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第一章
愚かな提案と戦闘開始
…えっと、今何を言ったのかな?この王子様。ひょっとして、俺が聞き間違いをしたのかな?
「ローレンス殿下!貴方はご自分が何を仰っているのか、分かっておられるのか!?貴方との決闘のみならず、何故兄が彼らとも戦わねばならないのですか!」
テオの言葉に「あ、聞き間違いじゃなかった」と、脳が理解する。いや、理解したくないけど。
テオの言う通りだ。何で俺が複数人と同時に決闘せにゃならんのだ。周囲も王子の言葉に動揺しているのか、ざわついている。
「ふん。そもそも、決闘は一対一で戦うと定められてはいるが、一度に何人もの相手と続けて戦ってはいけないという決まりはない。違うか?」
「ッ!それは…。その通りですが…」
テオが悔し気に顔を歪める。成程。つまりは勝ち抜き戦をおこなおうって言いたいのか。
確かに戦場とかでは騎士道だ、一対一で正々堂々と…なんて言ってられないけど、ここって戦場じゃないよな…。それにしても、確実に勝ちを取る方法に打って出たという事は、前評判と違ってあまり自分に自信が無いのかな、この王子様。
「誰が自信が無いだ!誤解するな!これは貴様の為を思っての、私なりの優しさだ!」
おっと、心の声が外に漏れてた。しかし、勝ち抜き戦のどこが優しさとやらに繋がるのだ?
「ここに揃う者達は、私の信奉者達の中でもとりわけ魔力、武術共に優れた者達だ。そして私は彼らよりも強い。つまり、彼らを倒して初めて、私と対峙する実力があると示す事になるのだ!ここで臆するようなら、お前はどう足掻いても私には勝てない!」
「…兄上、それは本当です。彼らはこの学院の生徒会のメンバーと、それに準ずる補佐の者達。王子の言う通り、品格や知性などはともかくとして、実力者揃いなのは間違いありません」
テオが険しい顔で王子達を睨み付けながら、そう説明してくれる。
――成程。つまりは初っ端から格上に挑んでボロ負けするぐらいなら、恥かく前に逃げ帰った方が身の為だと言いたい訳ね。
そして大人しく俺は奴隷になり、テオは夫になれと。…ふざけんなよ、この残念クソ王子が!!
「…だが、私とて慈悲の心はある。己の分をわきまえ、勝てぬと素直に認めて潔く次期公爵の地位を返上するのであれば、この決闘を辞退してもそれについては何も言うまい」
うん、どうやら推測した通りのようだ。本当に分かり易いな、この王子様。
ランスロット王子の方をチラリと見てみれば、「やれやれ」といった呆れ顔だ。おい、ため息ついてないで何とかしろよ、お前の愚弟!
「…分かりました」
はぁ…と溜息をついた俺に、ローレンス王子が勝ち誇ったような笑みを浮かべる。
「それではまず、その取り巻き方のお相手を致します。建物内ではあれですので、この場でよろしいですか?ああ、一人一人は面倒なので、まとめてどうぞ」
想像していた言葉と違い、俺が決闘を受ける事を承諾した事に、ローレンス王子の表情が凍り付いた。
次いでその顔に憤怒の色が浮かぶが、俺は気にする事無く外套を脱いでテオに差し出す。
「テオ、これを持っててくれ」
「あ…兄上!無茶です!!」
「無茶かどうか、やってみなけりゃ分からないだろ。それにどのみちもう、決闘は受けてしまったんだから、やるしかない!」
真っ青になっている弟に外套を押し付けると、俺は王子の親衛隊達に向き直った。
「…ベル。この中で特に脅威な能力を持つ者はいるか?」
コソリと服の中にいるベルに声をかける。すると頭の中に声が響く。
『いないな。皆、レベルは似たり寄ったりだ。俺が出張るまでもなかろう』
俺ならば余裕で勝てると太鼓判押してくれた…んじゃないな。つまりは気が乗らない訳ねと、思わず苦笑が漏れる。
「お前がぶっ飛ばしてくれれば話が早いんだがな。…じゃあ、とっとと片付けるか」
何時の間にか、俺達の周囲には誰もいなくなっていた。皆、俺達の周囲をぐるりと囲むようにして、遠巻きにしている。テオは…うん、エイトール達が無理矢理後方に引きずっていってくれたか。助かる。
「先程王子にも言ったが、君達との決闘、受けて立つ。一人ずつでもいいが、まとめて来られた方がこっちとしては手間がいらないので、そちらをお勧めする。武器も攻撃方法もご自由にどうぞ」
俺の提案を侮辱と捉えたのか、親衛隊の面々が一斉に気色ばんだ。だが、最初にこちらを馬鹿にしまくってくれたのはそちらだ。いちいち物言いを気にしてなんてやれるか。馬鹿馬鹿しい。
「おのれ!我らと我が主君を侮辱してくれた報い、その身に受けさせてくれる!参る!」
リーダー格であろう男が、腰のサーベルを抜き切りかかって来る。速度強化の魔法を使っているのか、男の切っ先があっという間に俺の間合いへと入った。
剣が身体を掠めるギリギリで避ける。それと同時に、相手の鳩尾に蹴りを入れた。
「ぐはっ!!」
蹴り自体は軽くしたのだが、相手は速度強化で突っ込んで来てしまった。
その為、普通の蹴りの何倍ものダメージを喰らったようで、白目を剥き、その場に崩れ落ちてしまった。
一瞬でついた決着に、周囲がどよめく。
親衛隊は一瞬怯んだ様子を見せたが、今度は複数人がそれぞれの得意とする武器や魔法を使い、同時に向かってきた。
「ローレンス殿下!貴方はご自分が何を仰っているのか、分かっておられるのか!?貴方との決闘のみならず、何故兄が彼らとも戦わねばならないのですか!」
テオの言葉に「あ、聞き間違いじゃなかった」と、脳が理解する。いや、理解したくないけど。
テオの言う通りだ。何で俺が複数人と同時に決闘せにゃならんのだ。周囲も王子の言葉に動揺しているのか、ざわついている。
「ふん。そもそも、決闘は一対一で戦うと定められてはいるが、一度に何人もの相手と続けて戦ってはいけないという決まりはない。違うか?」
「ッ!それは…。その通りですが…」
テオが悔し気に顔を歪める。成程。つまりは勝ち抜き戦をおこなおうって言いたいのか。
確かに戦場とかでは騎士道だ、一対一で正々堂々と…なんて言ってられないけど、ここって戦場じゃないよな…。それにしても、確実に勝ちを取る方法に打って出たという事は、前評判と違ってあまり自分に自信が無いのかな、この王子様。
「誰が自信が無いだ!誤解するな!これは貴様の為を思っての、私なりの優しさだ!」
おっと、心の声が外に漏れてた。しかし、勝ち抜き戦のどこが優しさとやらに繋がるのだ?
「ここに揃う者達は、私の信奉者達の中でもとりわけ魔力、武術共に優れた者達だ。そして私は彼らよりも強い。つまり、彼らを倒して初めて、私と対峙する実力があると示す事になるのだ!ここで臆するようなら、お前はどう足掻いても私には勝てない!」
「…兄上、それは本当です。彼らはこの学院の生徒会のメンバーと、それに準ずる補佐の者達。王子の言う通り、品格や知性などはともかくとして、実力者揃いなのは間違いありません」
テオが険しい顔で王子達を睨み付けながら、そう説明してくれる。
――成程。つまりは初っ端から格上に挑んでボロ負けするぐらいなら、恥かく前に逃げ帰った方が身の為だと言いたい訳ね。
そして大人しく俺は奴隷になり、テオは夫になれと。…ふざけんなよ、この残念クソ王子が!!
「…だが、私とて慈悲の心はある。己の分をわきまえ、勝てぬと素直に認めて潔く次期公爵の地位を返上するのであれば、この決闘を辞退してもそれについては何も言うまい」
うん、どうやら推測した通りのようだ。本当に分かり易いな、この王子様。
ランスロット王子の方をチラリと見てみれば、「やれやれ」といった呆れ顔だ。おい、ため息ついてないで何とかしろよ、お前の愚弟!
「…分かりました」
はぁ…と溜息をついた俺に、ローレンス王子が勝ち誇ったような笑みを浮かべる。
「それではまず、その取り巻き方のお相手を致します。建物内ではあれですので、この場でよろしいですか?ああ、一人一人は面倒なので、まとめてどうぞ」
想像していた言葉と違い、俺が決闘を受ける事を承諾した事に、ローレンス王子の表情が凍り付いた。
次いでその顔に憤怒の色が浮かぶが、俺は気にする事無く外套を脱いでテオに差し出す。
「テオ、これを持っててくれ」
「あ…兄上!無茶です!!」
「無茶かどうか、やってみなけりゃ分からないだろ。それにどのみちもう、決闘は受けてしまったんだから、やるしかない!」
真っ青になっている弟に外套を押し付けると、俺は王子の親衛隊達に向き直った。
「…ベル。この中で特に脅威な能力を持つ者はいるか?」
コソリと服の中にいるベルに声をかける。すると頭の中に声が響く。
『いないな。皆、レベルは似たり寄ったりだ。俺が出張るまでもなかろう』
俺ならば余裕で勝てると太鼓判押してくれた…んじゃないな。つまりは気が乗らない訳ねと、思わず苦笑が漏れる。
「お前がぶっ飛ばしてくれれば話が早いんだがな。…じゃあ、とっとと片付けるか」
何時の間にか、俺達の周囲には誰もいなくなっていた。皆、俺達の周囲をぐるりと囲むようにして、遠巻きにしている。テオは…うん、エイトール達が無理矢理後方に引きずっていってくれたか。助かる。
「先程王子にも言ったが、君達との決闘、受けて立つ。一人ずつでもいいが、まとめて来られた方がこっちとしては手間がいらないので、そちらをお勧めする。武器も攻撃方法もご自由にどうぞ」
俺の提案を侮辱と捉えたのか、親衛隊の面々が一斉に気色ばんだ。だが、最初にこちらを馬鹿にしまくってくれたのはそちらだ。いちいち物言いを気にしてなんてやれるか。馬鹿馬鹿しい。
「おのれ!我らと我が主君を侮辱してくれた報い、その身に受けさせてくれる!参る!」
リーダー格であろう男が、腰のサーベルを抜き切りかかって来る。速度強化の魔法を使っているのか、男の切っ先があっという間に俺の間合いへと入った。
剣が身体を掠めるギリギリで避ける。それと同時に、相手の鳩尾に蹴りを入れた。
「ぐはっ!!」
蹴り自体は軽くしたのだが、相手は速度強化で突っ込んで来てしまった。
その為、普通の蹴りの何倍ものダメージを喰らったようで、白目を剥き、その場に崩れ落ちてしまった。
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