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第四章
再契約
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「ですが本来でしたら、私が携わるのはおふたりを連れ戻すまで。契約はここで成立しますので、それ以降の事は…」
「え?!黒の魅了師殿!?」
暗に「俺の仕事はここまで」と匂わせると、途端に王様が顔色を無くして喰い付いてきた。
「そ、そうでしたな。確かに貴方との契約は聖獣様とシェンナを連れ戻すまでと定められておりました。で、では新たに契約を結ばせて頂く事は!?」
「可能…ではありますが…。さて、どうするか…」
よしよし、やっぱりそうきたか。
そもそも、血の誓約では『相手を魅了してでも無傷で連れ戻す』までが依頼の全てで、アフターケアまでは依頼内容に含まれていない。
なのでその先は預かり知らない事として、さっさとずらかってもいいわけだ。
案の定、王様は顔色不良でオロオロしている。まあ、こんな短時間で依頼達成したのだ。その先のケアも…と望む気持ちは分かるけど、『血の誓約』はあくまでビジネスであり、慈善事業ではないのだ。
…なんて偉そうな事言ってるけど、私的な感情に流され、思い切り慈善事業する気満々だった俺がそれを言うか?って感じだよな。ほら、ベルがジト目で俺を睨んでるし。
「黒の魅了師殿!お望みのものがあれば、可能な限り差し上げます!私の命を差し上げてもいい!どうか…どうか、シェンナを…!」
「…成程。ならば一考する価値はありそうですね」
――まあ最も、命は要らないけどね。
「ですが私は、よっぽどの事情が無い限り、同じ人間から二度依頼を請けない事にしています。そうですね…。では、そちらのザビア将軍からの依頼とするならば、お請けしましょう」
「――ッ!?何故、ザビアを…?」
「彼も王家の一員。違いますか?」
「…ザビアとは、お会いしたばかりの筈。なのに見抜かれておられたとは…。私は貴方の力の偉大さを、まだまだ理解していなかった…という事なのですね」
――いえいえ、確かに彼とは会ったばかりですが、しっかり自己紹介して頂きましたので。
しかも、王様の前では黒の魅了師の威厳を出す風の口調や態度してるけど、彼やグリフォン達には思いっきり地を出してました。
なんて、相変わらず心でツッコミを入れてしまう俺。
「分かりました。では我が息子であるザビアを国王代理として、貴方様との誓約を…」
「あ、シェンナ姫様のお輿入れ後に魅了の力を解くだけなので、『血の誓約』は不要です。その代わり、それなりに対価は頂きますけどね」
そう言うと、王様はあからさまにホッとした様子だった。
そりゃそうだよな。血の誓約ってのは互いに対する縛りが極限に強い。下手すれば寿命まで削られてしまうような誓約だ。つまりは互いに裏切れないようにしている、マジもんの契約。任侠ドラマで言えば「命、預けます」的な?そんなもんを大切な息子に結ばせたくないのは親として当然だろう。
「ああ。黒の魅了師殿、感謝致します!」
「いえ。あ、王様。ザビア将軍にはこのまま残って頂きたいのですが。今後の王宮との連絡係として」
一国の将軍…しかも皇太子を連絡係にしてしまって気を悪くしないかと思ったが、王様は当然とばかりに快く了解してくれた。余程グリフォンと姫様が無事に戻った事が嬉しかったのだろう。
…でもなぁ…。なんだかなぁ…。
王様、一度もグリフォンと目を合わせようとしないんだよ。魅了を解くのも、シェンナ姫の事だけしか口にしていないし。国の守護神云々よりも、ずっと自分達を見守ってくれていた大切な身内じゃないか。
後ろめたい気持ちは分かるけど、その態度は無いんじゃないのかな?まぁ、よそ様の事情に首ツッコむ権利はないけどさ、何だか凄いモヤモヤするな。
「え?!黒の魅了師殿!?」
暗に「俺の仕事はここまで」と匂わせると、途端に王様が顔色を無くして喰い付いてきた。
「そ、そうでしたな。確かに貴方との契約は聖獣様とシェンナを連れ戻すまでと定められておりました。で、では新たに契約を結ばせて頂く事は!?」
「可能…ではありますが…。さて、どうするか…」
よしよし、やっぱりそうきたか。
そもそも、血の誓約では『相手を魅了してでも無傷で連れ戻す』までが依頼の全てで、アフターケアまでは依頼内容に含まれていない。
なのでその先は預かり知らない事として、さっさとずらかってもいいわけだ。
案の定、王様は顔色不良でオロオロしている。まあ、こんな短時間で依頼達成したのだ。その先のケアも…と望む気持ちは分かるけど、『血の誓約』はあくまでビジネスであり、慈善事業ではないのだ。
…なんて偉そうな事言ってるけど、私的な感情に流され、思い切り慈善事業する気満々だった俺がそれを言うか?って感じだよな。ほら、ベルがジト目で俺を睨んでるし。
「黒の魅了師殿!お望みのものがあれば、可能な限り差し上げます!私の命を差し上げてもいい!どうか…どうか、シェンナを…!」
「…成程。ならば一考する価値はありそうですね」
――まあ最も、命は要らないけどね。
「ですが私は、よっぽどの事情が無い限り、同じ人間から二度依頼を請けない事にしています。そうですね…。では、そちらのザビア将軍からの依頼とするならば、お請けしましょう」
「――ッ!?何故、ザビアを…?」
「彼も王家の一員。違いますか?」
「…ザビアとは、お会いしたばかりの筈。なのに見抜かれておられたとは…。私は貴方の力の偉大さを、まだまだ理解していなかった…という事なのですね」
――いえいえ、確かに彼とは会ったばかりですが、しっかり自己紹介して頂きましたので。
しかも、王様の前では黒の魅了師の威厳を出す風の口調や態度してるけど、彼やグリフォン達には思いっきり地を出してました。
なんて、相変わらず心でツッコミを入れてしまう俺。
「分かりました。では我が息子であるザビアを国王代理として、貴方様との誓約を…」
「あ、シェンナ姫様のお輿入れ後に魅了の力を解くだけなので、『血の誓約』は不要です。その代わり、それなりに対価は頂きますけどね」
そう言うと、王様はあからさまにホッとした様子だった。
そりゃそうだよな。血の誓約ってのは互いに対する縛りが極限に強い。下手すれば寿命まで削られてしまうような誓約だ。つまりは互いに裏切れないようにしている、マジもんの契約。任侠ドラマで言えば「命、預けます」的な?そんなもんを大切な息子に結ばせたくないのは親として当然だろう。
「ああ。黒の魅了師殿、感謝致します!」
「いえ。あ、王様。ザビア将軍にはこのまま残って頂きたいのですが。今後の王宮との連絡係として」
一国の将軍…しかも皇太子を連絡係にしてしまって気を悪くしないかと思ったが、王様は当然とばかりに快く了解してくれた。余程グリフォンと姫様が無事に戻った事が嬉しかったのだろう。
…でもなぁ…。なんだかなぁ…。
王様、一度もグリフォンと目を合わせようとしないんだよ。魅了を解くのも、シェンナ姫の事だけしか口にしていないし。国の守護神云々よりも、ずっと自分達を見守ってくれていた大切な身内じゃないか。
後ろめたい気持ちは分かるけど、その態度は無いんじゃないのかな?まぁ、よそ様の事情に首ツッコむ権利はないけどさ、何だか凄いモヤモヤするな。
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