恋愛ゲームは続行中

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 テストプレイにて攻略対象の好感度が上がっているようで、昌史としても少々居たたまれない。なぜなら自分の中を見透かされているような気になるからだろうか。
 そんなある日、サークルメンバーと行うたまにある飲み会で、どうやら昌史はつい酒を口にしてしまった。
 講義などで知り合いになった女子などから「見えない」と言われたりするが、昌史は酒に弱い。というか酒が強く見える見た目ってどんなだよと少々思わないでもないが、見るからに弱々しく見えると言われるよりは何となくマシな気はする。
 自分が酒に弱いと知っているため、昌史は普段酒を飲まないようにしている。というかそもそもまだ十九歳のため、実際のところ飲むこと自体あってはならないわけで、年齢を理由に飲み会では心置きなくウーロン茶を飲んでいる。
 だが諸々気を取られることがあったりで、うっかり誰かの飲みかけを口にしてしまったようだ。その後どうやら寝てしまったらしい。
 目が覚めると暗い。だが見覚えのない部屋の中にいることはわかった。

「……誰かのベッド……?」

 知らない人のベッドをどうやら昌史は一人で占領していたようだ。ふと少し向こうから誰かの寝息が聞こえてきた。誰かを確認するためにも、昌史は音をなるべく立てないようゆっくりベッドから降りてそちらへ近づいた。酒に酔って眠ったとはいえ睡眠をとったからか、ふらつくことはどうやらなさそうだ。
 寝息はソファーから聞こえていた。そしてソファーにはあろうことか智也が少々窮屈そうに横たわり眠っている。

 篠原先輩……? え、何で……。

 一瞬まだ夢を見ているのかと思ったが、一呼吸おいて考えると気づいた。多分、酔って眠ってしまった昌史を智也が家まで運んでくれたのだろう。昌史の家はわからなかったから自分の家へ連れ帰ってくれたのではないだろうか。伸行は昌史の家を知っているが、同じく未成年なのもあり今日は唯一車で来ていた。望美が好きだし、多分帰りは美恵と望美を車で送った可能性が高い。亮人はどうしたのかわからないが、とりあえず昌史を連れ帰ったのが亮人ではなく智也であることに対し、神に感謝すべきかもしれない。

「やばい……」

 昌史は口元を手で押さえた。智也は眠っているし他に誰もいないので、いくら昌史がにやけようがそれについて言及してくる者はいないのだが、普段隠している習慣だろうか。つい自然にほころびる口元を隠していた。
 にやけてしまうのも仕方ない。好きな人が自分を連れ帰ってくれたのだ。好きな人の家に、しかも好きな人のベッドで自分は眠っていたのだ。嬉しくてたまらないに決まっている。
 そう、昌史は智也が前からずっと好きだった。ずっと、好きだった。
 だが顔が熱くなるのを感じつつ、同時に申し訳なくなった。あまり大きくはないソファーで智也は窮屈そうに眠っている。
 智也を抱えてベッドへ運ぼうかと思った。だがすぐに却下する。女性相手でも慣れていないと抱き上げるのは難しいと聞く。ドラマや映画で見るような横抱きやたて抱きもコツがあり、やみくもに抱えると重くてすぐに下ろす羽目になるらしい。ましてや昌史より背は低めとはいえ男である智也を、それも眠っている相手を起こさずうまく抱えて運ぶ自信は、経験不足の昌史にない。
 ここまで運んでくれた智也にしても、むしろいつでも起きてくれという気持ちもあり、どうやってかわからないが、昌史を抱えるなり引きずるなりして連れ帰ってくれたのだろう。
 せっかくぐっすり眠っている智也を起こすのも何だか申し訳ない気がし、昌史はこのまま智也をソファーに放置することにした。窮屈そうではあるが、一応寝違えが起きそうな寝方はしていなさそうだし、薄手だが布団もかぶって眠っている。

 ……ごめんなさい、篠原先輩。明日ちゃんと謝ります。

 心の中で詫びてから、昌史はまたベッドへ戻ることにした。だがさすがに眠れない。すでに智也の部屋でありベッドであると意識してしまっているため、落ち着かない。それに改めて横たわると、智也の匂いに包まれていることに気づいてしまった。

「……無理」

 変に体が熱くなっているのは、間違って飲んだ酒のせいではないだろう。というか少量すぎるくらい少量なのと寝たことにより、酒は多分完全に抜けている。
 ひたすらモダモダしていると、ソファーのほうから物音がした。そのままどこかへ歩いていくような音も聞こえる。トイレへ行ったのかもしれない。そうだとしたら一時的な覚醒であり、また戻るとすぐ眠ってしまうだろうが、声をかけたら受け答えしてくれるかもしれない。

「謝るなら今かも……」

 すぐに戻ってくる音が聞こえてきたため、体を起こそうとした昌史は、だがそのまま固まってしまった。確かに一人暮らし用の部屋で広くはないが、寝ぼけているのだろうか。智也はソファーへ戻らず昌史のいるベッドへやってきてそのままごそごそと体を横たえてきた。
 起こしかけた体にまるで密着するような状況であるのは、シングルサイズのベッドのため仕方ない。だがこの状況そのものは仕方なくない。
 ただでさえ眠れなかった昌史の心臓はおかしなくらいドクドクと鼓動していた。
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