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王城 〜予感〜
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「人族を襲う為に人族から魔獣を買う・・・。
本当に馬鹿にした話だ。」
ニコライの言葉にヴァルトも同意する。
「その組織がアースガイルを襲った事はないと仰いましたが、我らポーレットは魔獣の子の誘拐事件の所為でスタンピードが起こってもおかしくなかった。
シャムル・モンストルから魔獣を購入した時点でポーレットの街に害を及ぼす事に手を貸しています。」
事件に巻き込まれたポーレットの兄弟の怒りは最もで誰も嗜める事もしない。
「・・・ほっとけないですね。」
思わず呟いたイオリであったが、力を失った自分に何が出来るのか分からない。
考え込むイオリに国王アルフレッドとポーレット公爵テオルドの視線が交差した。
「イオリ。
其方に伝えなければならない事がある。」
「事件の話ですか?」
「それとは別の話だ。」
イオリは国王アルフレッドをキョトンとした顔で見た。
「これは、テオとグレンにしか知らせていない話だ。
他の者も聞くがいい。」
国を跨いだ一大事な事件の話を中断してまで何の話だと皆が顔を見合わせた。
どう伝えればいいのか神妙な顔で考えているアルフレッドの様子も珍しい。
しかし、自分が言うべきだと決意した様にアルフレッドはイオリを真っ直ぐに見た。
「聖獣達がイオリを呼んでいる。」
「へっ?」
国王の言葉にイオリは想像以上に間抜けな声を出した。
「最初に報告があったのは、イルツクの領主アナスタシア・ギロック伯爵からだった。
かの地を守る守護者である聖獣オリオン様が夢に出てきて、イオリを寄越す様にと伝えてきたそうだ。
そんな事は過去に一度もなく、それは夢見た最初の日より1週間続いたそうな。
今回の登城の際に、どうかイオリをイルツクへと嘆願された。」
「オリオンが俺を呼んでいる?」
驚くイオリにアルフレッドとテオルドが頷く。
「それだけじゃない。
デザリア国の王妃ティエナ殿が持ってこられた国王ダマン殿からの書簡には彼の地の守護者である聖獣トルトル様・ポルポル様が同じようにイオリを呼んでいると記されていた。
同じく、グランヌス国の国王ノブタカ殿からは聖獣の火龍ラーヴァがイオリを呼んでいると皇太子のムネタカ殿を通じて言伝があった。
各地の聖獣達が其方を呼んでいるのだ。」
絶対神リュオンの愛し子としての務めを終え、力を失ったイオリである。
もう、各地の守護者達にも会えないと思っていた。
「あっ。」
そこでイオリは思い出したように斜め掛け鞄からルーシュピケからの手紙を取り出し、ざっと目を通すとテオルドに差し出した。
テオルドは手紙に目を通すと「フッ」と笑った。
「ルーシュピケの長の2人からも聖獣アマメがイオリを待っていると言ってきている。」
「ルーシュピケに遊びに来いっていう比喩だと思っていました。
えぇ、本当に?」
困った顔のイオリに国王アルフレッドが咳払いをした。
「実はな・・・我もな。」
「えっ?
まさか父上までもが、聖獣が夢に出てきたとか言いませんよね?」
皇太子ギルバートが顔を引き攣らせった。
「空の守護者がな。」
「スカイヤっ!?」
声を上げ立ち上がったイオリをヒューゴが落ち着かせるように引っ張る。
「うむ。
スカイヤ様がイオリをカプリースへと向かわせろ。
これは試練だと・・・。」
「試練・・・。」
再び、イオリの旅が始まる予感がした。
※※※※※ ※※※※※
書籍化第4巻宜しくお願いします!
コミカライズも第2巻が書籍化されました!是非、ご覧下さい。
本当に馬鹿にした話だ。」
ニコライの言葉にヴァルトも同意する。
「その組織がアースガイルを襲った事はないと仰いましたが、我らポーレットは魔獣の子の誘拐事件の所為でスタンピードが起こってもおかしくなかった。
シャムル・モンストルから魔獣を購入した時点でポーレットの街に害を及ぼす事に手を貸しています。」
事件に巻き込まれたポーレットの兄弟の怒りは最もで誰も嗜める事もしない。
「・・・ほっとけないですね。」
思わず呟いたイオリであったが、力を失った自分に何が出来るのか分からない。
考え込むイオリに国王アルフレッドとポーレット公爵テオルドの視線が交差した。
「イオリ。
其方に伝えなければならない事がある。」
「事件の話ですか?」
「それとは別の話だ。」
イオリは国王アルフレッドをキョトンとした顔で見た。
「これは、テオとグレンにしか知らせていない話だ。
他の者も聞くがいい。」
国を跨いだ一大事な事件の話を中断してまで何の話だと皆が顔を見合わせた。
どう伝えればいいのか神妙な顔で考えているアルフレッドの様子も珍しい。
しかし、自分が言うべきだと決意した様にアルフレッドはイオリを真っ直ぐに見た。
「聖獣達がイオリを呼んでいる。」
「へっ?」
国王の言葉にイオリは想像以上に間抜けな声を出した。
「最初に報告があったのは、イルツクの領主アナスタシア・ギロック伯爵からだった。
かの地を守る守護者である聖獣オリオン様が夢に出てきて、イオリを寄越す様にと伝えてきたそうだ。
そんな事は過去に一度もなく、それは夢見た最初の日より1週間続いたそうな。
今回の登城の際に、どうかイオリをイルツクへと嘆願された。」
「オリオンが俺を呼んでいる?」
驚くイオリにアルフレッドとテオルドが頷く。
「それだけじゃない。
デザリア国の王妃ティエナ殿が持ってこられた国王ダマン殿からの書簡には彼の地の守護者である聖獣トルトル様・ポルポル様が同じようにイオリを呼んでいると記されていた。
同じく、グランヌス国の国王ノブタカ殿からは聖獣の火龍ラーヴァがイオリを呼んでいると皇太子のムネタカ殿を通じて言伝があった。
各地の聖獣達が其方を呼んでいるのだ。」
絶対神リュオンの愛し子としての務めを終え、力を失ったイオリである。
もう、各地の守護者達にも会えないと思っていた。
「あっ。」
そこでイオリは思い出したように斜め掛け鞄からルーシュピケからの手紙を取り出し、ざっと目を通すとテオルドに差し出した。
テオルドは手紙に目を通すと「フッ」と笑った。
「ルーシュピケの長の2人からも聖獣アマメがイオリを待っていると言ってきている。」
「ルーシュピケに遊びに来いっていう比喩だと思っていました。
えぇ、本当に?」
困った顔のイオリに国王アルフレッドが咳払いをした。
「実はな・・・我もな。」
「えっ?
まさか父上までもが、聖獣が夢に出てきたとか言いませんよね?」
皇太子ギルバートが顔を引き攣らせった。
「空の守護者がな。」
「スカイヤっ!?」
声を上げ立ち上がったイオリをヒューゴが落ち着かせるように引っ張る。
「うむ。
スカイヤ様がイオリをカプリースへと向かわせろ。
これは試練だと・・・。」
「試練・・・。」
再び、イオリの旅が始まる予感がした。
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