続・拾ったものは大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜

ぽん

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旅路〜イルツク〜

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 盛り上がる街を見て、イオリ達は微笑んでいた。

「良かったね。本来のイルツクはこんなに元気な街だったんだね。」

「イオリー。疲れたぁ。」

「宿に行こうよ。」

 双子の提案にアレックスが待てをかけた。

「その前にギルドへの報告だ。
 今だったら静かにギルマスに会えるだろう。」

 いつの間にかディエゴ・ギロック騎士団長から離れ見物人達の間を潜り抜けていたイオリ達は中央で鳴り響くベルを見上げた。
 握手をかわすディエゴと女性を見てイオリは微笑むと子供達を見下ろした。

「ギルドに行っちゃおう。
 捕まえた“エルフの里の戦士”は東門で兵士さんに預けたから、その報告もしなきゃいけないしさ。
 ギルドに近いから、宿にもすぐに行けるさ。」

「「「「はーい。」」」」

 ヒューゴはニナを抱き上げるとイオリの後を追いかけた。

「あーやって見ると子供なんだけどなぁ。」

 ロジャーが呟くとアレックスは苦笑した。

「本当にな。
 でも、あの子達は立派な冒険者だよ。
 臆することなく“エルフの里の戦士”に立ち向かったんだ。
 世界も広いってことさ。相棒。」

「だね。
 こりゃ、父さん達に聞かせたら喜ぶな。」

 2人は顔を見合わせると笑いながら冒険者ギルドへと向かったのだった。

_____________

 イルツク冒険者ギルドのギルドマスター・ルゴーは街中に響き渡るベルの音と共に走り込んできた職員の報告に安堵し力が抜けていた。

 職員がもたらした報告は[“エルフの里の戦士”2人の捕縛と1人の自滅を確認]と願っていたものだった。
 いや、“エルフの里の戦士”を追い出す事が目的だったのだ、期待以上の成果であったわけだ。

 何故、ベルが鳴っているのが分かりはしないが、彼にとっては祝福の音に聞こえていた。

コンコンコンッ

 しばらくして、扉をノックする音が聞こえた。

「入っていいぞ!」

 返事をするとアレックスを筆頭にイオリ達が入ってきた。

「お前達!
 ・・・全員無事か?」

「えぇ。1人もかけることなく。
 ギルマス。
 依頼を受けた仕事の完了を報告に来ました。」

 アレックスが一礼するとルゴーは微笑んだ。

「ご苦労だった。
 街を救ってくれて感謝する。
 今頃、広場が賑わいているんじゃないか?」

「ええ、騎士団長も帰還しましたからね。
 どうやら、ギルドの皆さんも総出で見に行かれたらしく誰もいなかったのでギルマスの部屋まで直行させていただきました。」

 ルゴーは溜息を吐くと苦笑した。

「すまないな。
 アイツらも、ここ数週間は緊張していたからな。
 それに・・・鳴らないはずのベルが鳴っている。」

 安心したようなルゴーにイオリ達は微笑んだ。

「思っていたよりも重い音ですね。
 に似ています。」

 イオリに吊られて子供達がクスクスとした。
 不思議そうな顔のルゴーにロジャーは肩を竦めてニヤリとした。

「それでは報告を始めるよ。」

 アレックスを中心にギルドを出てからの報告を始めた。

 
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