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できることを実感すると、一気に幸福感に満たされた。
二十歳を過ぎた頃に、メイクを覚えて習慣付けもした。
偶に女の子と間違われることも増えてきた。
相手は謝ってくることが多いけれど、内心では嬉しかった。
いい加減、『男』として生きることに疲れて嫌気が差していたのだ。
可愛くなくても、女性としての側面を持つ自分を、ただ隠すことも批判されることもなく、本当に自由で普通に生きていたいだけなのだ。高校に上がっても、心は晴れなかった。
パンセクシャルを『バイセクシャル』としてカミングアウトしても、冷やかされて深く傷ついた。
高校からは、いつかは自分らしさを取り戻そうと思っていたのに、やはり不可能だった。
女子を中心に数人は、理解を一定度示そうとしてくれた。
でも、言動を見て周りが未だに『オカマ』という。
私にとっては、『自分のままで、何も演じることなく自然な自分でいたい』、ただそれだけだったのに……。
唯一、自分でいられたのは、当時付き合っていた子と二人で、女子会みたいなことを略毎日やっていた瞬間だけだった。
でも、そこでは男としていなくちゃいけない気がして、少し窮屈さを感じてもいた。
18歳で、難病に罹り、自分を見つめ直すことができた。
『成人したら、何処かで演じるのを止めよう』、そう思い直すことができた。
入院中に散髪も出来ず、髪がぼさぼさに伸びていた頃に、女子に合流して喋ったり、時には遊んだりして過ごした。
髪も、トリートメントしたりして切らなくても綺麗に見えるように手入れをするようになった。
同時に、ヘアピンをしたりして女の子っぽい、自分らしい髪形を楽しむことも覚えた。
写真を撮られて、揶揄われたこともあって、傷つきもしたが、それ以上に自分らしさを見た目から取り戻すことが
だけれど、現実は甘くなかった。
始めた仕事が、児童福祉の仕事だったのだ。
好きで始めた仕事が、逆に自分を腹に苦しめた。
『男で生まれた以上は男でのみ在り続けろ。それ以外は許さない』
そういう世界だったのだ。
未だに、前職の同業者には、出会っても打ち明けられない。
少しでも女性の面が出れば、許容してくれる保護者が殆どではあるが、それでも職員は、『性差』と『男らしさ』を強制してくる。
場合によれば、酷く根拠もなく批判してくる。
男女ともに、年が近いのもあって子どもから友人感覚で接してきて、それに応えようとしても、男の子とのみの男の会話と遊びを強要される。
女の子に誘われて、幼い頃にやっていたように人形遊びをして相手をしていたら、職員が異常なまでに突き放そうとする。
私には性別の壁や柵が理解できないし、抑々の概念は無い。
寧ろ、性別で分けようとすることに対して愚かさすら感じている。
だけど、世の中は陰か陽かでしか判断できない。
陰陽一体とか、スペクトラムとかは受容できない。
この矛盾を、どうこうしようというつもりはない。
それでも、遊びだったり、交友関係だったり、服装やメイク、ファッション、趣味嗜好なんか、人其々であるのと同じように、性別にとらわれないでほしいと強く思う。
未だに街を歩いたり、店で他人とすれ違ったりする度に、私の見た目の不自然さからか、『気持ち悪い』、『キモイ』と言われることが多い。
ただし、私はファッションというより、生まれ付きの性自認から来る、ごく普通の格好や趣味嗜好なので、悪口を言われたところで変わる気もないし、変えられない。
唯々、傷ついて摩耗していくだけである。
今日、性観念についての理解や変容が、日本では若い世代を中心に大きく変化を続けている。
だからこそ、いつかは女装も男装も、ゴスロリも、コスプレも、当たり前の光景になる……そんな社会になって欲しいと強く思う。
二十歳を過ぎた頃に、メイクを覚えて習慣付けもした。
偶に女の子と間違われることも増えてきた。
相手は謝ってくることが多いけれど、内心では嬉しかった。
いい加減、『男』として生きることに疲れて嫌気が差していたのだ。
可愛くなくても、女性としての側面を持つ自分を、ただ隠すことも批判されることもなく、本当に自由で普通に生きていたいだけなのだ。高校に上がっても、心は晴れなかった。
パンセクシャルを『バイセクシャル』としてカミングアウトしても、冷やかされて深く傷ついた。
高校からは、いつかは自分らしさを取り戻そうと思っていたのに、やはり不可能だった。
女子を中心に数人は、理解を一定度示そうとしてくれた。
でも、言動を見て周りが未だに『オカマ』という。
私にとっては、『自分のままで、何も演じることなく自然な自分でいたい』、ただそれだけだったのに……。
唯一、自分でいられたのは、当時付き合っていた子と二人で、女子会みたいなことを略毎日やっていた瞬間だけだった。
でも、そこでは男としていなくちゃいけない気がして、少し窮屈さを感じてもいた。
18歳で、難病に罹り、自分を見つめ直すことができた。
『成人したら、何処かで演じるのを止めよう』、そう思い直すことができた。
入院中に散髪も出来ず、髪がぼさぼさに伸びていた頃に、女子に合流して喋ったり、時には遊んだりして過ごした。
髪も、トリートメントしたりして切らなくても綺麗に見えるように手入れをするようになった。
同時に、ヘアピンをしたりして女の子っぽい、自分らしい髪形を楽しむことも覚えた。
写真を撮られて、揶揄われたこともあって、傷つきもしたが、それ以上に自分らしさを見た目から取り戻すことが
だけれど、現実は甘くなかった。
始めた仕事が、児童福祉の仕事だったのだ。
好きで始めた仕事が、逆に自分を腹に苦しめた。
『男で生まれた以上は男でのみ在り続けろ。それ以外は許さない』
そういう世界だったのだ。
未だに、前職の同業者には、出会っても打ち明けられない。
少しでも女性の面が出れば、許容してくれる保護者が殆どではあるが、それでも職員は、『性差』と『男らしさ』を強制してくる。
場合によれば、酷く根拠もなく批判してくる。
男女ともに、年が近いのもあって子どもから友人感覚で接してきて、それに応えようとしても、男の子とのみの男の会話と遊びを強要される。
女の子に誘われて、幼い頃にやっていたように人形遊びをして相手をしていたら、職員が異常なまでに突き放そうとする。
私には性別の壁や柵が理解できないし、抑々の概念は無い。
寧ろ、性別で分けようとすることに対して愚かさすら感じている。
だけど、世の中は陰か陽かでしか判断できない。
陰陽一体とか、スペクトラムとかは受容できない。
この矛盾を、どうこうしようというつもりはない。
それでも、遊びだったり、交友関係だったり、服装やメイク、ファッション、趣味嗜好なんか、人其々であるのと同じように、性別にとらわれないでほしいと強く思う。
未だに街を歩いたり、店で他人とすれ違ったりする度に、私の見た目の不自然さからか、『気持ち悪い』、『キモイ』と言われることが多い。
ただし、私はファッションというより、生まれ付きの性自認から来る、ごく普通の格好や趣味嗜好なので、悪口を言われたところで変わる気もないし、変えられない。
唯々、傷ついて摩耗していくだけである。
今日、性観念についての理解や変容が、日本では若い世代を中心に大きく変化を続けている。
だからこそ、いつかは女装も男装も、ゴスロリも、コスプレも、当たり前の光景になる……そんな社会になって欲しいと強く思う。
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