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SSSランクユニークスキル!
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スキル。
それはこの世界『タックスヘルン』において『レベル』の次に重要なものである。
『レベル』はあらゆる生き物たちの強さを数値化したものであり、上限はなく無限大と言われている。
対して『スキル』は生き物たちが持つ特殊技能のことを指し、その種類は千差万別。
【髪の毛が伸びる速度を変えられる】ようなスキルから、【惑星の裏側を見通すことができる】ようなスキルまである。
スキルの取得方法はさまざまであり、特殊な家系や特別な種族などの影響によって生まれた時から先天的に得られる『レディックスキル』と、条件さえ満たせば誰でも得ることのできる『ノーマルスキル』、そして、それらの枠組みに嵌らない特別な『ユニークスキル』の3つに大別できる。
さらにスキルは『タックスヘルン』を統べる神たちの集会でその強さ、影響範囲、汎用性などの観点よりランク付けされ、一般的に高ランクなスキルほど取得の難易度が高いとされる。
「というわけで、タマちゃん様がキミに与えるユニークスキルはランクSSSだよ」
何が、「というわけで」なのかはわからないが、ランクSSS!!
めちゃくちゃ強そうなランク! とりぷるえす! トリプルエス!!
スキル発表直前なのに期待値は急上昇。もうさっさと発表してくれよ。
「慌てない、慌てない。とりあえず、ゴブリンを出すからちょっと見てて」
パチンッと指を鳴らす音に合わせてゴブリンが現れる。
先ほどのゴブリンとまったく変わらないごくごく普通のゴブリン。
違いがあるといえば、ただ一つ。
こちらと目が合っているのに襲ってこないという点だ。
あいかわらずグルルと唸っているし、余裕で人の頭をかち割れそうな棍棒も持っているけど今すぐにこちらへ向かって来る気配はない。
もしかして、意外と温厚なゴブリンなのか。
試しに親指を立ててサムズアップをしてみると少し警戒をほどいたようで、こちらにジリジリとにじり寄ってきた。
そして、こちらをジィと見つめてきた。
【ゴブリンが仲間になりたそうにこちらをみている】
とでもテロップが出てきそうな様子だ。
よくよく見るとクリクリとした可哀そうな瞳。ずっとこちらを見つめている。
本当にコイツは仲間になりたいのかもしれない。
とりあえず、名前でも付けてあげよう……『ゴブリンA』と。
「じゃあ、今からこのゴブリン倒すから見てて」
「え?」
次の瞬間、文字通りゴブリンが蒸発した。
「ゴブリンAー!!」
仲間になりたそうな目をしていたゴブリンA。
彼はわけもわからないままドナドナされる子牛のように一瞬で蒸発した。
痛みを感じないまま逝けたのがまだ、救いなのだろう。
「な、なにをする!!」
「えっへん、ボクは天使だからね。摂氏1万度で熱しただけだよ」
「ゴブリンに対してオーバキルすぎるだろ!」
「オーバーキルって言っても……ボクの中でも最弱な方法だったんだけど……」
「いや、殴る蹴るとか、方法はいくらでもあるだろ」
「殴る蹴るなんて……キミは思った以上に残酷なんだね……」
「一瞬で蒸発させたお前に言われたくないよ!」
突っ込みどころは多いけど、あの優しくて温厚なゴブリンは天国に行けたかな……きっとそうだよね。
「大丈夫さ、だって天使であるボクが介錯したんだよ」
「勝手に心読まないでくれる!? あと、介錯とか言うなよ……」
ちょっとゲンナリ。
これでゴブリン倒せなくなったらガブリエルのせいだ。うん、きっとそうだ。
「……キミがどう思おうとどうでもいいけど、見るべきものは見てほしいな」
「見るべきもの、、、、、、?」
何を見ろっていうんだ。
だって、あのゴブリン姿かたちも残ってないじゃないか。
そう思っていたら、奇妙な数字と文字が空中に浮かんできたことに気づいた。
「EXP+1?」
EXPって経験値?
どういうことだ。
「それがキミのユニークスキル『エクスウォッチャー』だよ」
「えくすうぉっちゃー?」
「通常、経験値は目で見ることも魔法で測ることもできなくて、モンスターを倒して得られる経験値もなんとなくの感覚でしかわからないんだ」
ここは異世界だけど現実。
RPGゲームのように経験値を見ることはできない。
だから、モンスターを倒して得られる経験値はいわゆる『経験則』でしかわからないということなんだろう。
「そう、キミが考えてるとおりだよ。でも、この経験値を可視化するユニークスキルなら大丈夫。今、キミが見ているようにモンスターを倒して得られる経験値がわかるようになるんだ。さらにモンスターだけじゃなく人間とか他の種族を倒して手に入る経験値もみることができるんだ」
「なるほど、経験値が見れるってわけね……それで?」
「さらにオマケで他の人とかモンスターが現在、保有している経験値もみることができるよ!」
「おお、それも便利だな……で?」
「……」
「SSSランクなんだろ? それ以外に何があるんだ?」
「ナニモナイヨ」
「んん? 聞こえないな?」
「何もないよ。そのスキルは経験値を見るだけだよ」
なんだってぇえええーーー!!
あまりの絶望に声を出すこともできなかった。
いや、だってSSSランクのユニークスキルって言われたら、もっと凄いもの想像するじゃん!
それなのに経験値みるだけってなんだよ!
絶望した!
SSSランクのユニークスキルだとか言っておいて経験値を見るだけなんて!
詐欺もいいところじゃないか!
神のクセにせこい!
僕の中で『タマちゃん様』の評価がガクッと下がった瞬間であった。
それはこの世界『タックスヘルン』において『レベル』の次に重要なものである。
『レベル』はあらゆる生き物たちの強さを数値化したものであり、上限はなく無限大と言われている。
対して『スキル』は生き物たちが持つ特殊技能のことを指し、その種類は千差万別。
【髪の毛が伸びる速度を変えられる】ようなスキルから、【惑星の裏側を見通すことができる】ようなスキルまである。
スキルの取得方法はさまざまであり、特殊な家系や特別な種族などの影響によって生まれた時から先天的に得られる『レディックスキル』と、条件さえ満たせば誰でも得ることのできる『ノーマルスキル』、そして、それらの枠組みに嵌らない特別な『ユニークスキル』の3つに大別できる。
さらにスキルは『タックスヘルン』を統べる神たちの集会でその強さ、影響範囲、汎用性などの観点よりランク付けされ、一般的に高ランクなスキルほど取得の難易度が高いとされる。
「というわけで、タマちゃん様がキミに与えるユニークスキルはランクSSSだよ」
何が、「というわけで」なのかはわからないが、ランクSSS!!
めちゃくちゃ強そうなランク! とりぷるえす! トリプルエス!!
スキル発表直前なのに期待値は急上昇。もうさっさと発表してくれよ。
「慌てない、慌てない。とりあえず、ゴブリンを出すからちょっと見てて」
パチンッと指を鳴らす音に合わせてゴブリンが現れる。
先ほどのゴブリンとまったく変わらないごくごく普通のゴブリン。
違いがあるといえば、ただ一つ。
こちらと目が合っているのに襲ってこないという点だ。
あいかわらずグルルと唸っているし、余裕で人の頭をかち割れそうな棍棒も持っているけど今すぐにこちらへ向かって来る気配はない。
もしかして、意外と温厚なゴブリンなのか。
試しに親指を立ててサムズアップをしてみると少し警戒をほどいたようで、こちらにジリジリとにじり寄ってきた。
そして、こちらをジィと見つめてきた。
【ゴブリンが仲間になりたそうにこちらをみている】
とでもテロップが出てきそうな様子だ。
よくよく見るとクリクリとした可哀そうな瞳。ずっとこちらを見つめている。
本当にコイツは仲間になりたいのかもしれない。
とりあえず、名前でも付けてあげよう……『ゴブリンA』と。
「じゃあ、今からこのゴブリン倒すから見てて」
「え?」
次の瞬間、文字通りゴブリンが蒸発した。
「ゴブリンAー!!」
仲間になりたそうな目をしていたゴブリンA。
彼はわけもわからないままドナドナされる子牛のように一瞬で蒸発した。
痛みを感じないまま逝けたのがまだ、救いなのだろう。
「な、なにをする!!」
「えっへん、ボクは天使だからね。摂氏1万度で熱しただけだよ」
「ゴブリンに対してオーバキルすぎるだろ!」
「オーバーキルって言っても……ボクの中でも最弱な方法だったんだけど……」
「いや、殴る蹴るとか、方法はいくらでもあるだろ」
「殴る蹴るなんて……キミは思った以上に残酷なんだね……」
「一瞬で蒸発させたお前に言われたくないよ!」
突っ込みどころは多いけど、あの優しくて温厚なゴブリンは天国に行けたかな……きっとそうだよね。
「大丈夫さ、だって天使であるボクが介錯したんだよ」
「勝手に心読まないでくれる!? あと、介錯とか言うなよ……」
ちょっとゲンナリ。
これでゴブリン倒せなくなったらガブリエルのせいだ。うん、きっとそうだ。
「……キミがどう思おうとどうでもいいけど、見るべきものは見てほしいな」
「見るべきもの、、、、、、?」
何を見ろっていうんだ。
だって、あのゴブリン姿かたちも残ってないじゃないか。
そう思っていたら、奇妙な数字と文字が空中に浮かんできたことに気づいた。
「EXP+1?」
EXPって経験値?
どういうことだ。
「それがキミのユニークスキル『エクスウォッチャー』だよ」
「えくすうぉっちゃー?」
「通常、経験値は目で見ることも魔法で測ることもできなくて、モンスターを倒して得られる経験値もなんとなくの感覚でしかわからないんだ」
ここは異世界だけど現実。
RPGゲームのように経験値を見ることはできない。
だから、モンスターを倒して得られる経験値はいわゆる『経験則』でしかわからないということなんだろう。
「そう、キミが考えてるとおりだよ。でも、この経験値を可視化するユニークスキルなら大丈夫。今、キミが見ているようにモンスターを倒して得られる経験値がわかるようになるんだ。さらにモンスターだけじゃなく人間とか他の種族を倒して手に入る経験値もみることができるんだ」
「なるほど、経験値が見れるってわけね……それで?」
「さらにオマケで他の人とかモンスターが現在、保有している経験値もみることができるよ!」
「おお、それも便利だな……で?」
「……」
「SSSランクなんだろ? それ以外に何があるんだ?」
「ナニモナイヨ」
「んん? 聞こえないな?」
「何もないよ。そのスキルは経験値を見るだけだよ」
なんだってぇえええーーー!!
あまりの絶望に声を出すこともできなかった。
いや、だってSSSランクのユニークスキルって言われたら、もっと凄いもの想像するじゃん!
それなのに経験値みるだけってなんだよ!
絶望した!
SSSランクのユニークスキルだとか言っておいて経験値を見るだけなんて!
詐欺もいいところじゃないか!
神のクセにせこい!
僕の中で『タマちゃん様』の評価がガクッと下がった瞬間であった。
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