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第1幕
第7話 交錯する運命
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広場の喧騒が一層賑やかさを増す中、リュシアンはルイとソフィを連れて、足早に人混みを抜けようとしていた。ルイの顔には疲労の色が濃く、ソフィも空腹で力なく歩いている。リュシアンは胸を締めつけられる思いだった。
「この状況で、どうやって安全な場所を見つける……?」
独り言のように呟きながら、ポケットに手を伸ばす。指先に触れた硬貨の感触に、少しだけ安堵した。異世界に飛ばされた時に持っていた小銭が、この世界でも使えることは分かっていた。
露店でパンを一つ買い、ルイとソフィに手渡す。
「さあ、食べな。これしかないけど、少しは元気が出るだろ」
ルイは黙ってパンを受け取り、妹のソフィに差し出した。ソフィは小さな手でパンを握りしめ、嬉しそうに口へ運ぶ。兄の気遣いを察してか、少しずつ分け合いながら食べていた。その様子にリュシアンはほっとしつつも、自分の空腹を自覚し、苦笑する。
「これじゃあ、俺も長くは持たないな……」
そんな時だった。
「ずいぶんと困っているようだな」
背後からの声に振り向くと、痩せた体つきの青年が立っていた。粗末な服装だが、その目には強い意志が宿っている。
「誰だ?」
リュシアンが警戒の色を隠さず問いかけると、青年は軽く笑った。
「俺の名前はエティエンヌ。こんな場所で子どもを連れているなんて、苦労してるようだな」
エティエンヌの飄々とした態度に、悪意は感じられない。だが、警戒を解くわけにはいかなかった。
「ちょっと事情があってな。安全な場所を探してるんだ」
エティエンヌは少し考え込むように目を細め、やがて軽く頷く。
「なるほど。なら俺についてこい。ここに長居するのは危険だ」
「……君が言う危険ってのは?」
リュシアンが問い返すと、エティエンヌは口元を緩めた。
「この街では、些細なことでも命取りになる。ましてや、目立つ動きをする奴はな」
リュシアンは納得しきれなかったが、ルイとソフィを守るためには選択肢がなかった。
「わかった。案内してくれ。ただし、何か怪しい動きをしたら容赦しないぞ」
エティエンヌは肩をすくめて言った。
「君にそんな力があるなら、むしろ頼りたいくらいだよ」
その言葉が冗談なのか本心なのか、リュシアンには判断できなかった。
エティエンヌに案内されるまま、リュシアンたちは薄暗い路地を進んだ。途中、エティエンヌが周囲を警戒する様子を見せ、その動きの的確さにリュシアンは不安を覚える。
「こいつ……本当に善意だけで動いているのか?」
道中、ソフィがリュシアンの袖を引っ張り、小さな声で囁いた。
「お兄ちゃん、あの人は大丈夫なのかな?」
リュシアンは少し迷いながらも、ソフィの頭を軽く撫でて言った。
「大丈夫だ。俺がちゃんと見てるから、心配しなくていい」
ルイはそれを聞きながらも、不安そうな目をエティエンヌに向けていた。
やがて辿り着いたのは、街外れの大きな倉庫だった。
「ここだ。入るぞ」
錆びた扉を押し開けると、中は意外にも整然としていた。倉庫には数人の若者が集まり、テーブルに広げた地図を囲んで何やら議論をしている。
「連れてきたよ」
エティエンヌの言葉に、奥で地図を見つめていた一人が振り返った。
リュシアンはその顔を見て驚く。
「君は……ジュール!」
ジュールは広場で出会った青年だった。彼もまた驚いた様子だったが、すぐに穏やかな笑みを浮かべる。
「また会ったな、リュシアン。いや、こうして会えたのはむしろ必然だがね…」
「どうしてここに……?」
リュシアンが問うと、ジュールはエティエンヌに目をやった。
「君を探させ…可能ならここに連れて来るようにと頼んだのさ…あの広場でのやり取りを見て、君には俺達の力が必要で、俺達にも君の協力が必要だと思ったんだよ…」
エティエンヌは軽く笑いながら付け加えた。
「まあ、俺たちが何者かはまだ言わないでおくよ。けど、夜になれば少しは分かるだろうさ」
リュシアンは疑念を抱えながらも、倉庫の片隅でルイとソフィを守りつつ、彼らの動きを見守ることにした。
だが、この出会いが新たな謎と危機を招くことを、リュシアンはまだ知らない。
「この状況で、どうやって安全な場所を見つける……?」
独り言のように呟きながら、ポケットに手を伸ばす。指先に触れた硬貨の感触に、少しだけ安堵した。異世界に飛ばされた時に持っていた小銭が、この世界でも使えることは分かっていた。
露店でパンを一つ買い、ルイとソフィに手渡す。
「さあ、食べな。これしかないけど、少しは元気が出るだろ」
ルイは黙ってパンを受け取り、妹のソフィに差し出した。ソフィは小さな手でパンを握りしめ、嬉しそうに口へ運ぶ。兄の気遣いを察してか、少しずつ分け合いながら食べていた。その様子にリュシアンはほっとしつつも、自分の空腹を自覚し、苦笑する。
「これじゃあ、俺も長くは持たないな……」
そんな時だった。
「ずいぶんと困っているようだな」
背後からの声に振り向くと、痩せた体つきの青年が立っていた。粗末な服装だが、その目には強い意志が宿っている。
「誰だ?」
リュシアンが警戒の色を隠さず問いかけると、青年は軽く笑った。
「俺の名前はエティエンヌ。こんな場所で子どもを連れているなんて、苦労してるようだな」
エティエンヌの飄々とした態度に、悪意は感じられない。だが、警戒を解くわけにはいかなかった。
「ちょっと事情があってな。安全な場所を探してるんだ」
エティエンヌは少し考え込むように目を細め、やがて軽く頷く。
「なるほど。なら俺についてこい。ここに長居するのは危険だ」
「……君が言う危険ってのは?」
リュシアンが問い返すと、エティエンヌは口元を緩めた。
「この街では、些細なことでも命取りになる。ましてや、目立つ動きをする奴はな」
リュシアンは納得しきれなかったが、ルイとソフィを守るためには選択肢がなかった。
「わかった。案内してくれ。ただし、何か怪しい動きをしたら容赦しないぞ」
エティエンヌは肩をすくめて言った。
「君にそんな力があるなら、むしろ頼りたいくらいだよ」
その言葉が冗談なのか本心なのか、リュシアンには判断できなかった。
エティエンヌに案内されるまま、リュシアンたちは薄暗い路地を進んだ。途中、エティエンヌが周囲を警戒する様子を見せ、その動きの的確さにリュシアンは不安を覚える。
「こいつ……本当に善意だけで動いているのか?」
道中、ソフィがリュシアンの袖を引っ張り、小さな声で囁いた。
「お兄ちゃん、あの人は大丈夫なのかな?」
リュシアンは少し迷いながらも、ソフィの頭を軽く撫でて言った。
「大丈夫だ。俺がちゃんと見てるから、心配しなくていい」
ルイはそれを聞きながらも、不安そうな目をエティエンヌに向けていた。
やがて辿り着いたのは、街外れの大きな倉庫だった。
「ここだ。入るぞ」
錆びた扉を押し開けると、中は意外にも整然としていた。倉庫には数人の若者が集まり、テーブルに広げた地図を囲んで何やら議論をしている。
「連れてきたよ」
エティエンヌの言葉に、奥で地図を見つめていた一人が振り返った。
リュシアンはその顔を見て驚く。
「君は……ジュール!」
ジュールは広場で出会った青年だった。彼もまた驚いた様子だったが、すぐに穏やかな笑みを浮かべる。
「また会ったな、リュシアン。いや、こうして会えたのはむしろ必然だがね…」
「どうしてここに……?」
リュシアンが問うと、ジュールはエティエンヌに目をやった。
「君を探させ…可能ならここに連れて来るようにと頼んだのさ…あの広場でのやり取りを見て、君には俺達の力が必要で、俺達にも君の協力が必要だと思ったんだよ…」
エティエンヌは軽く笑いながら付け加えた。
「まあ、俺たちが何者かはまだ言わないでおくよ。けど、夜になれば少しは分かるだろうさ」
リュシアンは疑念を抱えながらも、倉庫の片隅でルイとソフィを守りつつ、彼らの動きを見守ることにした。
だが、この出会いが新たな謎と危機を招くことを、リュシアンはまだ知らない。
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