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帰ってきた愛し子
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この日のポーレット公爵家の夕食には皆が集まっていた。
当主テオルド・ドゥク・ポーレットの隣には妻であるオルガが座り、向いの定位置には嫡男であるニコライとヴァルトが・・・そこにイオリ達家族が加われば賑やかな事である。
元々、魔法のテントを所有し裏庭の林の中で暮らしていたイオリであったが、それもリュオンに返上している。
イオリが行方不明となっていた間、子供達とヒューゴはポーレット公爵家に部屋を貰っていた。
その後、イオリが発見され目を覚ましてもそれは変わらない。
本当は街へ降りようとしていたイオリ達を留めたのもテオルド夫婦だった。
今ではポーレット公爵邸内にイオリとヒューゴの部屋、そして子供部屋が存在する。
故に食事を共にする事も多くなった。
といっても、テオルドやニコライ、ヴァルトは執務に追われて時間を共有する事が難しい事もある。
もっぱら、イオリ達との食事を楽しんでいるのは公爵夫人のオルガである。
「皆が揃うのも久しぶりだな。」
柔かに微笑むテオルドに子供達も満足そうに頷いた。
「お仕事は大丈夫なんですか?」
イオリの問いかけに、ニコライが苦笑した。
「やる事が終わる事はないが、時には家族と夕餉を楽しむくらいの心の余裕を持ちたいものだよ。」
「確かに大事な事です。」
イオリがクスクス笑っているとパティが手をバッと挙げた。
「パティ知ってる!ご飯はね。
皆んなで食べれば、もっともっと美味しくなるんだよ。
今日は皆んないるから、パティのお腹も沢山食べて良いって言ってるよ。」
これから、待ちに待った夕飯故にテンションの高いパティを皆が笑った。
「そうよね。
皆んなで食べた方が美味しいわよね~。」
オルガは夫と息子達が気まずそうに顔を逸らしているのを見て愉しげに微笑んだ。
筆頭執事のクリストフや侍女頭のモーナが陣頭指揮を取り運んでくる料理の数々に子供達が顔を綻ばせた。
食卓に並んだのは、グラタンやメンチカツといった味の濃いものから、さっぱりしたワカメの和物や湯豆腐といったお腹に優しいメニューが並んでいる。
この独特な料理はポーレット公爵領で発展したものとして、国中でレシピが買われているが、ポーレット公爵家の料理人に敵う者はいないと有名である。
何処の貴族もこぞってポーレット公爵家の料理人を欲しがり引き抜きに掛かっているが、当人達に全くその気がない。
それもそのはず、彼等にとって一番興味深い料理人が、この屋敷にいるのだ。
そして、世界で一番舌の肥えた子供達の時に辛辣な批評ほど、彼等の成長に繋がっている。
今日も今日とて、子供達が美味しそうに頬張る様子を扉から顔を出して覗いている料理人達の姿が見れた。
目をウルウルさせて喜ぶ料理人達を給仕をしている侍女達が冷めた目で見ている事など気が付かずに・・・。
当主テオルド・ドゥク・ポーレットの隣には妻であるオルガが座り、向いの定位置には嫡男であるニコライとヴァルトが・・・そこにイオリ達家族が加われば賑やかな事である。
元々、魔法のテントを所有し裏庭の林の中で暮らしていたイオリであったが、それもリュオンに返上している。
イオリが行方不明となっていた間、子供達とヒューゴはポーレット公爵家に部屋を貰っていた。
その後、イオリが発見され目を覚ましてもそれは変わらない。
本当は街へ降りようとしていたイオリ達を留めたのもテオルド夫婦だった。
今ではポーレット公爵邸内にイオリとヒューゴの部屋、そして子供部屋が存在する。
故に食事を共にする事も多くなった。
といっても、テオルドやニコライ、ヴァルトは執務に追われて時間を共有する事が難しい事もある。
もっぱら、イオリ達との食事を楽しんでいるのは公爵夫人のオルガである。
「皆が揃うのも久しぶりだな。」
柔かに微笑むテオルドに子供達も満足そうに頷いた。
「お仕事は大丈夫なんですか?」
イオリの問いかけに、ニコライが苦笑した。
「やる事が終わる事はないが、時には家族と夕餉を楽しむくらいの心の余裕を持ちたいものだよ。」
「確かに大事な事です。」
イオリがクスクス笑っているとパティが手をバッと挙げた。
「パティ知ってる!ご飯はね。
皆んなで食べれば、もっともっと美味しくなるんだよ。
今日は皆んないるから、パティのお腹も沢山食べて良いって言ってるよ。」
これから、待ちに待った夕飯故にテンションの高いパティを皆が笑った。
「そうよね。
皆んなで食べた方が美味しいわよね~。」
オルガは夫と息子達が気まずそうに顔を逸らしているのを見て愉しげに微笑んだ。
筆頭執事のクリストフや侍女頭のモーナが陣頭指揮を取り運んでくる料理の数々に子供達が顔を綻ばせた。
食卓に並んだのは、グラタンやメンチカツといった味の濃いものから、さっぱりしたワカメの和物や湯豆腐といったお腹に優しいメニューが並んでいる。
この独特な料理はポーレット公爵領で発展したものとして、国中でレシピが買われているが、ポーレット公爵家の料理人に敵う者はいないと有名である。
何処の貴族もこぞってポーレット公爵家の料理人を欲しがり引き抜きに掛かっているが、当人達に全くその気がない。
それもそのはず、彼等にとって一番興味深い料理人が、この屋敷にいるのだ。
そして、世界で一番舌の肥えた子供達の時に辛辣な批評ほど、彼等の成長に繋がっている。
今日も今日とて、子供達が美味しそうに頬張る様子を扉から顔を出して覗いている料理人達の姿が見れた。
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