続・拾ったものは大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜

ぽん

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旅路〜パライソの森⒉〜

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「私の名はムネタカ、姓はショーグン。
 火の国“グランヌス”の王の第1嫡子である。」

ーーー言った。

 目の前の若者の姿にイオリは、どこかホッとした。
 当然、イオリの右目には彼が“グランヌス”の王子である事が示されていた。
 しかし、それを自分の口で言うか言わないは信頼に値する。
 
 案の定、ルーシュピケのガーディアン達の中に耳を傾けてやろうと一定の隙間が生まれていた。

「・・・で?
 何でこのパライソに来た。」

 イドリアルが問いかけると、ムネタカは顔を顰めた。

「自国の恥ゆえ、口にするのも苦しい。
 国難に際し、デザリアに助けを求めに国を出た。」

「・・・王子様が自らかい?」

「私でなければならなかったのだ。」

 今だに訝しげるイドリアルはムネタカの真っ直ぐな目に溜息を吐いた。

「隣国の王子が国を出て、それを“エルフの里の戦士”が追っている・・・厄介だねぇ。」

 イドリアルは自分の仲間達に顔を向けた。
 ガーディアン達の顔は一様に厳しい。

「安全も確保できないのに砦に連れて行くのは反対だ。」

 ガーディアン“キリアリ”の犬獣人、コルヌが腕を組みムネタカに冷めた目を向けた。

「爺様と旦那に助言頼む?」

 ガーディアン“デフテラ”のエルフのアズゥが面倒臭そうに頭を掻いた。

「我らはこの場を仕切るイドリアルの決定に従う。」

 ガーディアン“トリティ”のエルフのラファが頷く。

「おい! 
 誰か、“エルフの里の戦士”を運ぶ荷車持ってこいよ。」

 ガーディアン“テタルティ”のヒョウ獣人のウーニャが人族には興味がないと欠伸をしている。

「もう少し、話を詰めてから行動しませんか?
 これじゃ、どう動けばいいかも分からないですよ。」
 
 ガーディアン“パラスケヴィ”のエルフのアンモスが呆れ顔で見渡した。

 最後に、ガーディアン“サバト”の鳥獣人タイタンが、唐突にイオリに視線を向けた。

「どう思う?」

 それまで黙って見守っていたイオリに視線が集中する。
 
「ここは、パライソの森。
 ルーシュピケの皆さんの意見が大切です。」

 そう答えたイオリにタイタンは笑った。

「お前なら良い。
 皆もお前の話なら聞くさ。」

 見渡せば、何故か挨拶もしていないガーディアン達までもが頷いている。

「私達は人族の世界には無縁だからね。
 任せるよ。
 爺様も旦那も、お前を認めている。
 私達はお前を認める。」

 イドリアルの言葉は、イオリの判断はルーシュピケの判断だと言っている様なものだった。

 人族嫌いのルーシュピケの民からの信頼を得ている真っ黒な若者にムネタカ達は驚いているようだった。

 覚悟を決めたイオリはスタスタと近づくと、頭を下げた。

「“グランヌス”の第1王子ムネタカ・ショーグン様にご挨拶申し上げます。
 アースガイルより、この地に参りました。
 Sランク冒険者のイオリと申します。
 ルーシュピケの民に代わりまして、お話を聞かせて下さい。」

 人好きな、ニッコリとした笑顔を浮かべるイオリにムネタカは目を見開くのだった。

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