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束の間のポーレット
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「こ・・国王陛下とお茶会を?」
恐る恐る聞くバートにイオリは首を振った。
「いや、しょっちゅう来てましたよ。
ポーレット公爵と一緒に離宮・シグマに滞在させてもらってたんですけど、庭で料理していい許可を得ましてね。
仕事を抜けては、つまみ食いして宰相のグレンさんに怒られながら戻って行きました。
俺の料理を気に入ってくれて良かったですよ。
ダグスクの乾物も美味しいって言ってましたよ。」
!!!!!!!
イオリの発言にバートは立ち上がると気を失うようにフラついた。
アーベルとブルーノは苦笑し、ハンスとメルロスは冷や汗をかいていた。
「さすが、陛下とポーレット公爵。
大人になられていても、実に仲の良いご兄弟だ。
普通の貴族・・・いや、親族であろうとも離宮・シグマは与えられません。
幻のお屋敷は他国の王族が求めても使用は許可されないんです。
そうでしたか、国王陛下はイオリさんの料理を口にされた・・・。
これは、王都でも食の変革が来るかもしれませんね。
イオリさんの料理を食べて、耐えられるわけがないですから。」
アーベルはクスクスと笑い、同じ様に考えていたバートは慌てながら書類を見返していた。
「これだ!謎の、注文依頼!!
どう扱うか困っていたんですよ。
それなら真っ先に処理しなければ!」
そんなバートにイオリが待ったをかけた。
「王宮からの注文ですか?
それはダメです。
ちゃんと順番通りですよ。
貴族だから、王族だからと順番を入れ替えるなら俺は最初から儲けを求めてます。
アルさんはちゃんと分かってくれますよ。」
イオリの国王陛下のアルさん呼びも驚くが、国王陛下であろうともブレないイオリにアーベルは爆笑し、バートは青褪めた。
「だそうだ。
バート、腹を括りなさい。
通常通りの処理を・・・。
王宮へは私の方からも一筆書いておくよ。」
バートは諦めたように溜息を吐き頷いた。
「分かりました。
じゃあ、次は絵本の話を聞かせてください。
エドバルド神父にも相談されていましたが、最近は王都からジャンジャン情報が送られてくるんです。
イオリさんの考えを直接教えてください。」
バートに絵本の真意と王都の図書館の建設についてイオリは語った。
制作に第二王子ディビットと婚約者ココ・リード伯爵令嬢が関わる事にも驚愕し、王都本店ロス・グラトニーの判断の速さにバートは驚いた。
「叔父さんも良く土地を譲渡しましたね。
とても良い立地の土地です。」
そんなバートにアーベルはニヤリとすると首を振った。
「アレが単純な行動をする事はない。
何よりも、これから絵本を購入する貴族達への大いなる宣伝になるではないか。
新しい事を人に知ってもらうとは大変な事だ。
時間もかかるし、金もかかる。
ロスはそれを短時間で済まそうとしているんだ。
教会の隣に貴族だって持ちはしない図書館が出来る。
しかも、平民しか使えない。
絵本の制作には王族がかかわっているのだから、貴族も目にしたいし買わざるおえない。
平民や孤児達は知らず知らずに文字が読めるようになるし、教養も身につく。
グラとニーにとって、そんな面白い事に土地の1つや2つ、何でもないさ。
ロスもイオリさんに面白い可能性を見出したのでしょう。
よしっ!バート。
お前もポーレットでも図書館を作れ!」
アーベルの一声でホワイトキャビンは本の制作だけでなく、図書館も作ることになった。
当然、バートは慌てパニックになるがアーベルのニコニコ顔に逆らう事が出来ない。
「図書館・・・確かにね。
面白いでしょうけど・・・。」
バートが出す弱々しい声をイオリは何だか申し訳ない気持ちで聞いていた。
恐る恐る聞くバートにイオリは首を振った。
「いや、しょっちゅう来てましたよ。
ポーレット公爵と一緒に離宮・シグマに滞在させてもらってたんですけど、庭で料理していい許可を得ましてね。
仕事を抜けては、つまみ食いして宰相のグレンさんに怒られながら戻って行きました。
俺の料理を気に入ってくれて良かったですよ。
ダグスクの乾物も美味しいって言ってましたよ。」
!!!!!!!
イオリの発言にバートは立ち上がると気を失うようにフラついた。
アーベルとブルーノは苦笑し、ハンスとメルロスは冷や汗をかいていた。
「さすが、陛下とポーレット公爵。
大人になられていても、実に仲の良いご兄弟だ。
普通の貴族・・・いや、親族であろうとも離宮・シグマは与えられません。
幻のお屋敷は他国の王族が求めても使用は許可されないんです。
そうでしたか、国王陛下はイオリさんの料理を口にされた・・・。
これは、王都でも食の変革が来るかもしれませんね。
イオリさんの料理を食べて、耐えられるわけがないですから。」
アーベルはクスクスと笑い、同じ様に考えていたバートは慌てながら書類を見返していた。
「これだ!謎の、注文依頼!!
どう扱うか困っていたんですよ。
それなら真っ先に処理しなければ!」
そんなバートにイオリが待ったをかけた。
「王宮からの注文ですか?
それはダメです。
ちゃんと順番通りですよ。
貴族だから、王族だからと順番を入れ替えるなら俺は最初から儲けを求めてます。
アルさんはちゃんと分かってくれますよ。」
イオリの国王陛下のアルさん呼びも驚くが、国王陛下であろうともブレないイオリにアーベルは爆笑し、バートは青褪めた。
「だそうだ。
バート、腹を括りなさい。
通常通りの処理を・・・。
王宮へは私の方からも一筆書いておくよ。」
バートは諦めたように溜息を吐き頷いた。
「分かりました。
じゃあ、次は絵本の話を聞かせてください。
エドバルド神父にも相談されていましたが、最近は王都からジャンジャン情報が送られてくるんです。
イオリさんの考えを直接教えてください。」
バートに絵本の真意と王都の図書館の建設についてイオリは語った。
制作に第二王子ディビットと婚約者ココ・リード伯爵令嬢が関わる事にも驚愕し、王都本店ロス・グラトニーの判断の速さにバートは驚いた。
「叔父さんも良く土地を譲渡しましたね。
とても良い立地の土地です。」
そんなバートにアーベルはニヤリとすると首を振った。
「アレが単純な行動をする事はない。
何よりも、これから絵本を購入する貴族達への大いなる宣伝になるではないか。
新しい事を人に知ってもらうとは大変な事だ。
時間もかかるし、金もかかる。
ロスはそれを短時間で済まそうとしているんだ。
教会の隣に貴族だって持ちはしない図書館が出来る。
しかも、平民しか使えない。
絵本の制作には王族がかかわっているのだから、貴族も目にしたいし買わざるおえない。
平民や孤児達は知らず知らずに文字が読めるようになるし、教養も身につく。
グラとニーにとって、そんな面白い事に土地の1つや2つ、何でもないさ。
ロスもイオリさんに面白い可能性を見出したのでしょう。
よしっ!バート。
お前もポーレットでも図書館を作れ!」
アーベルの一声でホワイトキャビンは本の制作だけでなく、図書館も作ることになった。
当然、バートは慌てパニックになるがアーベルのニコニコ顔に逆らう事が出来ない。
「図書館・・・確かにね。
面白いでしょうけど・・・。」
バートが出す弱々しい声をイオリは何だか申し訳ない気持ちで聞いていた。
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