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第一章
決闘の申し込み
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え?まさか聞こえたの?隣にいるテオにすら聞こえないぐらい小さく呟いたのに。だとしたら凄い地獄耳だな。
「…兄上。何を笑われているのです?」
「あ、いやいや気にするな」
そう言いながらも肩を震わせている第一王子は、隣に立っていた眼鏡の騎士になにやら注意を受けているようだ。
「あの…ローレンス殿下?一つお聞きしたいのですが、私の身の程を知らないから決闘って仰っていましたが、身の程を知らないって一体何です?」
俺の言葉に、ローレンス王子もやっと本題に入れたとばかりに口蓋をつり上げ、フンと馬鹿にしたように鼻を鳴す。
「決まっているだろう。アスタール公爵家の次期当主の地位を磐石にせんと、我が愛しのテオノアを恥知らずにも誘惑した罪だ」
……はい?
何を言ってるんだ。この残念アホ王子は。
横にいるテオの顔を見てみれば、明らかなうんざり顔。そしていつの間にか傍に来ていたエイトールらも、揃いも揃ってうんざり顔をしている。その表情は「またバカ言ってるよ」と明確に言っていた。
「えっと…。何か勘違いしてませんか?」
やんわりと口を開いたものの、残念アホ王子は俺の言葉を全否定すべく矢継ぎ早に捲し立ててきた。
「勘違いなものか!貴様を見て、疑惑が確信に変わったわ!貴様は弟に血統も魔力も劣るがゆえ、唯一優れたその容姿を武器にテオノアを篭絡せしめ、アスタール公爵家を我が物とせんと謀ったのだ!そうでなければ、テオノアが私の求愛を拒む理由がない!」
…いや、拒む理由、滅茶苦茶ありまくりな気がするけど。
ってか、なんで俺が実の弟誘惑しなきゃならんのだ!頭沸いてんのかこのクソ王子!あんまりな言い草にムカついている俺に、このバカ王子は更に暴言をぶつけてきた。
「貴様と瓜二つの母セオドアも、その美貌を使って数多の男どもを篭絡していたと聞く。おおかた、貴様を当主に据えたい実母に入れ知恵でもされたのであろう!?」
「...ぁあ?」
ブチッと何かがキレた音がした。
この残念クソ王子!俺だけならいざ知らず、父さんまで侮辱しやがって!
隣のテオが「あ、マズイ」って顔してこっちを見ているが、恨むならこの目の前の顔だけ王子を恨め!
「…ローレンス殿下。ご自身がそうだから、きっと他人も同じだろうとご推察されたその豊かな創造力、感服致します」
「なっ!?」
「けれどご心配には及びませんよ。父も私も、美しさなどというどーでもいいものに頼らぬ、まっとうで堅実な人生目指して日々精進しております。自分の美しさを鼻にかけ、やりたい放題やって享楽に耽った挙げ句、誰にも見向きもされないシワくちゃジジイになった時に、『あの頃のワシは美しかった』と、事あるごとにブツブツ呟いてるだけの痛い老人にだけはなりたくないですからね」
ニッコリ笑顔で毒を吐き、王子様と取り巻き達を固まらせる。
うん、俺の嫌みを理解するぐらいの頭はあるようだが、たかだか15のガキが実年齢17歳プラス、精神年齢16歳、イコール33歳に勝てると思うな!
…しかし問題は、王子達だけでなく、テオとエイトールらをも凍りつかせてしまった事だ。
あ、よく見てみれば周りにいる連中も固まってる。…これ、後で絶対テオに説教喰らうな。父さんまで話がいったら、説教プラス鉄拳制裁間違いなしだ。…やっちまったな~。
「ブフォ!」
声のした方に目をやれば、固まっているローレンス王子達の後方で、第一王子がまたしても盛大に吹き出していた。しかも今回は腹を抱えてしゃがみこんでいる。なんとも笑い上戸なお方だ。
「お…おのれ…。無礼な…!」
ローレンス王子は硬直が溶けるなり、ブルブルと怒りに震えながらビシッと俺を指差した。
「我、ローレンス・フェレーラは今ここで、正式にユキヤ・アスタールに決闘を申し込む!…だが、その前に」
ローレンス王子が後方を振り向くと、控えていた生徒達が一斉に前に進み出てきた。
「これらの者達も、貴様と戦いたいと望んでいるのでな。私と戦う前にまず、彼らと戦ってもらおう」
「はぁ?!」
「…兄上。何を笑われているのです?」
「あ、いやいや気にするな」
そう言いながらも肩を震わせている第一王子は、隣に立っていた眼鏡の騎士になにやら注意を受けているようだ。
「あの…ローレンス殿下?一つお聞きしたいのですが、私の身の程を知らないから決闘って仰っていましたが、身の程を知らないって一体何です?」
俺の言葉に、ローレンス王子もやっと本題に入れたとばかりに口蓋をつり上げ、フンと馬鹿にしたように鼻を鳴す。
「決まっているだろう。アスタール公爵家の次期当主の地位を磐石にせんと、我が愛しのテオノアを恥知らずにも誘惑した罪だ」
……はい?
何を言ってるんだ。この残念アホ王子は。
横にいるテオの顔を見てみれば、明らかなうんざり顔。そしていつの間にか傍に来ていたエイトールらも、揃いも揃ってうんざり顔をしている。その表情は「またバカ言ってるよ」と明確に言っていた。
「えっと…。何か勘違いしてませんか?」
やんわりと口を開いたものの、残念アホ王子は俺の言葉を全否定すべく矢継ぎ早に捲し立ててきた。
「勘違いなものか!貴様を見て、疑惑が確信に変わったわ!貴様は弟に血統も魔力も劣るがゆえ、唯一優れたその容姿を武器にテオノアを篭絡せしめ、アスタール公爵家を我が物とせんと謀ったのだ!そうでなければ、テオノアが私の求愛を拒む理由がない!」
…いや、拒む理由、滅茶苦茶ありまくりな気がするけど。
ってか、なんで俺が実の弟誘惑しなきゃならんのだ!頭沸いてんのかこのクソ王子!あんまりな言い草にムカついている俺に、このバカ王子は更に暴言をぶつけてきた。
「貴様と瓜二つの母セオドアも、その美貌を使って数多の男どもを篭絡していたと聞く。おおかた、貴様を当主に据えたい実母に入れ知恵でもされたのであろう!?」
「...ぁあ?」
ブチッと何かがキレた音がした。
この残念クソ王子!俺だけならいざ知らず、父さんまで侮辱しやがって!
隣のテオが「あ、マズイ」って顔してこっちを見ているが、恨むならこの目の前の顔だけ王子を恨め!
「…ローレンス殿下。ご自身がそうだから、きっと他人も同じだろうとご推察されたその豊かな創造力、感服致します」
「なっ!?」
「けれどご心配には及びませんよ。父も私も、美しさなどというどーでもいいものに頼らぬ、まっとうで堅実な人生目指して日々精進しております。自分の美しさを鼻にかけ、やりたい放題やって享楽に耽った挙げ句、誰にも見向きもされないシワくちゃジジイになった時に、『あの頃のワシは美しかった』と、事あるごとにブツブツ呟いてるだけの痛い老人にだけはなりたくないですからね」
ニッコリ笑顔で毒を吐き、王子様と取り巻き達を固まらせる。
うん、俺の嫌みを理解するぐらいの頭はあるようだが、たかだか15のガキが実年齢17歳プラス、精神年齢16歳、イコール33歳に勝てると思うな!
…しかし問題は、王子達だけでなく、テオとエイトールらをも凍りつかせてしまった事だ。
あ、よく見てみれば周りにいる連中も固まってる。…これ、後で絶対テオに説教喰らうな。父さんまで話がいったら、説教プラス鉄拳制裁間違いなしだ。…やっちまったな~。
「ブフォ!」
声のした方に目をやれば、固まっているローレンス王子達の後方で、第一王子がまたしても盛大に吹き出していた。しかも今回は腹を抱えてしゃがみこんでいる。なんとも笑い上戸なお方だ。
「お…おのれ…。無礼な…!」
ローレンス王子は硬直が溶けるなり、ブルブルと怒りに震えながらビシッと俺を指差した。
「我、ローレンス・フェレーラは今ここで、正式にユキヤ・アスタールに決闘を申し込む!…だが、その前に」
ローレンス王子が後方を振り向くと、控えていた生徒達が一斉に前に進み出てきた。
「これらの者達も、貴様と戦いたいと望んでいるのでな。私と戦う前にまず、彼らと戦ってもらおう」
「はぁ?!」
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