241 / 474
王都 〜王城・側妃騒動〜
239
「・・・なんでこんな事に。」
ポーレット公爵家が新たな家族を迎え入れていた頃。
王城に留め置かれていたシェイムレス伯爵は、事態が自分の思惑とはかけ離れている事に顔面蒼白となっていた。
怪しげな手紙であると分かっていながらも、差出人の巧みな言葉に乗ったシェイムレス伯爵は自分の足元が崩れていく音が聞こえた気がした。
「わた・・わっ私は騙されて・・・。」
なんとか自分の立場を良くしようと足掻いてみたものの。
「貴方に罪がある事に変わりはありません。」
とすげなく返す宰相グレン・ターナーの切り捨てるような言葉の前では悪化するだけだった。
事が大きくなる時には際限などないようなもので、先程まで黙って夫と国王、宰相の成り行きを見守っていたシェイムレス伯爵夫人ヘーゼルが突如として癇癪を起こした。
「もう!
一体何なの!
貴方、どう言う事なの?!」
「ヘーゼル!
お前は黙っていなさい。」
妻の叫びにシェイムレス伯爵自身も驚き、静かにさせようと必死になった。
「私は王都なんて来たくなかったのに!
何で、こうなるの?!」
年相応には見えない子供の様な癇癪は国王アルフレッドにも向かった。
「国王陛下っ!
皇太子殿下が娘を側室に求めていないのなら、私のプティを・・プティを返して下さい!
プティを側室んと望んだのは夫です。
私とプティは巻き込まれただけ。
大体、私はプティを手放す気など最初からないのです!!」
ドレスをギュッと握りしめ、血走った目で睨みつけてくるヘーゼルにアルフレッドはギョッとした。
「これまで私がプティにどれだけ手をかけてきた事か。
手塩にかけて、常に最高の状態に仕上げていたのに・・・。
こんな馬鹿みたいな事に巻き込まれるなんてっ!」
ブツブツと文句を口にするヘーゼルに夫は唖然とし、国王と宰相は顔を顰めている。
「手放す・・・仕上げる・・・。
まるで、自分の娘を物の様におっしゃゃるのね?」
こちらも静かに場を見守っていた王妃シシリアが不思議そうに問いかけた。
「・・物だなんて。
プティは・・娘は私の最高傑作です。」
扇子で口元を隠し見つめてくる王妃シシリアの視線に居心地が悪いのか、ヘーゼルは身を捩って落ち着きがない。
「最高傑作・・・。
おかしな事をおっしゃるのね?」
小首を傾げる王妃シシリア。
口元は見えていないが、冷笑しているのが誰にも分かった。
馬鹿にされたと思ったヘーゼルはギリギリと歯軋りをした。
夫セルパン・シェイムレス伯爵は、普段美しい妻の見た事のない恐ろしい形相に「ヒッ。」と怯えている。
「己の考えを持つ事も出来ないお人形の令嬢が最高傑作・・・。
どうやら、私と伯爵夫人は価値観が違うようね。
えぇ、お引き取り頂いて結構ですよ。」
興味もない。
そう言われた様でヘーゼルはブルブルと体を震わせた。
「ぅるさい・・うるさいっ!
うるさいうるさいうるさいうるさい!!」
ポーレット公爵家が新たな家族を迎え入れていた頃。
王城に留め置かれていたシェイムレス伯爵は、事態が自分の思惑とはかけ離れている事に顔面蒼白となっていた。
怪しげな手紙であると分かっていながらも、差出人の巧みな言葉に乗ったシェイムレス伯爵は自分の足元が崩れていく音が聞こえた気がした。
「わた・・わっ私は騙されて・・・。」
なんとか自分の立場を良くしようと足掻いてみたものの。
「貴方に罪がある事に変わりはありません。」
とすげなく返す宰相グレン・ターナーの切り捨てるような言葉の前では悪化するだけだった。
事が大きくなる時には際限などないようなもので、先程まで黙って夫と国王、宰相の成り行きを見守っていたシェイムレス伯爵夫人ヘーゼルが突如として癇癪を起こした。
「もう!
一体何なの!
貴方、どう言う事なの?!」
「ヘーゼル!
お前は黙っていなさい。」
妻の叫びにシェイムレス伯爵自身も驚き、静かにさせようと必死になった。
「私は王都なんて来たくなかったのに!
何で、こうなるの?!」
年相応には見えない子供の様な癇癪は国王アルフレッドにも向かった。
「国王陛下っ!
皇太子殿下が娘を側室に求めていないのなら、私のプティを・・プティを返して下さい!
プティを側室んと望んだのは夫です。
私とプティは巻き込まれただけ。
大体、私はプティを手放す気など最初からないのです!!」
ドレスをギュッと握りしめ、血走った目で睨みつけてくるヘーゼルにアルフレッドはギョッとした。
「これまで私がプティにどれだけ手をかけてきた事か。
手塩にかけて、常に最高の状態に仕上げていたのに・・・。
こんな馬鹿みたいな事に巻き込まれるなんてっ!」
ブツブツと文句を口にするヘーゼルに夫は唖然とし、国王と宰相は顔を顰めている。
「手放す・・・仕上げる・・・。
まるで、自分の娘を物の様におっしゃゃるのね?」
こちらも静かに場を見守っていた王妃シシリアが不思議そうに問いかけた。
「・・物だなんて。
プティは・・娘は私の最高傑作です。」
扇子で口元を隠し見つめてくる王妃シシリアの視線に居心地が悪いのか、ヘーゼルは身を捩って落ち着きがない。
「最高傑作・・・。
おかしな事をおっしゃるのね?」
小首を傾げる王妃シシリア。
口元は見えていないが、冷笑しているのが誰にも分かった。
馬鹿にされたと思ったヘーゼルはギリギリと歯軋りをした。
夫セルパン・シェイムレス伯爵は、普段美しい妻の見た事のない恐ろしい形相に「ヒッ。」と怯えている。
「己の考えを持つ事も出来ないお人形の令嬢が最高傑作・・・。
どうやら、私と伯爵夫人は価値観が違うようね。
えぇ、お引き取り頂いて結構ですよ。」
興味もない。
そう言われた様でヘーゼルはブルブルと体を震わせた。
「ぅるさい・・うるさいっ!
うるさいうるさいうるさいうるさい!!」
あなたにおすすめの小説
【完結済】25年目の厄災
紫
恋愛
生まれてこの方、ずっと陽もささない地下牢に繋がれて、魔力を吸い出されている。どうやら生まれながらの罪人らしいが、自分に罪の記憶はない。
だが、明日……25歳の誕生日の朝には斬首されるのだそうだ。もう何もかもに疲れ果てた彼女に届いたのは……
25周年記念に、サクッと思い付きで書いた短編なので、これまで以上に拙いものですが、お暇潰しにでも読んで頂けたら嬉しいです。
∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽
※作者創作の世界観です。史実等とは合致しない部分、異なる部分が多数あります。
※この物語はフィクションです。実在の人物・団体等とは一切関係がありません。
※実際に用いられる事のない表現や造語が出てきますが、御容赦ください。
※リアル都合等により不定期、且つまったり進行となっております。
※上記同理由で、予告等なしに更新停滞する事もあります。
※まだまだ至らなかったり稚拙だったりしますが、生暖かくお許しいただければ幸いです。
※御都合主義がそこかしに顔出しします。設定が掌ドリルにならないように気を付けていますが、もし大ボケしてたらお許しください。
※誤字脱字等々、標準てんこ盛り搭載となっている作者です。気づけば適宜修正等していきます…御迷惑おかけしますが、お許しください。
私、異世界で獣人になりました!
星宮歌
恋愛
昔から、人とは違うことを自覚していた。
人としておかしいと思えるほどの身体能力。
視力も聴力も嗅覚も、人間とは思えないほどのもの。
早く、早くといつだって体を動かしたくて仕方のない日々。
ただ、だからこそ、私は異端として、家族からも、他の人達からも嫌われていた。
『化け物』という言葉だけが、私を指す呼び名。本当の名前なんて、一度だって呼ばれた記憶はない。
妹が居て、弟が居て……しかし、彼らと私が、まともに話したことは一度もない。
父親や母親という存在は、衣食住さえ与えておけば、後は何もしないで無視すれば良いとでも思ったのか、昔、罵られた記憶以外で話した記憶はない。
どこに行っても、異端を見る目、目、目。孤独で、安らぎなどどこにもないその世界で、私は、ある日、原因不明の病に陥った。
『動きたい、走りたい』
それなのに、皆、安静にするようにとしか言わない。それが、私を拘束する口実でもあったから。
『外に、出たい……』
病院という名の牢獄。どんなにもがいても、そこから抜け出すことは許されない。
私が苦しんでいても、誰も手を差し伸べてはくれない。
『助、けて……』
救いを求めながら、病に侵された体は衰弱して、そのまま……………。
「ほぎゃあ、おぎゃあっ」
目が覚めると、私は、赤子になっていた。しかも……。
「まぁ、可愛らしい豹の獣人ですわねぇ」
聞いたことのないはずの言葉で告げられた内容。
どうやら私は、異世界に転生したらしかった。
以前、片翼シリーズとして書いていたその設定を、ある程度取り入れながら、ちょっと違う世界を書いております。
言うなれば、『新片翼シリーズ』です。
それでは、どうぞ!
9番と呼ばれていた妻は執着してくる夫に別れを告げる
風見ゆうみ
恋愛
幼い頃から言いたいことを言えずに、両親の望み通りにしてきた。
結婚だってそうだった。
良い娘、良い姉、良い公爵令嬢でいようと思っていた。
夫の9番目の妻だと知るまでは――
「他の妻たちの嫉妬が酷くてね。リリララのことは9番と呼んでいるんだ」
嫉妬する側妃の嫌がらせにうんざりしていただけに、ターズ様が側近にこう言っているのを聞いた時、私は良い妻であることをやめることにした。
※最後はさくっと終わっております。
※独特の異世界の世界観であり、ご都合主義です。
※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。教えていただけますと有り難いです。
悪役令嬢が処刑されたあとの世界で
重田いの
ファンタジー
悪役令嬢が処刑されたあとの世界で、人々の間に静かな困惑が広がる。
魔術師は事態を把握するため使用人に聞き取りを始める。
案外、普段踏まれている側の人々の方が真実を理解しているものである。
異世界に来て10年、伝えられない片想いをしている――伴侶と認識されているとは知らずに
豆腐と蜜柑と炬燵
恋愛
異世界に来て、10年。
田中緑(26歳)は、町の食事亭で働きながら、穏やかな日常を過ごしている。
この世界で生きていけるようになったのは、あの日――
途方に暮れていた自分を助けてくれた、一人の狼の半獣人のおかげだった。
ぶっきらぼうで、不器用で、それでも優しい人。
そんな彼に、気づけば10年、片想いをしている。
伝えるつもりはない。
この気持ちは、ずっと胸の中にしまっておくつもりだった。
――けれど。
彼との距離が少しずつ変わっていくたび、
隠していたはずの想いは、静かに溢れはじめる。
これは、
10年伝えられなかった片想いが、
ゆっくりと形を変えていく物語。
私を追い出した結果、飼っていた聖獣は誰にも懐かないようです
天宮有
恋愛
子供の頃、男爵令嬢の私アミリア・ファグトは助けた小犬が聖獣と判明して、飼うことが決まる。
数年後――成長した聖獣は家を守ってくれて、私に一番懐いていた。
そんな私を妬んだ姉ラミダは「聖獣は私が拾って一番懐いている」と吹聴していたようで、姉は侯爵令息ケドスの婚約者になる。
どうやらラミダは聖獣が一番懐いていた私が邪魔なようで、追い出そうと目論んでいたようだ。
家族とゲドスはラミダの嘘を信じて、私を蔑み追い出そうとしていた。
婚約者の様子がおかしいので尾行したら、隠し妻と子供がいました
Kouei
恋愛
婚約者の様子がおかしい…
ご両親が事故で亡くなったばかりだと分かっているけれど…何かがおかしいわ。
忌明けを過ぎて…もう2か月近く会っていないし。
だから私は婚約者を尾行した。
するとそこで目にしたのは、婚約者そっくりの小さな男の子と美しい女性と一緒にいる彼の姿だった。
まさかっ 隠し妻と子供がいたなんて!!!
※誤字脱字報告ありがとうございます。
※この作品は、他サイトにも投稿しています。