほどのドキドキ感と違った微妙な気持ちになった。
「っじ、自分で拭くから……!」
「そう? そしたら俺自分のするよ」
焦る恵に対し、聖恒は嬉しそうにニコニコしながらもぞもぞしだした。またぼんやりしそうになって恵は首を振る。とりあえず身なりを整えることにした。
しばらくしてから今は履いているズボンを見ながら恵は情けない気持ちになる。居たたまれない。
「めぐちゃん……大丈夫?」
聖恒が心配そうに見てきた。そんな聖恒に微妙な気持ちになる。
「元はと言えば君があんなことしてきたからだよ」
ついそんな風に言ってしまった。言った後でハッとなり「……ごめん」と謝る。
「めぐちゃんが何で謝ってんの。めぐちゃんは謝る必要ないよ。実際、俺があんなことしたからだし」
聖恒が顔を近づけてくる。恵は逸らすことなく、そのままキスを受け入れた。
「怒らないの?」
「きよに?」
「……うん」
「……そりゃ、止めろって言ったのに止めてくれなかったことは歓迎しないけど……言ったろ、きよが好きだからしたいに決まってるって。嫌なんじゃない。……ただ、君を大事にしたいからだな……」
ため息つくように静かに言うと途中でそっと抱きしめられた。
「好きだよ……めぐちゃん……」
「ああもう」
そもそも、何て自分は堪え性ないんだと思った。駄目だと今でも本当に思っている。高校生なのだ、と。確かに聖恒も言っていたが大学生と高校生のつき合いくらい、普通にあるのかもしれない。それでも恵としては、ちゃんとしたいと思っている。だというのに抜き合うなんてことしてしまった。それも学校の教室で。
何やってんだ……俺。
抱きついてきている聖恒をそっと窺う。聖恒はとても嬉しそうだった。
お互い身なりを整えると教室から離れた。
「誰もいないのに窓開けてていいの?」
聖恒が聞いてくる。
「……見回りする人がちゃんと閉めるだろうし」
少し顔を逸らしながら恵が答えたのは、窓を開けておいた理由が「換気」なので何となく居たたまれなかったからだ。改めて本当に自分は何やっているんだろうと恵は思った。
「めぐちゃん、俺、今後もさっきみたいなこと、やっちゃうかもだけど、それでも彼氏でいてくれる?」
お互い特に話し合うわけでもなく学校を出ていた。駅へ向かう途中に聖恒がそんなことを聞いてくる。聖恒はじっと恵を見つめていた。その視線につい動揺しそうになりながら、恵は口を開く。
「……何度も言ってるけど、俺はきよが好きだ。きよも好きでいてくれて……本当に奇跡だと思ってるしつき合えている今が嬉しくてたまらないんだ」
「めぐちゃん……」
聖恒がとても嬉しげに微笑んできた。
「でも、それとこれとは別。やっちゃうかもと言われていいよ、とは言わないから」
「えー、せっかくいい感じだったのに、何で!」
今度は唇を尖らせてくる。表情がくるくると変わって、恵としてはとてもかわいいなと思えた。
「何でもへったくれもないよ。理由は言っただろ」
「でももうヤっちゃったじゃん。まあ抜き合いだけど」
明け透けな聖恒の言葉に、恵は先ほどのことを思い出し、顔を聖恒から逸らした。
「……。次からはもっと警戒する」
「何それ! いいよ、だったら俺も、次からもっとガンガン行くから」
「っな」
「だから気をつけてね? 俺、遠慮しないよ」
またニッコリ笑ってきた。とてつもなくかわいい笑顔だ。だというのに今の聖恒からは悪魔の耳や羽が見えそうだった。
その後は繁華街へ出かけて二人でぶらぶらと店を見て回ったり何やら食べたりして過ごした。カラオケにも誘われたが、恵は「やめとく」と即答しておいた。
「えー。じゃあ今度ね」
聖恒は残念そうに今度と言ってきたが、恵としては抜き合いやセックスと同様、今度はないつもりだ。
正直、歌は得意でない。というか人前で歌ったことないのでよくわからないが、歌える気はしない。昔つき合っていた彼女の何人かにも誘われたことあるが、その時は嫌とは言わずに「人数いたほうが楽しいだろうし、今度何人かで行こうよ」と適当に誤魔化していた。
また会う約束して家へ帰ると、とりあえず恵は汗もかいているのでシャワーを浴びることにする。そこで自分のものを目の当たりにしてまた思い出してしまった。
顔が熱くなる。
正直、気持ちよかった。真面目ではあるが、元々セックスが嫌いなわけではない。というか嫌いな男がいるなら見てみたいとさえ思っている。
それでも、と恵はため息つく。あまり意識しないようにしてシャワーを浴びた。出ると台所へ行き、冷蔵庫から冷たい茶を出してグラスに注ぐ。それを持ったまま自分の部屋へ向かった。
椅子に座り、ホッと息をはいた後に茶を少し飲む。意識しないようにと思えば思うほど、チラチラ抜き合った時のことが脳裏に過る。
ドキドキしつつ、いまさらだがふと気づいた。
……俺、一方的にされてる感半端なくないか?
抜き合ったと言いつつも、ひたすら抜かれた感じしかない。もちろん、聖恒も一緒に達してはいたが、恵は何もしていない。
「……何か、違うくないか?」
ボソリと呟いてみる。いやしかし自分は拒もうとしていたから仕方ないのだとは思う。思うのだが。
「……でもうん、きよは学校出た時に『彼氏でいてくれる?』って聞いてきてたし、うん」
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