暁のマリーと三銃士

Ilysiasnorm

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第1幕

第6話 潜む陰謀

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貧民街の一角。リュシアンは、ルイとソフィと名乗る兄妹を無事に見送った。しかし、胸の中には謎の貴婦人のことが離れない。

「いったい彼女は何者なのか……?」

答えの出ない問いを抱えながら、リュシアンは夜の街を歩いていた。だが、彼はまだ気づいていなかった。この街にはすでに彼を監視する目が潜んでいることを。

一方、ジュールは路地裏の小さな部屋へ戻っていた。そこには数人の若者が集まり、低い声で何やら議論を交わしている。その中心に立つのは、鋭い眼差しを持つ黒髪の男――ジャンだった。

「ジュール、どうだった?」

ジャンが冷静な声で尋ねる。

「妙な男を見た。迷い込んだ異国人みたいだったが……彼の目には迷いがなかった。何か目的を持っているようだ」

ジュールの言葉に、部屋の空気が張り詰める。

「それで、その男が何を知っているのかは?」

「まだわからない。ただ、貴族の女が彼を助けようとしていたのは確かだ。警戒はしておくべきだと思う」

ジャンは少し考え込み、頷いた。

「いいだろう。だが、しばらくは様子を見よう。今はまだ動くべき時ではない」

部屋の隅で聞いていた別の若者が不満そうに口を開く。

「ジャン、そんな悠長なことを言っている間にも、奴らは私たちを追い詰めているんだ!もっと強硬な手段を取るべきだ!」

「焦るな、クロード。革命は時を待つものだ。無計画な行動は、我々の命取りになる」

ジャンの言葉に不満を抱えつつも、クロードは黙り込んだ。ジュールはそんな二人を見ながら、胸の奥に不安を感じていた。

「リュシアン……お前がただの迷い人ならいいが」

一方、リュシアンは再びジュールに会おうと考え、昼間の場所に戻っていた。しかし、ジュールの姿はどこにもない。代わりに、街の影から不審な視線を感じる。

「誰かが俺を見ている……」

リュシアンは咄嗟に角を曲がり、細い路地へと身を潜めた。そこで足音が止まるのを待つが、相手もこちらの動きを察知しているようだった。

「そこにいるのはわかってる!」

リュシアンは声を張り上げた。

しばらくして、路地の奥から姿を現したのは、昼間衛兵に追われていたソフィとその兄ルイだった。

「君たちか……どうしたんだ?こんな夜遅くに」

ルイが警戒しながら言った。

「衛兵たちがまた来たんだ。このままじゃ安全な場所なんてどこにもない」

リュシアンは彼らの震える様子を見て、腹を決めた。

「俺と一緒に来い。安全な場所を探してやる」

ジュールたちの隠れ家では、ジャンが再び計画を練っていた。彼らは貴族に対する攻撃を強めるべきかどうかで意見が割れている。

「貴族どもを倒さなければ、この腐敗した世界は変わらない」

クロードが声を荒げる。

「だが、無差別な攻撃は民衆を巻き込むだけだ」

ジュールが反論する。

その時、部屋の扉が激しく叩かれた。ジュールが扉を開けると、息を切らした別の仲間が飛び込んでくる。

「新しい情報だ!宮殿の中で動きがあったらしい。例の貴族の女が、何か大事な会合を開いているそうだ」

ジャンは目を細め、低くつぶやいた。

「例の女が……?」

ジュールの心に一瞬、昼間のリュシアンと貴婦人の姿がよぎった。

「まさか……」

ジャンは即座に命令を下した。

「調べに行く。クロード、ジュール、お前たちは現場を探れ。他の者はここで待機だ」

ジュールは頷きつつも、胸の中で葛藤していた。あの男――リュシアンが、この動きにどう関係しているのか。

リュシアンはルイとソフィを連れ、静かな廃屋に身を寄せていた。彼らの怯える様子を見て、リュシアンの胸には責任感が芽生える。

「俺が守る。絶対に君たちを安全な場所に連れて行く」

少年は涙を浮かべながら頷いた。

リュシアンは外に出て、夜空を見上げる。その瞳には、かすかな星明かりが映っている。

「カトリーヌ……君もこの空の下にいるんだろう?必ず見つけ出してみせる」

遠くから聞こえる鐘の音が、フランス革命の激動を予感させるように響いていた――。
 
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