続・拾ったものは大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜

ぽん

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愛し子の帰還

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 バート・グラトニーは名の通りグラトニー一族の1人であり、先代の兄弟の孫に当たる人物である。
 3年前まで、心血注ぐ物を見つけられず大叔父である先代アーベル・グラトニーの旅の共をしていた。
 ポーレットでイオリと出会い、真新しい考えに惹かれ表に立つのを嫌うイオリの代わりに“ホワイトキャビン”という公共事業を目的とした商会を立ち上げた。
 今やポーレットでも注目の若手実業家である。



「バートさん!お久しぶりです。」

 イオリはにこやかに立ち上がるとバートの歓待を受けた。

「やっと・・・やっとお戻りに!!
 何度、魔の森に入ろうとしたことか・・・。
 あの時は周りに止められましたが、冷静になると魔の森に無謀に入らなくて良かった。」

 半泣き状態のバートに子供達は大笑いだ。

「街を見ましたよ。
 随分と賑やかになりましたね。」

「そうですよ!
 だからこそ、問題も大ありでトラブル続きだったんです。
 図書館の着工から始まり、勘違いの貴族とのいざこざや他領の商人の流入と私1人じゃ無理な話ですよ!」

「でも、なんとかなったんでしょう?」

 ニッコリ微笑むイオリにバートは苦虫を潰した顔をした。

「えぇ・・・ええ、なんとかなりましたとも!
 図書館の着工は公爵夫人の手を借りて計画し、自分達の利権ばかりを押し通す貴族を排除!
 他領の商人は商業ギルドにお願いして管理してもらっています。
 やっとの事で通常の仕事に戻れたところですよ。
 3年もかかってしまいました・・・。」

 ドサッとソファーに座ったバートを気遣いヒューゴが申し訳なさそうに眉を下げた。

「お疲れ様でした。
 バート様のお陰でイオリが自由に振る舞っていられるんです。
 俺達としたら感謝しかありませんよ。」

「そう言ってくれるのはヒューゴさんだけですよ。
 見てください。イオリさんと子供達のニヤニヤした顔を・・・。
 どうせ、また何かやらかすのでしょう?
 手が空いた時に帰って来てくれて良かったですよ。」

 不貞腐れているバートにイオリは構わずに聞いた。

「それで、グラトニーの皆さんはお元気ですか?
 アーベルさんは?」

 メルロスが入れた紅茶を一口飲むとバートは頷いた。

「アーベル大叔父はイオリさんが出発して1年後に王都に戻りました。
 今までの中でも長く王都を空けていたんです。
 流石のロス叔父に呼び戻されて、不満気に帰って行きましたよ。
 何せポーレットの変革期ですからね。
 自分の目で見たかったのでしょう。
 今も、折にかけて連絡してきます。」

 苦笑するバートにイオリ達も笑うしかなかった。
 歳を理由に会頭の座を降りたにしてはパワフルな御仁である。

「ロス叔父も相変わらず王都で敏腕を発揮してます。
 そうそう、王都の図書館も市民に人気だそうですよ。
 調度品などはグラトニーが仕入れたので土地を明け渡しても大儲けだそうです。」

 やはり商人、図書館の土地を無料で譲渡しても先の儲けを見越していたとは大商会の会頭であるロス・グラトニーの手腕も見事なものだ。

「アンティティラのアンナ叔母も相変わらずです。
 木酢液の効果か、その後“山喰い”の姿は見られないそうです。
 ダグスクの塩も生産と価格が安定してますし、イオリさんのアイディアが見事に的中してますよ。」

「それは良かった。
 皆さんお元気そうで何よりです。」

 バートの熱弁に飽きたのか、再びお菓子を漁っていた子供達であったが先程のお菓子を手にバートに話しかけた。

「ねーねー。バート。
 このお菓子が売れないって何でなの?
 一番美味しいじゃない?」

 代表してスコルが言い出すと他の3人も納得がいかないと不満な顔をした。

「あー・・・。
 それはセドリックさんのお店だね。
 男性が1人で切り盛りしてるんですが・・・少々問題がありましてね。」

 顔を歪めるバートにイオリは首を傾げた。

「何が問題なんです?」

「見た目が怖いと敬遠されているんです。」

「セドリックさん自身が?それとも店が?」

「両方です。
 絶賛、迷走中です。」

 何とも歯切れの悪いバートであったが、説明を聞き唖然とするしかないイオリであった。
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