続々・拾ったものは大切に大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜

ぽん

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わからせと後始末

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「しゃー!!
 はいっ!次ぃぃぃ!!」

 パティの気合いの入った雄叫びが冒険者ギルドに響き渡る。

 「おぉ、やってるな。」

 そこに鎧の騎士ことガンツが仲間と共にやって来た。
 
 ケラケラと笑うガンツ達の目の前では、打ちひしがれる冒険者がまた1人と肩を落として仲間達の元へ帰って行った。

 ・・・何が起こっているのか?

 事は、事件の顛末が分かり明けない魔の森から誰1人欠ける事なくポーレットの街に帰還している時だった。

ーーー

「「「「ムゥ・・・。」」」」

 子供達の不満そうな顔にイオリは笑った。

「今回の事、納得いかない?」

「そりゃそうだよ。根本的な解決になってないじゃないか。」

 イオリの問い掛けに代表して答えのはスコルだった。

 あの魔獣の群れに遭遇し、犠牲なく戻ってこれた事は良い結果だった。
 でも、主犯格は分からず魔獣の子供が攫われた理由も分かっていない。

 実行犯だったクラウン以下仲間の冒険者3名はギルマス・コジモの責任の下に拘束され厳しい取り調べを受ける予定だ。
 最も本人達は現在は気絶しており目覚めた時には檻の中だろう。
 
 現状、イオリ達に出来る事は無い。
 しかし子供達にとってみれば、今回の調査に大きく貢献していないばかりか、事件が決着をしても子供を攫われた魔獣達が悲しみに暮れている状況で、明けない魔の森が不安定なままである事は変わりない。

 何よりも、“自惚れクラウン”達の悪行と惨めな姿を見て、余計にイオリやヒューゴを馬鹿にしてきた他領出身の冒険者達に一泡吹かせてやりたいと不満が溜まっているのだ。

「生きた魔獣の売り買いは、どこの国でも法律違反だよ。
 主犯格が何の目的で、こんな事をしているのか調べてもらわないとね。
 王都に行ったら、アルさんにも頼んでみよう。」

 国王アルフレッドをアルさんと呼び、あまつさえ調べものをさせようというイオリである。
 子供達は今尚、不満そうではあるが渋々と頷いた。

 すると、御者席に座っていたヒューゴが笑い声を含んだ声で振り返った。

「要はイオリを馬鹿にしている冒険者達にムカついているんだろう?
 だったら、勝負してみたらいい。」

 ヒューゴの言葉にイオリは嫌そうな顔をした。

「冒険者の私闘は禁止ですよ。
 それに俺、無駄な事は嫌です。」

 他者の評価など気にもしていないイオリは面倒事の方を嫌がった。

「ハハハっ!
 イオリはいいんだよ。
 子供達が気に入らない奴を相手にするだけだ。
 それに立ち会うわけじゃない。
 そうだな・・・腕相撲なんてどうだ?
 それなら、ギルド内でも問題ないだろう。」

 ヒューゴの言葉に双子は嬉しそうに飛び上がった。

「「それ良いねっ!!」」

「しっかりと心を砕くんだぞ。」

 気に入らなければ力でねじ伏せる脳筋スタイルは教育として正しいのか?
 でも、楽しそうな子供達を前に苦笑するしかないイオリであった。
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