続・拾ったものは大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜

ぽん

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旅路〜イルツク〜

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 アレックスは慣れたように報告をした。
 時系列順に分かりやすく話す彼にイオリは感心した。

 “深淵のダンジョン”に入り、深層部でロレンツォ・カーラの一味を捕縛した事。
 ロレンツォ・カーラの身柄をレン達のパーティーに委ね、自分たちは最終の部屋に向かった事。
 最終の部屋に入ったところで1人目の“エルフの里の戦士”に遭遇しイオリが仕留めた事。
 3つの組に分かれ、残りの“エルフの里の戦士”の捕縛したこと。

「その間、イオリとディエゴ・ギロック騎士団長はナギとニナを連れて“深淵のダンジョン”の主に会いに行ったのだが、その真相を我々が話して良いのか分からないから領主様から聞いて欲しい。
 正直、どう処理するべきか分からないんだ。
 ダンジョンの主を討伐したのではなく、良好に話し合いをした・・・とだけ言っておくよ。
 因みに、拘束した“エルフの里の戦士”は東門の兵士に引き渡してきた。
 後は、ギルドの方で頼みたい。
 以上だ。」

 アレックスの説明にギルドマスター・ルゴーは頷いた。

「あぁ、分かった。
 後は任せてくれ。
 魔獣と良好に話し合いね・・・。
 どちらにせよ。領主であるアナスタシア様から召集は受けている。
 そっちの方も話を聞いてこよう。
 それよりも、お前らは英雄として迎えられるぞ?
 隠れるようにギルドに来て良かったのか?」

 ルゴーはイオリ達を見渡すと首を傾げた。

「英雄は騎士団長のディエゴさんですよ。
 彼は街を想い、危険を承知で最終の部屋まで行き、最後まで見届けた。
 俺達は仕事でダンジョンに潜っただけです。
 冒険者なんて目立たなくて良いんです。
 仕事がやり難くなるでしょう?」

 イオリの言葉にヒューゴや子供達は深く頷いた。

「だ、そうだ。
 1番の功労者の彼らが言うんだ。
 ギルマス。
 汲んでやってほしい。」

 アレックスとロジャーはイオリに同意するように笑った。

「俺達は冒険者です。
 気ままにお気楽に・・・。
 難しいことはギルドに任せますよ。」

 ギルマス・ルゴーはポーレットの英雄に微笑んだ。
 何故、彼らがポーレット公爵に愛されるのか、国王から隣国ミズガルドの依頼を受けたのか。
 
「出会いに感謝するしかなさそうだ。
 わかった。
 どうやら、今はウチの職員がいないみたいだ。
 俺が依頼の達成を受理しよう。
 ロレンツォ・カーラ拘束の緊急依頼をもこなしてくれたんだ。
 依頼料は上乗せさせてくれ。
 だが、全ての支払いは明日でもいいか?
 昼頃でいい。
 顔を出してくれ。」

「分かりました。
 お任せしましょう。
 ダンジョンに討伐した魔獣の買取も明日にお願いすることにします。」

 イオリが立ち上がるとルゴーは握手をしてきた。

「しっかり休んでくれ。
 本当に今日の働きには感謝する。」

 冒険者ギルドでアレックス達と別れると、イオリ達は市民の歓声を背に宿に向かった。

 すると、ヒューゴが立ち止った。

「おい。
 よく考えたら、宿の親父も広場に行ってるんじゃないか?」

「あぁ、確かに・・・どうしましょうね。
 念のために行ってみましょうか。」

 イオリ達が恐る恐る宿屋“蓮の傘”の扉を開くと男が1人、タオルを抱えて階段を降りてくるところだった。

「おう!お客さん!
 帰ってくると思ったぜ。
 部屋の準備は出来てるぞ。」

 ニヤリとする親父さんにイオリ達はニッコリとした。

「「「「「「ただいまぁ。疲れたぁぁぁ。」」」」」」
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