380 / 452
深淵のダンジョン 〜オリオンの元へ〜
378
「あっ!宝箱っ!!」
走っていくパティにイオリとヒューゴは顔を合わせた。
「待って!パティ!」
「危険だ!止まれっ!」
“深淵ダンジョン”進むイオリ達の前に明らかに怪しげな宝箱が現れた。
さっきまで空の宝箱を見たからかフラストレーションが溜まっていたのだろう。
宝箱を見つけたパティが引っかかってしまった。
困った事に素早いパティを追いかけるのはイオリやヒューゴも難しい。
「ナギっ!!」
イオリの声に反応したのはエルフのナギで、瞬間移動のスキルを発動してパティの前に立ち両手を広げて止めた。
「パティ!駄目だよ!
イオリが止まれって言ってる。」
珍しいナギの叱咤の声にパティは急ブレーキだ。
その後は追い付いたスコルに羽交締めにされ、両手を腰に当ててコメカミに青筋を立てるヒューゴに見下ろされると、頭の上の耳がぺコーンと垂れてしまった。
「ゴメンナサイ。」
「ダンジョンは罠で人を陥れると知っているだろう。
欲望に忠実過ぎると足元を掬われるぞ。」
パティがヒューゴに怒られている間にイオリは静かに宝箱に近づいていた。
追ってきたナギとニナを手で制すと、それ以上近づかせない。
「これは・・・。」
イオリは宝箱の前の地面に触れ何かに気付くと一度離れた。
「どうだ?」
耳をペシャコーンとさせたパティの首根っこを引っ張ってヒューゴがやって来ると、イオリは数ヶ所を指差した。
「宝箱の手前に隠されたスイッチがあって、踏むと四方から槍が飛んでくる仕掛けですね。
宝箱の中からも気配がするから何かしらの魔獣が隠れてる可能性があります。」
イオリの報告にヒューゴは頷くと掴んでいたパティを力技で持ち上げた。
「ほら見ろ。
危なかったじゃないか。」
「ごめんなさーい!」
素直に反省するパティにイオリは苦笑しながらオデコをペチンとした。
パティの猪突猛進の行動力は戦闘において力強い味方だ。
だが、敵が頭を使った罠を仕掛けてきた時にも危険に飛び込んでしまう事もある。
それもこれもパティの魅力であるが、時には周囲を巻き込む危険な時は言わなければいけない。
「パティ。今日のおやつ没収です。」
「ギャーーーー!!」
ガニ股で両手を上げて天井を仰ぐパティの悲鳴が洞窟に響き渡った。
それを聞いた他の冒険者達はどんな恐ろしい魔獣が出現したのかと戦々恐々で怯えたとか。
「シクシクシク。」
耳をペシャンコにして泣くパティをニナとスコルが宥めるの中、イオリは宝箱の仕掛けをどうするかと悩んでいた。
「あれを何とかしないと前に進めないなんて面倒臭いなぁ。」
溜息を吐くイオリにヒューゴが声をかける。
「どうする?」
「スイッチは踏まなければ良いわけですけど、宝箱の中の魔獣がね。
無視して通り過ぎても良いけど、なんかムカつきはしてるんですよね。」
「まあな。
見逃してやる義理もなくなったしな。」
おやつ没収で泣いているパティに苦笑するヒューゴにイオリも同じように笑う。
「だったら、おびき寄せるか?」
珍しく狩人的思考をするヒューゴにイオリは目を丸くした。
走っていくパティにイオリとヒューゴは顔を合わせた。
「待って!パティ!」
「危険だ!止まれっ!」
“深淵ダンジョン”進むイオリ達の前に明らかに怪しげな宝箱が現れた。
さっきまで空の宝箱を見たからかフラストレーションが溜まっていたのだろう。
宝箱を見つけたパティが引っかかってしまった。
困った事に素早いパティを追いかけるのはイオリやヒューゴも難しい。
「ナギっ!!」
イオリの声に反応したのはエルフのナギで、瞬間移動のスキルを発動してパティの前に立ち両手を広げて止めた。
「パティ!駄目だよ!
イオリが止まれって言ってる。」
珍しいナギの叱咤の声にパティは急ブレーキだ。
その後は追い付いたスコルに羽交締めにされ、両手を腰に当ててコメカミに青筋を立てるヒューゴに見下ろされると、頭の上の耳がぺコーンと垂れてしまった。
「ゴメンナサイ。」
「ダンジョンは罠で人を陥れると知っているだろう。
欲望に忠実過ぎると足元を掬われるぞ。」
パティがヒューゴに怒られている間にイオリは静かに宝箱に近づいていた。
追ってきたナギとニナを手で制すと、それ以上近づかせない。
「これは・・・。」
イオリは宝箱の前の地面に触れ何かに気付くと一度離れた。
「どうだ?」
耳をペシャコーンとさせたパティの首根っこを引っ張ってヒューゴがやって来ると、イオリは数ヶ所を指差した。
「宝箱の手前に隠されたスイッチがあって、踏むと四方から槍が飛んでくる仕掛けですね。
宝箱の中からも気配がするから何かしらの魔獣が隠れてる可能性があります。」
イオリの報告にヒューゴは頷くと掴んでいたパティを力技で持ち上げた。
「ほら見ろ。
危なかったじゃないか。」
「ごめんなさーい!」
素直に反省するパティにイオリは苦笑しながらオデコをペチンとした。
パティの猪突猛進の行動力は戦闘において力強い味方だ。
だが、敵が頭を使った罠を仕掛けてきた時にも危険に飛び込んでしまう事もある。
それもこれもパティの魅力であるが、時には周囲を巻き込む危険な時は言わなければいけない。
「パティ。今日のおやつ没収です。」
「ギャーーーー!!」
ガニ股で両手を上げて天井を仰ぐパティの悲鳴が洞窟に響き渡った。
それを聞いた他の冒険者達はどんな恐ろしい魔獣が出現したのかと戦々恐々で怯えたとか。
「シクシクシク。」
耳をペシャンコにして泣くパティをニナとスコルが宥めるの中、イオリは宝箱の仕掛けをどうするかと悩んでいた。
「あれを何とかしないと前に進めないなんて面倒臭いなぁ。」
溜息を吐くイオリにヒューゴが声をかける。
「どうする?」
「スイッチは踏まなければ良いわけですけど、宝箱の中の魔獣がね。
無視して通り過ぎても良いけど、なんかムカつきはしてるんですよね。」
「まあな。
見逃してやる義理もなくなったしな。」
おやつ没収で泣いているパティに苦笑するヒューゴにイオリも同じように笑う。
「だったら、おびき寄せるか?」
珍しく狩人的思考をするヒューゴにイオリは目を丸くした。
あなたにおすすめの小説
「ちょっと待った」コールをしたのはヒロインでした
みおな
恋愛
「オフェーリア!貴様との婚約を破棄する!!」
学年の年度末のパーティーで突然告げられた婚約破棄。
「ちょっと待ってください!」
婚約者に諸々言おうとしていたら、それに待ったコールをしたのは、ヒロインでした。
あらあら。婚約者様。周囲をご覧になってくださいませ。
あなたの味方は1人もいませんわよ?
ですが、その婚約破棄。喜んでお受けしますわ。
あっ、追放されちゃった…。
satomi
恋愛
ガイダール侯爵家の長女であるパールは精霊の話を聞くことができる。がそのことは誰にも話してはいない。亡き母との約束。
母が亡くなって喪も明けないうちに義母を父は連れてきた。義妹付きで。義妹はパールのものをなんでも欲しがった。事前に精霊の話を聞いていたパールは対処なりをできていたけれど、これは…。
ついにウラルはパールの婚約者である王太子を横取りした。
そのことについては王太子は特に魅力のある人ではないし、なんにも感じなかったのですが、王宮内でも噂になり、家の恥だと、家まで追い出されてしまったのです。
精霊さんのアドバイスによりブルハング帝国へと行ったパールですが…。
誰でもイイけど、お前は無いわw
猫枕
恋愛
ラウラ25歳。真面目に勉強や仕事に取り組んでいたら、いつの間にか嫁き遅れになっていた。
同い年の幼馴染みランディーとは昔から犬猿の仲なのだが、ランディーの母に拝み倒されて見合いをすることに。
見合いの場でランディーは予想通りの失礼な発言を連発した挙げ句、
「結婚相手に夢なんて持ってないけど、いくら誰でも良いったってオマエは無いわww」
と言われてしまう。
完結 王族の醜聞がメシウマ過ぎる件
音爽(ネソウ)
恋愛
王太子は言う。
『お前みたいなつまらない女など要らない、だが優秀さはかってやろう。第二妃として存分に働けよ』
『ごめんなさぁい、貴女は私の代わりに公儀をやってねぇ。だってそれしか取り柄がないんだしぃ』
公務のほとんどを丸投げにする宣言をして、正妃になるはずのアンドレイナ・サンドリーニを蹴落とし正妃の座に就いたベネッタ・ルニッチは高笑いした。王太子は彼女を第二妃として迎えると宣言したのである。
もちろん、そんな事は罷りならないと王は反対したのだが、その言葉を退けて彼女は同意をしてしまう。
屈辱的なことを敢えて受け入れたアンドレイナの真意とは……
*表紙絵自作
私を追い出した結果、飼っていた聖獣は誰にも懐かないようです
天宮有
恋愛
子供の頃、男爵令嬢の私アミリア・ファグトは助けた小犬が聖獣と判明して、飼うことが決まる。
数年後――成長した聖獣は家を守ってくれて、私に一番懐いていた。
そんな私を妬んだ姉ラミダは「聖獣は私が拾って一番懐いている」と吹聴していたようで、姉は侯爵令息ケドスの婚約者になる。
どうやらラミダは聖獣が一番懐いていた私が邪魔なようで、追い出そうと目論んでいたようだ。
家族とゲドスはラミダの嘘を信じて、私を蔑み追い出そうとしていた。
ある王国の王室の物語
朝山みどり
恋愛
平和が続くある王国の一室で婚約者破棄を宣言された少女がいた。カップを持ったまま下を向いて無言の彼女を国王夫妻、侯爵夫妻、王太子、異母妹がじっと見つめた。
顔をあげた彼女はカップを皿に置くと、レモンパイに手を伸ばすと皿に取った。
それから
「承知しました」とだけ言った。
ゆっくりレモンパイを食べるとお茶のおかわりを注ぐように侍女に合図をした。
それからバウンドケーキに手を伸ばした。
カクヨムで公開したものに手を入れたものです。
【完結】旦那様、どうぞ王女様とお幸せに!~転生妻は離婚してもふもふライフをエンジョイしようと思います~
魯恒凛
恋愛
地味で気弱なクラリスは夫とは結婚して二年経つのにいまだに触れられることもなく、会話もない。伯爵夫人とは思えないほど使用人たちにいびられ冷遇される日々。魔獣騎士として人気の高い夫と国民の妹として愛される王女の仲を引き裂いたとして、巷では悪女クラリスへの風当たりがきついのだ。
ある日前世の記憶が甦ったクラリスは悟る。若いクラリスにこんな状況はもったいない。白い結婚を理由に円満離婚をして、夫には王女と幸せになってもらおうと決意する。そして、離婚後は田舎でもふもふカフェを開こうと……!
そのためにこっそり仕事を始めたものの、ひょんなことから夫と友達に!?
「好きな相手とどうやったらうまくいくか教えてほしい」
初恋だった夫。胸が痛むけど、お互いの幸せのために王女との仲を応援することに。
でもなんだか様子がおかしくて……?
不器用で一途な夫と前世の記憶が甦ったサバサバ妻の、すれ違い両片思いのラブコメディ。
※5/19〜5/21 HOTランキング1位!たくさんの方にお読みいただきありがとうございます
※他サイトでも公開しています。
【無断転載・AI利用禁止 / No Unauthorized Use or AI Training】
本作品の無断転載・複製・AI学習利用を禁じます。
Unauthorized reproduction or use for AI training is strictly prohibited.
© 魯恒凛 / RoKourin
今日結婚した夫から2年経ったら出ていけと言われました
四折 柊
恋愛
子爵令嬢であるコーデリアは高位貴族である公爵家から是非にと望まれ結婚した。美しくもなく身分の低い自分が何故? 理由は分からないが自分にひどい扱いをする実家を出て幸せになれるかもしれないと淡い期待を抱く。ところがそこには思惑があり……。公爵は本当に愛する女性を妻にするためにコーデリアを利用したのだ。夫となった男は言った。「お前と本当の夫婦になるつもりはない。2年後には公爵邸から国外へ出ていってもらう。そして二度と戻ってくるな」と。(いいんですか? それは私にとって……ご褒美です!)