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番外編〜あの頃〜
ヴァルトとクロムス《書籍化記念》
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これはヴァルトがまだイオリと出会うちょっと前の話。
「明けない魔の森が静か過ぎる?」
冒険者ギルドから齎された情報にポーレット公爵家は騒々しくなった。
ーーースタンピード
それは、明けない魔の森の近くに存在するポーレットの街が、魔物の暴走により絶望的な状況に陥ってしまう最も警戒する災害である。
そんなスタンピードの前兆は通常よりも異常に魔物達が騒ぎ出す事であり、今回のような静寂とは無縁である。
それでも冒険者ギルドがわざわざ報告してくるのは、彼らが異常だと判断したからだ。
それを無視するポーレット公爵でもなく、彼は直ぐ様に次男ヴァルトに調査を命じた。
ヴァルトは聖属性のスキルを持つルチアとシールドスキルを持つクロムスというカーバンクルの親子と契約している。
万が一にも危険はないだろうが、事が事なだけにポーレットの騎士団が編成された。
そして今・・・。
「おいっ。
クロムス。見つけたベリーの摘み食いばっかりしてないで周囲を警戒してくれよ。」
ヴァルトはベリーを見つけては自分から離れるクロムスを注意した。
すると、クロムスはブゥっと頬を膨らますとベリーを1つヴァルトに差し出す。
「おっ。俺にもくれるのか?
ありがとう・・って、スッパ!
お前、俺には激渋なやつ渡したなぁ!」
お腹を抱えて笑うクロムスの腹をツンツンとして抗議するヴァルトの背後からブリザードが吹く。
「ヴァルト、貴方・・・。
此処が何処で、何の目的で来たのか忘れていやしませんか?」
トゥーレの冷徹な声がヴァルトの身を凍らせる。
「だってさぁ。
さっきから魔獣どころか、風の1つもなくて木の擦れ合う音すらしないぞ。」
周囲を見渡すヴァルトに「気を抜かないっ!」と叱りつけたトゥーレであったが、彼自身も静まり返った魔の森に気味悪さを感じていた。
明けない魔の森の浅い場所を騎士団に任せ、ヴァルトは2人の従者とカーバンクルの親子と共に出来る限りの深さまでやって来ていた。
「どうだ?ルチア、嫌な気配とかするか?」
問いかけるヴァルトにルチアはゆっくりと顔を横に振った。
『全くもって無ですね。
それよりも不思議な事に、いつもより心地が良いです。
何と言ったら良いのか・・・まるで、聖域にいるかのような。
清々しく、心落ち着く空気です。』
尻尾をプラプラと振りながら歩くルチアを見つめながらヴァルトは首を捻った。
「聖域みたい?
何だそれは?」
カーバンクルのルチアにとって、普段の魔の森もエネルギーに満ちていて過ごしやすい場所である。
それでも契約者であるヴァルト達のような人間達にとって、明けない魔の森がいかに危険であるかも理解していた。
特に奥深く、最深部に行けば行くほどに、その傾向は強くなる。
ルチアは今、その清々しい空気を一身に纏い何だか気分が良かった・
「おい、あれなんだ?」
ヴァルトは、もう1人の従者であるマルクルの言葉に反応して振り返った。
「なんだ?どうした?」
「いや、なんか見た事のない虹の光が見えた気がしたんだが・・・。
気のせいだったのかな。」
「何言ってるんだ?
久々の魔の森で気が立ってるんじゃないか?」
首を捻るマルクルを揶揄いながら前を進んでいたヴァルトが違和感に気づく。
自分の肩に乗っていたはずのクロムスがいない。
「おい。
クロムス?何処だ??また、ベリーの摘み食いか?
クロムス?・・・おい。クロムス何処だ!!」
徐々に慌て始めたヴァルトにトゥーレとマルクルも一緒になってクロムスを探し始めた。
『こっちです!
こっちからクロムスの気配が!!』
ルチアの案内で走り出したヴァルト達は、クロムスを鷲掴みにして走り去るオーク達の背を見つけた。
「オーク?」
先程まで姿形どころか気配すらしなかったオークの出現に訝しがっているのはヴァルトだけではない。
「おかしいですね。」
「そうだな。ルチアまでオークが近づいて来た事に気づかないなんて。」
首をひねるトゥーレとマルクルの話を耳に入れつつ、ヴァルトは必死にオーク達を追った。
『こっちです。えっ・・・。
いや・・・今度はこっち?』
魔の森の立地を生かして逃げていくオーク達に頼みのルチアが翻弄されている。
終いには急停止したルチアが絶望的な顔でヴァルトを見上げた。
『クロムスの気配を追えません・・・。』
「そんな・・・。」
ついさっきまで、魔物の気配もなく明るく過ごしていたヴァルト達に一気に緊張感が走った。
「匂いはどうです?
匂いで追えませんか?」
トゥーレの思い付きにもルチアは弱々しく首を横に振った。
「とりあえず、奴らを追おうぞ。
絶対に取り返してやるからな。」
ヴァルトはルチアの抱き上げるとギュッと抱きしめた。
必死になってクロムスを攫ったオークの痕跡を探していた時だった。
ルチアの耳がプルプルと動いた。
『クロムス!!』
歓喜するルチアに微笑んでいたヴァルトであったが、次のルチアの言葉に再び顔を傾げる事になる。
『・・・森の奥で住んでる人に助けられた?
白い狼の毛がフワフワで気持ちが良い・・・・
クロムス、貴方何を言っているの?』
戸惑うルチアと同じ思いのヴァルト達であったが、クロムスが無事に優しい人に保護されたと聞き一安心した。
「こんな場所に人が住んでいる?
高位ランクの冒険者か?」
ヴァルトの疑問に答える事も出来ずにトゥーレとマルクルは肩を竦めるばかりだ。
その後は無事にクロムスと合流し、イオリという不思議少年との出会いをしたヴァルト達一行は再会を誓い別れたのだが、これは本編で皆さんご存知の話。
ヴァルトは考察する。
静まり返った明けない魔の森の中で唯一、現れたオーク達。
もしかしたらクロムスがオークに攫われたのもイオリと出会う為に絶対神がやったイタズラなのかもしれない。
「なんてな。そんな都合の良い話があるわけないか・・・。」
互いに幸運な出会いの果たしたヴァルトとイオリ。
この時、誰もが知らなかった。
イオリによってポーレットの街に大いなる変革が訪れる事を・・・。
「クロムス。
イオリが早くポーレットに来ると良いな。」
ヴァルトの言葉にクロムスがコクコクと頷く。
再会は5年後の事である。
※※※※※ ※※※※※ ※※※※※ ※※※※※ ※※※※※
いつも『拾ったものは大切にしましょう~子狼に気に入られた男の転移物語~』をご覧頂いて有難うございます。
本作品をアルファポリス様より書籍化させて頂く運びとなりました。
改稿し読みやすくなっております。
それに伴い、こちらの方では順次閲覧ができなくなってしまいます。ご了承下さいませ。
発売は《2023年12月中旬予定》となっております。
表紙・挿絵のイラストはTAPI岡先生が担当して下さいました。
とても可愛らしく素敵な絵を描いてくださいましたよ。
と言う訳で、今回は書影を公開させて頂きます。
皆さんにも喜んで頂けたら嬉しいです。
どうぞ、よろしくお願いします。
ぽん
「明けない魔の森が静か過ぎる?」
冒険者ギルドから齎された情報にポーレット公爵家は騒々しくなった。
ーーースタンピード
それは、明けない魔の森の近くに存在するポーレットの街が、魔物の暴走により絶望的な状況に陥ってしまう最も警戒する災害である。
そんなスタンピードの前兆は通常よりも異常に魔物達が騒ぎ出す事であり、今回のような静寂とは無縁である。
それでも冒険者ギルドがわざわざ報告してくるのは、彼らが異常だと判断したからだ。
それを無視するポーレット公爵でもなく、彼は直ぐ様に次男ヴァルトに調査を命じた。
ヴァルトは聖属性のスキルを持つルチアとシールドスキルを持つクロムスというカーバンクルの親子と契約している。
万が一にも危険はないだろうが、事が事なだけにポーレットの騎士団が編成された。
そして今・・・。
「おいっ。
クロムス。見つけたベリーの摘み食いばっかりしてないで周囲を警戒してくれよ。」
ヴァルトはベリーを見つけては自分から離れるクロムスを注意した。
すると、クロムスはブゥっと頬を膨らますとベリーを1つヴァルトに差し出す。
「おっ。俺にもくれるのか?
ありがとう・・って、スッパ!
お前、俺には激渋なやつ渡したなぁ!」
お腹を抱えて笑うクロムスの腹をツンツンとして抗議するヴァルトの背後からブリザードが吹く。
「ヴァルト、貴方・・・。
此処が何処で、何の目的で来たのか忘れていやしませんか?」
トゥーレの冷徹な声がヴァルトの身を凍らせる。
「だってさぁ。
さっきから魔獣どころか、風の1つもなくて木の擦れ合う音すらしないぞ。」
周囲を見渡すヴァルトに「気を抜かないっ!」と叱りつけたトゥーレであったが、彼自身も静まり返った魔の森に気味悪さを感じていた。
明けない魔の森の浅い場所を騎士団に任せ、ヴァルトは2人の従者とカーバンクルの親子と共に出来る限りの深さまでやって来ていた。
「どうだ?ルチア、嫌な気配とかするか?」
問いかけるヴァルトにルチアはゆっくりと顔を横に振った。
『全くもって無ですね。
それよりも不思議な事に、いつもより心地が良いです。
何と言ったら良いのか・・・まるで、聖域にいるかのような。
清々しく、心落ち着く空気です。』
尻尾をプラプラと振りながら歩くルチアを見つめながらヴァルトは首を捻った。
「聖域みたい?
何だそれは?」
カーバンクルのルチアにとって、普段の魔の森もエネルギーに満ちていて過ごしやすい場所である。
それでも契約者であるヴァルト達のような人間達にとって、明けない魔の森がいかに危険であるかも理解していた。
特に奥深く、最深部に行けば行くほどに、その傾向は強くなる。
ルチアは今、その清々しい空気を一身に纏い何だか気分が良かった・
「おい、あれなんだ?」
ヴァルトは、もう1人の従者であるマルクルの言葉に反応して振り返った。
「なんだ?どうした?」
「いや、なんか見た事のない虹の光が見えた気がしたんだが・・・。
気のせいだったのかな。」
「何言ってるんだ?
久々の魔の森で気が立ってるんじゃないか?」
首を捻るマルクルを揶揄いながら前を進んでいたヴァルトが違和感に気づく。
自分の肩に乗っていたはずのクロムスがいない。
「おい。
クロムス?何処だ??また、ベリーの摘み食いか?
クロムス?・・・おい。クロムス何処だ!!」
徐々に慌て始めたヴァルトにトゥーレとマルクルも一緒になってクロムスを探し始めた。
『こっちです!
こっちからクロムスの気配が!!』
ルチアの案内で走り出したヴァルト達は、クロムスを鷲掴みにして走り去るオーク達の背を見つけた。
「オーク?」
先程まで姿形どころか気配すらしなかったオークの出現に訝しがっているのはヴァルトだけではない。
「おかしいですね。」
「そうだな。ルチアまでオークが近づいて来た事に気づかないなんて。」
首をひねるトゥーレとマルクルの話を耳に入れつつ、ヴァルトは必死にオーク達を追った。
『こっちです。えっ・・・。
いや・・・今度はこっち?』
魔の森の立地を生かして逃げていくオーク達に頼みのルチアが翻弄されている。
終いには急停止したルチアが絶望的な顔でヴァルトを見上げた。
『クロムスの気配を追えません・・・。』
「そんな・・・。」
ついさっきまで、魔物の気配もなく明るく過ごしていたヴァルト達に一気に緊張感が走った。
「匂いはどうです?
匂いで追えませんか?」
トゥーレの思い付きにもルチアは弱々しく首を横に振った。
「とりあえず、奴らを追おうぞ。
絶対に取り返してやるからな。」
ヴァルトはルチアの抱き上げるとギュッと抱きしめた。
必死になってクロムスを攫ったオークの痕跡を探していた時だった。
ルチアの耳がプルプルと動いた。
『クロムス!!』
歓喜するルチアに微笑んでいたヴァルトであったが、次のルチアの言葉に再び顔を傾げる事になる。
『・・・森の奥で住んでる人に助けられた?
白い狼の毛がフワフワで気持ちが良い・・・・
クロムス、貴方何を言っているの?』
戸惑うルチアと同じ思いのヴァルト達であったが、クロムスが無事に優しい人に保護されたと聞き一安心した。
「こんな場所に人が住んでいる?
高位ランクの冒険者か?」
ヴァルトの疑問に答える事も出来ずにトゥーレとマルクルは肩を竦めるばかりだ。
その後は無事にクロムスと合流し、イオリという不思議少年との出会いをしたヴァルト達一行は再会を誓い別れたのだが、これは本編で皆さんご存知の話。
ヴァルトは考察する。
静まり返った明けない魔の森の中で唯一、現れたオーク達。
もしかしたらクロムスがオークに攫われたのもイオリと出会う為に絶対神がやったイタズラなのかもしれない。
「なんてな。そんな都合の良い話があるわけないか・・・。」
互いに幸運な出会いの果たしたヴァルトとイオリ。
この時、誰もが知らなかった。
イオリによってポーレットの街に大いなる変革が訪れる事を・・・。
「クロムス。
イオリが早くポーレットに来ると良いな。」
ヴァルトの言葉にクロムスがコクコクと頷く。
再会は5年後の事である。
※※※※※ ※※※※※ ※※※※※ ※※※※※ ※※※※※
いつも『拾ったものは大切にしましょう~子狼に気に入られた男の転移物語~』をご覧頂いて有難うございます。
本作品をアルファポリス様より書籍化させて頂く運びとなりました。
改稿し読みやすくなっております。
それに伴い、こちらの方では順次閲覧ができなくなってしまいます。ご了承下さいませ。
発売は《2023年12月中旬予定》となっております。
表紙・挿絵のイラストはTAPI岡先生が担当して下さいました。
とても可愛らしく素敵な絵を描いてくださいましたよ。
と言う訳で、今回は書影を公開させて頂きます。
皆さんにも喜んで頂けたら嬉しいです。
どうぞ、よろしくお願いします。
ぽん
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------------------------------------------------------------------
お知らせ
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注意
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