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王城 〜旅支度〜
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図書室でココ・リーヴル公爵夫人とオネストという名前と発覚したクォーレル伯爵が御伽話の題材で話が盛り上がっている間。
ナギやニナもクォーレル伯爵子息であるラフと旅の話に花を咲かせていた。
バトルホースのアウラと共に丸くなって、その様子を見ていたゼンであったが飽きたのか「プスっ」と鼻を鳴らして立ち上がると、扉に向かって歩き出した。
「ヒンッ」
「何処に行くの?」と声を掛けるアウラに扉を開けてもらいながら2匹が図書室から出て行くのを気づいた者は少ない。
「おい。 あれ。」
王城に務める騎士達が再び慌ただしく連絡を取り合っているなどゼンはお構いなしだ。
「ヒンッ」
胸を張って歩いているゼンを見守るアウラの方が心配そうだ。
「キャンッ!」
まるで「いいの!」と言っているような返事を返すゼンにアウラはオロオロとした様子で付いて行く。
毛足の長い絨毯には足を取られがちだが、それも足を大きく上げれば大丈夫と気がついたゼン。
結果的に澄まし顔で猛々しく歩く様になっているのだが、それがまた周囲には愛らしく見えた。
ゼンの体には王城の廊下は広くて長い。
曲り角までくると、右に行こうか左に行こうかジッと廊下の先を見つめている。
スンスン
匂いを嗅いだゼンは、どうやら行く方向を決めたらし。
再び歩き出したゼンを見つめていた騎士達が囁く。
「おぉ・・・おちらには。」
「王家の私室に行こうとしているのか?」
「いや、その前にポーレット公爵が執務でお使いになっている部屋がある。」
「あぁ、なるほど。」
見送る騎士達は廊下を進んでいく小さく真っ白な子狼とバトルホースに思わず微笑んだ。
ゼンは大きな扉の前に到着すると、小さな前脚で扉をカリカリと掻いた。
暫くすると、扉が開き馴染みの声が降ってきた。
「おっ!本当にここまで来たのか?」
ハハハと笑いながらゼンを抱き上げたのは・・・。
「どうしたヴァルト?」
「いや、兄上。
さっき廊下を歩いていたら、騎士達がゼンが王城を1人で散歩してるって話していたんですよ。
まさか、ここまで来るとは思ってなかったんですけど、頑張って辿り着いたみたいです。」
ヴァルトの肩越しに覗き込んだニコライがキョトンとしているゼンとアウラの姿に吹き出した。
「イオリを置いて来たのか?
どうしたんだ?」
ニコライはゼンとアウラの頭を優しく撫でた。
「ヴァルト、中に入れてやれ。
そして扉を閉めなさい。」
部屋の奥からテオルドの声がすると、ゼンは小さな足をバタつかせた。
「はい。父上。
おいおい。暴れるなよ。」
ヴァルトは床にゼンを置いてやると、アウラを誘い扉を閉めた。
ゼンは床に置かれた瞬間にテオルドの声の方にスタートダッシュだ。
「おぉ。よくぞ、ここまできたな。
何かあったのか?」
ポーレット公爵であるテオルドは椅子から立ち上がると、しゃがみ込むと小さなゼンと目を合わせ微笑んだ。
※※※※※ ※※※※※
書籍化第4巻宜しくお願いします!
コミカライズも第2巻が書籍化されました!是非、ご覧下さい。
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バトルホースのアウラと共に丸くなって、その様子を見ていたゼンであったが飽きたのか「プスっ」と鼻を鳴らして立ち上がると、扉に向かって歩き出した。
「ヒンッ」
「何処に行くの?」と声を掛けるアウラに扉を開けてもらいながら2匹が図書室から出て行くのを気づいた者は少ない。
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曲り角までくると、右に行こうか左に行こうかジッと廊下の先を見つめている。
スンスン
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再び歩き出したゼンを見つめていた騎士達が囁く。
「おぉ・・・おちらには。」
「王家の私室に行こうとしているのか?」
「いや、その前にポーレット公爵が執務でお使いになっている部屋がある。」
「あぁ、なるほど。」
見送る騎士達は廊下を進んでいく小さく真っ白な子狼とバトルホースに思わず微笑んだ。
ゼンは大きな扉の前に到着すると、小さな前脚で扉をカリカリと掻いた。
暫くすると、扉が開き馴染みの声が降ってきた。
「おっ!本当にここまで来たのか?」
ハハハと笑いながらゼンを抱き上げたのは・・・。
「どうしたヴァルト?」
「いや、兄上。
さっき廊下を歩いていたら、騎士達がゼンが王城を1人で散歩してるって話していたんですよ。
まさか、ここまで来るとは思ってなかったんですけど、頑張って辿り着いたみたいです。」
ヴァルトの肩越しに覗き込んだニコライがキョトンとしているゼンとアウラの姿に吹き出した。
「イオリを置いて来たのか?
どうしたんだ?」
ニコライはゼンとアウラの頭を優しく撫でた。
「ヴァルト、中に入れてやれ。
そして扉を閉めなさい。」
部屋の奥からテオルドの声がすると、ゼンは小さな足をバタつかせた。
「はい。父上。
おいおい。暴れるなよ。」
ヴァルトは床にゼンを置いてやると、アウラを誘い扉を閉めた。
ゼンは床に置かれた瞬間にテオルドの声の方にスタートダッシュだ。
「おぉ。よくぞ、ここまできたな。
何かあったのか?」
ポーレット公爵であるテオルドは椅子から立ち上がると、しゃがみ込むと小さなゼンと目を合わせ微笑んだ。
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