主人公が鈍感(←理由あり)過ぎて、全然進展しないじゃないか!

true177

文字の大きさ
58 / 77
第4章 修学旅行編

049 一安心

しおりを挟む
「霧嶋、ちょっとこっち来い」
「なんだよ」

 横岳が亮平を、周りにギリギリ聞こえない程度の声で呼んだ。

「ちょっと耳貸せ……換気扇、回ってなかったんだろ?」
「いや、回ってた」
「まあ、どっちでもいいけどよ」

 どっちでもいいとは、どういうことなのだろう。

 それにしても、換気扇が回っていないことをなぜ分かるのか、という方が不思議なのだが。普通なら、『換気扇は回っていたか?』と聞くところだろう。

「さっきは悪かった。換気の事を持ち出したばっかりに、みんながパニックになって」

 次に飛んできたのは、謝罪の言葉。別に、今謝られても終わったことは仕方ない。

 しかし、この謝罪の言葉は、一つの事を意味していた。

 『横岳はパニックには陥っていない』と。

「やらかした事は自分で落とし前つけるから、霧嶋、お前は対策でも考えとけ」

 上から目線ともとれる言い方だったが、横岳なりの自己解決の方法なのだろう。そのまま横岳は、麻生と女子陣の方へと向かった。

 横岳は冷静に動ける状態にある。横岳は、冷静になると本当に行動が早くなる。希望が少しは出てきた。

 それに、もともとこの状態を作り出したのは亮平だと言ってもいい。人通りが少ない道を選んで、自分だけではなく班員全員にも危険な目に遭わせているのだから。仮にこれが戦争だとしたら、大戦犯確定だ。

 残念だが、亮平に人を説得する能力はあまりない。ここは横岳を信じて、自分は作戦を考えることにした。とはいっても、既にある程度は固まってはいたが。

 基本的に、数で勝てるとは思っていない。中学生6人と大人の男6人では、大人の男6人が勝つにきまっている。なので、作戦のメインは『どう逃げるか』に絞られる。

 逃げるといっても、正面から突っ切るのは不可能に等しい。それでは数でぶつかるのと変わらない。

 相手も人である以上、必ず隙はできるはずだ。油断して、監視の人数が少なくなることもあるかもしれない。だから、その生まれたわずかな隙を突く。

 まず、どこかで監視が二人以下になった時がねらい目だ。なかなかその状況にならないかもしれない。男達全員に監視されたままになるかもしれない。その時はその時だ。

 二人以下になったら、亮平がまず一人を倒す。倒せなかったら、それまでだ。

 次に、残りの一人を全員で総攻撃する。さすがに全員で攻撃したら倒せるとは思う。監視を全員倒せたら、あとはひたすら、ただひたすらに逃げる。道路標識を当てにして、逃げるだけだ。

 我ながらめちゃくちゃな作戦だ、と亮平も思ってはいる。しかし、それぐらいしかもう打開策はないのだ。ここは沖縄。近所の場所ではない。知らないところに連れていかれたら終わりだ。

「霧嶋、全員なんとか抑えられたから、今の内だぞ」

 後ろを振り向くと、横岳含め班員全員が亮平の前に座っていた。うまく全員を説得できたらしい。亮平が同じ事をやっても、鵜の真似をする烏のごとく、全員を説得するのは無理だっただろう。 

 何が今の内なのかは、考えなくても分かる。このトラックが止まった時が、自由な時間の終わりを意味するのだ。時間が無い。

(頼むから、きちんと作戦が伝わってくれよ)

 亮平は覚悟を決め、口を開いた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

俺をフッた幼馴染が、トップアイドルになって「もう一度やり直したい」と言ってきた

夏見ナイ
恋愛
平凡な大学生・藤堂蓮には忘れられない過去がある。高校時代、告白した幼馴染の星宮瑠奈に「アイドルになるから」とこっ酷くフラれたことだ。 数年後、瑠奈は国民的アイドル『LUNA』として輝いていた。遠い世界の住人になった彼女との再会なんて、あるはずもなかった――そう、変装した彼女が俺の前に現れ、「もう一度やり直したい」と泣きつくまでは。 トップアイドルの立場を使い強引に迫る元幼馴染と、過去の傷。揺れ動く俺の日常を照らしてくれたのは、俺の才能を信じてくれる後輩・朝霧陽葵の存在だった。 俺をフッた幼馴染か、俺を支える後輩か。過去の清算と未来の選択を描く、ほろ苦くも甘い、逆転ラブコメディ、開幕。

隣の家の幼馴染と転校生が可愛すぎるんだが

akua034
恋愛
隣に住む幼馴染・水瀬美羽。 毎朝、元気いっぱいに晴を起こしに来るのは、もう当たり前の光景だった。 そんな彼女と同じ高校に進学した――はずだったのに。 数ヶ月後、晴のクラスに転校してきたのは、まさかの“全国で人気の高校生アイドル”黒瀬紗耶。 平凡な高校生活を過ごしたいだけの晴の願いとは裏腹に、 幼馴染とアイドル、二人の存在が彼の日常をどんどんかき回していく。 笑って、悩んで、ちょっとドキドキ。 気づけば心を奪われる―― 幼馴染 vs 転校生、青春ラブコメの火蓋がいま切られる!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

小さい頃「お嫁さんになる!」と妹系の幼馴染みに言われて、彼女は今もその気でいる!

竜ヶ崎彰
恋愛
「いい加減大人の階段上ってくれ!!」 俺、天道涼太には1つ年下の可愛い幼馴染みがいる。 彼女の名前は下野ルカ。 幼少の頃から俺にベッタリでかつては将来"俺のお嫁さんになる!"なんて事も言っていた。 俺ももう高校生になったと同時にルカは中学3年生。 だけど、ルカはまだ俺のお嫁さんになる!と言っている! 堅物真面目少年と妹系ゆるふわ天然少女による拗らせ系ラブコメ開幕!!

先輩に退部を命じられた僕を励ましてくれたアイドル級美少女の後輩マネージャーを成り行きで家に上げたら、なぜかその後も入り浸るようになった件

桜 偉村
恋愛
 みんなと同じようにプレーできなくてもいいんじゃないですか? 先輩には、先輩だけの武器があるんですから——。  後輩マネージャーのその言葉が、彼の人生を変えた。  全国常連の高校サッカー部の三軍に所属していた如月 巧(きさらぎ たくみ)は、自分の能力に限界を感じていた。  練習試合でも敗因となってしまった巧は、三軍キャプテンの武岡(たけおか)に退部を命じられて絶望する。  武岡にとって、巧はチームのお荷物であると同時に、アイドル級美少女マネージャーの白雪 香奈(しらゆき かな)と親しくしている目障りな存在だった。  そのため、自信をなくしている巧を追い込んで退部させ、香奈と距離を置かせようとしたのだ。  そうすれば、香奈は自分のモノになると錯覚していたから。  武岡の思惑通り、巧はサッカー部を辞めようとしていた。そこに現れたのが、香奈だった。  香奈に励まされてサッカーを続ける決意をした巧は、彼女のアドバイスのおかげもあり、だんだんとその才能を開花させていく。  一方、巧が成り行きで香奈を家に招いたのをきっかけに、二人の距離も縮み始める。  しかし、退部するどころか活躍し出した巧にフラストレーションを溜めていた武岡が、それを静観するはずもなく——。 「これは警告だよ」 「勘違いしないんでしょ?」 「僕がサッカーを続けられたのは、君のおかげだから」 「仲が良いだけの先輩に、あんなことまですると思ってたんですか?」  先輩×後輩のじれったくも甘い関係が好きな方、スカッとする展開が好きな方は、ぜひこの物語をお楽しみください! ※基本は一途ですが、メインヒロイン以外との絡みも多少あります。 ※本作品は小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について

のびすけ。
恋愛
春から一人暮らしを始めた大学一年生、天城コウは――ただの一般人だった。 だが、再会した義妹・ひよりのひと言で、そんな日常は吹き飛ぶ。 「お兄ちゃんにしか頼めないの、私の“中の人”になって!」 ひよりはフォロワー20万人超えの人気Vtuber《ひよこまる♪》。 だが突然の喉の不調で、配信ができなくなったらしい。 その代役に選ばれたのが、イケボだけが取り柄のコウ――つまり俺!? 仕方なく始めた“妹の中の人”としての活動だったが、 「え、ひよこまるの声、なんか色っぽくない!?」 「中の人、彼氏か?」 視聴者の反応は想定外。まさかのバズり現象が発生!? しかも、ひよりはそのまま「兄妹ユニット結成♡」を言い出して―― 同居、配信、秘密の関係……って、これほぼ恋人同棲じゃん!? 「お兄ちゃんの声、独り占めしたいのに……他の女と絡まないでよっ!」 代役から始まる、妹と秘密の“中の人”Vライフ×甘々ハーレムラブコメ、ここに開幕!

処理中です...