379 / 382
深淵のダンジョン 〜オリオンの元へ〜
277
しおりを挟む
下層ボスであったジュエルキャットの部屋を後にしたイオリ達は目の前にある大きな宝箱を前に目を煌めかせていた。
なんて変哲のない宝箱であったが危険はないと判断し、さぁ開けようと言うところだ。
「階層ボス攻略のご褒美かな?」
ワクワクした顔のナギにイオリも微笑む。
「どうだろうね。」
「絶対にスッゴイお宝が入ってるよ。」
「うん。
だって、ジュエルキャットを攻略したんだもんね。」
ピッタリと肩をくっ付け、互いにニコニコと顔を見合わせるのはパティとニナだ。
「運命は如何に・・・だな。
スコル開けてみろよ。」
ヒューゴに促されスコルが代表して前に出た。
「うん。
いい?皆んな開けるよ。」
ソワソワする弟妹達を見渡しスコルは宝箱の蓋に手を掛けた・・・。
「あれ?何にもない?」
空っぽの宝箱にスコルが困すると、押し除けたパティが上半身を宝箱に入れて中を確認したが、期待したお宝は何もなくガッカリした様にイオリとヒューゴに振り返った。
「フフフ。」
「ククク。」
あまりにも残念そうに肩を落とし情けない顔をする子供達を前にイオリとヒューゴは思わず堪えられずに笑う。
「ダンジョンって言ったって宝ってのは、そうそう手に入るものじゃない。
そう、落ち込むなって。クッハハハ。」
笑うヒューゴを子供達が悔しそうに抱きつき戯れ付くのを見たイオリは楽しそうに笑う。
すると、そこにヒラヒラっと何処からともなく紙が1枚舞い降りてきた。
受け取ったイオリは、やっぱり微笑む。
そこには一言だけ。
ーーーまた、後で。
そう書かれていた。
「うん。また後でね。」
宛名も差出人の名もないメモ書きの様な手紙であったが、イオリはそれがダンジョンの主である大きな亀からであると確信した。
「どうやら、ご褒美は後らしい。」
胸に抱いたゼンと顔を見合わすと、顎をペロリと舐められた。
「さて、先に進もうか。」
戯れ付く子供達とヒューゴに声をかけると、イオリは再び薄暗い洞窟のダンジョンを歩き始めた。
_____
『カカカ!』
暗闇から滅多に聞く事のない笑い声がした。
『子供らが宝がないと不貞腐れておる。』
イタズラが成功し可笑しいのか、ゴッゴッゴッと石が打つかる様に鳴っている音は、笑い声の持ち主の体から発せられているようだ。
『あぁ。
ワシのいる場所にはまだ着きそうもない。
最初から宝なんぞ要らんだろうて。
イオリは楽しそうに笑っておるわ。』
独り言かと思えば、何処ぞの話し相手達と話している様で、相手達も笑っているらしく、実に楽しそうだ。
『まぁ、そう焦るな。
今しばらく待て。
そなたらの所にもイオリは参るのだから。』
焦れる相手に声の主・・・イルツクの主オリオンが微笑む。
『我らの時間なぞ悠久にして終わりはない。
ならば一時の戯れを楽しもうではないか。』
なんて変哲のない宝箱であったが危険はないと判断し、さぁ開けようと言うところだ。
「階層ボス攻略のご褒美かな?」
ワクワクした顔のナギにイオリも微笑む。
「どうだろうね。」
「絶対にスッゴイお宝が入ってるよ。」
「うん。
だって、ジュエルキャットを攻略したんだもんね。」
ピッタリと肩をくっ付け、互いにニコニコと顔を見合わせるのはパティとニナだ。
「運命は如何に・・・だな。
スコル開けてみろよ。」
ヒューゴに促されスコルが代表して前に出た。
「うん。
いい?皆んな開けるよ。」
ソワソワする弟妹達を見渡しスコルは宝箱の蓋に手を掛けた・・・。
「あれ?何にもない?」
空っぽの宝箱にスコルが困すると、押し除けたパティが上半身を宝箱に入れて中を確認したが、期待したお宝は何もなくガッカリした様にイオリとヒューゴに振り返った。
「フフフ。」
「ククク。」
あまりにも残念そうに肩を落とし情けない顔をする子供達を前にイオリとヒューゴは思わず堪えられずに笑う。
「ダンジョンって言ったって宝ってのは、そうそう手に入るものじゃない。
そう、落ち込むなって。クッハハハ。」
笑うヒューゴを子供達が悔しそうに抱きつき戯れ付くのを見たイオリは楽しそうに笑う。
すると、そこにヒラヒラっと何処からともなく紙が1枚舞い降りてきた。
受け取ったイオリは、やっぱり微笑む。
そこには一言だけ。
ーーーまた、後で。
そう書かれていた。
「うん。また後でね。」
宛名も差出人の名もないメモ書きの様な手紙であったが、イオリはそれがダンジョンの主である大きな亀からであると確信した。
「どうやら、ご褒美は後らしい。」
胸に抱いたゼンと顔を見合わすと、顎をペロリと舐められた。
「さて、先に進もうか。」
戯れ付く子供達とヒューゴに声をかけると、イオリは再び薄暗い洞窟のダンジョンを歩き始めた。
_____
『カカカ!』
暗闇から滅多に聞く事のない笑い声がした。
『子供らが宝がないと不貞腐れておる。』
イタズラが成功し可笑しいのか、ゴッゴッゴッと石が打つかる様に鳴っている音は、笑い声の持ち主の体から発せられているようだ。
『あぁ。
ワシのいる場所にはまだ着きそうもない。
最初から宝なんぞ要らんだろうて。
イオリは楽しそうに笑っておるわ。』
独り言かと思えば、何処ぞの話し相手達と話している様で、相手達も笑っているらしく、実に楽しそうだ。
『まぁ、そう焦るな。
今しばらく待て。
そなたらの所にもイオリは参るのだから。』
焦れる相手に声の主・・・イルツクの主オリオンが微笑む。
『我らの時間なぞ悠久にして終わりはない。
ならば一時の戯れを楽しもうではないか。』
1,691
あなたにおすすめの小説
【完結】領主の妻になりました
青波鳩子
恋愛
「私が君を愛することは無い」
司祭しかいない小さな教会で、夫になったばかりのクライブにフォスティーヌはそう告げられた。
===============================================
オルティス王の側室を母に持つ第三王子クライブと、バーネット侯爵家フォスティーヌは婚約していた。
挙式を半年後に控えたある日、王宮にて事件が勃発した。
クライブの異母兄である王太子ジェイラスが、国王陛下とクライブの実母である側室を暗殺。
新たに王の座に就いたジェイラスは、異母弟である第二王子マーヴィンを公金横領の疑いで捕縛、第三王子クライブにオールブライト辺境領を治める沙汰を下した。
マーヴィンの婚約者だったブリジットは共犯の疑いがあったが確たる証拠が見つからない。
ブリジットが王都にいてはマーヴィンの子飼いと接触、画策の恐れから、ジェイラスはクライブにオールブライト領でブリジットの隔離監視を命じる。
捜査中に大怪我を負い、生涯歩けなくなったブリジットをクライブは密かに想っていた。
長兄からの「ブリジットの隔離監視」を都合よく解釈したクライブは、オールブライト辺境伯の館のうち豪華な別邸でブリジットを囲った。
新王である長兄の命令に逆らえずフォスティーヌと結婚したクライブは、本邸にフォスティーヌを置き、自分はブリジットと別邸で暮らした。
フォスティーヌに「別邸には近づくことを許可しない」と告げて。
フォスティーヌは「お飾りの領主の妻」としてオールブライトで生きていく。
ブリジットの大きな嘘をクライブが知り、そこからクライブとフォスティーヌの関係性が変わり始める。
========================================
*荒唐無稽の世界観の中、ふんわりと書いていますのでふんわりとお読みください
*約10万字で最終話を含めて全29話です
*他のサイトでも公開します
*10月16日より、1日2話ずつ、7時と19時にアップします
*誤字、脱字、衍字、誤用、素早く脳内変換してお読みいただけるとありがたいです
【完結】すり替えられた公爵令嬢
鈴蘭
恋愛
帝国から嫁いで来た正妻キャサリンと離縁したあと、キャサリンとの間に出来た娘を捨てて、元婚約者アマンダとの間に出来た娘を嫡子として第一王子の婚約者に差し出したオルターナ公爵。
しかし王家は帝国との繋がりを求め、キャサリンの血を引く娘を欲していた。
妹が入れ替わった事に気付いた兄のルーカスは、事実を親友でもある第一王子のアルフレッドに告げるが、幼い二人にはどうする事も出来ず時間だけが流れて行く。
本来なら庶子として育つ筈だったマルゲリーターは公爵と後妻に溺愛されており、自身の中に高貴な血が流れていると信じて疑いもしていない、我儘で自分勝手な公女として育っていた。
完璧だと思われていた娘の入れ替えは、捨てた娘が学園に入学して来た事で、綻びを見せて行く。
視点がコロコロかわるので、ナレーション形式にしてみました。
お話が長いので、主要な登場人物を紹介します。
ロイズ王国
エレイン・フルール男爵令嬢 15歳
ルーカス・オルターナ公爵令息 17歳
アルフレッド・ロイズ第一王子 17歳
マルゲリーター・オルターナ公爵令嬢 15歳
マルゲリーターの母 アマンダ・オルターナ
エレインたちの父親 シルベス・オルターナ
パトリシア・アンバタサー エレインのクラスメイト
アルフレッドの側近
カシュー・イーシヤ 18歳
ダニエル・ウイロー 16歳
マシュー・イーシヤ 15歳
帝国
エレインとルーカスの母 キャサリン帝国の侯爵令嬢(前皇帝の姪)
キャサリンの再婚相手 アンドレイ(キャサリンの従兄妹)
隣国ルタオー王国
バーバラ王女
【完結】「心に決めた人がいる」と旦那様は言った
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
「俺にはずっと心に決めた人がいる。俺が貴方を愛することはない。貴女はその人を迎え入れることさえ許してくれればそれで良いのです。」
そう言われて愛のない結婚をしたスーザン。
彼女にはかつて愛した人との思い出があった・・・
産業革命後のイギリスをモデルにした架空の国が舞台です。貴族制度など独自の設定があります。
----
初めて書いた小説で初めての投稿で沢山の方に読んでいただき驚いています。
終わり方が納得できない!という方が多かったのでエピローグを追加します。
お読みいただきありがとうございます。
解雇されたけど実は優秀だったという、よくあるお話。
シグマ
ファンタジー
突如、所属している冒険者パーティー[ゴバスト]を解雇されたサポーターのマルコ。しかし普通のサポート職以上の働きをしていたマルコが離脱した後のパーティーは凋落の一途を辿る。そしてその影響はギルドにまでおよび……
いわゆる追放物の短編作品です。
起承転結にまとめることを意識しましたが、上手く『ざまぁ』出来たか分かりません。どちらかと言えば、『覆水盆に返らず』の方がしっくりくるかも……
サクッと読んで頂ければ幸いです。
※思っていた以上の方に読んで頂けたので、感謝を込めて当初の予定を越える文量で後日談を追記しました。ただ大団円で終わってますので、『ざまぁ』を求めている人は見ない方が良いかもしれません。
プロローグでケリをつけた乙女ゲームに、悪役令嬢は必要ない(と思いたい)
犬野きらり
恋愛
私、ミルフィーナ・ダルンは侯爵令嬢で二年前にこの世界が乙女ゲームと気づき本当にヒロインがいるか確認して、私は覚悟を決めた。
『ヒロインをゲーム本編に出さない。プロローグでケリをつける』
ヒロインは、お父様の再婚相手の連れ子な義妹、特に何もされていないが、今後が大変そうだからひとまず、ごめんなさい。プロローグは肩慣らし程度の攻略対象者の義兄。わかっていれば対応はできます。
まず乙女ゲームって一人の女の子が何人も男性を攻略出来ること自体、あり得ないのよ。ヒロインは天然だから気づかない、嘘、嘘。わかってて敢えてやってるからね、男落とし、それで成り上がってますから。
みんなに現実見せて、納得してもらう。揚げ足、ご都合に変換発言なんて上等!ヒロインと一緒の生活は、少しの発言でも悪役令嬢発言多々ありらしく、私も危ない。ごめんね、ヒロインさん、そんな理由で強制退去です。
でもこのゲーム退屈で途中でやめたから、その続き知りません。
平民の娘だから婚約者を譲れって? 別にいいですけど本当によろしいのですか?
和泉 凪紗
恋愛
「お父様。私、アルフレッド様と結婚したいです。お姉様より私の方がお似合いだと思いませんか?」
腹違いの妹のマリアは私の婚約者と結婚したいそうだ。私は平民の娘だから譲るのが当然らしい。
マリアと義母は私のことを『平民の娘』だといつも見下し、嫌がらせばかり。
婚約者には何の思い入れもないので別にいいですけど、本当によろしいのですか?
結婚したけど夫の不倫が発覚して兄に相談した。相手は親友で2児の母に慰謝料を請求した。
佐藤 美奈
恋愛
伯爵令嬢のアメリアは幼馴染のジェームズと結婚して公爵夫人になった。
結婚して半年が経過したよく晴れたある日、アメリアはジェームズとのすれ違いの生活に悩んでいた。そんな時、机の脇に置き忘れたような手紙を発見して中身を確かめた。
アメリアは手紙を読んで衝撃を受けた。夫のジェームズは不倫をしていた。しかも相手はアメリアの親しい友人のエリー。彼女は既婚者で2児の母でもある。ジェームズの不倫相手は他にもいました。
アメリアは信頼する兄のニコラスの元を訪ね相談して意見を求めた。
異世界でまったり村づくり ~追放された錬金術師、薬草と動物たちに囲まれて再出発します。いつの間にか辺境の村が聖地になっていた件~
たまごころ
ファンタジー
王都で役立たずと追放された中年の錬金術師リオネル。
たどり着いたのは、魔物に怯える小さな辺境の村だった。
薬草で傷を癒し、料理で笑顔を生み、動物たちと畑を耕す日々。
仲間と絆を育むうちに、村は次第に「奇跡の地」と呼ばれていく――。
剣も魔法も最強じゃない。けれど、誰かを癒す力が世界を変えていく。
ゆるやかな時間の中で少しずつ花開く、スロー成長の異世界物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる