サンタの願いと贈り物

紅茶風味

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【淳平編】3話-1

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 昼休みの教室は、生徒達の騒がしい声で溢れかえっている。弁当を広げて会話をする女子生徒達や、早々に食事を終えて奇声のような声を上げる男子生徒達で出来上がった空間だ。僕はそういう雰囲気が好きではなく、この時間にはいつも教室を抜け出している。

 校舎の裏側、雑草の生い茂る狭い空間に細い石畳が並んでいる。地面よりも少しだけ高さがあるので、腰を下ろすのに丁度いい。

 そこに座り、登校時に買っていた菓子パンとペットボトルの飲み物を取り出した。蓋を開けて喉を潤すと、自然と溜息が出る。

 ぼんやりと空を眺めながら食事をしていると、近くで雑草を踏む音が聞こえてきた。この場所には昼休みによく来ているが、他の誰かに会ったことは一度もない。驚いて顔を上げてそちらを見ると、そこには一人の教員が立っていた。

 三上は数学の担当教員であり、僕のクラスの担任でもある。見た目は若く端正な顔立ちをしているが、常に仏頂面をしているせいで男女共に人気がない。授業は淡泊で面白味もなく、怒ることも無ければ笑顔を見せることも無い。そんな彼に対し、誰もが困惑して距離を置いている。

 三上は携帯電話を耳に当てた格好のまま、僕を見下ろしていた。数秒の後、「あぁ、すまない」と口を開く。どうやら歩きながら会話をしていたところ、僕を見つけて立ち止まったようだ。

「何かあったら、すぐに連絡を入れるように」

 通話を切って携帯電話をしまうと、僕の前を通り過ぎていく。挨拶をしようと中途半端に下げた頭が、虚しく視界から外された。

 再び、かじりかけのパンに口を付ける。咀嚼しながら前を向くと、通り過ぎたと思っていた三上がこちらに近づいてくるのを見て、驚いて身構えた。

「篠原」
「すみません」

 こんな場所で食事をするな、と怒られるのかと思った。常に機嫌の悪そうな表情をしているので、話しかけられると悪い方へと考えてしまうのだ。

「分かっているのなら、早く提出しろ」

 言葉の意味が分からず、首を傾げる。怒っていることに間違いはなさそうだが、食事に関することではないらしい。三上は不思議そうにしている僕を見て察したのか、言葉を繋げた。

「進路希望の用紙が、お前の分だけ出されていない」

 そう言われ、先週に配られた提出物のことを思い出した。現在、高校二年生の僕達は、来年度になれば受験生だ。進学する者はその受験校を、しない者はその旨を書いて提出するようにと、ホームルームで配られていたのだ。ここのところ、葵の周辺が忙しなく忘れていた。

「すみません。もう書き終わってるので、食べたらすぐに持っていきます」

 そう言うと、三上は返事もせず、すぐに身体を反転させてその場を去った。再び一人になった空間で、先ほどとは違う、重い溜息を吐く。
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