洋菓子店主の苦悩

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19話 ※

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「なぁ、あんたそれなりに経験あんの」

 ベッドで先ほどからキスをし、だらだらと体を絡め合っていると不意に桜太郎が聞いてきた。

「そんなにないよ」
「そんなにないってのは、女と?」
「そこは男と、って聞くのが流れじゃないのか?」

 桜太郎を少し離して微妙な顔で見ればニヤリと笑われた。

「だってあんた、そりゃ優しいかもっスけどそんなに女にモテるほーでもねえだろなって」
「だからお前ほん、っとに俺のこと好きなの……」
「めちゃくちゃ好きっスよ」

まだニヤリとしたまま言うと、桜太郎はキスをしながら覆い被さってきた。そしてまたニヤニヤとする。

「ただ、する前はあんたがスゲー男の体に慣れまくってて俺ほんろーされたらちょっとビビんなって思ってたんで」
「……悪かったな、男も女もさほど慣れてる訳じゃなくて」
「悪くねっス。むしろ最高っスけど? そんな慣れてねーのに積極的に俺のん受け入れてくれて」
「……お前は男とはないだろうし、俺が痛い思いすんのが嫌だったからだよ。っていうかお前だって最後は夢中だっただろ」
「そりゃあんた、めっちゃエロかったし。好きなやつとヤってしかもそいつがクソエロいとか、そりゃ夢中になるっス」
「……別にエロくない」
「エロいっスて。でもそんな慣れてねぇ。ヤベェよな」
「……」

 柚斗も女性とはそこそこ人並みに経験はあると思う。ただ男性とは本当に学生時代に付き合った相手一人だけだ。それからずいぶん経っているし、いくら経験も知識もなくはないとはいえ、体はもう多分ほぼ初めてに近い。そんな状態なので、いくら女性とは経験豊富そうとはいえさすがに桜太郎に委ねるのは少々不安だった。
 いざするとなった際、一応風呂で慣らしはしたが、柚斗は自ら桜太郎の手にローションを垂らして向かい合った状態で後ろへ誘導した。ちなみに桜太郎のものは一度柚斗の口の中で達しているはずなのに全然硬いままで、いつまでゆっくり付き合ってくれるか定かではない。

「……指、ゆっくり、入れて」

 抱きつくようにして言えば、桜太郎の指が実際に入ってきた。

「ス。え、やらけぇ」
「風呂で慣らしたからな……」
「マジっスか。何で俺にやらすか、せめて見せてくんねぇんスか」
「言うと思った。嫌に決まってるだろ……」
「ぁあ? 何でだよ」
「じゃあ次する時はお前が俺の目の前でお前自身の穴解してみろ」
「俺に突っ込みたいんスか?」
「……突っ込みたくない」
「は」

 何故そこで笑うのか。それも鼻で。

「……お前、ほんと俺のこと好きなの」
「マジ好きっスよ」

 桜太郎は柚斗の耳元で囁くと、ゆっくり入れていた指を同じくゆっくり動かしてきた。

「ん……」

 その指はじわじわと奥へ入って来るとまた動いてきた。

「ん……、は……、ちょっと待っ」
「んぁ? ここっスか」
「あ、ぁ……、何、で」

 前立腺云々など、桜太郎が知っているとは思えなかった。
 抱きつく腕に力が入る。

「馬鹿にすんなっスよ。ちゃんとあんたのこと好きなんスよ? それにこーゆー勉強は悪くねぇスし」

 桜太郎の指が敏感な辺りを刺激してくるせいで、柚斗は膝立ちしていた足が崩れ、ますます桜太郎に寄りかかるようになりながら倒れ込んだ。そのままうつ伏せで尻を突き出すような形になる。

「エロいな……ねぇ、ゆーと、さん。仰向けになって顔、見せて欲しいっス」

背後から少し上擦った声が聞こえる。

「嫌、だ」
「何で。見せろっスよ」
「無理やり、スって付け、んな」
「ぁあ? んじゃ敬語じゃなくなるっつってんだろ」
「ス、も敬語じゃ……っあ、そこ、ヤ……っぁ、あっ」

相当久しぶりだというのに、電流が走ったのかというくらいの快楽を柚斗は覚える。

「だから。エロいんだよ、クソ。穴ぐちょぐちょだし、後ろから見えるちんこからもスゲー垂れてんっスけど。なぁ、顔見せろや」
「口が悪い……!」

 シーツに顔を押し付けるようにして柚斗は何とか言い返した。

「あ? 代わりに顔はいいっしょ」
「ほんっとお前……馬鹿……っあぁ、あっ、ひ」
「クソ……なぁ、もう入れていい?」

 全然前を擦られてないというのに達してしまい、予想外のことに唖然としながら脱力していると桜太郎が自分の固くなったものを背後から擦りつけながら聞いてきた。

「待て、お前……ゴムは」
「初心者じゃねーんだから。ちゃんと準備してるっスよ」

 そう言うと、桜太郎は背後で何やらごそごそとし出した。かと思うと圧倒的に指とは比べ物にならない質量のものが後ろから押し入ってくるのを感じた。

「か、は……」
「キッツいな……」

 散々慣らそうが、さすがに久しぶり過ぎて苦しい。内臓が押し潰されそうな感覚がして、柚斗はゆっくり呼吸した。

「あ、でもカリんとこは何とか入ったっスよ……」

 桜太郎の声もほんの少し苦しそうでいて、低く甘い。ちっとも色気のあることは言っていないというのにその声で腹の奥が疼いた。

「は……」
「あー……ヤベェ。キッツ。めちゃくちゃ突きまくりてぇ」

 そんなことを言いながらも、桜太郎は動かず留まっている。

「動か、ない、のか」
「あんたがもうちょい慣れたらスゲー動くっスよ」

 馬鹿で口悪いと、こんなことすら感動するだろ。

 苦笑しながら、柚斗は「動いて」と囁いた。

「いけんの? ヤバくねーの?」
「尻にお前のが入ってる時点で十分ヤバいよ……いいから。突いて」
「は……クソが」

 何でそこでクソなんだよ、とは声にできなかった。さらに奥へゆっくり入ってきたかと思うと引かれ、腕までぞくぞくとしたものが走った。かと思うと思い切り突き上げるかのように硬いそれが自分の狭い内臓に押し込まれ突き進んでくる。

「っあ、あっ、ああ……っ」

 苦しい。のにひどく体の芯からこみ上げる、いっそ吐きそうなほどの痺れと震えに脳まで侵されそうだった。感覚が高ぶり過ぎて変になってしまう。肉汁まみれの、だが生肉を叩きつけるような音が余計にそれを助長してきた。

「ん、あっ、あ……気持ち、いい……おぅ、たろ……いい」

 体が無理やり開かされる。自分の中が桜太郎の形へと変えられる。そしてあり得ないほどに奥を暴かれる。

「あ、……っあ、も……あ、来る、来る……っ」
「来る? あー、イくの? ねぇ、出ちゃうの? あークソ、エロいんだよあんた」

 動きがますます激しくなった。

「は……、あ、好きだ、桜、たろ……好きだよ……かわいい……、あぁ、来る……!」
「クソ、俺のが好きだわ、クソが……!」

 体がびくびくと震えた。久しぶりにかなり大きな快楽の波に上手く飲み込まれた気がして、柚斗は思い切り息を吐いた。桜太郎も最後にぐっと突いてきた後に動かなくなったので、恐らく達したのだろう。柚斗は妙な安心感に包まれた。
 その後二人でだらだらと絡まりながらぼーっとしていた。
 慣れてないなどと七歳も下の男に言われるのはありがたくもなんともない。自分が女であっても年上だけに喜べはしなかっただろう。
 だがまんざらじゃなさそうな桜太郎を見ていると別にそれでもいいかと柚斗は微笑んだ。
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