主人公が鈍感(←理由あり)過ぎて、全然進展しないじゃないか!

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第1章 亮平回想編

020 出撃

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 「ついに、か」

 あの過酷な練習が始まってから約二週間、亮平は、そうつぶやいていた。

 今日は反抗作戦の決行当日。開始までに六年にバレても一発アウト。失敗してもアウト。だというのに、亮平は特に緊張していなかった。むしろ、『六年に勝ってやろうじゃねえか』という気持ちになっていた。

 兄貴の練習はきつかった。何回も行動不能までに追い込まれた。最初の日は、全員が手で腹を抑えて転がっていた。

 だが、次の日には少し様子は変わっていた。兄貴の様子だ。

 初日は少しばかり余裕そうにしていた兄貴だったが、次の日になると明らかに余裕が無くなっていた。

 そして、次の週。亮平の突き出した拳が兄貴のみぞおちにクリーンヒットした。

 だが、そこで『やった』と思って追撃をしなかったのが仇になった。

 一度は倒れる振りをした兄貴が、一瞬で間合いを詰めて殴りかかってきたのだ。亮平は、打ちのめされて床に沈んだ。

「とにかく、一旦倒れたとしても何発も殴り続けろ」

 その日の終わりに、兄貴にそう言われた。

 そして、その翌週の練習が終わった後。事件は起きた。

 横瀬さんから『緊急』だと言われて亮平達は横瀬さんの家に集合した。学校がある日に集まったことは無かったので、その場にいた全員が疑問に思った。

 その疑問の答えは、すぐに出た。それも、最悪の答えが。



----------反抗作戦が六年にわずかに漏れた----------



 兄貴が切迫した表情で言ったその「事実」は、亮平達には信じられない事実だった。

 反抗作戦はもともとゴールデンウィーク前に実行する予定だったが、緊急的に今日に変更された。漏れた原因は、誰かしらがつぶやいたことをたまたま聞いたのだろう。

「で、俺と横瀬さんと三岸さんが先導するから、みんなは六年一組に突入。その後は、六年なら全員殴る。これでいいね」

 担任が居なくなったタイミングで、クラス全員に確認を取る。

 予鈴が鳴れば六年の教室に移動させられる。その時に五年一組はそのまま六の一へ、それ以外のクラスの人は全員運動場に出て、予鈴がなったら六の一に直行。前々から決まっていた作戦だった。

 六年に漏れている情報は限定的なため、本当にあるかどうかはまだ六年は半信半疑。それを利用して、一気に畳みこむ。

 亮平は時計に目をやる。時計の針はゆっくりと、でも確実に時を刻んでいる。

「亮ちゃん、大丈夫なの?」
「だからその呼び方はやめろって。作戦は正直成功するか分からない。でも、このまま放っておいたら変わる可能性はゼロだ。どっちがいい?」
「……それは、変わる方がいいけど。でも、やっぱり怖い……」

 友ちゃんは怖がっている。

(でも、今止める訳には行かないんだ)

 校内放送用の大きなスピーカーから、チャイムの音が流れた。担任が六年一組に行くように促す。

 六年一組の目の前にいくと、教師が漏れた情報の事について問いただしてくる。

「ねえ、六年生を攻撃しようっていう計画を立ててるって噂が……」

 その時、階段から大きな足音が聞こえてきた。教師たちは、『遅れてきやがって』という表情をしている。

 そして、五年全員が六年一組の目の前に集合した。教師が他の六年の教室に行くよう怒鳴るが、全員動かない。ただ、六年一組のドアを見つめていた。

「早く分かれ!?」

 早速生徒を殴って言うことを聞かせようとした教師に、数人が一斉に頭やみぞおちを攻撃する。その教師はその場に崩れ落ちる。そこにも容赦なく攻撃が飛んでいく。

(もう後戻りは、できないんだ)

 もう後には戻れない状況となった。分かってはいたことだが、ここで怖気着くようでは士気が下がってしまう。

「うおおぉぉぉら! いくぞ!」

 亮平はそう叫んだ。ほかの五年生も同じように叫んだ。

 そして、亮平は六年一組のドアを開けた。
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