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智也としては多々突っ込みどころがある。一番の突っ込みどころは「なぜ主人公を自分にしたか」だが、それを差し置いても疑問点に事欠かない。
ゲームのストーリ設定だが、ある日主人公である令息もしくは令嬢の住む伯爵家に、遠縁だが庶民として暮らしてきた三名の青年がやってくることになっている。
庶民として暮らしてきたため、三人は貴族としての教育を全く受けていない。そんな彼らを次の王宮で開かれる大きなパーティでデビューさせるため、主人公が立派な貴族のように育成するというゲーム内容だ。
機能面ではそれなりにうまく動いているとは言える。貴族のマナーを教え、着替えさせ、様々な会話をする。着せ替えはヘアスタイルも選べるドレスアップ要素があり、アイテムはゲーム中に得られるポイントやお金で交換もできる。主人公の衣装も、攻略キャラクターの好みなどにより好感度は左右する。
ちなみに着せ替えアイテムには獣耳まである。貴族とはと、智也としては心底問いたい。多分これに関してはサークルメンバーの一員である外山 望美(とやま のぞみ)の趣味が反映されているのだろう。普段からそういった獣耳などが大好物であることを、望美は隠すことなくあからさまに出している。
また選択肢ある会話では、好感度も変化する。これをある程度上げると恋愛要素が発生する。男主人公を選択していても発生する。その場合、いわゆるBLになるわけだ。こちらは同じく一員である腐女子、美恵の好みだ。
しかし女子の好みばかり反映されていると文句を言ってはいけない。多分倍どころか百になって返ってくること請け合いだからだ。
ゲーム内容だが、イベントなどで社交界での知名度を上げていくと、ストーリーが進むだけでなくゲーム内でのみ使えるお金も稼げる。ダンス時に発生する、音ゲーと言われる音楽ゲームで高成績を収めてもお金や好感度が入ったり上がったりする。
「そういった諸々の遊び機能はいいと思いますけどね。でも普通、子息や特に令嬢はさ、よくわからない元庶民の男がいきなり家にきたら難色を示しそうだし、そもそも両親だって遠縁とはいえ何か間違いがあれば困るって心配しないっすか?」
「俺もそう思う」
智也の意見に珍しく亮人も同意してきた。すると女子二人に「そこの突っ込みはナシで! そういうものなの!」と結局怒られた。
恋愛ゲーム謎過ぎるだろ……。
ただ恋愛ゲームだけでなく、昨今のファンタジー小説や漫画も結構そういうものが少なくないらしい。突っ込んだら負けというか、楽しむためには些細な突っ込み要素は気にしない。むしろ変にリアリティ生かすと、萎える内容にもなりかねないのだそうだ。
「だいたい篠原くんが好きなRPGだって変でしょ。何で世界を救うのはいつも子どもなの。そんなの大人がすべきでしょ」
「それは……、……なるほど、了解」
女子と言い合っても勝てそうにないとばかりに、智也は両手を挙げて降参した。
ちなみに美恵に言われたように、智也はRPGが好きだ。もちろんRPGとは、武器であるロケット弾発射機の略ではない。いわゆるロールプレイングゲームの略で、元は卓上で紙と鉛筆、サイコロを使って遊ぶテーブルトークRPGから来ている。それらをコンピューターで再現したのがコンピューターRPGで、今ではRPGと言えばこちらを指し、テーブルトークのほうはあえてTRPGと略されている。
戦闘などの行為をターンごとに行い、能力値計算を主とした処理で判定されるため、アクションやシュミレーションゲームと違いゲームプレイヤーの操作能力はさほど影響しない。ゲームが苦手な人でもとっかかりやすいゲームとも言える。
ちなみにSRPGというシュミレーションRPGというものもある。これはこれで嫌いではないが、やはり智也が作りたいのはRPGだった。
RPGのゲーム要素としては、キャラクターの能力値を成長させる楽しみの他に、アイテムの選択や消費、キャラクターや武器の能力成長の方法などのリソースを効率よく管理してゲームを有利に進める楽しみなどがある。
あと単に冒険心がくすぐられる。
実際プレイするのも楽しいし、語るなら延々と語れそうだ。制作するのも当然楽しい。だがRPGゲームを作るという願いはなかなか叶わないようだ。
まあ、こういう恋愛ゲームでも作るのは楽しくないかと聞かれれば「楽しい」とは答えるだろうな。
結局のところ、ゲームを作ることがそもそも好きなのだろう。あと、先輩というだけでなく「好き」が明確すぎるオタク女子に逆らってまで自分の好みを優先させる勇気は智也にはない。
亮人なら言いたいことを気にせず言いそうに見えるが、第一印象クラッシャーだけに実際の亮人はだいたいのことは気にしないというかどうでもいいと思っている。
ただし中身のないゲームだけはおもしろくないから許しがたいらしく、今作ろうとしている恋愛ゲームに関しても「やるなら徹底的に」と考えている。そのためいくらテストプレイでの主人公が男であり智也がモデルだろうが、おかげでBLゲームになっていようが、そういったところは全然気にしていない。先ほどのようにゲーム設定に違和感があれば「俺もそう思う」と意見を挟んではくるが、とにかくゲーム制作に集中できるなら女子好み優先だろうが何だろうが問題ないようだ。
ゲームのストーリ設定だが、ある日主人公である令息もしくは令嬢の住む伯爵家に、遠縁だが庶民として暮らしてきた三名の青年がやってくることになっている。
庶民として暮らしてきたため、三人は貴族としての教育を全く受けていない。そんな彼らを次の王宮で開かれる大きなパーティでデビューさせるため、主人公が立派な貴族のように育成するというゲーム内容だ。
機能面ではそれなりにうまく動いているとは言える。貴族のマナーを教え、着替えさせ、様々な会話をする。着せ替えはヘアスタイルも選べるドレスアップ要素があり、アイテムはゲーム中に得られるポイントやお金で交換もできる。主人公の衣装も、攻略キャラクターの好みなどにより好感度は左右する。
ちなみに着せ替えアイテムには獣耳まである。貴族とはと、智也としては心底問いたい。多分これに関してはサークルメンバーの一員である外山 望美(とやま のぞみ)の趣味が反映されているのだろう。普段からそういった獣耳などが大好物であることを、望美は隠すことなくあからさまに出している。
また選択肢ある会話では、好感度も変化する。これをある程度上げると恋愛要素が発生する。男主人公を選択していても発生する。その場合、いわゆるBLになるわけだ。こちらは同じく一員である腐女子、美恵の好みだ。
しかし女子の好みばかり反映されていると文句を言ってはいけない。多分倍どころか百になって返ってくること請け合いだからだ。
ゲーム内容だが、イベントなどで社交界での知名度を上げていくと、ストーリーが進むだけでなくゲーム内でのみ使えるお金も稼げる。ダンス時に発生する、音ゲーと言われる音楽ゲームで高成績を収めてもお金や好感度が入ったり上がったりする。
「そういった諸々の遊び機能はいいと思いますけどね。でも普通、子息や特に令嬢はさ、よくわからない元庶民の男がいきなり家にきたら難色を示しそうだし、そもそも両親だって遠縁とはいえ何か間違いがあれば困るって心配しないっすか?」
「俺もそう思う」
智也の意見に珍しく亮人も同意してきた。すると女子二人に「そこの突っ込みはナシで! そういうものなの!」と結局怒られた。
恋愛ゲーム謎過ぎるだろ……。
ただ恋愛ゲームだけでなく、昨今のファンタジー小説や漫画も結構そういうものが少なくないらしい。突っ込んだら負けというか、楽しむためには些細な突っ込み要素は気にしない。むしろ変にリアリティ生かすと、萎える内容にもなりかねないのだそうだ。
「だいたい篠原くんが好きなRPGだって変でしょ。何で世界を救うのはいつも子どもなの。そんなの大人がすべきでしょ」
「それは……、……なるほど、了解」
女子と言い合っても勝てそうにないとばかりに、智也は両手を挙げて降参した。
ちなみに美恵に言われたように、智也はRPGが好きだ。もちろんRPGとは、武器であるロケット弾発射機の略ではない。いわゆるロールプレイングゲームの略で、元は卓上で紙と鉛筆、サイコロを使って遊ぶテーブルトークRPGから来ている。それらをコンピューターで再現したのがコンピューターRPGで、今ではRPGと言えばこちらを指し、テーブルトークのほうはあえてTRPGと略されている。
戦闘などの行為をターンごとに行い、能力値計算を主とした処理で判定されるため、アクションやシュミレーションゲームと違いゲームプレイヤーの操作能力はさほど影響しない。ゲームが苦手な人でもとっかかりやすいゲームとも言える。
ちなみにSRPGというシュミレーションRPGというものもある。これはこれで嫌いではないが、やはり智也が作りたいのはRPGだった。
RPGのゲーム要素としては、キャラクターの能力値を成長させる楽しみの他に、アイテムの選択や消費、キャラクターや武器の能力成長の方法などのリソースを効率よく管理してゲームを有利に進める楽しみなどがある。
あと単に冒険心がくすぐられる。
実際プレイするのも楽しいし、語るなら延々と語れそうだ。制作するのも当然楽しい。だがRPGゲームを作るという願いはなかなか叶わないようだ。
まあ、こういう恋愛ゲームでも作るのは楽しくないかと聞かれれば「楽しい」とは答えるだろうな。
結局のところ、ゲームを作ることがそもそも好きなのだろう。あと、先輩というだけでなく「好き」が明確すぎるオタク女子に逆らってまで自分の好みを優先させる勇気は智也にはない。
亮人なら言いたいことを気にせず言いそうに見えるが、第一印象クラッシャーだけに実際の亮人はだいたいのことは気にしないというかどうでもいいと思っている。
ただし中身のないゲームだけはおもしろくないから許しがたいらしく、今作ろうとしている恋愛ゲームに関しても「やるなら徹底的に」と考えている。そのためいくらテストプレイでの主人公が男であり智也がモデルだろうが、おかげでBLゲームになっていようが、そういったところは全然気にしていない。先ほどのようにゲーム設定に違和感があれば「俺もそう思う」と意見を挟んではくるが、とにかくゲーム制作に集中できるなら女子好み優先だろうが何だろうが問題ないようだ。
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