続・拾ったものは大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜

ぽん

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旅路〜パライソの森⒉〜

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 魔獣の川を渡りきったムネタカ達を待っていたのは、数多いエルフと獣人達であった。
 彼らの雰囲気は一様に緊迫していた。
 
「これは・・・。」

 驚くムネタカ達と同様にイオリとヒューゴも目を丸くした。
 明らかに先程よりもガーディアンの数が多い。

「ホワンが皆を連れてきてくれたようだね。」

 イドリアルの言葉に木の上でヒラヒラと手を振っているホワンを見つけ、イオリは微笑んだ。

「“キリアリ”・“デフテラ”・“トリティ”・“テタルティ”・“ペンプティ”・“パラスケヴィ”・“サバト”・・・。
 ルーシュピケのガーディアンの全てが集まった。」

 誇らしげなイドリアルにヒューゴが肩をビクつかせた。

「それって、砦の守備は大丈夫なんですか?」

「何年、あそこに砦を築いていると思っているんだい。
 ガーディアン以外にも戦える奴らが守っているさ。
 それこそ、フェンバインの旦那なんか敵を一捻りだよ。」

 雑巾を絞るように人を捻るフェンバインを想像し、イオリはクスッと笑った。


「なりません!
 ムネタカ様!!」

 そんな中、女性の慌てる声が聞こえ、視線を向ける。
 
 そこには、ムネタカと呼ばれる男が前に出て頭を下げている姿があった。

「ルーシュピケの民よ。
 森を騒がせて申し訳なかった。」

「訳は聞かせてくれんだろうね。」

 腰に手を当てて話すイドリアルは高圧的だ。
 
「・・・。
 簡単な話ではないのだ。」

「そりゃ、簡単な話じゃないのは分かってるさ。
 アレを見ればね。」 

 苦渋の顔のムネタカを見てイドリアルが顎をしゃくった。
 そこには、エルフの里の戦士が拘束されシールドで囲まれている光景があった。

「・・・アレは?」

「見た目はエルフだけどね。
 私達と同じにしないでおくれ。
 世間では“エルフの里の戦士”って言われてる輩さ。
 奴らが、お前達を狙っていた。
 お前達がパライソに足を踏み入れたから、奴らもやって来たのさ。」

 ムネタカは驚愕した。
 追手を放たれているだろうとは理解していたが、それがまさか“エルフの里の戦士”だったとは・・・。

「・・・どう言う事だ?」

 短い呼吸が彼の混乱を表していた。

「ムネタカ様・・・。
 大丈夫ですか?
 少しお休みしませんと・・・。」

 女が伺う様にイドリアルに視線を送った。
 何を言いたいのか分かるイドリアルは舌打ちをした。

「チッ。
 誰だか分からない人族を我らが砦に連れていくわけにはいかない。
 困っていれば、都合よく助けてくれるアンタ等のお国とは違うんだよ。
 アンタ等は一体何者だい?」

 イドリアルはムネタカに冷たい視線を向けた。

「何で、パライソに来た?
 洞窟に身を潜めていた理由は?
 どうして“エルフの里の戦士”に追われている?
 他人の土壌を荒らしといて、ただ助けて下さいとは・・・。」

 呆れた顔で首を振るイドリアルの言葉が総意であるという様に、ガーディアン達の中で怒りの空気が漂っている。
  
「・・・確かに、其方の言う通りだ。」

 顔面蒼白ではあったが、目に力が戻ったムネタカが真正面を見据えた。

「ムネタカ!」
「ムネタカ様!」

 慌てる2人の幼馴染を制し、ムネタカは集まっていたエルフと獣人に話し始めた。

「私の名はムネタカ、姓はショーグン。
 火の国“グランヌス”の王の第1嫡子である。」

 パライソの森が1人の若い男の声を包み込んでいく。

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