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26話
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改めてレナードからも「僕と同じ学年なんだ。だからイーディスの一つお姉さんだね」と紹介してきた。とりあえず騎士を目指していると聞いて、何故レナードがミリアを紹介してきたのかわかり、イーディスは自分のつい想像してしまっていた考えが微妙になる。
ミリアは十七歳の女性でいてとてもスマートな言動だった。見た目と相まってついイーディスは見惚れてしまった。話してみるとだが気さくで喋りやすく、すぐに意気投合して仲良くなった。
サロンでエレンたちに相談していたことは一旦イーディスの中で保留にした。わからないことはわからない。きっとわかる時はわかるに違いないし、なるようになる。多分。多分。
レナードが言ってくれたように、王宮にもミリアと一緒にたまに訪問させてもらい、見学したり時には訓練に参加させてもらったりした。そこでミリアの腕が中々のものだと知った。
「イーディス様は」
「ミリア。年下の私が呼び捨てにさせてもらっているのに何故あなたはいつまでたっても様を外さないの」
「申し訳ありません。でもお許しください。仲良くしてくださることは私もとても嬉しいです。ですが身分が違いますし」
「怒るよ」
「何より私は騎士を本当に目指しています。イーディス様と出会ってますます気持ちは固まりました。目指したいものもできました」
「え、それは何? 聞いてもいい?」
「ええ。……いつか、騎士として認められたあかつきにはイーディス様の護衛騎士になりたい」
「っ? そ、れはめちゃくちゃ嬉しいけど……王宮付きじゃなくて私?」
「はい。ですので口調は是非このままで」
ミリアはにっこりと微笑んできた。
(ああ、私──私ももっとがんばりたい。私……私──)
「私、ミリアと出会えてよかった」
「私もです。レナード殿下に感謝しないとですね」
「だね!」
ちなみにミリアとちょくちょく一緒にいるせいか、紹介してくれたレナードがたまにやきもちを妬いているらしい。
「変な話でしょ。ロッテには妬かないのに」
リーゼロッテに言えば「ミリアさんはお美しいだけじゃなく、下手をするとその辺の男性より恰好がよいですもの」と何故か楽しげに笑っていた。
イーディスがさらわれたことはリーゼロッテだけには「秘密だよ」と話している。そのせいで剣についても悩んだし、だから少し元気がなかったんだと説明すれば、ずっと心配そうにしていたリーゼロッテは「無事でよかった」と心からホッとしてくれた上に、今はもう立ち直ったことにとても喜んでくれた。
ところで幽閉されていたフリーデは今、ディーン家で働いている。やはりとても優秀で来てもらえてよかったと皆思っている。そして逃げている時にレリアードが全然目を覚まさなかったことを後でレナードと話題になった時に、「もしかしたらレリアードの魔力が無意識に働いていたのかもだね」と言っていた。
「魔力って……だって王位継承権一位ってことはもう神殿に行ったってことでしょう? なら魔封じもされているんじゃ……」
「うん。でもそれだけレリアードの力は強いって可能性もあるよ」
王国にとって上に立つ者の力が強いことは歓迎すべきことで、レナードも言いながらニコニコとしていた。
あの事件から何か月かが経ち、もうすぐ次の学年になろうとしているこの時期、学園ではダンスパーティーが行われる。
またあのくりくりでフリフリかと少々青ざめたくなったイーディスだが、サラが「お嬢様はその髪型が一番お似合いかもですね」と言ってくれ、少々アクセサリーを増やされるだけで済むことになり心からホッとした。ドレスもやたら可愛らしい感じよりもほんのり大人っぽさもありながらシンプルなドレスを選んでくれた。ただし少々胸元の露出が気になる。
「これ、庶民の恰好した時のネックチーフつけたくなるんだけど」
「まあ、おやめくださいね! なんてったってパーティは夜ですし、ドレスコードを考えるとそれでも控えめなほうですよ」
「庶民ならふしだらな女だと思うところだけど」
「残念ながら貴族のイブニングドレスでは淑女なんですよ、ほら諦めてお着替えに協力してください」
渋々、このまま殺されるのではと思う勢いでコルセットを締められ、ドレスを着せさせられた。鏡を見るともの凄くとは言わないが、そこそこいい感じの凹凸がある淑女が目の前に立っている。
「わぁ、これ騙されそう」
「誰が誰にです?」
「色んな人が私に」
「何をおっしゃってるんですか。お嬢様ほど素敵な令嬢はいらっしゃらない上で、あっけらかんと素直で馬鹿正直な令嬢も私は見たことがございません」
「ねえ、今どさくさに紛れて馬鹿って言った?」
「お嬢様を誰よりもこよなく愛している私がそんなこと言うはずがございませんでしょう。さあ、座ってくださいね、アクセサリーをつけていきますので」
「あ、待って。髪留めはいつものリボンにして欲しい」
「レナード殿下がくださったものですか? 仕方がございませんね。でもとてもお綺麗なリボンですし問題ないでしょう。ピアスともとても合っておりますもんね」
「うん」
「ですがそれだけだと少々華やかさにかけるので花などを飾っていきましょう」
「あー……。私が花粉症だったら恐ろしい刑罰だったでしょうね」
「かふ……? なんですって?」
「何でもない。シンプルにティアラのが可愛いんじゃない?」
「ティアラをお付けになりたいのでしたらさっさとレナード殿下のプロポーズをお受けになられてはどうですか」
言われて、そういえば確かにティアラは花嫁か既婚者がつけるものだと思い出した。イーディスは赤くなりながら「お花をふんだんに使って!」と慌てて言い直した。
時間通りにレナードが馬車を用意して迎えに来ていた。暖かいコートを羽織ったイーディスに手を差し出してくる。イーディスは仕方なくそこへ手をそっと乗せた。
レナードのフォーマルな恰好は何度か見かけたことはあるものの、なんだか妙に落ち着かない。腹立たしいほど似合っているからだろうか。
「今何考えている?」
「あなたの衣装が腹立たしいほど似合っているなと」
「ありがとう。イーディスらしいよ。でも腹は立てないでね。どうせならうっとりして欲しいな」
「レナードもレナードらしいね」
落ち着かないながらに、いつものように軽口は叩ける。だからこそこうしてずっとレナードと付き合ってこられたのだろうなとイーディスは内心苦笑した。
「馬車の中は暖かいよ。だからコートを。僕が持っていよう」
「ありがとう」
庶民の服を着る手助けは困惑するくせに、こういったことには慣れた手つきで手を貸してくる。レナードの手を借りてコートを脱ぐと、だがレナードが途端に少々落ち着きをなくしてきた。
「レナード?」
「あ、ごめん。その、……とても綺麗だ」
「……あ、ありがとう」
なんだかむずがゆい空気の漂う中、二人は馬車に乗り込んだ。
ミリアは十七歳の女性でいてとてもスマートな言動だった。見た目と相まってついイーディスは見惚れてしまった。話してみるとだが気さくで喋りやすく、すぐに意気投合して仲良くなった。
サロンでエレンたちに相談していたことは一旦イーディスの中で保留にした。わからないことはわからない。きっとわかる時はわかるに違いないし、なるようになる。多分。多分。
レナードが言ってくれたように、王宮にもミリアと一緒にたまに訪問させてもらい、見学したり時には訓練に参加させてもらったりした。そこでミリアの腕が中々のものだと知った。
「イーディス様は」
「ミリア。年下の私が呼び捨てにさせてもらっているのに何故あなたはいつまでたっても様を外さないの」
「申し訳ありません。でもお許しください。仲良くしてくださることは私もとても嬉しいです。ですが身分が違いますし」
「怒るよ」
「何より私は騎士を本当に目指しています。イーディス様と出会ってますます気持ちは固まりました。目指したいものもできました」
「え、それは何? 聞いてもいい?」
「ええ。……いつか、騎士として認められたあかつきにはイーディス様の護衛騎士になりたい」
「っ? そ、れはめちゃくちゃ嬉しいけど……王宮付きじゃなくて私?」
「はい。ですので口調は是非このままで」
ミリアはにっこりと微笑んできた。
(ああ、私──私ももっとがんばりたい。私……私──)
「私、ミリアと出会えてよかった」
「私もです。レナード殿下に感謝しないとですね」
「だね!」
ちなみにミリアとちょくちょく一緒にいるせいか、紹介してくれたレナードがたまにやきもちを妬いているらしい。
「変な話でしょ。ロッテには妬かないのに」
リーゼロッテに言えば「ミリアさんはお美しいだけじゃなく、下手をするとその辺の男性より恰好がよいですもの」と何故か楽しげに笑っていた。
イーディスがさらわれたことはリーゼロッテだけには「秘密だよ」と話している。そのせいで剣についても悩んだし、だから少し元気がなかったんだと説明すれば、ずっと心配そうにしていたリーゼロッテは「無事でよかった」と心からホッとしてくれた上に、今はもう立ち直ったことにとても喜んでくれた。
ところで幽閉されていたフリーデは今、ディーン家で働いている。やはりとても優秀で来てもらえてよかったと皆思っている。そして逃げている時にレリアードが全然目を覚まさなかったことを後でレナードと話題になった時に、「もしかしたらレリアードの魔力が無意識に働いていたのかもだね」と言っていた。
「魔力って……だって王位継承権一位ってことはもう神殿に行ったってことでしょう? なら魔封じもされているんじゃ……」
「うん。でもそれだけレリアードの力は強いって可能性もあるよ」
王国にとって上に立つ者の力が強いことは歓迎すべきことで、レナードも言いながらニコニコとしていた。
あの事件から何か月かが経ち、もうすぐ次の学年になろうとしているこの時期、学園ではダンスパーティーが行われる。
またあのくりくりでフリフリかと少々青ざめたくなったイーディスだが、サラが「お嬢様はその髪型が一番お似合いかもですね」と言ってくれ、少々アクセサリーを増やされるだけで済むことになり心からホッとした。ドレスもやたら可愛らしい感じよりもほんのり大人っぽさもありながらシンプルなドレスを選んでくれた。ただし少々胸元の露出が気になる。
「これ、庶民の恰好した時のネックチーフつけたくなるんだけど」
「まあ、おやめくださいね! なんてったってパーティは夜ですし、ドレスコードを考えるとそれでも控えめなほうですよ」
「庶民ならふしだらな女だと思うところだけど」
「残念ながら貴族のイブニングドレスでは淑女なんですよ、ほら諦めてお着替えに協力してください」
渋々、このまま殺されるのではと思う勢いでコルセットを締められ、ドレスを着せさせられた。鏡を見るともの凄くとは言わないが、そこそこいい感じの凹凸がある淑女が目の前に立っている。
「わぁ、これ騙されそう」
「誰が誰にです?」
「色んな人が私に」
「何をおっしゃってるんですか。お嬢様ほど素敵な令嬢はいらっしゃらない上で、あっけらかんと素直で馬鹿正直な令嬢も私は見たことがございません」
「ねえ、今どさくさに紛れて馬鹿って言った?」
「お嬢様を誰よりもこよなく愛している私がそんなこと言うはずがございませんでしょう。さあ、座ってくださいね、アクセサリーをつけていきますので」
「あ、待って。髪留めはいつものリボンにして欲しい」
「レナード殿下がくださったものですか? 仕方がございませんね。でもとてもお綺麗なリボンですし問題ないでしょう。ピアスともとても合っておりますもんね」
「うん」
「ですがそれだけだと少々華やかさにかけるので花などを飾っていきましょう」
「あー……。私が花粉症だったら恐ろしい刑罰だったでしょうね」
「かふ……? なんですって?」
「何でもない。シンプルにティアラのが可愛いんじゃない?」
「ティアラをお付けになりたいのでしたらさっさとレナード殿下のプロポーズをお受けになられてはどうですか」
言われて、そういえば確かにティアラは花嫁か既婚者がつけるものだと思い出した。イーディスは赤くなりながら「お花をふんだんに使って!」と慌てて言い直した。
時間通りにレナードが馬車を用意して迎えに来ていた。暖かいコートを羽織ったイーディスに手を差し出してくる。イーディスは仕方なくそこへ手をそっと乗せた。
レナードのフォーマルな恰好は何度か見かけたことはあるものの、なんだか妙に落ち着かない。腹立たしいほど似合っているからだろうか。
「今何考えている?」
「あなたの衣装が腹立たしいほど似合っているなと」
「ありがとう。イーディスらしいよ。でも腹は立てないでね。どうせならうっとりして欲しいな」
「レナードもレナードらしいね」
落ち着かないながらに、いつものように軽口は叩ける。だからこそこうしてずっとレナードと付き合ってこられたのだろうなとイーディスは内心苦笑した。
「馬車の中は暖かいよ。だからコートを。僕が持っていよう」
「ありがとう」
庶民の服を着る手助けは困惑するくせに、こういったことには慣れた手つきで手を貸してくる。レナードの手を借りてコートを脱ぐと、だがレナードが途端に少々落ち着きをなくしてきた。
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