【高校生×OL】スターマインを咲かせて

紅茶風味

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6話-4

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***

 商店街の大通りから少し脇道に入った場所に、わりと大き目のレストランがあった。通学路を行き来する毎日では絶対に気付かないその店に、二人が入っていくのを確認する。どんな会話をするのか気になる。他の客もいるだろうし、人目のある場所で突然手を上げるようなことはしないだろうが、それでも心配だ。

 周囲を見回し、大通りにあるファーストフード店が目に入った。二階のガラス窓に並ぶ座席を見て、閃く。あそこからなら、脇道から出てくるところを確認できる。せめて、無事に家に帰るまでは見届けたい。

「お前、見張ってるつもりなわけ?」

 信じられないとばかりに福本が言い、当たり前のように隣の席に座る。二階の窓から見下ろすと、想像通りに脇道の少し先の方まで見えた。

「彼氏いるんなら諦めろよ」
「彼氏じゃない」
「じゃあ何。兄弟とかいうオチ?」

 それならどんなに良かっただろう。複雑な事情を話す気にもなれず、「あんまり良くない奴」とだけ言って口を閉ざした。

 ただじっと脇道の入り口を見つめたまま、時間が経っていく。次第に焦りが生まれ、それと同時に虚しさが襲う。自分には何も出来ない。店に入って強引に連れ出すことも、彼女に手を出すなと胸を張って言うことも。それにきっと、そんなことは求められていない。

 一時間ほどが経った。腹を満たした福本が「お前も何か食え」と見張りを買って出てくれたが、何も食べる気になれず、飲み物だけ買ってすぐに席に戻った。相変わらず暗い脇道を見つめながら、ストローを啜る。

「こんなことに付き合わないで、帰っていいよ」

 暇そうに携帯をいじる姿に言った。へ、と間の抜けた声が返ってくる。

「今更そんなこと言われてもな」
「ごめん」
「謝んなよ。別にいいよ、暇だから」

 受験生が暇なわけがないだろう。ありがとう、と言うのもなんだか歯がゆくて、そう、と素っ気なく返事をした。

 更に三十分ほどが経った頃、脇道の先から二人の姿が現れた。上から見下ろしているので顔は見えないが、服装が同じなのですぐに分かった。そのまま駅へ向かうのかと思いきや、反対側へと進んでいく。男の手が彼女の肩を押しているように見えて、途端に嫌悪感が増大した。

 急いでトレーを戻して階段を駆け下りた。後ろから慌てた声が追いかけてくる。店を出て二人の向かった先を見れば、ちょうど角を曲がる後ろ姿が消えるところだった。

「おい、落ち着けって」
「大丈夫、落ち着いてる」

 消えた先へ急いで向かった。賑わう商店街には人通りも多く、ぶつかりそうになりながらも角の先に行く。そこに立つと、途端に暗い夜道が広がっていた。あの二人の姿がない。この道を使ったことがないので、地理が全く分からない。

「この先ってなんかあんの?」

 聞きながら振り向き、固まった。さぁ、と首を傾げる福本の背後で、笑顔で小木が立っていた。携帯を掲げ、パシャリを乾いた音を立てて写真を撮る。

「うおっ、びびった」

 福本が振り向いて声を上げた。

「この先は住宅地だよ」

 場にそぐわないのんびりとした口調で小木が言う。

「何も無いのかよ」
「小さいショップがあった気がするけど、この時間はもう閉まってるんじゃないかな」

 あの男がここ一帯の街並みを知っているのかどうかは疑問だが、今の情報で他の店を目指しているわけではないことは分かった。わざわざ暗い道だと見てすぐ分かる場所に連れて行くだなんて、何か思惑があるとしか思えない。

「二人はなにしてんの?」
「お前こそ、こんな時間まで何してんだよ」
「いやぁ、ここうちの庭だからさぁ」

 二人の緩い会話が始まってしまった。そんなものに付き合っている時間はない。こうしている間にも、花さんが夜道の奥へと進んでいってしまう。急く心で道の先へ進んでいけば、二人が当然のように付いてきた。

 大きな足音が立たないよう気を付けながら、速足で歩いていく。右手側に曲がり角が現れ、そこに身を潜めながら首だけを覗かせた。少し先に男の姿が見えた。向かいあって花さんが立っている。どうやら立ち話をしているようで、小さく会話をする声が聞こえてくる。

 トントンと肩を軽く叩かれ、振り向くと目の前に携帯の画面が現れた。福本が無言で突きつける。

『警察呼ぶ?』

 俺の行動から、事態が普通じゃないと察したのかもしれない。もしくは、それを知る為の疑問か。たしかに、何か起きてからでは遅い。けれど、この状況で通報してどうなるというのだ。もし、花さんが大きな決意をしているのであれば、邪魔はしたくない。

「……んと、聞いてよ……っ」

 花さんの絞り出すような声が聞こえた。俯き、自分の身体を守るように鞄を抱きしめている。

「わ、わたしの話、ちゃんと、聞いて」

 必死に口調を強める姿に、息が詰まった。男は何かを答えているようだが、花さんとは違って声を上げないので、内容が聞き取れない。

「そういうの、もう、意味ないから……! 私、ちゃんと言うって決め」

 言い終わらないうちに男の手が伸びた。俯く彼女の頭に触れたかと思えば、髪を鷲掴みにする。乱暴に持ち上がり、苦痛に満ちた顔が視界に入る。途端に言いようのない感情が湧き上がってきた。憎悪が急激に膨張し、自分の意志では止められないほどに溢れ出ているようだ。

「おい……っ」

 福本の焦った声と同時に、腕が捕まれた。振り向くと、真剣な顔が俺を見つめる。

「いいのか?」

 意味が分からなかった。踏み出していた自分の足に気付き、ようやく、飛び出しそうになっていたところを止められたのだと理解した。言葉の意味は、その制服姿を見れば分かる。

 痛い、という悲鳴のような声が届いた。弱く、消え入りそうな声だ。あんな声、聞いていたくない。黙って隠れているなんて無理だ。通報したところで、警察なんてすぐには来ない。

 福本の手を振りほどき、一歩を踏み出した。次の瞬間には地面を蹴り、走って声を上げる。

「花さん!」

 男が驚いた顔で振り向いた。掴んでいた髪を投げ捨てるように放し、反動で花さんが地面に尻もちをつく。怒りで思わず拳を握った。このまま殴りかかってしまいたい衝動が、すぐそこまで来ている。けれど、と視線を逸らした。泣きそうな顔で俺を見ている彼女に、手が伸びる。

「大丈夫?」

 しゃがんで膝をつき、肩に触れた。濡れた瞳が、動揺しているのか揺れている。痛々しく乱れた髪をそっと撫でれば、安心したように細められた。

「話の邪魔をしないでほしいな」

 男が言った。振り向けば、冷たい目が暗闇の中で見下ろしていた。

「あんたのこれは暴力だろ」
「大人の恋愛観に首を突っ込む必要はない。君には関係ないことだよ」
「恋愛って……」
「花だって受け入れている」

 そんなわけがない。この悲しそうな顔を見て、どうしてこんなことが思えるのだろう。話を聞いて欲しいという彼女を力でねじ伏せようとしたくせに、受け入れるもなにもない。

 ぐ、と拳に力が入る。あぁ、駄目だ。こうなると止められない。自分でもよく分かっている、だからいつも、人間関係で失敗する。

「受け入れて、ない」

 小さく、けれど強い意志をもった言葉が、暖かい温もりとともに届いた。握られた拳をほぐすかのように、両手で包み込んで怒りを鎮めていく。

「さっきも言ったけど、私、もう、あなたのこと、好きじゃない。付き合ってるときだって……、ずっと、苦しかった」

 僅かに包み込む手が震え、ぎゅっと力が入る。さっきまで男から逸らしていた顔が上を向き、真っすぐに目を見た。

「次こういうことしたら、お、怒るから。警察に言うから!」

 男が狼狽えたのが分かった。言葉を探すように視線を彷徨わせる姿に、怒りは完全に収まっていった。

 足音が近づいてきた。見ると、福本と小木が近づいてきていた。てっきり隠れていると思っていたので、驚いて二人を見つめる。

「おねぇさん、次なんて待たなくていいよ。私、さっきの動画撮っちゃったもん」

 小木の言葉に、へ、と花さんが間抜けな声を出す。

「警察にも通報したからな。もうすぐ来るぞ」

 福本が携帯をいじりながら言った。男が苦々し気に顔を歪ませる。一瞬、花さんの方を見たが、すぐに身を翻して立ち去っていった。「追いかけます?」という福本の言葉に、驚いた顔をしながら花さんが首を横に振った。

「ちなみに通報は嘘だ。動画は撮ったみたいだけど」
「保存しとくから、なんかあったら言ってね」

 飄々とした態度でそう言うと、じゃあ、と手を上げて背中を向けた。呆気に取られている俺たちを余所に、何事も無かったかのように商店街の方へと戻っていく。

「びっくりした……、すごいね、あの二人」
「まぁ、いつもあんな感じだけど」

 座り込んだままの花さんが、そっか、と零し、下を向いた。言葉が続かず、沈黙が流れる。

 きっと、言いたいことが沢山あるはずだ。どうしてここにいるのか、とか、何故そんな恰好をしているのか、とか。自らそこに触れようとしない自分は、卑怯なのかもしれない。言うのが怖い。ただそれだけだ。

 髪がまだ僅かに乱れていて、そこをすくように擦った。あんな掴まれ方をしたら、血が出ているかもしれない。髪の毛だって抜けてしまっただろう。どれだけ痛かったかと思ったら、胸が締め付けられた。

「もう、大丈夫だから」

 しつこく撫でてしまったのか、顔を上げてそう言った。少しおかしそうに笑顔を見せて言う姿に、ほっと息が漏れる。

「花さん、凄かった」
「え……?」
「あいつに、ちゃんと言ってただろ。逃げないで、ちゃんと」
「う、うん」
「大事な用事って、それだったんじゃないの」

 見上げる瞳が揺れ、ぎゅっと口元が絞まる。何かを言おうと開きかけるも、すぐに俯いて見えなくなってしまった。

「頑張った、よ」
「うん」
「ちゃんと、前に進みたかったから……」
「うん」
「言わなきゃいけないこと、ちゃんと……」

 そう言いながら、細い指先が伸びてきた。胸元に触れたかと思えば、ネクタイを擦り、更にブレザーの襟をゆっくりとなぞっていく。まるで服の感触を確かめるかのような仕草に、はっとした。

 もう、誤魔化しきれない。誤魔化すつもりもない。彼女の行動が、その先を促しているのだから。

「……ごめん」

 指先の動きが止まった。上から握り締めそうになり、咄嗟に堪え、自分の膝の上で拳を握る。

「俺、嘘ついてた。本当は、……見た通り、高校生なんだ」

 返事はなく、俯いているせいで表情も見えない。

「花さんが誤解してるのいいことに、騙した。言えなかった。だって、花さんからしたら十七なんてただのガキで、絶対、相手になんてしてくれないし、それに」

 ぼたりと落ちる雫を見て、思わず言葉が止まった。自分でも気づいていなかったのか、慌てて両手で顔を覆うと、目元を必死で拭う。その姿に声を上げた。

「ごめん! 本当にごめん!」
「……っう」
「泣かないで、花さん、俺……」

 顔が上を向いた。赤くなった目から涙が溢れ、頬を伝って落ちていく。自分が泣かせてしまった事実に、胸が痛んで苦しくなった。本格的に泣いてしまっているようで、引きつる声を上げながら肩が大きく揺れた。

「し、知ってたよ……っ」
「え……」

 息を吐きだしながら言った言葉に、耳を疑った。

「ばか……!」

 そんな悪態をつきながら、どうして手を伸ばしてくれるのだろう。制服を握りしめ、再び俯いたかと思えば、額がそっと押し付けられた。しゃくりあげる度に、振動が伝わってくる。

 まるでしがみ付かれているような状態に、衝動が走った。小さな身体に両手を回し、きつく抱きしめてしまいたい。顔を持ち上げ、キスをしてしまいたい。けれど、この状況で生まれた下心がひどく醜く感じて、彷徨う手で頭を撫でることしか出来なかった。

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