続々・拾ったものは大切に大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜

ぽん

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王城 〜予感〜

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 王城の王家の私室に集められた者達はイオリから魔獣達の帰還時の話を聞き安堵したように息を吐いた。
 
 そんな中、別の意味で溜息を吐いた者がいた。
 それは事件の調査を続けていたトラスト・ブレインだった。

「タチが悪いのは最近王家を巻き込んでいた騒動にもシャムル・モンストルが関わっていた事です。」

「王家を巻き込む事件・・・兄の婚約者騒動ですか?」

 顔を顰めたのはリーヴル公爵ディービットだった。

「公爵。ご明察です。
 魔獣の子の誘拐をポーレット公爵に悟られ、操作の目をくらます為に皇太子妃騒動を画策した様です。
 最も、件のシャイムレス伯爵の娘に目を付けたのはもっと前の話で、シェイムレス伯爵の懐柔に数年かけていた形跡が見られます。
 何かに使える様にと準備をしていたのかもしれません。」

「なんて悪質なんだ。
 騙されたと言っても、プティ嬢にだって婚約者を選ぶ権利があったはずだ。
 彼女の時間を奪った事を何だと思っているんだ。」

 自分が狙われていたとはいえ、ギルバートはプティ・シェイムレスへの同情を感じた。
 世間知らずで親や周囲の言葉に流されていたプティ。
 
 母の執着と父からの重圧には自覚なく緊張した日々を過ごしていた彼女も今では宰相グレン・ターナーの領地の屋敷で元気に侍女として働いているそうだ。
 
 報告を聞いた国王アルフレッドも皇太子ギルバートも少し安堵した様に微笑んだ。

「こちらを・・・。」

 トラスト・ブレインが一通の手紙をテーブルに置いた。

「これは?」

 首を傾げる皇太子ギルバートが手を伸ばすと、トラスト・ブレインが止めた。

「触らなくていい。
 これは、クォーレル伯爵に届いたシャムル・モンストルからの手紙だ。
 イオリが仕掛けた“ディーゾルド”の匂いがまだ残っているかもしれないぞ。」

 それには皆んなが嫌そうな顔をして、イオリに視線を送る。
 イオリとしたら口笛を吹いて誤魔化したいところだろう。

「クォーレル伯爵が証拠品として提出して下さいました。
 他にも地方から貴族達に多く送っていた事が判明しています。
 手紙にはご挨拶と商談がある旨が書かれていますが、事実上は違法賭博への招待状というところでしょう。」

「違法と認識しているものだ。
 そんなに客の裾野を広げるものか?」

 ニコライの疑問にトラスト・ブレインは頷いた。

「この手紙はいわば、ふるいにかける仕掛けだ。
 手紙の誘いに乗ってくる者、こない者。
 次には直接会って賭博の話に乗ってくる者、こない者。
 他にも何十にも仕掛けが施されている。
 よって、“ミミズクの館”で拘束された者達の中で騙されたと主張する者も皆罪からは逃れる事はできない。
 なんせ、自分で選んでいるのだからな。」

 悪意の連鎖は一つの円として、しっかりと結ばれていた。
 拘束された者の中には高位貴族の子息や令嬢もいたし、当主自ら逮捕された者もいた。
 当日、“ミミズクの館”にいなかったとしてもトラスト・ブレインは1人として逃す気はなかった。
 
※※※※※ ※※※※※

書籍化第4巻宜しくお願いします!
コミカライズも第2巻が書籍化されました!是非、ご覧下さい。


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