ドラマのような恋を

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Infinity編

11話 ※

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「危ねぇだろが、じっとしてろ」
「できるか!」

 最初ぬるりと意外なほど簡単に入ってきた指は、途中から違和感の塊になった。暴れようとしてもだがままならない。抵抗を見せると穴が傷つくから止めろと言われたが、それを言うなら出すところに入れるのを止めろと言いたい。

「……気持ちわりぃっ」
「慣れたらよくなるって。──多分」
「慣れたくねぇわ! つか多分ってなんだよ……!」

 異物感しかない上に、普段トイレで出す部分をさらけ出されてる風にしか思えない羞恥心や自分の汚い部分に触れられているという嫌悪感が半端ない。

「あー……、涙目になってんな」

 おまけに相変わらず貫士が腹立たしい。尻の穴を弄っているのと反対の手で強引に顔をぐいっと上向きにして言ってくる貫士を、寛人はぎろりと睨んだ。

「嬉しそうに言ってんじゃねぇよ! 涙目にもなるわ……!」

 こいつ、どれだけ俺のこと嫌いなんだよ……!

 涙目だろうが思い切り睨みつけていると、自分の中を突き抜けてくるような、あり得ないことだが間違いなく快感を寛人は腹の奥に感じた。

「……っは?」

 思わず唖然としていると、貫士はますます楽しげに「お前も楽しめそうじゃね?」などと聞いてくる。

「んなわけねぇだろ、いいから抜けよ!」
「でもここ、よさげだったけど」

 先ほどの辺りを貫士はまた触れてきたようだ。また堪らない感覚が寛人の奥を走った。

「っあ……っ?」
「な?」
「な、じゃねんだよ……っくそ、抜けクソ野郎!」
「どんくらいでいけんのかな。広げ具合わかんねぇんだよなー。やってみるか」

 何を……?

 唖然としていると貫士が指を抜いてきた。ずるりと嫌な感覚がする。

「最あ……」

 最悪だったわと文句をつけようとして、寛人はそのまま固まった。どう見ても貫士は自分のものを出そうとしている。

「……おま……何して……ろ、露出狂か? 露出狂なんだろ?」
「あ? 何言ってんだてめ」

 馬鹿か、といった態度のまま、貫士は寛人の両足の膝裏をつかんできた。そのままぐっと持ち上げてくる。

「馬鹿野郎、何考えてんだよっ? くそ、やめ……いっ、いってぇ! 下手くそ! いてぇんだよ! 止めろ、止めろっつってんだろが……っ、いってぇ!」

 何度か自分のものを擦ったかと思うと、貫士は遠慮なくそれをぶち込んできた。もちろん全然入ってないのだが、先が入り込もうとしているだけでその部分が無理やり広げられている感じがして痛い。

「まだ足りねぇんか」
「足りるも何も、こんなとこにてめぇのもんなんか入るわけねぇだろ! ざけんな!」
「いや、もうちょい頑張ったら入るかもだろ」
「誰と何が頑張んだよっ? 明らかに俺の穴と精神じゃねぇか頑張るの……! 無理! 止めろっつってんだろ! いてぇっつってんだろ……!」

 先ほど指を入れられていた時はまだ全然余裕だった。不愉快ではあったが、快楽も認めたくないものの、あった。だが今は違う。ただひたすら痛い。

「あー? もう乾いてんのか? はえぇな……」
「だいたい濡らすとこじゃねぇんだよ」
「何言ってんだよ、こん中も刺激で濡れんぞ」
「嘘ついてんじゃねぇ……」
「マジマジ。腸液ってやつ」
「……っ? 何だよそれ、普通にこえぇよ……!」

 出てはいけないものが出ている風にしか思えない。

「いや、別に誰でも出んぞ。何かしたら」
「その何か、を普通はしねぇんだよ……! つかいてぇっつってんだろ!」
「……っち。紛らわされねぇか」
「されるかよ……、退けよ……!」
「るせぇな。ちょっとちくっとするだけだよ」
「注射みたいに言うなよ!」
「注射みてぇなもんだろ」
「ちげぇよ、あと下品なんだよ!」

 もう突っ込まれようとしているのか、格闘しているのか、言い合いをしているのか掛け合いをしているのかわからなくなってきた。

「……忘れ物しちゃっ──何してんの?」

 そこに突然第三者の声がした。何事かと寛人とついでに貫士もドアの方を見れば、それこそ何事かといった表情の基希が立っていた。

「うわ、スイかよ」

 ぼそりと貫士が呟きながらようやく抜いてきた。寛人は助かった、と思うよりも何よりもまず「そういや鍵もしてねぇ状態……!」ということに今さらながらに気づいて唖然となっていた。
 同じく唖然としていた基希は、だがすぐに察したような顔になる。とはいえ焦って出ていくなんてことはなく、少し怒った顔で近づいてきた。

「カンジ」
「……」
「どう見てもゴン、泣きそうだけど」

 そう言われて寛人の顔が少し熱くなる。確かに痛いやら情けないやら貫士がムカつくやらで涙目になっていたかもしれない。だが泣きそうと言われると居たたまれない。
 泣いてねぇよと思わず言い返しそうになったが、言い返したらまるで貫士の味方をしているようじゃないかとすんでのところで思い止まった。

「カンジ?」
「……」
「……正座」
「……っち」

 舌打ちしながらも、貫士は寛人から離れ言われた通りに床に正座した。

「ゴン」
「……な、何」

 俺も正座……?

「服……ちゃんとしたらいいよ」

 そう言われて初めて、自分があられもない格好のままだったことに気づいた。今度こそ顔が赤くなっているだろうことを意識しつつ寛人は急いで服装を正した。
 目の前では基希による貫士説教ショーが繰り広げられた。
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