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Infinity編
19話
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「それじゃあお前、こないだの女とやってること一緒じゃねーか!」
ドン引きしつつ言っても貫士は逆に「こいつ何言ってんだ」という顔をしてくる。
「待て、何で俺がそんな顔で見られんだよ……」
「お前が何言ってんのか意味わかんねーからだろが」
「わかんねーのは俺だわ……!」
「はぁ? だってお前のもんは俺のもんだろが」
「っ何だよそのどこぞで聞いたようなセルフィッシュな言い分は……っ?」
唖然とし過ぎて怪しげな感じにカタカナが混じった。
もしくはフランスのことを考えてたから……いや、セルフィッシュ、フランス語じゃねーわ少なくとも。
「るせーな」
今度は面倒くさいといった風な顔をしてため息つきながら、貫士はまた持っていた箱から何かを取り出し、これで機嫌をなおせと言わんばかりに寛人の口へ突っ込んできた。幸い熱くはなかったが、シュークリームだったようで現在寛人の口周りと服の一部がクリームまみれだ。改めて悪意しか感じられない。
「……お前何なの……何でそんなに嫌がらせばっかしてくんの……どんだけ俺のこと嫌いなの……?」
「あ? 何言ってんだ?」
嫌がらせをしてくるだけじゃなく、まず言葉すら通じないのか。
「自分の都合いいことしか聞こえねぇってか。ますますフランス語しか喋ってくんねぇフランス人みてぇだな!」
別にフランス人に恨みはない。もはやただの八つ当たりだ。
「いや、日本人だけど」
「知ってるわ……!」
「何ヒステリックになってんだ? 喧嘩腰はいつものことだけどよ、ヒステリーは珍しいな?」
「ことごとくてめーのせいなんだよ!」
「あ? 何言ってんだ? つか嫌がらせって何だよ」
上着を脱ぎながら面倒そうに口にする貫士に、べったりとついたカスタードクリームでも擦りつけてやろうかと思った。だが残念ながら既に拭き取っている。寛人はとりあえず睨みつけた。
「俺が嫌いなんだろ。嫌がらせしかしてこねーじゃねぇか」
「……何の話だ?」
先ほどから怪訝そうな貫士の様子は「ふり」には見えない。寛人も少し怪訝な気持ちになりながら「嫌がらせしてる自覚ねぇのかよ」と聞いた。
「俺がいつ嫌がらせしたよ」
「は? いつでもしてんだろが」
「別にしてねぇけど?」
「食いもん突っ込んでくるだろが。今もやりやがっただろ」
「あ? 美味いもん、勧めてやってんだろが」
「は?」
こいつ何言ってんだ、と寛人は微妙な顔になる。
「何言ってんのお前……? ちょくちょくクッソ熱いもん突っ込まれてその度に俺の体内ヤベーことになってんだけど。だいたい俺、食ったら身につきやすいからいらねぇっつってんのに押しつけてくる時点でただの嫌がらせだろが……」
「俺は嫌がらせのつもりじゃねぇぞ」
それただのいじめ側の主張じゃねーか……!
唖然としていると、貫士が手を伸ばしてきた。寛人を引き寄せてまだ残っていたらしいクリームを、寛人の口の近くへ舌を這わせて舐め取ってきた。
「もうちょい肉ついてるほうが似合うんだよ、てめーは。つか、んなもん愛情の一種だろが」
は?
寛人はそのまま固まった。
愛情? って、何。
さらに舌が唇へと移動してこようとしているのに気づき、とりあえず寛人は慌てながら手で貫士の顔を思い切り押し退けた。
「ってめ、何しやがる」
「そ、れはこっちのセリフなんだよ……! そうだよ、だいたい嫌だっつってんのにお前、無理やり俺犯しただろが……嫌がらせの極致だろが……」
「無理やり? お前めちゃくちゃ気持ちよさげで何度もいってなかったっけ?」
「うるせぇ、そ、そこは男なんだから仕方ねぇだろ……!」
「は。何だ、それ。つかなんでセックスが嫌がらせなんだよバカか?」
「は?」
「恋人同士の真っ当な行為だろが」
「……は?」
「それとも何。お前の中では気持ちよけりゃ誰でも楽しむってやつ? それともマウント行為? どっちにしろ荒んでんな、お前童貞のくせに案外」
相変わらず貫士が忌々しい。だがそれよりも何よりも、と寛人は引き続き唖然としていた。
恋人同士って、何。
「恋人同士って、何、だよ……」
「あ? え、まさかお前、恋人の意味も知ら」
「こんな時だけ憐れんだような顔してくんじゃねぇ……! んなわけねぇだろが……! 何でその言葉がそこに出てくんだっつってんだよ!」
「てめ、全然んなこと言ってねーだろが。つかセックスの話してきたからだろ」
「した。したけど何でそこで出てくんだよ」
「あ? お前が何言いてぇのかわかんねーんだけど。俺とお前が恋人だからセックスすんのも当たり前だろって話じゃねーの」
「……、……? ……はぁっ? え、ちょ、待て、いつ俺とお前が……」
話がついていけない、何てレベルではない。
「いつ、っつっても」
「だいたいつき合おうとか告白とか全然……」
相手が貫士だとか男だとか諸々はすっとんでいた。それくらいとにかく今の流れが理解できない。
「あ? 告白? 何だそれ。んなもんドラマの世界だけじゃねーの? 普通は空気で感じるもんだろ」
ほんっとにこいつ、何言ってんの……? 何人だよってレベルじゃねんーだけど……っ? 俺がおかしいの? いや、俺こそ普通じゃねーの?
「お前の普通って何なの……っ?」
ドン引きしつつ言っても貫士は逆に「こいつ何言ってんだ」という顔をしてくる。
「待て、何で俺がそんな顔で見られんだよ……」
「お前が何言ってんのか意味わかんねーからだろが」
「わかんねーのは俺だわ……!」
「はぁ? だってお前のもんは俺のもんだろが」
「っ何だよそのどこぞで聞いたようなセルフィッシュな言い分は……っ?」
唖然とし過ぎて怪しげな感じにカタカナが混じった。
もしくはフランスのことを考えてたから……いや、セルフィッシュ、フランス語じゃねーわ少なくとも。
「るせーな」
今度は面倒くさいといった風な顔をしてため息つきながら、貫士はまた持っていた箱から何かを取り出し、これで機嫌をなおせと言わんばかりに寛人の口へ突っ込んできた。幸い熱くはなかったが、シュークリームだったようで現在寛人の口周りと服の一部がクリームまみれだ。改めて悪意しか感じられない。
「……お前何なの……何でそんなに嫌がらせばっかしてくんの……どんだけ俺のこと嫌いなの……?」
「あ? 何言ってんだ?」
嫌がらせをしてくるだけじゃなく、まず言葉すら通じないのか。
「自分の都合いいことしか聞こえねぇってか。ますますフランス語しか喋ってくんねぇフランス人みてぇだな!」
別にフランス人に恨みはない。もはやただの八つ当たりだ。
「いや、日本人だけど」
「知ってるわ……!」
「何ヒステリックになってんだ? 喧嘩腰はいつものことだけどよ、ヒステリーは珍しいな?」
「ことごとくてめーのせいなんだよ!」
「あ? 何言ってんだ? つか嫌がらせって何だよ」
上着を脱ぎながら面倒そうに口にする貫士に、べったりとついたカスタードクリームでも擦りつけてやろうかと思った。だが残念ながら既に拭き取っている。寛人はとりあえず睨みつけた。
「俺が嫌いなんだろ。嫌がらせしかしてこねーじゃねぇか」
「……何の話だ?」
先ほどから怪訝そうな貫士の様子は「ふり」には見えない。寛人も少し怪訝な気持ちになりながら「嫌がらせしてる自覚ねぇのかよ」と聞いた。
「俺がいつ嫌がらせしたよ」
「は? いつでもしてんだろが」
「別にしてねぇけど?」
「食いもん突っ込んでくるだろが。今もやりやがっただろ」
「あ? 美味いもん、勧めてやってんだろが」
「は?」
こいつ何言ってんだ、と寛人は微妙な顔になる。
「何言ってんのお前……? ちょくちょくクッソ熱いもん突っ込まれてその度に俺の体内ヤベーことになってんだけど。だいたい俺、食ったら身につきやすいからいらねぇっつってんのに押しつけてくる時点でただの嫌がらせだろが……」
「俺は嫌がらせのつもりじゃねぇぞ」
それただのいじめ側の主張じゃねーか……!
唖然としていると、貫士が手を伸ばしてきた。寛人を引き寄せてまだ残っていたらしいクリームを、寛人の口の近くへ舌を這わせて舐め取ってきた。
「もうちょい肉ついてるほうが似合うんだよ、てめーは。つか、んなもん愛情の一種だろが」
は?
寛人はそのまま固まった。
愛情? って、何。
さらに舌が唇へと移動してこようとしているのに気づき、とりあえず寛人は慌てながら手で貫士の顔を思い切り押し退けた。
「ってめ、何しやがる」
「そ、れはこっちのセリフなんだよ……! そうだよ、だいたい嫌だっつってんのにお前、無理やり俺犯しただろが……嫌がらせの極致だろが……」
「無理やり? お前めちゃくちゃ気持ちよさげで何度もいってなかったっけ?」
「うるせぇ、そ、そこは男なんだから仕方ねぇだろ……!」
「は。何だ、それ。つかなんでセックスが嫌がらせなんだよバカか?」
「は?」
「恋人同士の真っ当な行為だろが」
「……は?」
「それとも何。お前の中では気持ちよけりゃ誰でも楽しむってやつ? それともマウント行為? どっちにしろ荒んでんな、お前童貞のくせに案外」
相変わらず貫士が忌々しい。だがそれよりも何よりも、と寛人は引き続き唖然としていた。
恋人同士って、何。
「恋人同士って、何、だよ……」
「あ? え、まさかお前、恋人の意味も知ら」
「こんな時だけ憐れんだような顔してくんじゃねぇ……! んなわけねぇだろが……! 何でその言葉がそこに出てくんだっつってんだよ!」
「てめ、全然んなこと言ってねーだろが。つかセックスの話してきたからだろ」
「した。したけど何でそこで出てくんだよ」
「あ? お前が何言いてぇのかわかんねーんだけど。俺とお前が恋人だからセックスすんのも当たり前だろって話じゃねーの」
「……、……? ……はぁっ? え、ちょ、待て、いつ俺とお前が……」
話がついていけない、何てレベルではない。
「いつ、っつっても」
「だいたいつき合おうとか告白とか全然……」
相手が貫士だとか男だとか諸々はすっとんでいた。それくらいとにかく今の流れが理解できない。
「あ? 告白? 何だそれ。んなもんドラマの世界だけじゃねーの? 普通は空気で感じるもんだろ」
ほんっとにこいつ、何言ってんの……? 何人だよってレベルじゃねんーだけど……っ? 俺がおかしいの? いや、俺こそ普通じゃねーの?
「お前の普通って何なの……っ?」
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