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帰還 〜ポーレット〜
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溜まった書類仕事を終えて疲弊していたヴァルトは従者2人と従魔2匹を連れて裏庭に出た。
夕陽が傾く裏庭の木々から煙りが上がっているのを見て「フッ」と微笑む。
「もう何か作っている様ですね。」
「ああ。兄上も一緒に食べるらしい。」
「久々のイオリの料理かー。
酒でも貰ってくれば良かったかな。」
トゥーレとマルクルも楽しみにしているのか足早に裏庭を横切って行く。
3人はイオリ達の住処の木々の中に姿を表すとニヤニヤが止まらなかった。
小さな木株に腰かけたナギがライヤーを弾き、それに合わせてソルが歌い。
その周りをパティとニナ・アウラとゼンが踊る様に回っていた。
ヒューゴは庭師ボーとしゃがみこんで何やらと作っていて
スコルは水場で野菜を洗い
イオリは竈門で鍋をかき混ぜていた。
「本当に帰ってきたんだな・・・。」
ヴァルトの呟きに後ろから声が掛かった。
「まるで絵物語の様な穏やかな景色だな。
幸せというのは、本来この様なものなのかもしれないな。」
ニコライが微笑みながら従者達を連れて姿を現した。
「ヴァルト!!」
パティが気づき、手招きすると迎い入れた。
「お仕事終わったんですか?」
イオリがニヤリとしながら声をかけるとヴァルトはうんざりする様に頷いた。
「思い出させてくれるなよ。
終わったよ。
お前達は今日、変なのに絡まれたって?」
「まぁ、変なのに間違いありませんけど、大丈夫ですよ。
ロディさんとエルノールさんに任せちゃったんで。
もう少しかかりますから、座ってくつろいでいて下さい。」
思い思いに椅子に座ったり、ひかれていた布に腰をおろすとナギの奏でる音に聞き惚れていた。
「良い曲だな。心地が良いい。」
「エルフに伝わる曲だそうですよ。
ナギは色んな曲を弾きますが、あの曲が一番好きみたいですね。」
ヴァルトの呟きに小さいが背の高い椅子を持って近づいてきたヒューゴが和かに答えた。
「そうか、エルフの・・・。
それは?」
「妹の椅子です。イオリとボーさんと一緒に作りました。
ニナ!出来たぞ。」
ヒューゴが声をかけるとニナは嬉しそうにテトテトと走り寄りワクワクした様に見上げた。
「よし。手をあげろ。
良いぞ。」
ヒューゴは持ち上げると椅子に座らせた。
不安定な場所でも安心なように、四角に組んだ椅子に落ちない様にベルトがついていた。
「変わった、形だな。」
ニコライも興味深そうに覗き込むとヒューゴはニナを固定しながら説明した。
「イオリの故郷の食堂とかで見られる子供用の椅子らしいです。
大人と一緒のテーブルでも食べられるように背を高くする代わりに落ちない工夫がされています。
ニナ、どうだ?痛くないか?」
「いたくない。だいじょーぶ!」
手を挙げてニッコリ返事するニナにポーレット公爵兄弟は驚愕の顔をした。
「話してる・・・。」
「話せるようになったのか?」
「ニナは、ずっとお話してるよ?」
2人の言葉に首を傾げるニナにヒューゴは苦笑した。
「アーベルの大旦那様にご挨拶してから、話すようになったんです。
ニナとしては声を出していなかっただけで以前もずっと話していたつもりのようなんですよ。」
兄弟は徐々に自体を把握するとニッコリとしてニナの頭を撫でた。
「そうか。お前はずっとみんなと会話していたのか。」
「アーベルも喜んだだろう。
自分がきっかけで話したと自慢するはずだぞ。」
「はい。大変、お喜びでした。」
「良かったかな」と言われて微笑むヒューゴにニナも嬉しそうだった。
「できましたよー!!
みんなも食べよう!!」
イオリの声に子供達は勿論の事、大人達も集まり賑やかな食卓となった。
夕陽が傾く裏庭の木々から煙りが上がっているのを見て「フッ」と微笑む。
「もう何か作っている様ですね。」
「ああ。兄上も一緒に食べるらしい。」
「久々のイオリの料理かー。
酒でも貰ってくれば良かったかな。」
トゥーレとマルクルも楽しみにしているのか足早に裏庭を横切って行く。
3人はイオリ達の住処の木々の中に姿を表すとニヤニヤが止まらなかった。
小さな木株に腰かけたナギがライヤーを弾き、それに合わせてソルが歌い。
その周りをパティとニナ・アウラとゼンが踊る様に回っていた。
ヒューゴは庭師ボーとしゃがみこんで何やらと作っていて
スコルは水場で野菜を洗い
イオリは竈門で鍋をかき混ぜていた。
「本当に帰ってきたんだな・・・。」
ヴァルトの呟きに後ろから声が掛かった。
「まるで絵物語の様な穏やかな景色だな。
幸せというのは、本来この様なものなのかもしれないな。」
ニコライが微笑みながら従者達を連れて姿を現した。
「ヴァルト!!」
パティが気づき、手招きすると迎い入れた。
「お仕事終わったんですか?」
イオリがニヤリとしながら声をかけるとヴァルトはうんざりする様に頷いた。
「思い出させてくれるなよ。
終わったよ。
お前達は今日、変なのに絡まれたって?」
「まぁ、変なのに間違いありませんけど、大丈夫ですよ。
ロディさんとエルノールさんに任せちゃったんで。
もう少しかかりますから、座ってくつろいでいて下さい。」
思い思いに椅子に座ったり、ひかれていた布に腰をおろすとナギの奏でる音に聞き惚れていた。
「良い曲だな。心地が良いい。」
「エルフに伝わる曲だそうですよ。
ナギは色んな曲を弾きますが、あの曲が一番好きみたいですね。」
ヴァルトの呟きに小さいが背の高い椅子を持って近づいてきたヒューゴが和かに答えた。
「そうか、エルフの・・・。
それは?」
「妹の椅子です。イオリとボーさんと一緒に作りました。
ニナ!出来たぞ。」
ヒューゴが声をかけるとニナは嬉しそうにテトテトと走り寄りワクワクした様に見上げた。
「よし。手をあげろ。
良いぞ。」
ヒューゴは持ち上げると椅子に座らせた。
不安定な場所でも安心なように、四角に組んだ椅子に落ちない様にベルトがついていた。
「変わった、形だな。」
ニコライも興味深そうに覗き込むとヒューゴはニナを固定しながら説明した。
「イオリの故郷の食堂とかで見られる子供用の椅子らしいです。
大人と一緒のテーブルでも食べられるように背を高くする代わりに落ちない工夫がされています。
ニナ、どうだ?痛くないか?」
「いたくない。だいじょーぶ!」
手を挙げてニッコリ返事するニナにポーレット公爵兄弟は驚愕の顔をした。
「話してる・・・。」
「話せるようになったのか?」
「ニナは、ずっとお話してるよ?」
2人の言葉に首を傾げるニナにヒューゴは苦笑した。
「アーベルの大旦那様にご挨拶してから、話すようになったんです。
ニナとしては声を出していなかっただけで以前もずっと話していたつもりのようなんですよ。」
兄弟は徐々に自体を把握するとニッコリとしてニナの頭を撫でた。
「そうか。お前はずっとみんなと会話していたのか。」
「アーベルも喜んだだろう。
自分がきっかけで話したと自慢するはずだぞ。」
「はい。大変、お喜びでした。」
「良かったかな」と言われて微笑むヒューゴにニナも嬉しそうだった。
「できましたよー!!
みんなも食べよう!!」
イオリの声に子供達は勿論の事、大人達も集まり賑やかな食卓となった。
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