続々・拾ったものは大切に大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜

ぽん

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旅路 〜イルツクへ〜

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 旅の始まりの日は見事な太陽が現れていた。

 この日多くの人がイオリの見送りに集まっていた。

 目立たぬ様にと王城からは一般の騎士が使う門から出ようと決めていたのに、国王夫婦が揃ってしまえば何事かと騒ぎになってしまって意味がない。

「良いか?
 先ずはイルツクだ。
 ギロック伯爵には連絡してあるからな。
 問題なく街へ入れるだろう。」

「はい。分かりました。」

 国王アルフレッドが話す隣では宰相グレン・ターナーが何通もの書簡をヒューゴに手渡している。

「各国の国王への書簡と各地で起こっている件の事件のアースガイルからの報告書です。
 イオリだと忘れてしまう可能性がありますからね。
 ヒューゴが頼りです。」

 ヒューゴは苦笑しながらも自分のインベントリに大切にしまった。

「はい。任せて下さい。
 必ずお渡しします。」

 側では王妃シシリアを筆頭に皇太子妃オーブリーとリーヴル公爵夫人のココが子供達が乗り込んだ馬車を覗いている。

「皆んな大丈夫?
 お尻痛くないかしら?」

「全然痛くないよ。
 クッションくれて有難う。
 シシィちゃん。」

 スコルが言えば、残りの3人もニッコリとしてお礼を言った。

「「「ありがとう!」」」

 元々馬車にはイオリが見繕った布団やらクッションやらが乗せられていたが、イオリの旅の話を聞いた王妃シシリアが急遽職人達にフワフワな寝具を用意させたのだ。

 あまり派手では、強盗などに目をつけられても面倒だと見た目は地味だが、中の素材は王家御用達のフッワフワな逸品だ。

 低反発のクッションと合わせ使えば、小さな馬車も極上な王城仕様へと変貌していた。

「今、馬車に潜り込めば私も旅が出来るかもしれない。」

「義姉様。絶対にやめて下さいね。
 ギルバート様が爽やかな笑顔で見つめてきていますよ。」

 皇太子妃としての日々を窮屈だと感じているオーブリー妃であるが、最近は剣術の稽古の許可が出たらしく、時々軍の訓練に参加しているらしい。

 未来の国王の側に誰よりも強い剣士がいるのなら安心だと、国王アルフレッドまでもが許可を出したと嬉しそうに報告に来た時の事が忘れられない。

 ギルバートのオーブリーへの誘惑は目下継続中であるが、「惚れたもん負けさ。」と皇太子は負け戦を楽しんでいる。
 だが、周囲が日々の2人の様子を見ていればオーブリーもしっかりと夫を慈しんでいるのが分かる。

「マイヤちゃん!?」

 見送りの人の中にパティがニコライの婚約者であるマイヤ・シウバを見つけた。

 自国デザリア国のティエナ王妃と共に国に帰ったとばかり思っていたが、今日はポーレット公爵家の面々と共にイオリ達の見送りに現れたから驚きだ。

「ティエナ様を送りにグダスクまで行って帰って来たんだ。
 私達が領地に帰る時に一緒にポーレットの街に行くんだよ。」

 婚約者と共にやって来たニコライが嬉しそうに、そう言うとマイヤ・シウバも楽しそうに微笑んだ。

「私、初めてポーレットに行くの。
 一度、行ってみたいと思っていたのよ。
 楽しみだわ。
 皆んなと行けないのは残念だけど、いつかは一緒に街を堪能しましょうね。」

 結婚前に一度ポーレットに顔を出すらしい。
 それを聞いた子供達も大興奮だ。

「最初は“日暮れの暖炉”のガーリックチキンを食べてみて。
 オレのおすすめ!」

「その後はカッチェさんのクリームシチューね。
 教会の図書館も素敵だよ。」

「帰って来たらニナが街を案内するよ!」

「パティも!
 もしカサドさんの工房に行ったら忘れないで、挨拶する時はドアを蹴るんだよ。」

「こら、悪い事を教えるな。」

 パティの齎す誤情報にニコライが苦笑する中、マイヤ・シウバも笑いを堪えきれていなかった。

※※※※※ ※※※※※

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