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第二章
一緒にいてくれてありがとう
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「……美味い……な」
「――!だろ!?」
俺はホッとしながら顔を綻ばせた。そんな俺をジッと見つめた後、ベルはスープを食べる事に集中しだす。
俺も自分のお椀にスープをたっぷりよそって食べ始めた。うん、即席で作った割りには上出来だ。やはり塩?がいい仕事しているよな。勿論、ブーケガルニもいい仕事した。
「ユキヤ、お代わり」
その後、ベルは物凄い食欲でスープのお代わりをしまくり、あれだけ作ったスープはあっという間に食べ尽くされてしまったのだった。
あれ?おかしいな?朝食分もと多めに作っていたのに……。しかも俺、1杯しか食べられなかったんだけど………。
まあ、気に入ってくれたみたいだから良しとするか。でも食べ過ぎは良くないと思うんだけどな……あ、そうだった。コイツは悪魔だから食べ過ぎとか関係ないか。
「ふぁ……」
残っていた井戸の水で軽く食器を濯ぎ、口もすすいで一息つく。
そしたら人間の生理現象の一つ、腹が膨れたら眠くなる。……という訳で、今俺は凄く眠い。
だけどなぁ……。流石にマットレスの無い、木組みのベッドの上で寝るのはいかがなものかと思う。
室温も暖かくなったとは言え、掛け布団も無いからちょっと寒そうだし。
いくら俺が元庶民でも、この世界に生まれてからは極上羽毛布団での生活だったからな……。悲しい事に、人間とは贅沢にはすぐ馴れるが、逆は中々慣れない生き物なのだ。
まあ、床に寝るよりマシかと諦めたら、なんとベルがベッドにもたれるようにして、手招きをしてきた。
「……お前、何やってんの?」
「俺がお前を抱いて寝てやろう」
「なんかお前が言うと台詞が卑猥……って、何で!?一人で寝るし!」
「この固い板の上でか?」
「うっ……!」
正に今さっき考えて悶々していた事を指摘され、言葉が詰まってしまう。
「しかもその薄着じゃ、確実にまた調子が悪くなるぞ?」
「うう……」
更に追い討ちをかけられてしまい、苦悩の表情を浮かべて呻く俺を、ベルは心無し楽し気に見つめ片口端をあげた。
「さあ、どうする?俺は別にどっちでもいいぞ?」
「………」
長い、長い葛藤の末、俺は観念した。
そう、大人しくベルに後ろから抱っこされる形でベッドに横になった。というか、もたれた。
「全く、最初っから素直になれば良いものを」
「う、うるさい!」
クックッと喉奥で笑う声に小さく悪態をつき、ともすれば熱が灯りそうな顔を俯かせた。そしたら緩く回されていた腕に少し力が入り、俺とベルの身体が更に密着して内心焦る。
「ちょっ……!」
「うるせえな。この方が温いだろうが」
「性的な行為は俺の許可無しでは禁止!」を誓約書に加えてるけど、これならば何ら問題ないとばかりに遠慮なく抱きしめられてしまう俺。
確かに、背中からじんわりと身体中が暖まってきてる...んだけど…。
うう……。見事に鍛え上げられた身体の良い弾力が背中越しに伝わって来て落ち着かない。
そういえばこいつ、俺の身体とか魂とか狙ってるんだよな……いや、意識しない、意識しない!
意識してしまえば負けだ!身体の純粋なる訴えに耳を傾けろ!寝ろ!寝るんだ!!そ、そうだ!日本古来より伝わる眠りへと誘うアレを……!
羊が一匹…羊が二匹……。
脳内でエンドレスシープシネマを上映していると、ふわりとした別種の温かさに包まれ、何だろうと目を開けてみる。すると俺の身体を覆うように、ベルの羽が身体を包み込んでいた。これぞまさにリアル羽毛布団。
(ふわぁ……)
極上の温かさに、緊張していた心身が溶かされていくようだ。
うとうとと眠くなって揺れ動く意識の中で、俺はふと思った。
――こいつって、かなり優しいよな……。
勿論悪魔だから、これも俺を堕とす為の作戦の一環かもしれない。
それでも実際、ベルがいてくれたお陰で俺はこうして生きているし、こんな状態でも何とかなっているのだ。何より、自分は一人じゃないんだって事実が、こんなにも心強くて嬉しい。
「ベル……」
「ん?」
「……ありがと……」
俺と一緒にいてくれて。っていう言葉は、やっぱり気恥ずかしくて心の中で呟いたけど。
何となく、気配でベルが驚いてるような気がした。
悪魔って、ただただ恐いだけの存在だと思ったけど、割と人間臭いよな……。天使もアレだったし……。あ、明日の朝食はどうしようかな……。またベルに……今度は卵を持ってきてもらって……。
つらつらと、まどろみながら考え事をしている内に、俺は眠りへと落ちていった。
「――!だろ!?」
俺はホッとしながら顔を綻ばせた。そんな俺をジッと見つめた後、ベルはスープを食べる事に集中しだす。
俺も自分のお椀にスープをたっぷりよそって食べ始めた。うん、即席で作った割りには上出来だ。やはり塩?がいい仕事しているよな。勿論、ブーケガルニもいい仕事した。
「ユキヤ、お代わり」
その後、ベルは物凄い食欲でスープのお代わりをしまくり、あれだけ作ったスープはあっという間に食べ尽くされてしまったのだった。
あれ?おかしいな?朝食分もと多めに作っていたのに……。しかも俺、1杯しか食べられなかったんだけど………。
まあ、気に入ってくれたみたいだから良しとするか。でも食べ過ぎは良くないと思うんだけどな……あ、そうだった。コイツは悪魔だから食べ過ぎとか関係ないか。
「ふぁ……」
残っていた井戸の水で軽く食器を濯ぎ、口もすすいで一息つく。
そしたら人間の生理現象の一つ、腹が膨れたら眠くなる。……という訳で、今俺は凄く眠い。
だけどなぁ……。流石にマットレスの無い、木組みのベッドの上で寝るのはいかがなものかと思う。
室温も暖かくなったとは言え、掛け布団も無いからちょっと寒そうだし。
いくら俺が元庶民でも、この世界に生まれてからは極上羽毛布団での生活だったからな……。悲しい事に、人間とは贅沢にはすぐ馴れるが、逆は中々慣れない生き物なのだ。
まあ、床に寝るよりマシかと諦めたら、なんとベルがベッドにもたれるようにして、手招きをしてきた。
「……お前、何やってんの?」
「俺がお前を抱いて寝てやろう」
「なんかお前が言うと台詞が卑猥……って、何で!?一人で寝るし!」
「この固い板の上でか?」
「うっ……!」
正に今さっき考えて悶々していた事を指摘され、言葉が詰まってしまう。
「しかもその薄着じゃ、確実にまた調子が悪くなるぞ?」
「うう……」
更に追い討ちをかけられてしまい、苦悩の表情を浮かべて呻く俺を、ベルは心無し楽し気に見つめ片口端をあげた。
「さあ、どうする?俺は別にどっちでもいいぞ?」
「………」
長い、長い葛藤の末、俺は観念した。
そう、大人しくベルに後ろから抱っこされる形でベッドに横になった。というか、もたれた。
「全く、最初っから素直になれば良いものを」
「う、うるさい!」
クックッと喉奥で笑う声に小さく悪態をつき、ともすれば熱が灯りそうな顔を俯かせた。そしたら緩く回されていた腕に少し力が入り、俺とベルの身体が更に密着して内心焦る。
「ちょっ……!」
「うるせえな。この方が温いだろうが」
「性的な行為は俺の許可無しでは禁止!」を誓約書に加えてるけど、これならば何ら問題ないとばかりに遠慮なく抱きしめられてしまう俺。
確かに、背中からじんわりと身体中が暖まってきてる...んだけど…。
うう……。見事に鍛え上げられた身体の良い弾力が背中越しに伝わって来て落ち着かない。
そういえばこいつ、俺の身体とか魂とか狙ってるんだよな……いや、意識しない、意識しない!
意識してしまえば負けだ!身体の純粋なる訴えに耳を傾けろ!寝ろ!寝るんだ!!そ、そうだ!日本古来より伝わる眠りへと誘うアレを……!
羊が一匹…羊が二匹……。
脳内でエンドレスシープシネマを上映していると、ふわりとした別種の温かさに包まれ、何だろうと目を開けてみる。すると俺の身体を覆うように、ベルの羽が身体を包み込んでいた。これぞまさにリアル羽毛布団。
(ふわぁ……)
極上の温かさに、緊張していた心身が溶かされていくようだ。
うとうとと眠くなって揺れ動く意識の中で、俺はふと思った。
――こいつって、かなり優しいよな……。
勿論悪魔だから、これも俺を堕とす為の作戦の一環かもしれない。
それでも実際、ベルがいてくれたお陰で俺はこうして生きているし、こんな状態でも何とかなっているのだ。何より、自分は一人じゃないんだって事実が、こんなにも心強くて嬉しい。
「ベル……」
「ん?」
「……ありがと……」
俺と一緒にいてくれて。っていう言葉は、やっぱり気恥ずかしくて心の中で呟いたけど。
何となく、気配でベルが驚いてるような気がした。
悪魔って、ただただ恐いだけの存在だと思ったけど、割と人間臭いよな……。天使もアレだったし……。あ、明日の朝食はどうしようかな……。またベルに……今度は卵を持ってきてもらって……。
つらつらと、まどろみながら考え事をしている内に、俺は眠りへと落ちていった。
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