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帰還 〜ポーレット〜
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ここまでの反応は悪くない。みんな楽しそうに食べてくれていた。
イオリはクリストフと共に新しい皿を並べていく。
「次は煮物を用意しました。海の物はひじきと言って海藻なんです。
黒いですけど、美味しいですよ。先ほどから出ているカツオの出汁も使われています。
もう一品は山の物として角煮を用意しました。
海と山、調味料は似ているのに全然違うんです。」
好物な角煮が出されると嬉しそうにしていたヴァルトは隣の皿に盛られた料理に驚いた。
「本当に真っ黒だな。大丈夫なのか?」
「大丈夫ですよ。美味しいんですって。ヒジキの方が味が優しいので先に食べる事をお勧めします。」
躊躇するヴァルトを笑いながらニコライはヒジキをスプーンで食べた。
「イオリが出して不味かった事なんてなかっただろう。・・・・うま。
美味いな!これはこれで良いぞ。」
ヒジキなど見たこともなかった物をニコライはいたく気に入ったようだった。
「兄上が言うのなら・・・美味い・・・。これが海の物か。」
「と言っても、ダグスクの皆さんも食べてませんでしたけどね。勿体ない。」
イオリの顔が寂しそうに見えた公爵は優しい声で言った。
「今回の出会いで乾物の美味しさを知れば広まっていくだろう。
その一家にも礼を言わないといけないな。」
テオルドの提案に嬉しそうに頷くイオリだった。
「かわいい。」
小さなニナが覗き込んだのは、お皿の上に乗った茶色い袋の中に色とりどりに盛り付けられた料理だった。
「これはお稲荷さんって言うんです。最初に出した豆腐を薄く切って油で揚げた物を出汁や醤油、砂糖で味付けてあります。
その中にはお米が入っています。卵とハーブは盛り付けに使いました。
召し上がれ。」
小さいお稲荷さんを頬張るニナは満面の笑みで喜んだ。
「おいしい!ニナこれ好き。」
「ナギも!甘くてしょっぱくて・・・おいしい!!」
子供に人気のお稲荷さんは大人にも好評だった。
何よりも同じ素材が調理法で変わるのが興味深いらしい、グラトニーの4人は相談しながら楽しそうだった。
「お腹に空きはありますか?これからもっと出ますよ?」
そう言うとイオリは焼き物として鶏肉のクルミ味噌焼き
蒸し物として茶碗蒸し
揚げ物として野菜と山菜の天ぷらを出した。
「海の食材は現地が美味しいですけど、ここには山の恵みがあります。
クルミ味噌も香ばしくて良い働きをしてくれますし、茶碗蒸しは出汁と卵を楽しむ物です。
野菜と山菜はポーレットと魔の森で手に入れましたが、塩とつけ汁はダグスクで手に入れた物です。」
イオリの説明など気にするでもなしに子供達は頬を膨らませてモグモグと食べている。
「私もダグスクへは行った事があるが、まさかこんな料理が出てくるとは思わなかったぞ。
全てにおいて見事だった。
乾物か・・・。アーベル。この品を取引はせんのか?」
「使い方を知らないと流行りませんでしょうな。
やはり、店が出すのが一番でしょう。
これはイオリさんのお作りになった物でないとすると、グラトニーが直接動けます。
すでにダグスクの方で動いているようなので確認いたしましょう。
この歳で新たな味に出会えるとは素晴らしい事です。」
その後は炊き込みご飯とお味噌汁、最後に甘味である寒天ゼリーを出して終わった。
寒天ゼリーは子供に大人気で冷蔵庫があると美味しくなると力説すると再び公爵はアーベルと物流についての話を始めてしまった。
最後は無言で食べ続けたポーレット公爵家の兄弟と従者達はお腹がはち切れるほどおかわりを頼んだとか・・・。
何はともあれイオリの“エナばあちゃんの乾物を流行らそう”と言う企みは良いスタートを切ったと思われる。
イオリはクリストフと共に新しい皿を並べていく。
「次は煮物を用意しました。海の物はひじきと言って海藻なんです。
黒いですけど、美味しいですよ。先ほどから出ているカツオの出汁も使われています。
もう一品は山の物として角煮を用意しました。
海と山、調味料は似ているのに全然違うんです。」
好物な角煮が出されると嬉しそうにしていたヴァルトは隣の皿に盛られた料理に驚いた。
「本当に真っ黒だな。大丈夫なのか?」
「大丈夫ですよ。美味しいんですって。ヒジキの方が味が優しいので先に食べる事をお勧めします。」
躊躇するヴァルトを笑いながらニコライはヒジキをスプーンで食べた。
「イオリが出して不味かった事なんてなかっただろう。・・・・うま。
美味いな!これはこれで良いぞ。」
ヒジキなど見たこともなかった物をニコライはいたく気に入ったようだった。
「兄上が言うのなら・・・美味い・・・。これが海の物か。」
「と言っても、ダグスクの皆さんも食べてませんでしたけどね。勿体ない。」
イオリの顔が寂しそうに見えた公爵は優しい声で言った。
「今回の出会いで乾物の美味しさを知れば広まっていくだろう。
その一家にも礼を言わないといけないな。」
テオルドの提案に嬉しそうに頷くイオリだった。
「かわいい。」
小さなニナが覗き込んだのは、お皿の上に乗った茶色い袋の中に色とりどりに盛り付けられた料理だった。
「これはお稲荷さんって言うんです。最初に出した豆腐を薄く切って油で揚げた物を出汁や醤油、砂糖で味付けてあります。
その中にはお米が入っています。卵とハーブは盛り付けに使いました。
召し上がれ。」
小さいお稲荷さんを頬張るニナは満面の笑みで喜んだ。
「おいしい!ニナこれ好き。」
「ナギも!甘くてしょっぱくて・・・おいしい!!」
子供に人気のお稲荷さんは大人にも好評だった。
何よりも同じ素材が調理法で変わるのが興味深いらしい、グラトニーの4人は相談しながら楽しそうだった。
「お腹に空きはありますか?これからもっと出ますよ?」
そう言うとイオリは焼き物として鶏肉のクルミ味噌焼き
蒸し物として茶碗蒸し
揚げ物として野菜と山菜の天ぷらを出した。
「海の食材は現地が美味しいですけど、ここには山の恵みがあります。
クルミ味噌も香ばしくて良い働きをしてくれますし、茶碗蒸しは出汁と卵を楽しむ物です。
野菜と山菜はポーレットと魔の森で手に入れましたが、塩とつけ汁はダグスクで手に入れた物です。」
イオリの説明など気にするでもなしに子供達は頬を膨らませてモグモグと食べている。
「私もダグスクへは行った事があるが、まさかこんな料理が出てくるとは思わなかったぞ。
全てにおいて見事だった。
乾物か・・・。アーベル。この品を取引はせんのか?」
「使い方を知らないと流行りませんでしょうな。
やはり、店が出すのが一番でしょう。
これはイオリさんのお作りになった物でないとすると、グラトニーが直接動けます。
すでにダグスクの方で動いているようなので確認いたしましょう。
この歳で新たな味に出会えるとは素晴らしい事です。」
その後は炊き込みご飯とお味噌汁、最後に甘味である寒天ゼリーを出して終わった。
寒天ゼリーは子供に大人気で冷蔵庫があると美味しくなると力説すると再び公爵はアーベルと物流についての話を始めてしまった。
最後は無言で食べ続けたポーレット公爵家の兄弟と従者達はお腹がはち切れるほどおかわりを頼んだとか・・・。
何はともあれイオリの“エナばあちゃんの乾物を流行らそう”と言う企みは良いスタートを切ったと思われる。
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