転生少女は憧れの騎士として生きたい

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17話

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 ところで第三王子であるレリアードが生まれたことにより、第一王子のジュードは王位継承権第二位となった。レナードは三位だ。
 これはこの国の決まり事によるためだった。魔力の属性は家系の血筋と魔力で決まる。両親が違う魔力同士でもどちらか強い魔力の属性が子どもに受け継がれることになる。それは例えば雷が強い、火が強いなどという判断ではなく、単純に強い魔力を持つ方の属性が残るということだ。
 例外な属性が光魔法だろうか。光という属性はそれだけで相当強い。まれに王族以外でも生まれることはあるが、基本的に王族のみが持っている属性でもある。
 王族は代々魔力がとても強く、ほとんど皆光魔法を持っている。その光魔法を間違いなく完璧に引き継ぐために、この国では生まれた順で王位継承権が強くなるのではなく、より魔力の強い者が優先される。そして生まれたレリアードはこの間神殿により、かなり強い魔力を持つ者だと判明した。よって生まれて間もないにも関わらず継承権は第一位となった。
 ちなみにレリアードが第一位になったことで継承権が二位になったジュードだが、もう少し気にすればと周囲が思うくらい、全く気にしていない。ちなみに婚約者であるエレンも同じく気にしていないようだ。

「元々王になりたくて堪らなかったことはないからな」

 たまたま学園の食堂で一緒になり、気づけば王子二人と食事をとる色んな意味でヤバい女となっていることに気づいてむしろ少し楽しい気持ちになっていたイーディスはハッとなり「そうなんですか?」とジュードを見た。

「ああ。自由がなくなるしな」
「でも殿下は真面目でそういった公務も淡々とこなしそうな印象があります」

 あはは、とイーディスが言えばジュードは何故かため息をついてきた。

「え、っと、私、何か言ってはいけないようなこと、言いましたか?」
「違うよイーディス。兄上はなんでかその真面目な部分をどうにかしたいって思ってるみたい」

 ジュードの代わりにレナードが答えてきた。

「なんで?」
「レディー・エレンともっと気さくに仲良くなりたいんだって」
「……レナード。それはいくらお前の婚約者であっても言っていいことではないぞ」
「え、あ! そ、そうなの? ごめんなさい、兄上」
「というか殿下、私、レナードの婚約者じゃないですよ」

 何を間違えているんですか、あはは、と笑いながらイーディスが言えば、何故かレナードだけでなくジュードにまで「えっ」という顔をされた。

「え、あの、何か?」
「いや……レナードも中々大変なんだな、と」

 思わず戸惑いながらイーディスが聞けば、ジュードは遠い目になりながらそんなことを言っている。よくわからないが多分、エレンはよほどジュードの誘いを断っているか素っ気ないか何かなのだろうなとイーディスは何となく察した。

(察したけどそれ、私と関係ないでしょ……レナードが大変ってより私が大変だよ。私実際婚約者じゃないし。そりゃ何度も申し込まれてるけどその度にはっきり断ってるし)

 いや、だが最近はあまり婚約してくれと言ってこなくなったなとふと気づいた。もしかしてさすがに諦めてきたのだろうか。
 一瞬寂しく感じた。ずっと懐いてくれていた弟か犬が違う何かに視点を向けたのかもしれないと思うとやはり寂しくも感じるのだろう。

「レナードのことが大好きな令嬢はたくさんいらっしゃいますし」

 とりあえず無難なことをイーディスはジュードに返しておいた。

「まあ、確かにレナードは女性の扱いに慣れているだろうけれども」
「あ、やっぱり? ですよね」
「待って。二人とも何言ってんの? 僕別に慣れてないからね! あと何で僕の話題になるの。今話していたのは兄上の恋愛がことさら上手くいかないって話でしょ」
「……」
「ちょっとレナード。言い方とかタイミングを考えなさい。ジュード殿下がショックで頭抱えちゃったじゃない」
「それを言うならイーディスだって今みたいにデリカシーのない言い方はないと思う」
「なんですって」
「……二人とも、俺の不甲斐なさをネタに喧嘩するのだけはやめてもらえないか」
「あ、も、申し訳ございません」
「ご、ごめんなさい、兄上」

 食事を終えて一旦二人と別れた後、イーディスは他の令嬢と一緒にいたリーゼロッテを見つけて声をかけた。令嬢たちは「では私たちはこれで」と変な気遣いをして去っていく。

「私、やっぱり嫌われてるのかなあ」
「今の方々はそういうのじゃなくて、単にディーに憧れて緊張しちゃったんだと私は思いますわよ」
「あ、憧れ? って、待って……私に令嬢として憧れられる要素何もない気がするんだけど……」

 微妙な気持ちになり、少々青ざめながらイーディスが言えば、リーゼロッテはそっと小さくため息をついてきた。

「何をおっしゃってるんでしょうね、ほんとに」
「あ、ねえ! そういえばさっきね、私、二人の王子を手玉に取る極悪女みたいに見えてなかったかな。もしくは見せびらかす悪役令嬢みたいな感じ」
「何故そんなドキドキと嬉しそうに聞くの……? だいたい悪役令嬢って何? もう。最近ディーはあなたに何か言ってくる令嬢に対して楽しんでるところあるでしょう」
「そ、そんなことないよ!」

 何故バレた、と思いつつイーディスはニコニコと笑顔で否定しておいた。

「残念ながら私はディーの性格をよく知ってるし王子殿下お二人がどういう方かもあなたを通してある程度知っているから先ほどの光景を見ても『素敵ね』すら思えなくなってきたのよ」
「そうなの? よくわからないけどロッテの夢を壊したならごめんね」
「でもディーのこと好きだから全然謝られる必要なんてないわ。あとお二人とは昼食をとられただけでしょう? デザートはまだよね? よかったら一緒にデザートを頂かない?」
「もちろんよさしかない! 食べる食べる!」

 放課後、レナードと約束をしていたイーディスは待ち合わせて一緒に馬車に乗った。町の道具屋でいい乗馬の道具を一緒に見てもらうためだ。そしてその帰り、イーディスとレナードは王宮から少し離れたその場所で不審な馬車を見かけることになった。
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