83 / 784
旅路〜イルツク〜
91
しおりを挟む
盛り上がる街を見て、イオリ達は微笑んでいた。
「良かったね。本来のイルツクはこんなに元気な街だったんだね。」
「イオリー。疲れたぁ。」
「宿に行こうよ。」
双子の提案にアレックスが待てをかけた。
「その前にギルドへの報告だ。
今だったら静かにギルマスに会えるだろう。」
いつの間にかディエゴ・ギロック騎士団長から離れ見物人達の間を潜り抜けていたイオリ達は中央で鳴り響くベルを見上げた。
握手をかわすディエゴと女性を見てイオリは微笑むと子供達を見下ろした。
「ギルドに行っちゃおう。
捕まえた“エルフの里の戦士”は東門で兵士さんに預けたから、その報告もしなきゃいけないしさ。
ギルドに近いから、宿にもすぐに行けるさ。」
「「「「はーい。」」」」
ヒューゴはニナを抱き上げるとイオリの後を追いかけた。
「あーやって見ると子供なんだけどなぁ。」
ロジャーが呟くとアレックスは苦笑した。
「本当にな。
でも、あの子達は立派な冒険者だよ。
臆することなく“エルフの里の戦士”に立ち向かったんだ。
世界も広いってことさ。相棒。」
「だね。
こりゃ、父さん達に聞かせたら喜ぶな。」
2人は顔を見合わせると笑いながら冒険者ギルドへと向かったのだった。
_____________
イルツク冒険者ギルドのギルドマスター・ルゴーは街中に響き渡るベルの音と共に走り込んできた職員の報告に安堵し力が抜けていた。
職員がもたらした報告は[“エルフの里の戦士”2人の捕縛と1人の自滅を確認]と願っていたものだった。
いや、“エルフの里の戦士”を追い出す事が目的だったのだ、期待以上の成果であったわけだ。
何故、ベルが鳴っているのが分かりはしないが、彼にとっては祝福の音に聞こえていた。
コンコンコンッ
しばらくして、扉をノックする音が聞こえた。
「入っていいぞ!」
返事をするとアレックスを筆頭にイオリ達が入ってきた。
「お前達!
・・・全員無事か?」
「えぇ。1人もかけることなく。
ギルマス。
依頼を受けた仕事の完了を報告に来ました。」
アレックスが一礼するとルゴーは微笑んだ。
「ご苦労だった。
街を救ってくれて感謝する。
今頃、広場が賑わいているんじゃないか?」
「ええ、騎士団長も帰還しましたからね。
どうやら、ギルドの皆さんも総出で見に行かれたらしく誰もいなかったのでギルマスの部屋まで直行させていただきました。」
ルゴーは溜息を吐くと苦笑した。
「すまないな。
アイツらも、ここ数週間は緊張していたからな。
それに・・・鳴らないはずのベルが鳴っている。」
安心したようなルゴーにイオリ達は微笑んだ。
「思っていたよりも重い音ですね。
彼に似ています。」
イオリに吊られて子供達がクスクスとした。
不思議そうな顔のルゴーにロジャーは肩を竦めてニヤリとした。
「それでは報告を始めるよ。」
アレックスを中心にギルドを出てからの報告を始めた。
「良かったね。本来のイルツクはこんなに元気な街だったんだね。」
「イオリー。疲れたぁ。」
「宿に行こうよ。」
双子の提案にアレックスが待てをかけた。
「その前にギルドへの報告だ。
今だったら静かにギルマスに会えるだろう。」
いつの間にかディエゴ・ギロック騎士団長から離れ見物人達の間を潜り抜けていたイオリ達は中央で鳴り響くベルを見上げた。
握手をかわすディエゴと女性を見てイオリは微笑むと子供達を見下ろした。
「ギルドに行っちゃおう。
捕まえた“エルフの里の戦士”は東門で兵士さんに預けたから、その報告もしなきゃいけないしさ。
ギルドに近いから、宿にもすぐに行けるさ。」
「「「「はーい。」」」」
ヒューゴはニナを抱き上げるとイオリの後を追いかけた。
「あーやって見ると子供なんだけどなぁ。」
ロジャーが呟くとアレックスは苦笑した。
「本当にな。
でも、あの子達は立派な冒険者だよ。
臆することなく“エルフの里の戦士”に立ち向かったんだ。
世界も広いってことさ。相棒。」
「だね。
こりゃ、父さん達に聞かせたら喜ぶな。」
2人は顔を見合わせると笑いながら冒険者ギルドへと向かったのだった。
_____________
イルツク冒険者ギルドのギルドマスター・ルゴーは街中に響き渡るベルの音と共に走り込んできた職員の報告に安堵し力が抜けていた。
職員がもたらした報告は[“エルフの里の戦士”2人の捕縛と1人の自滅を確認]と願っていたものだった。
いや、“エルフの里の戦士”を追い出す事が目的だったのだ、期待以上の成果であったわけだ。
何故、ベルが鳴っているのが分かりはしないが、彼にとっては祝福の音に聞こえていた。
コンコンコンッ
しばらくして、扉をノックする音が聞こえた。
「入っていいぞ!」
返事をするとアレックスを筆頭にイオリ達が入ってきた。
「お前達!
・・・全員無事か?」
「えぇ。1人もかけることなく。
ギルマス。
依頼を受けた仕事の完了を報告に来ました。」
アレックスが一礼するとルゴーは微笑んだ。
「ご苦労だった。
街を救ってくれて感謝する。
今頃、広場が賑わいているんじゃないか?」
「ええ、騎士団長も帰還しましたからね。
どうやら、ギルドの皆さんも総出で見に行かれたらしく誰もいなかったのでギルマスの部屋まで直行させていただきました。」
ルゴーは溜息を吐くと苦笑した。
「すまないな。
アイツらも、ここ数週間は緊張していたからな。
それに・・・鳴らないはずのベルが鳴っている。」
安心したようなルゴーにイオリ達は微笑んだ。
「思っていたよりも重い音ですね。
彼に似ています。」
イオリに吊られて子供達がクスクスとした。
不思議そうな顔のルゴーにロジャーは肩を竦めてニヤリとした。
「それでは報告を始めるよ。」
アレックスを中心にギルドを出てからの報告を始めた。
1,565
あなたにおすすめの小説
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。
かの
ファンタジー
孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。
ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
異世界でトラック運送屋を始めました! ◆お手紙ひとつからベヒーモスまで、なんでもどこにでも安全に運びます! 多分!◆
八神 凪
ファンタジー
日野 玖虎(ひの ひさとら)は長距離トラック運転手で生計を立てる26歳。
そんな彼の学生時代は荒れており、父の居ない家庭でテンプレのように母親に苦労ばかりかけていたことがあった。
しかし母親が心労と働きづめで倒れてからは真面目になり、高校に通いながらバイトをして家計を助けると誓う。
高校を卒業後は母に償いをするため、自分に出来ることと言えば族時代にならした運転くらいだと長距離トラック運転手として仕事に励む。
確実かつ時間通りに荷物を届け、ミスをしない奇跡の配達員として異名を馳せるようになり、かつての荒れていた玖虎はもうどこにも居なかった。
だがある日、彼が夜の町を走っていると若者が飛び出してきたのだ。
まずいと思いブレーキを踏むが間に合わず、トラックは若者を跳ね飛ばす。
――はずだったが、気づけば見知らぬ森に囲まれた場所に、居た。
先ほどまで住宅街を走っていたはずなのにと困惑する中、備え付けのカーナビが光り出して画面にはとてつもない美人が映し出される。
そして女性は信じられないことを口にする。
ここはあなたの居た世界ではない、と――
かくして、異世界への扉を叩く羽目になった玖虎は気を取り直して異世界で生きていくことを決意。
そして今日も彼はトラックのアクセルを踏むのだった。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
白いもふもふ好きの僕が転生したらフェンリルになっていた!!
ろき
ファンタジー
ブラック企業で消耗する社畜・白瀬陸空(しらせりくう)の唯一の癒し。それは「白いもふもふ」だった。 ある日、白い子犬を助けて命を落とした彼は、異世界で目を覚ます。
ふと水面を覗き込むと、そこに映っていたのは―― 伝説の神獣【フェンリル】になった自分自身!?
「どうせ転生するなら、テイマーになって、もふもふパラダイスを作りたかった!」 「なんで俺自身がもふもふの神獣になってるんだよ!」
理想と真逆の姿に絶望する陸空。 だが、彼には規格外の魔力と、前世の異常なまでの「もふもふへの執着」が変化した、とある謎のスキルが備わっていた。
これは、最強の神獣になってしまった男が、ただひたすらに「もふもふ」を愛でようとした結果、周囲の人間(とくにエルフ)に崇拝され、勘違いが勘違いを呼んで国を動かしてしまう、予測不能な異世界もふもふライフ!
ボクは転生者!塩だけの世界で料理&領地開拓!
あんり
ファンタジー
20歳で事故に遭った下門快斗は、目を覚ますとなんと塩だけの世界に転生していた!
そこで生まれたのは、前世の記憶を持ったカイト・ブラウン・マーシュ。
塩だけの世界に、少しずつ調味料を足して…沖縄風の料理を考えたり、仲間たちと領地を発展させたり、毎日が小さな冒険でいっぱい!
でも、5歳の誕生日には王都でびっくりするような出来事が待っている。
300年前の“稀人”との出会い、王太子妃のちょっと怖い陰謀、森の魔獣たちとの出会い…ドキドキも、笑いも、ちょっぴり不思議な奇跡も、ぜんぶ一緒に味わえる異世界ローファンタジー!
家族や周りの人達に愛されながら育っていくカイト。そんなカイトの周りには、家族を中心に愛が溢れ、笑いあり、ほっこりあり、ちょっとワクワクする“グルメ&ファンタジーライフ”が今、始まる!
元・神獣の世話係 ~神獣さえいればいいと解雇されたけど、心優しいもふもふ神獣は私についてくるようです!~
草乃葉オウル ◆ 書籍発売中
ファンタジー
黒き狼の神獣ガルーと契約を交わし、魔人との戦争を勝利に導いた勇者が天寿をまっとうした。
勇者の養女セフィラは悲しみに暮れつつも、婚約者である王国の王子と幸せに生きていくことを誓う。
だが、王子にとってセフィラは勇者に取り入るための道具でしかなかった。
勇者亡き今、王子はセフィラとの婚約を破棄し、新たな神獣の契約者となって力による国民の支配を目論む。
しかし、ガルーと契約を交わしていたのは最初から勇者ではなくセフィラだったのだ!
真実を知って今さら媚びてくる王子に別れを告げ、セフィラはガルーの背に乗ってお城を飛び出す。
これは少女と世話焼き神獣の癒しとグルメに満ちた気ままな旅の物語!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる