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第4章
第64話 闇の回廊と不死の軍勢
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「またアンデッドか……!ここで潰しておこう、全員、迎え撃て!」
ガルドが剣を抜き放ち、力強く号令をかけた。
リュークも短剣を握り直し、シャドウファングが低く唸りながら敵を鋭く睨みつける。
その視線の先――すでに人の形を失った異形の存在が現れる。
骨が剥き出しの腕、腐敗してただれた肉体、焦点の合わない光のない瞳。
その不気味な視線が、じりじりとリュークたちを捉え、**ズズ……ズン……**と重い足取りで迫ってきた。
「……普通の魔物と違う。殺気がないのに、底知れない不気味さがある」
リュークの呟きに、ザックが素早く周囲を見渡し、壁際の瓦礫に目をつけた。
「罠を仕掛ける!時間を稼いでくれ!」
「任せろ!」
ガルドが前に躍り出てアンデッドを引きつけ、大剣を構える。
アンデッドの錆びた剣が**ギギギ……ッ!と耳障りな音を立て、ガルドの剣と激しくぶつかる。
その衝撃に、ガルドの足元がズンッ!**と沈み込む。
「重い……!」
思わずガルドが呻く。
その瞬間、アンデッドの口からは、生者にはあり得ない**ゴロ……ゴロ……**とかすれた呻きが漏れ出た。
シャドウファングが影のように滑り込み、敵の足元を襲う。
鋭い爪が**バキッ!という音と共に鎧の隙間を裂き、紫色の霧のような魔力がシュゥゥ……**と噴き出す。
だが、アンデッドは倒れない。
よろけつつも、無表情のまま剣を**ググ……ギリリ……**と持ち上げ、再び振り下ろそうとする。
「しぶといな……!」
リーナは詠唱に入り、緊張した声を響かせる。
「聖なる光よ、闇を打ち払え――ライトフレア!」
まばゆい光がアンデッドを包み込むと、**ジュゥゥ……パチパチ……!と焼ける音が空間を満たした。
腐敗した皮膚が煙を上げ、アンデッドはグワァァ……**と苦悶のような唸り声を上げる。
だが、それでも奴らは崩れない。
焼け焦げたまま、無理やり体を動かし、こちらへにじり寄ってくる。
「まだ動くのかよ……!」
リュークは腰のポーチから細いロープを取り出し、素早く地面に広げた。
魔力を流し込むと、ロープは**ビク……ビクッ……**と震え、まるで生き物のようにうねり始めた。
(魔力を通せば、操れる気がする、……森での修練の成果、試すしかない)
「動け……縛れ!」
リュークの叫びと共に、ロープが跳ね上がり、アンデッドの足に**グルル……ギチギチ……**と絡みつく。
足を縛られたアンデッドは体勢を崩し、**ドゴッ!**と鈍い音を立てて地面に叩きつけられた。
だが――
「まだ……立つのか」
骨が**ギギ……ギチ……**ときしみ、アンデッドは再びよろよろと立ち上がろうとする。
その異様なしぶとさに、全員の顔に緊張が走った。
「こいつ……ダメージが通らねえのか!」
ガルドが忌々しげに唸ったその瞬間、
「リューク、伏せろ!」
鋭い叫びと共にリュークは即座に身を沈めた。
直後、ガルドの剣が**ズバァン!と音を立てて振り下ろされ、アンデッドの頭蓋をガギッ!と叩き割った。
骨が砕け、紫の霧がシュウゥ……と立ち昇る。
それでも、その死体はまるで意識を残しているかのようにビク……ビクビク……**と痙攣を続けていた。
「まだ気を抜くな!リーナ、後ろ!」
リュークが振り返ると、リーナは既に詠唱に入っていた。
「光よ、闇を断て――ライトフレア!」
リーナの詠唱が完了すると、まばゆい光が炸裂し、アンデッドたちは**グギャァ……**というかすれた悲鳴を上げて顔を背けた。
一瞬の隙。リュークはそれを逃さない。
(今だ……!)
声に出さずにシャドウファングへと目で合図を送る。
黒狼はそれを察し、影のように地を駆けた。
同時に、ザックが瓦礫を素早く利用する。
「こっちだ!」
瓦礫の山の影から小石を投げ、アンデッドを罠の方向へと誘導する。
一体が足を踏み入れた瞬間、縄が**ビシュッ!**と跳ね、足首に絡みつく。
「仕留める!」
アンデッドは**ドサッ!**と石畳に倒れ、**ギギ……ギギギ……**と骨を軋ませながら這うように迫ってくる。
その執念深さに、リュークは思わず息を呑む。
「なんて執念だ……!」
彼は短剣を逆手に持ち、素早く魔力をロープに流し込んだ。
ロープが**グルル……グイッ!**と再び意志を持ったかのようにうねり、アンデッドの足を絡めて押さえ込む。
(今しかない――!)
声を出さず、再びシャドウファングに合図を送る。
黒狼は低く唸り、瞬時に飛びかかる。**ガブッ!**という重く鋭い音が響き、牙がアンデッドの喉元を深く貫いた。
アンデッドは**グギャ……ガググ……と断末魔のように呻き、紫の霧がスゥ……**と薄れていく。
「終わらせる!」
ガルドが一歩踏み込んだ。崩れた柱を飛び越え、踏み込んだその足元が**ズズッ……**と沈みかけるが、体勢を立て直して力任せに大剣を振り下ろす。
**ドガァァン!**という凄まじい音と共に、アンデッドの胴が両断され、ようやく最後の一体が地に伏した。
部屋に静寂が戻る。
しかし――その静けさは、ただの“終わり”ではなかった。
リュークは膝をつき、荒い呼吸を整えながら、うねりを止めたロープをじっと見下ろした。
「魔力で動かせる……まだ上手く扱えないが……」
呟くリュークに、ガルドが肩を叩く。
「十分だ、リューク。お前がいなかったら、今ごろ俺たち全員、奴らの仲間入りだったかもな」
リュークは小さく笑い返したが、その視線は倒れたアンデッドから離れない。
(あれは……本当に“死んでいた”のか?それとも……)
紫の霧が消えた後も、アンデッドの体からはなお**ピキ……ピキ……**と骨が軋む音が微かに残っていた。
異質な恐怖だけが、そこに確かに残されていた――。
「……いや、十分だったぜ、リューク」
ガルドはもう一度だけ肩を軽く叩き、部屋の奥へと歩を進めていく。
リュークはそれを見送りつつ、なおもアンデッドの亡骸に視線を落とし、静かに息を吐いた。
背を壁に預けると、途端に全身の力が抜ける。
剣を握っていた指先が微かに震え、遅れて疲労がどっと押し寄せてきた。
耳を澄ませば、静まり返った遺跡の空気が冷たく染み入り、背後の石壁からは**ジワ……ジワ……と湿った冷気が肌を刺した。
倒れたアンデッドの残骸は無惨に転がり、紫色の残光がユラ……ユラ……**と不気味に漂い続けている。
リュークは息を整えながら、低く告げた。
「少し休もう。みんな、ポーションを使え。俺が作ったやつだが……効果は保証済みだ」
ポーチに手を伸ばすと、指先が瓶に触れ、**カチ…カチ……**と小さくぶつかる音がした。
彼は数本のポーションを取り出し、瓶の栓を外す。**ポン……**という軽い音と共に、淡い光を放つ液体が揺れる。
その光景を見たガルドは無言で頷き、無造作に一本を手に取った。
「へぇ、お前が作ったのかよ。まぁ、信じるぜ」
そう言うと、ガルドは瓶を傾け、**ゴクリ……ゴクリ……**と勢いよく中身を喉へ流し込む。
直後、彼の表情が緩み、張り詰めていた肩の力がわずかに抜けた。
「おお……こりゃ効くな」
リーナとザックも一本ずつ手に取り、慎重に口をつけた。
「ん……不思議な味。でも、体が軽くなったわ」
リーナはほっと息をつき、微笑む。
「おお……こいつは本物だ。リューク、お前の腕もなかなかやるじゃねえか」
ザックが瓶を振って音を鳴らし、冗談めかして見せた。
その場の緊張が、わずかに緩む。
リュークは静かに頷き、ふと隣にいるシャドウファングへ視線をやった。
黒狼は無言でリュークの足元に座り込み、疲れたように彼の膝へと頭を預けてきた。
(……よくやってくれた)
声には出さず、リュークは優しくその黒い毛並みを撫でる。
指先から伝わる温もりと、シャドウファングのわずかな震えが、共に戦った証を物語っていた。
「お前もよく頑張ったな」
リュークはそっとポーションをもう一本取り出し、シャドウファングに差し出した。
黒狼は**クンクン……**と匂いを嗅ぎ、リュークが促すと素直に口を付けた。
飲み終えると、低く鼻を鳴らし、目を細めて安心したように身を丸める。
リュークも静かに目を閉じ、体内の魔力の流れに意識を向けた。
戦闘で酷使した魔力は、今やほとんど底を尽きかけている。
「……魔力が、だいぶ減ってきたな」
彼は再びポーチから別の瓶を取り出した。魔力回復用のポーションだ。
仲間たちにも同じものを配り、全員がそれぞれ瓶を傾けた。
淡い青色の液体が喉を滑り落ちる。
スゥ……ッと冷たい感触が体中を巡り、次第に内側から温かな力が**ジワ……ジワ……**と湧き上がってくる。
「……これなら、次も戦える」
リュークは静かに呟き、まだ終わらない遺跡の探索に備えて、意識を鋭く集中させていく。
そっと目を閉じると、感覚が内側へと深く沈んでいった。
脳裏に浮かぶのは、これまでの戦闘の記憶――
短剣を振るい、魔法を放ち、魔力を通したロープで敵を縛ったあの瞬間の手応え。
それら全てが、**ズシリ……**と重く身体に刻まれている感覚があった。
「……少しずつだけど、確実に強くなってる」
自分に言い聞かせるように呟き、リュークは静かに目を開けた。
視線の先では、仲間たちもそれぞれの方法で戦いの疲れを癒している。
ガルドは剣を膝に乗せ、目を閉じて深く呼吸を整えている。**スゥ……ハァ……**と規則的な息遣いが静寂に溶け込む。
リーナは壁にもたれ、**ピリ……ピリ……と淡く揺れる魔力の流れを感じ取りながら集中を続けていた。
ザックは短剣の刃をシャッ……シャッ……**と慎重に砥ぎながら、静かに次の戦いに備えている。
リュークは皆を見渡し、ふっと息を整えてから口を開いた。
「……なあ。次に何が出てくるかわからないけど、俺たちならきっと乗り越えられる。さっきの戦いも、あんな数を相手にして勝ち抜けたんだ」
ガルドが目を開け、口の端を持ち上げてニヤリと笑う。
「言うようになったじゃねぇか。ああ、やってやろうぜ。俺たちの力を見せてやる!」
リーナも頷き、微笑みながら応じた。
「ええ、私も準備はできてるわ。今度はもっと的確に魔法を使うわよ」
ザックは短剣を**カチン……**と鞘に納め、軽く肩を回して立ち上がる。
「罠の準備も万全だ。次はもっと派手にやってやるよ」
リュークも立ち上がり、短剣の感触を確かめるように柄を握り直した。
その横で、シャドウファングがすっと立ち上がる。リュークは声には出さずに小さく顎を動かし、次の行動を促した。
(頼むぞ、シャドウファング)
黒狼は即座に反応し、低く**グルル……**と喉を鳴らして前方の闇を睨み据える。
その気迫に、リュークも自然と背筋を伸ばした。
「よし、行こう。奥がまだ残ってる」
リュークが静かに告げると、仲間たちは無言で頷き合い、装備を整えた。
ガルドが剣を**ズリ……ズン……**と重く引き上げ、リーナは杖を握り直し、ザックは軽快に足音を忍ばせながら列に加わる。
「リューク、準備はいいか?」
ザックが確認する。リュークは短剣を軽く振り、応えた。
「もちろん。行こう、シャドウファング」
黒狼は鼻を鳴らし、**コツ……コツ……**と静かに遺跡の奥へと歩き出す。
それに続くように、リュークたちは再び闇へと足を踏み入れた。
遺跡の静寂を破る足音が**コツ、コツ……**と響き、壁に長く伸びた彼らの影が、まるで何かに導かれるように奥へと消えていく。
果たして、その先に待つ影の正体は――
彼らはまだ、誰もその答えを知らなかった。
次回:地下へ続く階段、封印の扉
予告:扉の先にあるものとは?
ガルドが剣を抜き放ち、力強く号令をかけた。
リュークも短剣を握り直し、シャドウファングが低く唸りながら敵を鋭く睨みつける。
その視線の先――すでに人の形を失った異形の存在が現れる。
骨が剥き出しの腕、腐敗してただれた肉体、焦点の合わない光のない瞳。
その不気味な視線が、じりじりとリュークたちを捉え、**ズズ……ズン……**と重い足取りで迫ってきた。
「……普通の魔物と違う。殺気がないのに、底知れない不気味さがある」
リュークの呟きに、ザックが素早く周囲を見渡し、壁際の瓦礫に目をつけた。
「罠を仕掛ける!時間を稼いでくれ!」
「任せろ!」
ガルドが前に躍り出てアンデッドを引きつけ、大剣を構える。
アンデッドの錆びた剣が**ギギギ……ッ!と耳障りな音を立て、ガルドの剣と激しくぶつかる。
その衝撃に、ガルドの足元がズンッ!**と沈み込む。
「重い……!」
思わずガルドが呻く。
その瞬間、アンデッドの口からは、生者にはあり得ない**ゴロ……ゴロ……**とかすれた呻きが漏れ出た。
シャドウファングが影のように滑り込み、敵の足元を襲う。
鋭い爪が**バキッ!という音と共に鎧の隙間を裂き、紫色の霧のような魔力がシュゥゥ……**と噴き出す。
だが、アンデッドは倒れない。
よろけつつも、無表情のまま剣を**ググ……ギリリ……**と持ち上げ、再び振り下ろそうとする。
「しぶといな……!」
リーナは詠唱に入り、緊張した声を響かせる。
「聖なる光よ、闇を打ち払え――ライトフレア!」
まばゆい光がアンデッドを包み込むと、**ジュゥゥ……パチパチ……!と焼ける音が空間を満たした。
腐敗した皮膚が煙を上げ、アンデッドはグワァァ……**と苦悶のような唸り声を上げる。
だが、それでも奴らは崩れない。
焼け焦げたまま、無理やり体を動かし、こちらへにじり寄ってくる。
「まだ動くのかよ……!」
リュークは腰のポーチから細いロープを取り出し、素早く地面に広げた。
魔力を流し込むと、ロープは**ビク……ビクッ……**と震え、まるで生き物のようにうねり始めた。
(魔力を通せば、操れる気がする、……森での修練の成果、試すしかない)
「動け……縛れ!」
リュークの叫びと共に、ロープが跳ね上がり、アンデッドの足に**グルル……ギチギチ……**と絡みつく。
足を縛られたアンデッドは体勢を崩し、**ドゴッ!**と鈍い音を立てて地面に叩きつけられた。
だが――
「まだ……立つのか」
骨が**ギギ……ギチ……**ときしみ、アンデッドは再びよろよろと立ち上がろうとする。
その異様なしぶとさに、全員の顔に緊張が走った。
「こいつ……ダメージが通らねえのか!」
ガルドが忌々しげに唸ったその瞬間、
「リューク、伏せろ!」
鋭い叫びと共にリュークは即座に身を沈めた。
直後、ガルドの剣が**ズバァン!と音を立てて振り下ろされ、アンデッドの頭蓋をガギッ!と叩き割った。
骨が砕け、紫の霧がシュウゥ……と立ち昇る。
それでも、その死体はまるで意識を残しているかのようにビク……ビクビク……**と痙攣を続けていた。
「まだ気を抜くな!リーナ、後ろ!」
リュークが振り返ると、リーナは既に詠唱に入っていた。
「光よ、闇を断て――ライトフレア!」
リーナの詠唱が完了すると、まばゆい光が炸裂し、アンデッドたちは**グギャァ……**というかすれた悲鳴を上げて顔を背けた。
一瞬の隙。リュークはそれを逃さない。
(今だ……!)
声に出さずにシャドウファングへと目で合図を送る。
黒狼はそれを察し、影のように地を駆けた。
同時に、ザックが瓦礫を素早く利用する。
「こっちだ!」
瓦礫の山の影から小石を投げ、アンデッドを罠の方向へと誘導する。
一体が足を踏み入れた瞬間、縄が**ビシュッ!**と跳ね、足首に絡みつく。
「仕留める!」
アンデッドは**ドサッ!**と石畳に倒れ、**ギギ……ギギギ……**と骨を軋ませながら這うように迫ってくる。
その執念深さに、リュークは思わず息を呑む。
「なんて執念だ……!」
彼は短剣を逆手に持ち、素早く魔力をロープに流し込んだ。
ロープが**グルル……グイッ!**と再び意志を持ったかのようにうねり、アンデッドの足を絡めて押さえ込む。
(今しかない――!)
声を出さず、再びシャドウファングに合図を送る。
黒狼は低く唸り、瞬時に飛びかかる。**ガブッ!**という重く鋭い音が響き、牙がアンデッドの喉元を深く貫いた。
アンデッドは**グギャ……ガググ……と断末魔のように呻き、紫の霧がスゥ……**と薄れていく。
「終わらせる!」
ガルドが一歩踏み込んだ。崩れた柱を飛び越え、踏み込んだその足元が**ズズッ……**と沈みかけるが、体勢を立て直して力任せに大剣を振り下ろす。
**ドガァァン!**という凄まじい音と共に、アンデッドの胴が両断され、ようやく最後の一体が地に伏した。
部屋に静寂が戻る。
しかし――その静けさは、ただの“終わり”ではなかった。
リュークは膝をつき、荒い呼吸を整えながら、うねりを止めたロープをじっと見下ろした。
「魔力で動かせる……まだ上手く扱えないが……」
呟くリュークに、ガルドが肩を叩く。
「十分だ、リューク。お前がいなかったら、今ごろ俺たち全員、奴らの仲間入りだったかもな」
リュークは小さく笑い返したが、その視線は倒れたアンデッドから離れない。
(あれは……本当に“死んでいた”のか?それとも……)
紫の霧が消えた後も、アンデッドの体からはなお**ピキ……ピキ……**と骨が軋む音が微かに残っていた。
異質な恐怖だけが、そこに確かに残されていた――。
「……いや、十分だったぜ、リューク」
ガルドはもう一度だけ肩を軽く叩き、部屋の奥へと歩を進めていく。
リュークはそれを見送りつつ、なおもアンデッドの亡骸に視線を落とし、静かに息を吐いた。
背を壁に預けると、途端に全身の力が抜ける。
剣を握っていた指先が微かに震え、遅れて疲労がどっと押し寄せてきた。
耳を澄ませば、静まり返った遺跡の空気が冷たく染み入り、背後の石壁からは**ジワ……ジワ……と湿った冷気が肌を刺した。
倒れたアンデッドの残骸は無惨に転がり、紫色の残光がユラ……ユラ……**と不気味に漂い続けている。
リュークは息を整えながら、低く告げた。
「少し休もう。みんな、ポーションを使え。俺が作ったやつだが……効果は保証済みだ」
ポーチに手を伸ばすと、指先が瓶に触れ、**カチ…カチ……**と小さくぶつかる音がした。
彼は数本のポーションを取り出し、瓶の栓を外す。**ポン……**という軽い音と共に、淡い光を放つ液体が揺れる。
その光景を見たガルドは無言で頷き、無造作に一本を手に取った。
「へぇ、お前が作ったのかよ。まぁ、信じるぜ」
そう言うと、ガルドは瓶を傾け、**ゴクリ……ゴクリ……**と勢いよく中身を喉へ流し込む。
直後、彼の表情が緩み、張り詰めていた肩の力がわずかに抜けた。
「おお……こりゃ効くな」
リーナとザックも一本ずつ手に取り、慎重に口をつけた。
「ん……不思議な味。でも、体が軽くなったわ」
リーナはほっと息をつき、微笑む。
「おお……こいつは本物だ。リューク、お前の腕もなかなかやるじゃねえか」
ザックが瓶を振って音を鳴らし、冗談めかして見せた。
その場の緊張が、わずかに緩む。
リュークは静かに頷き、ふと隣にいるシャドウファングへ視線をやった。
黒狼は無言でリュークの足元に座り込み、疲れたように彼の膝へと頭を預けてきた。
(……よくやってくれた)
声には出さず、リュークは優しくその黒い毛並みを撫でる。
指先から伝わる温もりと、シャドウファングのわずかな震えが、共に戦った証を物語っていた。
「お前もよく頑張ったな」
リュークはそっとポーションをもう一本取り出し、シャドウファングに差し出した。
黒狼は**クンクン……**と匂いを嗅ぎ、リュークが促すと素直に口を付けた。
飲み終えると、低く鼻を鳴らし、目を細めて安心したように身を丸める。
リュークも静かに目を閉じ、体内の魔力の流れに意識を向けた。
戦闘で酷使した魔力は、今やほとんど底を尽きかけている。
「……魔力が、だいぶ減ってきたな」
彼は再びポーチから別の瓶を取り出した。魔力回復用のポーションだ。
仲間たちにも同じものを配り、全員がそれぞれ瓶を傾けた。
淡い青色の液体が喉を滑り落ちる。
スゥ……ッと冷たい感触が体中を巡り、次第に内側から温かな力が**ジワ……ジワ……**と湧き上がってくる。
「……これなら、次も戦える」
リュークは静かに呟き、まだ終わらない遺跡の探索に備えて、意識を鋭く集中させていく。
そっと目を閉じると、感覚が内側へと深く沈んでいった。
脳裏に浮かぶのは、これまでの戦闘の記憶――
短剣を振るい、魔法を放ち、魔力を通したロープで敵を縛ったあの瞬間の手応え。
それら全てが、**ズシリ……**と重く身体に刻まれている感覚があった。
「……少しずつだけど、確実に強くなってる」
自分に言い聞かせるように呟き、リュークは静かに目を開けた。
視線の先では、仲間たちもそれぞれの方法で戦いの疲れを癒している。
ガルドは剣を膝に乗せ、目を閉じて深く呼吸を整えている。**スゥ……ハァ……**と規則的な息遣いが静寂に溶け込む。
リーナは壁にもたれ、**ピリ……ピリ……と淡く揺れる魔力の流れを感じ取りながら集中を続けていた。
ザックは短剣の刃をシャッ……シャッ……**と慎重に砥ぎながら、静かに次の戦いに備えている。
リュークは皆を見渡し、ふっと息を整えてから口を開いた。
「……なあ。次に何が出てくるかわからないけど、俺たちならきっと乗り越えられる。さっきの戦いも、あんな数を相手にして勝ち抜けたんだ」
ガルドが目を開け、口の端を持ち上げてニヤリと笑う。
「言うようになったじゃねぇか。ああ、やってやろうぜ。俺たちの力を見せてやる!」
リーナも頷き、微笑みながら応じた。
「ええ、私も準備はできてるわ。今度はもっと的確に魔法を使うわよ」
ザックは短剣を**カチン……**と鞘に納め、軽く肩を回して立ち上がる。
「罠の準備も万全だ。次はもっと派手にやってやるよ」
リュークも立ち上がり、短剣の感触を確かめるように柄を握り直した。
その横で、シャドウファングがすっと立ち上がる。リュークは声には出さずに小さく顎を動かし、次の行動を促した。
(頼むぞ、シャドウファング)
黒狼は即座に反応し、低く**グルル……**と喉を鳴らして前方の闇を睨み据える。
その気迫に、リュークも自然と背筋を伸ばした。
「よし、行こう。奥がまだ残ってる」
リュークが静かに告げると、仲間たちは無言で頷き合い、装備を整えた。
ガルドが剣を**ズリ……ズン……**と重く引き上げ、リーナは杖を握り直し、ザックは軽快に足音を忍ばせながら列に加わる。
「リューク、準備はいいか?」
ザックが確認する。リュークは短剣を軽く振り、応えた。
「もちろん。行こう、シャドウファング」
黒狼は鼻を鳴らし、**コツ……コツ……**と静かに遺跡の奥へと歩き出す。
それに続くように、リュークたちは再び闇へと足を踏み入れた。
遺跡の静寂を破る足音が**コツ、コツ……**と響き、壁に長く伸びた彼らの影が、まるで何かに導かれるように奥へと消えていく。
果たして、その先に待つ影の正体は――
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次回:地下へ続く階段、封印の扉
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4年前に書いたものをリライトして載せてみます。
老衰で死んだ僕は異世界に転生して仲間を探す旅に出ます。最初の武器は木の棒ですか!? 絶対にあきらめない心で剣と魔法を使いこなします!
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最初の武器は木の棒!?
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何度も心が折れそうになりながらも、アイレは剣と魔法を使いこなしながら
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チート、ハーレムなしの王道ファンタジー物語!
異世界転生は2話目です! キャラクタ―の魅力を味わってもらえると嬉しいです。
話の終わりのヒキを重要視しているので、そこを注目して下さい!
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異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
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相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
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