続々・拾ったものは大切に大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜

ぽん

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深淵のダンジョン 〜オリオンの元へ〜

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 下層ボスであったジュエルキャットの部屋を後にしたイオリ達は目の前にある大きな宝箱を前に目を煌めかせていた。

 なんて変哲のない宝箱であったが危険はないと判断し、さぁ開けようと言うところだ。

「階層ボス攻略のご褒美かな?」

 ワクワクした顔のナギにイオリも微笑む。

「どうだろうね。」

「絶対にスッゴイお宝が入ってるよ。」
「うん。
 だって、ジュエルキャットを攻略したんだもんね。」

 ピッタリと肩をくっ付け、互いにニコニコと顔を見合わせるのはパティとニナだ。

「運命は如何に・・・だな。 
 スコル開けてみろよ。」

 ヒューゴに促されスコルが代表して前に出た。

「うん。
 いい?皆んな開けるよ。」

 ソワソワする弟妹達を見渡しスコルは宝箱の蓋に手を掛けた・・・。

「あれ?何にもない?」

 空っぽの宝箱にスコルが困すると、押し除けたパティが上半身を宝箱に入れて中を確認したが、期待したお宝は何もなくガッカリした様にイオリとヒューゴに振り返った。

「フフフ。」
「ククク。」

 あまりにも残念そうに肩を落とし情けない顔をする子供達を前にイオリとヒューゴは思わず堪えられずに笑う。

「ダンジョンって言ったって宝ってのは、そうそう手に入るものじゃない。
 そう、落ち込むなって。クッハハハ。」

 笑うヒューゴを子供達が悔しそうに抱きつき戯れ付くのを見たイオリは楽しそうに笑う。

 すると、そこにヒラヒラっと何処からともなく紙が1枚舞い降りてきた。
 受け取ったイオリは、やっぱり微笑む。

 そこには一言だけ。

 ーーーまた、後で。

 そう書かれていた。

「うん。また後でね。」

 宛名も差出人の名もないメモ書きの様な手紙であったが、イオリはそれがダンジョンの主である大きな亀からであると確信した。

「どうやら、ご褒美は後らしい。」

 胸に抱いたゼンと顔を見合わすと、顎をペロリと舐められた。

「さて、先に進もうか。」
 
 戯れ付く子供達とヒューゴに声をかけると、イオリは再び薄暗い洞窟のダンジョンを歩き始めた。
 
_____

『カカカ!』

 暗闇から滅多に聞く事のない笑い声がした。

『子供らが宝がないと不貞腐れておる。』

 イタズラが成功し可笑しいのか、ゴッゴッゴッと石が打つかる様に鳴っている音は、笑い声の持ち主の体から発せられているようだ。

『あぁ。
 ワシのいる場所にはまだ着きそうもない。
 最初から宝なんぞ要らんだろうて。
 イオリは楽しそうに笑っておるわ。』

 独り言かと思えば、何処ぞの話し相手達と話している様で、相手達も笑っているらしく、実に楽しそうだ。

『まぁ、そう焦るな。
 今しばらく待て。
 そなたらの所にもイオリは参るのだから。』

 焦れる相手に声の主・・・イルツクの主オリオンが微笑む。

『我らの時間なぞ悠久にして終わりはない。
 ならば一時の戯れを楽しもうではないか。』

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