324 / 450
王城 〜予感〜
322
王城の王家の私室に集められた者達はイオリから魔獣達の帰還時の話を聞き安堵したように息を吐いた。
そんな中、別の意味で溜息を吐いた者がいた。
それは事件の調査を続けていたトラスト・ブレインだった。
「タチが悪いのは最近王家を巻き込んでいた騒動にもシャムル・モンストルが関わっていた事です。」
「王家を巻き込む事件・・・兄の婚約者騒動ですか?」
顔を顰めたのはリーヴル公爵ディービットだった。
「公爵。ご明察です。
魔獣の子の誘拐をポーレット公爵に悟られ、操作の目をくらます為に皇太子妃騒動を画策した様です。
最も、件のシャイムレス伯爵の娘に目を付けたのはもっと前の話で、シェイムレス伯爵の懐柔に数年かけていた形跡が見られます。
何かに使える様にと準備をしていたのかもしれません。」
「なんて悪質なんだ。
騙されたと言っても、プティ嬢にだって婚約者を選ぶ権利があったはずだ。
彼女の時間を奪った事を何だと思っているんだ。」
自分が狙われていたとはいえ、ギルバートはプティ・シェイムレスへの同情を感じた。
世間知らずで親や周囲の言葉に流されていたプティ。
母の執着と父からの重圧には自覚なく緊張した日々を過ごしていた彼女も今では宰相グレン・ターナーの領地の屋敷で元気に侍女として働いているそうだ。
報告を聞いた国王アルフレッドも皇太子ギルバートも少し安堵した様に微笑んだ。
「こちらを・・・。」
トラスト・ブレインが一通の手紙をテーブルに置いた。
「これは?」
首を傾げる皇太子ギルバートが手を伸ばすと、トラスト・ブレインが止めた。
「触らなくていい。
これは、クォーレル伯爵に届いたシャムル・モンストルからの手紙だ。
イオリが仕掛けた“ディーゾルド”の匂いがまだ残っているかもしれないぞ。」
それには皆んなが嫌そうな顔をして、イオリに視線を送る。
イオリとしたら口笛を吹いて誤魔化したいところだろう。
「クォーレル伯爵が証拠品として提出して下さいました。
他にも地方から貴族達に多く送っていた事が判明しています。
手紙にはご挨拶と商談がある旨が書かれていますが、事実上は違法賭博への招待状というところでしょう。」
「違法と認識しているものだ。
そんなに客の裾野を広げるものか?」
ニコライの疑問にトラスト・ブレインは頷いた。
「この手紙はいわば、ふるいにかける仕掛けだ。
手紙の誘いに乗ってくる者、こない者。
次には直接会って賭博の話に乗ってくる者、こない者。
他にも何十にも仕掛けが施されている。
よって、“ミミズクの館”で拘束された者達の中で騙されたと主張する者も皆罪からは逃れる事はできない。
なんせ、自分で選んでいるのだからな。」
悪意の連鎖は一つの円として、しっかりと結ばれていた。
拘束された者の中には高位貴族の子息や令嬢もいたし、当主自ら逮捕された者もいた。
当日、“ミミズクの館”にいなかったとしてもトラスト・ブレインは1人として逃す気はなかった。
※※※※※ ※※※※※
書籍化第4巻宜しくお願いします!
コミカライズも第2巻が書籍化されました!是非、ご覧下さい。
そんな中、別の意味で溜息を吐いた者がいた。
それは事件の調査を続けていたトラスト・ブレインだった。
「タチが悪いのは最近王家を巻き込んでいた騒動にもシャムル・モンストルが関わっていた事です。」
「王家を巻き込む事件・・・兄の婚約者騒動ですか?」
顔を顰めたのはリーヴル公爵ディービットだった。
「公爵。ご明察です。
魔獣の子の誘拐をポーレット公爵に悟られ、操作の目をくらます為に皇太子妃騒動を画策した様です。
最も、件のシャイムレス伯爵の娘に目を付けたのはもっと前の話で、シェイムレス伯爵の懐柔に数年かけていた形跡が見られます。
何かに使える様にと準備をしていたのかもしれません。」
「なんて悪質なんだ。
騙されたと言っても、プティ嬢にだって婚約者を選ぶ権利があったはずだ。
彼女の時間を奪った事を何だと思っているんだ。」
自分が狙われていたとはいえ、ギルバートはプティ・シェイムレスへの同情を感じた。
世間知らずで親や周囲の言葉に流されていたプティ。
母の執着と父からの重圧には自覚なく緊張した日々を過ごしていた彼女も今では宰相グレン・ターナーの領地の屋敷で元気に侍女として働いているそうだ。
報告を聞いた国王アルフレッドも皇太子ギルバートも少し安堵した様に微笑んだ。
「こちらを・・・。」
トラスト・ブレインが一通の手紙をテーブルに置いた。
「これは?」
首を傾げる皇太子ギルバートが手を伸ばすと、トラスト・ブレインが止めた。
「触らなくていい。
これは、クォーレル伯爵に届いたシャムル・モンストルからの手紙だ。
イオリが仕掛けた“ディーゾルド”の匂いがまだ残っているかもしれないぞ。」
それには皆んなが嫌そうな顔をして、イオリに視線を送る。
イオリとしたら口笛を吹いて誤魔化したいところだろう。
「クォーレル伯爵が証拠品として提出して下さいました。
他にも地方から貴族達に多く送っていた事が判明しています。
手紙にはご挨拶と商談がある旨が書かれていますが、事実上は違法賭博への招待状というところでしょう。」
「違法と認識しているものだ。
そんなに客の裾野を広げるものか?」
ニコライの疑問にトラスト・ブレインは頷いた。
「この手紙はいわば、ふるいにかける仕掛けだ。
手紙の誘いに乗ってくる者、こない者。
次には直接会って賭博の話に乗ってくる者、こない者。
他にも何十にも仕掛けが施されている。
よって、“ミミズクの館”で拘束された者達の中で騙されたと主張する者も皆罪からは逃れる事はできない。
なんせ、自分で選んでいるのだからな。」
悪意の連鎖は一つの円として、しっかりと結ばれていた。
拘束された者の中には高位貴族の子息や令嬢もいたし、当主自ら逮捕された者もいた。
当日、“ミミズクの館”にいなかったとしてもトラスト・ブレインは1人として逃す気はなかった。
※※※※※ ※※※※※
書籍化第4巻宜しくお願いします!
コミカライズも第2巻が書籍化されました!是非、ご覧下さい。
あなたにおすすめの小説
継子いじめで糾弾されたけれど、義娘本人は離婚したら私についてくると言っています〜出戻り夫人の商売繁盛記〜
野生のイエネコ
恋愛
後妻として男爵家に嫁いだヴィオラは、継子いじめで糾弾され離婚を申し立てられた。
しかし当の義娘であるシャーロットは、親としてどうしようもない父よりも必要な教育を与えたヴィオラの味方。
義娘を連れて実家の商会に出戻ったヴィオラは、貴族での生活を通じて身につけた知恵で新しい服の開発をし、美形の義娘と息子は服飾モデルとして王都に流行の大旋風を引き起こす。
度々襲来してくる元夫の、借金の申込みやヨリを戻そうなどの言葉を躱しながら、事業に成功していくヴィオラ。
そんな中、伯爵家嫡男が、継子いじめの疑惑でヴィオラに近づいてきて?
※小説家になろうで「離婚したので幸せになります!〜出戻り夫人の商売繁盛記〜」として掲載しています。
兄を溺愛する母に捨てられたので私は家族を捨てる事にします!
ユウ
恋愛
幼い頃から兄を溺愛する母。
自由奔放で独身貴族を貫いていた兄がようやく結婚を決めた。
しかし、兄の結婚で全てが崩壊する事になった。
「今すぐこの邸から出て行ってくれる?遺産相続も放棄して」
「は?」
母の我儘に振り回され同居し世話をして来たのに理不尽な理由で邸から追い出されることになったマリーは自分勝手な母に愛想が尽きた。
「もう縁を切ろう」
「マリー」
家族は夫だけだと思い領地を離れることにしたそんな中。
義母から同居を願い出られることになり、マリー達は義母の元に身を寄せることになった。
対するマリーの母は念願の新生活と思いきや、思ったように進まず新たな嫁はびっくり箱のような人物で生活にも支障が起きた事でマリーを呼び戻そうとするも。
「無理ですわ。王都から領地まで遠すぎます」
都合の良い時だけ利用する母に愛情はない。
「お兄様にお任せします」
実母よりも大事にしてくれる義母と夫を優先しすることにしたのだった。
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
ボンクラ王子の側近を任されました
里見知美
ファンタジー
「任されてくれるな?」
王宮にある宰相の執務室で、俺は頭を下げたまま脂汗を流していた。
人の良い弟である現国王を煽てあげ国の頂点へと導き出し、王国騎士団も魔術師団も視線一つで操ると噂の恐ろしい影の実力者。
そんな人に呼び出され開口一番、シンファエル殿下の側近になれと言われた。
義妹が婚約破棄を叩きつけた相手である。
王子16歳、俺26歳。側近てのは、年の近い家格のしっかりしたヤツがなるんじゃねえの?
まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?
せいめ
恋愛
政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。
喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。
そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。
その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。
閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。
でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。
家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。
その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。
まずは亡くなったはずの旦那様との話から。
ご都合主義です。
設定は緩いです。
誤字脱字申し訳ありません。
主人公の名前を途中から間違えていました。
アメリアです。すみません。
【完結】虐げられて自己肯定感を失った令嬢は、周囲からの愛を受け取れない
春風由実
恋愛
事情があって伯爵家で長く虐げられてきたオリヴィアは、公爵家に嫁ぐも、同じく虐げられる日々が続くものだと信じていた。
願わくば、公爵家では邪魔にならず、ひっそりと生かして貰えたら。
そんなオリヴィアの小さな願いを、夫となった公爵レオンは容赦なく打ち砕く。
※完結まで毎日1話更新します。最終話は2/15の投稿です。
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています。
【書籍化決定】アシュリーの願いごと
ましろ
恋愛
「まあ、本当に?」
もしかして。そう思うことはありました。
でも、まさか本当だっただなんて。
「…それならもう我慢する必要は無いわね?」
嫁いでから6年。まるで修道女が神に使えるが如くこの家に尽くしてきました。
すべては家の為であり、夫の為であり、義母の為でありました。
愛する息子すら後継者として育てるからと産まれてすぐにとりあげられてしまいました。
「でも、もう変わらなくてはね」
この事を知ったからにはもう何も我慢するつもりはありません。
だって。私には願いがあるのだから。
✻基本ゆるふわ設定です。
気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。
✻1/19、タグを2つ追加しました
✻1/27、短編から長編に変更しました
✻2/2、タグを変更しました
【完結】転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
