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王都 〜自分本位の末の終焉〜
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「残念ですが、それは簡単に取れる事はありません。
植物の樹脂や樹液をスライムの体液と混ぜたものです。
殆どが害獣の駆除の為に使われます。
一応、俺はトリモチと言っていますが、言わば粘着系の罠です。」
敵を軽やかな声で追い詰めていくイオリにダグスクから来ていたアレックスとロジャーは何とも言えない顔をした。
「相手がヒューゴに気を取られている間に次の罠を仕掛けているとは・・・。」
「えげつねぇ・・・。」
2人の引ききった顔にイオリは不満そうだ。
「人聞きの悪い事を言わないで下さいよ。
犠牲を出さない為の有意義な案です。」
必死にもがく魔法使いの男はあろう事か手で取ろうとトリモチを掴んで取り除こうと躍起になっている。
「あっ。
あーなったら、もうダメだ・・・。」
当然、トリモチが手に付きネバネバした手は魔法使いの杖やらローブやらに広がり次第に制御不能なまでに絡まっていく。
「あのイオリさん?
あのトリモチとやらも魔獣の狩猟でお使いなのですか?」
ダグスクの領主であるオーウェンが不思議そうに首を傾げると、イオリは首を横に振った。
「森など複雑な場所では使いません。
関係のない生き物がトリモチの犠牲になったら可哀想でしょ?
だから、街の食堂とかでネズミやら虫の被害があった時の駆除にだけ利用してます。
木箱などにトリモチを入れて、害獣や害虫の行動ルートに仕掛けるんです。
ポーレットでは食料の保管に苦労していたお店の人に随分と喜ばれていますよ。」
「あぁ、成程。
ダグスクでもネズミの被害を聞きます。
折角、保管していた野菜などが食い荒らされるそうです。
宜しければ、利用方法をお聞きしても?」
「良いですよ。
でも、先ほども言ったようにトリモチを無闇に仕掛けると関係のない生き物や人にも迷惑をかけちゃうんです。
だから、取り扱いには注意が必要です。」
「それなら、扱う人間には特別な資格などを与えるのはどうでしょう?」
「免許制って事ですか?
良いかもしれません。
冒険者ギルドなのか商人ギルドなのか、一定に管理してもらうと良いですね。」
「早速、ホワイトキャビンに相談してみます。」
「はい。宜しくお願いします。」
港街の領主と真っ黒な青年の穏やかな会話に周囲が生暖かい目を向けている。
「コラコラコラ。
今は、そんな事を話している場合じゃないの。
まったく。
敵が目の前にいる状況で呑気でいられるお前達には驚かされるけど、そういう話は全部終わってからにしなさい。」
アレックスの腕を組みながら呆れて、2人の会話を止めた。
「そうだった。」
「これは失礼。」
真面目そうな顔付きに戻すイオリとオーウェンであったが、互いに目を合わせ笑っている。
「最近の若者は逞しいな。」
どこか的外れな感想と口にしたのはクォーレル伯爵だ。
「イオリが一般的でない事はご理解下さい。」
コソッと耳打ちしたのはポーレット公爵家騎士団の団長アイザックだ。
「ヨシっ!
あーなってしまった人間は反撃なんて無理ですよ。
確保っ!!」
イオリの気合いの入った声に既に確保されたようなものである魔法使いが転がってもがいている。
騎士達は慌てるでもなく、まるでやりがいを感じる事ない犯人確保にゾロゾロと向かうのだった。
※※※※※ ※※※※※
いつも『続々・拾ったものは大切にしましょう~子狼に気に入られた男の転移物語~』をご覧頂きまして有難うございます。
『拾ったものは大切にしましょう~子狼に気に入られた男の転移物語~』の書籍化第4弾についてお知らせさせて頂きます。
2025年10月16日(木)にて各書店に発送されます。
ただし書店や地域によって数日後ろに倒れる事があります。
それに伴いましてアルファポリス様に投稿している『拾ったものは大切にしましょう~子狼に気に入られた男の転移物語~』の[228話]までを引き下げ、レンタル版との差し替えをさせて頂きます。ご了承下さい。
引き続き『拾ったものは大切にしましょう~子狼に気に入られた男の転移物語~』、その続編とお楽しみ下さい。
宜しくお願い致します。
ぽん
植物の樹脂や樹液をスライムの体液と混ぜたものです。
殆どが害獣の駆除の為に使われます。
一応、俺はトリモチと言っていますが、言わば粘着系の罠です。」
敵を軽やかな声で追い詰めていくイオリにダグスクから来ていたアレックスとロジャーは何とも言えない顔をした。
「相手がヒューゴに気を取られている間に次の罠を仕掛けているとは・・・。」
「えげつねぇ・・・。」
2人の引ききった顔にイオリは不満そうだ。
「人聞きの悪い事を言わないで下さいよ。
犠牲を出さない為の有意義な案です。」
必死にもがく魔法使いの男はあろう事か手で取ろうとトリモチを掴んで取り除こうと躍起になっている。
「あっ。
あーなったら、もうダメだ・・・。」
当然、トリモチが手に付きネバネバした手は魔法使いの杖やらローブやらに広がり次第に制御不能なまでに絡まっていく。
「あのイオリさん?
あのトリモチとやらも魔獣の狩猟でお使いなのですか?」
ダグスクの領主であるオーウェンが不思議そうに首を傾げると、イオリは首を横に振った。
「森など複雑な場所では使いません。
関係のない生き物がトリモチの犠牲になったら可哀想でしょ?
だから、街の食堂とかでネズミやら虫の被害があった時の駆除にだけ利用してます。
木箱などにトリモチを入れて、害獣や害虫の行動ルートに仕掛けるんです。
ポーレットでは食料の保管に苦労していたお店の人に随分と喜ばれていますよ。」
「あぁ、成程。
ダグスクでもネズミの被害を聞きます。
折角、保管していた野菜などが食い荒らされるそうです。
宜しければ、利用方法をお聞きしても?」
「良いですよ。
でも、先ほども言ったようにトリモチを無闇に仕掛けると関係のない生き物や人にも迷惑をかけちゃうんです。
だから、取り扱いには注意が必要です。」
「それなら、扱う人間には特別な資格などを与えるのはどうでしょう?」
「免許制って事ですか?
良いかもしれません。
冒険者ギルドなのか商人ギルドなのか、一定に管理してもらうと良いですね。」
「早速、ホワイトキャビンに相談してみます。」
「はい。宜しくお願いします。」
港街の領主と真っ黒な青年の穏やかな会話に周囲が生暖かい目を向けている。
「コラコラコラ。
今は、そんな事を話している場合じゃないの。
まったく。
敵が目の前にいる状況で呑気でいられるお前達には驚かされるけど、そういう話は全部終わってからにしなさい。」
アレックスの腕を組みながら呆れて、2人の会話を止めた。
「そうだった。」
「これは失礼。」
真面目そうな顔付きに戻すイオリとオーウェンであったが、互いに目を合わせ笑っている。
「最近の若者は逞しいな。」
どこか的外れな感想と口にしたのはクォーレル伯爵だ。
「イオリが一般的でない事はご理解下さい。」
コソッと耳打ちしたのはポーレット公爵家騎士団の団長アイザックだ。
「ヨシっ!
あーなってしまった人間は反撃なんて無理ですよ。
確保っ!!」
イオリの気合いの入った声に既に確保されたようなものである魔法使いが転がってもがいている。
騎士達は慌てるでもなく、まるでやりがいを感じる事ない犯人確保にゾロゾロと向かうのだった。
※※※※※ ※※※※※
いつも『続々・拾ったものは大切にしましょう~子狼に気に入られた男の転移物語~』をご覧頂きまして有難うございます。
『拾ったものは大切にしましょう~子狼に気に入られた男の転移物語~』の書籍化第4弾についてお知らせさせて頂きます。
2025年10月16日(木)にて各書店に発送されます。
ただし書店や地域によって数日後ろに倒れる事があります。
それに伴いましてアルファポリス様に投稿している『拾ったものは大切にしましょう~子狼に気に入られた男の転移物語~』の[228話]までを引き下げ、レンタル版との差し替えをさせて頂きます。ご了承下さい。
引き続き『拾ったものは大切にしましょう~子狼に気に入られた男の転移物語~』、その続編とお楽しみ下さい。
宜しくお願い致します。
ぽん
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