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第4章 修学旅行編
056 結末
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「みんな、急いで逃げろ!」
全員が固まった状態の中、亮平の声が響いた。ワンテンポ遅れて、横岳と麻生が動き出す。続いて、他の女子陣も動き出した。
「ま、待って、足が……」
他の全員がすでに走り出している中、未帆だけがその場から動いていなかった。いや、動けなかったとみていいだろう。脚が震えている。
亮平はすぐに駆け戻り、思いっきり未帆の手を引っ張った。つられて、未帆が動く。亮平は、そのままの状態で走り出した。
道路の周辺は木が並んでいて、奧の方は何があるのか分からない。仮に入った後に迷えば、出て来れられる気がしない。月も新月なのか、明かりらしきものはどこにもない。
「後ろは振り向いたらダメだぞ!」
横岳からも注意が飛ぶ。意図は、単純に走るのが遅くなる以外に、追いかけてきていた場合にパニックになるのを防ぐためでもあるのだろう。
周辺に足音だけが響く。規則正しい音だけに、長いこと聞いていると気分がおかしくなりそうだ。
幸いなことに、後ろからは車の音や足音がしない。このままいけば、やがて助かるだろう。
----------
走り始めてから何十分経っただろうか。行く手には、まだ明かりや建物は見えない。木々がただ並んでいるだけだ。
亮平を含む全員の体力はとうの昔に尽きていて、すでにみんな歩きになっている。とくに女子陣は走るのがつらかったようで、数分で誰とは言わないがバテる人が出始めた。それを亮平、横岳、麻生の男子三人でカバーして進んでいたのだ。そのせいで体力が減るのが速かった、というのはあるかもしれないが。
「ところで霧嶋、かなり前から思ってたんだが、いつまで西森さんと手をつないでるんだ?もう走ってないから離してもいいと思うんだが」
言われて初めて気づいた。繁華街などの人が多いところでやっていたら間違いなく視線が集まるような、そんな感じになっていた。手をつなぐ理由はもうないので離そうとするが、逆に強い力で握り返された。
「……」
無言で、目線だけで訴えてくるのはやめていただきたい。こちらのリアクションが取りずらい。無言の圧力は、思っている以上に強力だ。
「ブーーーーーーン」
亮平が未帆になにか話しかけようとしたその時だった。前の方からいきなり、かすかだが低く、重たい音が聞こえた。普段よく耳にする、自動車の排気音だった。自然と歩みが早くなる。
曲がりくねった道路をしばらく行くと、十字路が視界に入った。急いで、その十字路まで出てみる。
目の前にポツンと明かりが見えた。一つだけではなく、複数だ。蛍ではない、人工の明かりだった。あの、蛍光灯やLEDが放出する光だ。
「!!!」
声に出そうとするが、言葉になって出てこない。人工の光がこんなに暖かく感じたことは、今までにあっただろうか。
かすかに聞こえてくる雑音や自動車の排気音が、まるで亮平達を祝福してくれているように聞こえた。
全員が固まった状態の中、亮平の声が響いた。ワンテンポ遅れて、横岳と麻生が動き出す。続いて、他の女子陣も動き出した。
「ま、待って、足が……」
他の全員がすでに走り出している中、未帆だけがその場から動いていなかった。いや、動けなかったとみていいだろう。脚が震えている。
亮平はすぐに駆け戻り、思いっきり未帆の手を引っ張った。つられて、未帆が動く。亮平は、そのままの状態で走り出した。
道路の周辺は木が並んでいて、奧の方は何があるのか分からない。仮に入った後に迷えば、出て来れられる気がしない。月も新月なのか、明かりらしきものはどこにもない。
「後ろは振り向いたらダメだぞ!」
横岳からも注意が飛ぶ。意図は、単純に走るのが遅くなる以外に、追いかけてきていた場合にパニックになるのを防ぐためでもあるのだろう。
周辺に足音だけが響く。規則正しい音だけに、長いこと聞いていると気分がおかしくなりそうだ。
幸いなことに、後ろからは車の音や足音がしない。このままいけば、やがて助かるだろう。
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走り始めてから何十分経っただろうか。行く手には、まだ明かりや建物は見えない。木々がただ並んでいるだけだ。
亮平を含む全員の体力はとうの昔に尽きていて、すでにみんな歩きになっている。とくに女子陣は走るのがつらかったようで、数分で誰とは言わないがバテる人が出始めた。それを亮平、横岳、麻生の男子三人でカバーして進んでいたのだ。そのせいで体力が減るのが速かった、というのはあるかもしれないが。
「ところで霧嶋、かなり前から思ってたんだが、いつまで西森さんと手をつないでるんだ?もう走ってないから離してもいいと思うんだが」
言われて初めて気づいた。繁華街などの人が多いところでやっていたら間違いなく視線が集まるような、そんな感じになっていた。手をつなぐ理由はもうないので離そうとするが、逆に強い力で握り返された。
「……」
無言で、目線だけで訴えてくるのはやめていただきたい。こちらのリアクションが取りずらい。無言の圧力は、思っている以上に強力だ。
「ブーーーーーーン」
亮平が未帆になにか話しかけようとしたその時だった。前の方からいきなり、かすかだが低く、重たい音が聞こえた。普段よく耳にする、自動車の排気音だった。自然と歩みが早くなる。
曲がりくねった道路をしばらく行くと、十字路が視界に入った。急いで、その十字路まで出てみる。
目の前にポツンと明かりが見えた。一つだけではなく、複数だ。蛍ではない、人工の明かりだった。あの、蛍光灯やLEDが放出する光だ。
「!!!」
声に出そうとするが、言葉になって出てこない。人工の光がこんなに暖かく感じたことは、今までにあっただろうか。
かすかに聞こえてくる雑音や自動車の排気音が、まるで亮平達を祝福してくれているように聞こえた。
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